45歳、女の一人暮らし、無職。安定よりも大事なのは自分の気持ちです~40歳からの婚活入門(29)~

大学院卒で現在ほぼ無職の森岡さん。茨の道を歩んでいます(筆者撮影)

 40代、独身。孤独を感じることもあるが、周囲を見渡してみると自分と同世代の独身者もいるし、子育てを終えて次の生活を模索し始めた人もいる。肩を寄せ合えるパートナーを探すことが広義の婚活だとしたら、何歳からだって遅くはない。本シリーズでは、現代に生きる独身の40代の実生活と心情を聞き取り、筆者の考えを添える。同じ40代として、残りの人生を充実したものにするために。

***無職、森岡京子さん(仮名、45歳)の話***

大学院修士課程卒、無職。自分が進むべき道を探しているところです

 長く勤めた大手メーカーを退職して、大学院に進学したのは一昨年のことです。会社員時代に貯めたお金で2年間の学費と一人分の生活費ぐらいは賄えました。

 修士課程は英語の勉強などは退屈でしたが、論文を読んだり調査をしたりするのはとても性に合っていました。指導教官から「博士課程を目指してみないか」と誘っていただき、この1年間は精一杯に努力していたのです。他のことに目を向ける余裕はありませんでした。

 結果は不合格。研究室の先輩たちも一度は不合格の憂き目に遭っているので、来年もチャレンジしてみようかと思っています。一方では「私が進むべきはこの道ではないのでは?」という気持ちもあります。最近は、大学の研究補助のアルバイトをときどきやりながら、自分が進むべき道を冷静に考え直しているところです。

 20代後半の頃、5年ほどお付き合いしていた男性がいました。友人のそのまた友人です。電車の中でたまたま出会って、3人で遊んでいるうちに親しくなりました。お兄さんを亡くした経験があるからなのか、他人の痛みがわかる人でしたね。気持ちが安定していて、一緒にいて居心地が良かったです。

 別れたのは、彼が転職をして地方に行くことが決まったから。私は東京での仕事を続けることを選びました。後悔はしていません。結婚というルールにしばられていない自由を感じています。

恋愛対象すらいない現状で結婚に前向きになることはできません

 結婚相手は「機会があったら見つけよう」と思っている程度です。恋愛対象すらいない現状では前向きになることはできません。婚活アプリでよく知らない人に会うのは怖いです。婚活パーティーには以前に2回ほど参加しましたが、機械的過ぎて面白くありませんでした。無職の私が結婚相談所に入るのも無理があるでしょう。

 前の会社に勤め続けていたら、65歳ぐらいまでの人生は決まってしまっていました。楽しそうにしている先輩社員は1割もいなくて、残りの大半は会社の文句を言いながらもチャレンジはしない人ばかり。仕事をつまらなくしているのは自分のせいでもあるのだと気づいていないんです。私は彼らに囲まれて働くよりも、好きな研究の道を選びました。その道が正しいのか悩んでいるところですけど……。

 生活が安定するに越したことはありません。でも、何よりも大事なのは自分の気持ちです。恋愛や結婚の場合は、相手の気持ちも同じぐらい大事ですよね。お互いに安心して過ごせるような相手が見つかればいいなとは思っています。

***筆者より森岡さんへ***

日々の暮らしでリスクと向き合っていると、大きな焦りや虚しさは感じなくなります

 安定と気持ちのどちらを優先するか。多くの現代人が直面し続ける分かれ道です。難しいのは、安定だけを求め続けるとむしろ不安定になってしまうケースもあること。森岡さんの先輩たちは定年退職までは「勝ち逃げ」できるかもしれませんが、今の時代はそれから先も30年ぐらい寿命が残っているのが普通です。よほどのお金持ちか家族に恵まれている人でない限り、一生安泰などとは言い切れません。生活は安定していても、やりたいこともやるべきことも見つからずに途方に暮れる人もいるでしょう。

 逆に、好奇心や情熱を優先してチャレンジを繰り返す生活はどうでしょうか。森岡さんが試験に落ちて一時的に無職になってしまったように、挫折と困難はつきものになります。下手をすると貧困に陥ってしまうのです。大企業正社員よりはるかに大きなリスクを背負っているように見えます。

 しかし、日々の暮らしでリスクと向き合っているだけに、本当に大事なこと(心身の健康・無借金・肩書抜きの人間関係)はしっかりと守っています。自分自身を見失うこともありません。定年退職後などに初めて大きな焦りや虚しさを感じたりはしないのです。

 僕もフリーランサーなので森岡さんと同じような不安定な立場にいます。悩みは尽きません。でも、毎日それに直面して折り合いをつけているので、老後にガクッと来る心配はあまりないように感じています。