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45歳。結婚相手を「共同生活者」とは割り切れない。ちゃんと好きになりたい~今すぐ結婚したい男(2)~

大宮冬洋フリーライター
東京・上野の焼肉店にて。昼ビールを一緒に飲みながら話を聞きました(筆者撮影)

 普通の独身男性が見当たらない――。こんなボヤキを30代40代の独身女性から聞くことが多い。前向きに働いていて、イケメンではなくても身だしなみに気を遣っていて、思いやりのあるコミュニケーションができる同世代の男性が少ない、いたとしても既婚者だというのだ。

 筆者は2019年の秋から「独身限定!スナック大宮」というイベントを隔月ペースで開催している。不特定多数の人を集めてマッチングする婚活パーティーではない。筆者の読者で独身の人に限定して声をかけ、結婚相談所などの「プロ」も招き、みんなで忌憚のないおしゃべりと交流をする会だ。文章を読む習慣がある人に参加者を限っているからなのか、「普通の独身男性」で結婚願望もある知的な人が参加してくれることが多い。彼らのリアルな状況と心境を聞き取り、筆者の意見も書きたいと思う。

 2人目は、メーカー社員の45歳男性と語り合った。年相応に白髪もあるが精悍な風貌で、よく笑ってよくしゃべる。感じがいい人だ。「千葉の田舎のほう」の出身で、サーフィンに夢中だった時期もあるらしい。その頃は結婚生活よりも自由な一人暮らしを楽しみたかったようだ。いま、彼は何を感じているのだろうか。

***太田和男さん(仮名、45歳)の話***

まだ独身のまま遊んでいて大丈夫、余裕がある、と思い込んでいた30代

 サーフィンにハマったのは27歳ぐらいの頃です。仕事に慣れてきて車を買えるほど貯金もできて、毎週末は夜が明けないうちから出発していました。僕は仕事の関係で埼玉県に住んでいるので、千葉のサーフスポットにたどり着くまでに片道3時間もかかります。帰りは車が混んでいるので5時間です。

 彼女がいた時期もありますよ。30歳ぐらいのとき、3歳年下の女性と1年ほど付き合っていました。サーフィンにも一緒に行ったことがあります。彼女が結婚をしたくなり、僕は応えられないと思って別れました。まだ独身のまま遊んでいて大丈夫、余裕がある、と思い込んでいたんです。

 2人の妹はすでに結婚していて子どももいます。家族仲は悪くないですよ。母が体調を崩しているので僕も3カ月に1度ぐらいは実家に帰りますし、先日は妹の新築お披露目会に行ってきました。

 家族に結婚相手を探してもらっていたのは10年ぐらい前まで、です。妹の旦那さんが同僚の女性とのBBQを企画してくれたり、親が結婚相談所を勧めてくれたり。特に母親が熱心で、親同士のお見合いパーティーに参加したこともあります。医者や経営者の子どもを持つ親が多かったらしく、女性の親からアプローチカードをほとんどもらえなかったと言っていました。自分の息子がこんなに価値が低いのかとショックを受けたようです。田舎から都会に出てきて参加した親に申し訳ない、と思いました……。

手慣れた様子で肉を焼く太田さん。大学を卒業してからずっと一人暮らしです(筆者撮影)
手慣れた様子で肉を焼く太田さん。大学を卒業してからずっと一人暮らしです(筆者撮影)

自分の誕生日を手料理で祝いました。とっておきの日本酒をプレゼントfor me

 自分でも有料の婚活サイトに登録していたこともあります。でも、僕はまめではないので連絡が続かなかったり、付き合って成婚退会をしたもののそれほど好きになれずに別れてしまったり。

 僕は女性に求める条件は少ないほうだと思います。借金がないとか、新興宗教に入っていない、ぐらいです。子どもはいてもいなくても構いません。

 最初はお互いに「いいな」と思って付き合い始めても、よっぽど好きにならない限り愛情をだんだん示せなくなってしまうんです。相手から「大事にされていないと感じてしまう」とフラれたことが何度かあります。実際、それほど気持ちが入っていないので言い訳はできません。相手には申し訳ないと思いますし、そんな自分が嫌になることもあります。

 結婚したいと思う理由は、長く一人で暮らしていて「寂しいな」と感じることが多いからです。家事はできるので不便はしていません。先日は、自分の誕生日を手料理で祝いました。イクラをたくさん買って5種類のイクラ料理を作りましたよ。とっておきの日本酒で自分に乾杯。プレゼントfor me、ですね。

 僕は結婚相手を共同生活の相手とは割り切れません。ちゃんと好きになりたい。そんな人が現れたら、今すぐにでも結婚します。

***筆者より太田さんへ***

「離婚経験者やシングルマザー歓迎」と公言すれば良き出会いの確率は飛躍的に高まります

「交際の条件は広いけれど、好きになる感情の幅は狭い」と自認している太田さん。年齢を重ねると周囲に独身者が少なくなるので、その中から「好きな人」を見つけるのはさらに難しくなります。太田さんだけではなく、多くの30代40代独身者が直面する課題です。

 太田さんは相手がシングルマザーでも問題ないそうですね。40代も半ばになると離婚して第二の人生を歩んでいる女性が少なくありません。子どもが親離れをする年齢になり、自分も新しい家族を作ろうと思っていたりします。僕の個人的な調査結果ですが、若くして恋愛結婚をしたシングルマザーは美人率が高く、子育ての経験で生活力もあり、男性に求める条件は「暴力を振るわないこと」などと極めて常識的な内容であることが多いのです。

 改めて結婚相談所などに入会したら、カウンセラーに見た目の好みなどを伝えた上で「バツイチでお子さんがいる女性も歓迎です」と言い添えてみてください。埼玉県や千葉県在住に限定しても、たくさんの女性とお見合いできるはずです。太田さんが恋に落ちるような人と出会える確率も高まると思います。

独身限定!スナック@東京・渋谷の様子。太田さんも参加者の一人です(提供:こんかつ山)
独身限定!スナック@東京・渋谷の様子。太田さんも参加者の一人です(提供:こんかつ山)
フリーライター

僕は1976年生まれ。40代です。燦然と輝く「中年の星」にはなれなくても、年齢を重ねてずる賢くなっただけの「中年の屑」と化すことは避けたいな。自分も周囲も一緒にキラリと光り、人に喜んでもらえる生き方を模索するべきですよね。世間という広大な夜空を彩る「中年の星屑たち」になるためのニュースコラムを発信します。著書は『人は死ぬまで結婚できる』(講談社+α新書)など。連載「晩婚さんいらっしゃい!」により東洋経済オンラインアワード2019「ロングランヒット賞」を受賞。コラムやイベント情報が読める無料メルマガ配信ご希望の方は僕のホームページをご覧ください。(「ポスト中年の主張」から2017年3月に改題)

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