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43歳。「何で結婚しないの?」と聞かないで。結婚できなかったのだから~40歳からの婚活入門(37)~

大宮冬洋フリーライター
趣味のダンスで体を鍛えている藤沢さん。5歳ぐらい若く見える美人です(筆者撮影)

 40代、独身。孤独を感じることもあるが、周囲を見渡してみると自分と同世代の独身者もいるし、子育てを終えて次の生活を模索し始めた人もいる。肩を寄せ合えるパートナーを探すことが広義の婚活だとしたら、何歳からだって遅くはない。本シリーズでは、現代に生きる独身の40代の実生活と心情を聞き取り、筆者の考えを添える。同じ40代として、残りの人生を充実したものにするために。

***藤沢潤子さん(仮名、43歳)の話**

親戚に会うたびに「どうして結婚しないの?」と聞かれるのが苦しい。生きづらい

 今年の夏にショックなことがありました。同い年の啓介くん(仮名)に「彼女ができそう」と報告されたこと。私は彼のことがずっと好きで、結婚したいなーと思っていたのに……。

 啓介くんとの出会いはバーです。常連仲間で仲良くなって、お店の近くにあった彼の自宅でみんなで飲んだり、一緒に花火をしたこともあります。今でもたまに2人で会う仲です。見た目は好みじゃないし、私とは飲むことしか共通点がないけれど、一緒にいると安心します。楽なんです。

 以前に、酔った勢いで告白したことがあります。「私たち、いつ結婚する?」と。そのときに啓介くんは「いや、オレはいま誰とも結婚するつもりはない」と真面目な答え。フラれたんです。それ以来、彼への好意を隠し続けています。

 夏に会ったとき、啓介くんの誕生日祝いを2人でしていました。すぐにお互いの仕事の愚痴ばかりになったので、「素敵な話をしようよ。何かないの?」と聞いたんです。どうせ何もないだろうと思いながら。そしたら、お客さんに35歳のアーティスト女性を紹介されて、いい感じになっているのだと聞かされました。本当にショックで、すぐにでも帰りたかったです……。

 啓介くんと知り合った10年前、結婚を考えながら付き合っていた彼氏がいました。出会ったのはやっぱりバーです。言い寄られて付き合ったけれど、彼はモラハラ体質だったんです。暴力はなかったけれど、作った料理を「マズイ」と目の前で捨てられたこともあります。「潤子はこんなにダメなのにオレみたいないい人に愛されてすごくラッキーだね」なんて言われ続けて、「ああ私はダメなんだな」と思い込んでいました。別れるまで2年もかかったのは、結婚に焦っていたのだと思います。

愛知県内の酒場にて。ワイン好きだという藤沢さんと飲み交わしながら話を聞きました(筆者撮影)
愛知県内の酒場にて。ワイン好きだという藤沢さんと飲み交わしながら話を聞きました(筆者撮影)

 ようやく別れた後は、あらゆる婚活をやりました。相談所、婚活サイト、婚活パーティー……。でも、結婚できませんでした。原因は、私が身の程を知らなかったからでしょう。年収600万円以上の大学卒にこだわり、プロフィール写真も厳しくチェックしていましたし、40代の男性なんてありえないと思っていました。いま振り返ると、どうでもいい条件ばかりです。

 今ならば、人によっては60代でも受け入れられます。条件はありませんが、身なりを含めて「あきらめている」感じの人は無理です。根本的な好みは変わっていないのだと思います。私、インテリに弱いんです。啓介くんもある専門職で、やることがいちいちオシャレですから。

 現代でも結婚することが「普通」ですよね。なぜなのでしょう? 私も子どもが欲しかったけれど、この年齢になって出産をあきらめたら、なぜ結婚が普通なのかがわからなくなりました。親戚に会うたびに「どうして結婚しないの?」と聞かれるのが苦しいです。しなかったんじゃなくて、できなかったのに……。とても生きづらいです。

 バツイチに憧れます。1回は結婚できたので、「何で結婚しないの?」とは聞かれないでしょう。結婚したという免許証が欲しいです。

***筆者より藤沢さんへ***

50代60代の男性だけを結婚対象とした婚活を再開してください

 結婚しなかったのではなく、できなかった。結婚という名の免許証が一度は欲しい――。心の内側を赤裸々な言葉で語ってくれた藤沢さん。そんなあなたにキレイごとを並べた助言はできません。ありきたりだけど露骨で強力な婚活方法をお伝えします。

 藤沢さんは「人によっては60代でも受け入れられる」そうですね。むしろ、50代60代の男性だけを結婚対象にしましょう。同世代や30代を相手にしてはいけません。藤沢さんは美人なので酒場などで寄ってくる人がいるかもしれませんが、時間の無駄だと思って笑ってスルーするのです。婚活サイトなどで素敵そうなアラフォー男性からアプローチされても無視してください。相手が本気である可能性もゼロではありませんが、できる限り「30代40代はお断り」を守ることが肝要です。

 このような方針を自らに課すと、婚活をする場所も変わるでしょう。結婚相談所も「シニア向け」に絞ることになります。趣味でも50代60代の元気な男性が多そうなところに顔を出してください。酒場もいいけれど、音楽や鉄道、バイク関係などはどうでしょうか。

 多くの男性にとって、自分よりも10歳以上若い女性は魅力的です。理性ではなく、動物的な感覚なのかもしれません。逆に言えば、自分はもう若くないと感じる年齢になった時点で他者に若さという「ないものねだり」を始めるのだと思います。

 同じ現象は女性にも当てはまるでしょう。アラサーの男性と恋愛結婚したいという本音を明かす女性も少なくありません。ただし、男性に比べると実現可能性は低く、交際したとしても長続きしないケースが多いのです。

 繰り返しになりますが、30代40代を切り捨てることがコツです。そうすれば、身なりに気を遣っていてインテリジェンスもある50代60代の男性が視野に入るでしょう。美しい藤沢さんはきっと結婚できます。元アイドルの菊池桃子さんも9歳年上の60歳と再婚したことを肝に銘じて行動してみてください。

フリーライター

僕は1976年生まれ。40代です。燦然と輝く「中年の星」にはなれなくても、年齢を重ねてずる賢くなっただけの「中年の屑」と化すことは避けたいな。自分も周囲も一緒にキラリと光り、人に喜んでもらえる生き方を模索するべきですよね。世間という広大な夜空を彩る「中年の星屑たち」になるためのニュースコラムを発信します。著書は『人は死ぬまで結婚できる』(講談社+α新書)など。連載「晩婚さんいらっしゃい!」により東洋経済オンラインアワード2019「ロングランヒット賞」を受賞。コラムやイベント情報が読める無料メルマガ配信ご希望の方は僕のホームページをご覧ください。(「ポスト中年の主張」から2017年3月に改題)

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