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結婚したいけれど自分の名字には愛着があります。夫婦別姓、ダメですか?~おみおじリポート(97)~

大宮冬洋フリーライター
専門分野がないことが強みであり弱みだという看護師。初めての婚活です。(本人提供)

結婚して、自らすすんで名字に変えたら元気を失ってしまった僕のアホ経験

※2022年4月6日追記。岡本さんは半年間の受けオネット期間を終了し、自動退会日を迎えました。残念ながらオネットでは良きご縁をご紹介できませんでしたが、彼女の幸せを祈りつつ見送りたいと思います。

 こんにちは。大宮です。自分の周囲にいる独身男女の婚活を前のめりで支援する「お見合いおじさん活動(略称:おみおじ)」を婚活パーソナルトレーナーのマチコ先生と一緒に推進しています。僕の読者(この記事を読んでいるあなたも該当します)で「そろそろ結婚したい」という人をオネット(大宮ネットワーク)にお迎えし、良縁を結ぶことをお手伝い中です。本連載ではその活動の一端をレポートしています。オネット会員の種類(受けor攻め)と募集についてはこちらをご覧ください。

 突然ですけど、夫婦別姓についてどう思いますか? 僕は「家族になった証として姓は同じにしたほうが日本人には馴染みやすい」という意見です。周囲の理解と応援も得られやすいと思います。別々の名字でいたいのならば恋人関係でいいでしょう。

 ただし、自分の名字を変えたことのない既婚者に「夫婦別姓は日本の家族を壊す!」なんて声高に言ってほしくありません。僕は前の結婚で相手の名字に変えた経験があります。1年後に離婚したので、免許証やパスポートを2回も書き換えなければならなかったのは面倒でした。それ以上に辛かったのは「大宮」でなくなったという自己喪失感です。

 婿養子になるぐらいの覚悟があれば平気だったのかもしれません。でも、僕の場合は「リベラルを自任するくせに自分の名字にはこだわるインテリ既婚男性へのあてつけ」が主目的だったので、名字を安易に変えたら元気を失ってしまいました。我ながらアホですね……。

パートナーという絶対的な味方はほしい。でも、名字を変えたくないのは相手も私も同じ

 だから、2度目の結婚をしたときに「大宮」になってくれた妻には感謝しています。その代わりというわけではありませんが、愛着を持っていた東京での生活をやめて、妻が家業を継いでいる愛知県三河地方へと引っ越して来ました。仕事の継続などでいろいろ苦労はありましたが、今は近所に尊敬できる友人知人もできて視野が広がったように感じています。

 結婚とはハイリスクハイリターンの冒険です。今の自分を何も変えたくないと思うのならば独身のままでいいのではないでしょうか。むしろ、何かを捨てるからこそ新しい何かを得られると僕は実感しています。結婚しても自分の名字は変えたくないという岡本奈緒子さん(仮名、56歳)はどんな考えなのでしょうか。

「パートナーという絶対的な味方はほしいと思うのですが、自分の名字を変えたくないのは相手も同じだと思うんです。この年齢になると相手に成人のお子さんがいて、法律婚は反対されることもあるはずなので、事実婚とか週末婚でもいいかなと思っています。結婚にもそれぞれの形があるはずです。別に毎日同居しなくてもいいだろうし、名字も変えなくていいだろうし。もちろん、相手が私の名字になってくれるならば法律婚でもOKです」

 さきほど書いたように、オネットは基本的には法律婚を推奨しています。でも、岡本さんが指摘するように相続などの関係で事実婚を選ぶ場合は、オネット独自のパートナーシップ証明書でも発行しようかな。もし別れる際は、僕たちの目の前で証明書を破り捨てることを約束してもらい、法的拘束力の代わりにしたいと思います。

自炊生活も楽しんでいる岡本さん。サムゲタン風のスープと野菜炒め、とうもろこし、トマト、赤ワイン。「いつもこんな感じ。野菜中心で夜は炭水化物なし、お酒を少し、です」(本人提供)
自炊生活も楽しんでいる岡本さん。サムゲタン風のスープと野菜炒め、とうもろこし、トマト、赤ワイン。「いつもこんな感じ。野菜中心で夜は炭水化物なし、お酒を少し、です」(本人提供)

「今さら他人と暮らせない」と思う一方で「今なら誰かと暮らせるかも」

 さらに岡本さんは結婚相手の都合次第では東京を離れることも視野に入れています。様々な職場で働いてきた看護師なので、全国どこでも働く場所があるからです。

「仕事は基本的に楽しいです。例えば、採血ひとつでも技術が試されます。血管が見えにくい腕から上手に採血できると達成感がありますね。一人の時間を愛している私ですが人と関わることも好きなので、患者さんや同僚との会話も楽しんでいます。でも、専門は?と言われると困ってしまいます。専門がないところが看護師としての私の強みであり弱みです」

 ちなみに東京のマンションは15年前にローンを組んで購入したもの。そろそろローンの返済が終わるため、地方と東京での2拠点生活をすることもできます。

 そのマンション内での友だちも多く、お互いの部屋を行き来したりお土産を渡し合ったりしている岡本さん。趣味は旅行、映画鑑賞、読書、手紙を書くことなど。仕事も余暇も充実していて、積極的に結婚しようと行動したことは一度もないそうです。

「ここまで独身だと『今さら他人と暮らせない』と思うからです。でも、一方では『今なら誰かと暮らせるかも』とも感じています。以前のようにマイルールに固執しなくなりました。加齢で忘れっぽくなったのでしょうか(笑)」

本業でもアルバイトでも看護師として働いている岡本さん。「同じマンションの友人に来てもらって、バイト先で着ている白衣で撮ってみました。蛍光灯が苦手なので、部屋は全体に暗いです」(本人提供)
本業でもアルバイトでも看護師として働いている岡本さん。「同じマンションの友人に来てもらって、バイト先で着ている白衣で撮ってみました。蛍光灯が苦手なので、部屋は全体に暗いです」(本人提供)

衝突や仲直りを繰り返した末にお互いの「絶対的な味方」になっていくのが夫婦です

 岡本さんへのZoomインタビューには参加できなかったマチコ先生には、彼女の詳細プロフィール原稿(下記の有料記事)を見せました。マチコ先生はアラフォー以降の初婚女性による婚活の厳しさを痛感しています。

「岡本さんは自己完結されていますね。そんな岡本さんと一緒にいたいという男性をイメージしにくいです」

 うーん、なるほど。でも、経済的に自立していて精神的には安定している「自己完結」は強力な長所にもなり得ます。岡本さんは前向きで話題も豊富なので、対等に付き合える友だちのような感覚で少しずつ仲良くなっていくのはどうでしょうか。そのためには、岡本さんも相手に課すハードルを下げる必要があるとマチコ先生は指摘します。

「婚活をしても初めから『絶対的な味方』が現れるわけではありません。価値観の違いをすり合わせたり、弱い部分を認め合ったり、衝突や仲直りを繰り返したり。気づいたら唯一無二の存在で絶対的な味方になっている、そんなイメージを持ってオネットに臨んでいただけたらと思います」

 岡本さん、いかがでしょうか。お見合い相手が現れたら、楽しみながら信頼関係を少しずつ育てていきましょう!

友人知人に手紙を書くのも好きな岡本さん。手紙やハガキのセットは切らすことなく常備しています。(本人提供)
友人知人に手紙を書くのも好きな岡本さん。手紙やハガキのセットは切らすことなく常備しています。(本人提供)

※文中の受けオネット会員は仮名です。岡本さんの詳細プロフィールやマチコ先生と大宮による超実践的婚活アドバイス(ヤフーの有料記事です)を読みたい方(=攻めオネット会員になりたい方)はこちらをご覧ください。

フリーライター

僕は1976年生まれ。40代です。燦然と輝く「中年の星」にはなれなくても、年齢を重ねてずる賢くなっただけの「中年の屑」と化すことは避けたいな。自分も周囲も一緒にキラリと光り、人に喜んでもらえる生き方を模索するべきですよね。世間という広大な夜空を彩る「中年の星屑たち」になるためのニュースコラムを発信します。著書は『人は死ぬまで結婚できる』(講談社+α新書)など。連載「晩婚さんいらっしゃい!」により東洋経済オンラインアワード2019「ロングランヒット賞」を受賞。コラムやイベント情報が読める無料メルマガ配信ご希望の方は僕のホームページをご覧ください。(「ポスト中年の主張」から2017年3月に改題)

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大宮冬洋が自分の周囲にいる独身男女に声をかけて引き合わせる、お見合いおじさん活動「オネット」(大宮ネットワーク)の舞台裏をご紹介。オネット会員の匿名のプロフィールやお見合いの様子、成婚&退会者インタビューのほか、チームメンバーの婚活講師マチコ先生による婚活必勝アドバイスもお届けします。また、本連載の購読者は無料オプションとして、会員とのお見合いを希望することもできます。

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