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46歳。SNS婚活で私をだました「独身偽称男」への怒りが収まりません~40歳からの婚活入門(9)~

大宮冬洋フリーライター
清楚な服装の宮下さん(仮名)。「性格は強め」だと自覚するキャリアウーマンです。

***IT系のフリーランサー、宮下美由紀さん(仮名、46歳)の話***

 20代の頃は8年付き合って結婚するつもりだった恋人がいました。でも、結婚したら相手の家に入ることを求められ、私はキャリアアップのために転職をしたばかりだったので別れることに。30代も5年お付き合いした男性がいましたが、彼の海外転勤に付いていく決断ができませんでした。

 結婚したいという気持ちはずっとありました。30代後半には大手の結婚相談所に2年間在籍し、20人ぐらいとはお見合いしました。でも、10歳以上も歳が離れた男性だったり、仕事などであまりに接点がない人だったり。何度か会っても好きにはなれませんでした。

 当時の私は会社でトップの営業成績を上げていました。我ながら謙虚さがなくて、上昇志向も強かったように思います。周囲にも頭が良くて肉食系の男性が多かったこともあり、「仕事ができる男性がいい」と公言していました。ワガママだったなと今では思います。

マナーが良く、頭の回転が速く、会話のテンポも心地良い男性

 結婚相談所では自分に合う男性は見つからないと判断し、SNSのお見合いサービスを利用することにしました。今から4年前のことです。そこで出会ったのが5歳年下のAさんです。私と近い業界で働いている男性で、「お互いに仕事の感覚を共有できるかもしれない」と思いました。大手の有名企業で働いていることが事実だと名刺交換で確認しています。

 すぐに「会いたい」と強引に言ってこないのも好印象でした。フェイスブック上でも「直接会ったことがない人とは友だちにならない」という主義も私と同じです。半年間ぐらいはLINEでの会話が続いた後、夕食に行きました。

 Aさんは外食でのマナーがきちんとしていて、頭の回転が速く、会話のテンポは私と似ている、とすぐに感じました。恋愛の話もしましたよ。恋人と2年前に別れた理由は彼女が海外留学をしてしまって「先がないな」と思ったから、だそうです。その言葉に私は安心感を覚えました。先のこと、つまり結婚を考えて女性と付き合いたい人なんだと推測できたからです。

 1週間後にまたデートして、そのときはホテルに誘われましたが断りました。その次も同じようなやりとり。LINEで「誘ってくれて嬉しいけれど私たちはまだ付き合っていないよね?」と送ると、「LINEでのやりとりで僕たちは付き合っていると思っていた」との答え。「じゃ、今度会ったとき口頭で言ってください」と伝えて、次のデートから交際が始まりました。

「忙しすぎて」デートは月1。なぜか住所を教えてくれない

 付き合う際に彼が2つのことを言ったのを覚えています。仕事が忙しすぎるので月に1回ぐらいしか会えないこと、交際したらすぐに結婚という流れは嫌なこと。今から思えば(実は既婚者であることを隠すための)布石を打たれていたのです。でも、私はうかつにも「わかるよ」と理解を示してしまいました。

 その後もおかしなことはあったのです。泊まるのはホテルか私の家ばかりで、彼の家には一度も行けないばかりか住所を教えてもくれません。「年賀状を送りたいので」と聞いても、「喪中なので」と返されました。なぜあのときに気づかなかったのでしょうか。バカだな、私……。

 たまにデートするとすごく楽しいけれど、先には進めない日が続き、焦りがあったんだと思います。年明けに、「私のことは本当に好きなのか。将来を考えてくれているのか」とLINEで聞きました。Aさんは「ちょっと考えて返信するね」と言った数日後に、「正直に書くね。美由紀のことは好きです。でも、こんな生活をしているので結婚は考えられない」と送って来ました。

 私は彼が属する業界の忙しさを理解しているつもりです。彼が独身なのだと信じたまま、あのまま自然消滅すればよかったのだと思います。実際、それから1年間は一度も会いませんでした。でも、数か月に一度はLINEでやりとりをすることが続いてしまったんです。「Aさんとはお互いに嫌いになって離れたわけではない」という未練もありました。実際、明確に別れたわけでもありません。LINEでの会話で、彼が激務過ぎて体調が悪いと訴えているのも気になっていました。

 私は彼女としてあなたに何をしてあげられる?とLINEで聞くと、「実はメンタル(うつ病)と診断されている。自分のことで精一杯なのでごめん。友だちに戻らせてほしい」との返信がありました。私自身、過労でうつ病を患ったことがあります。ここで離れて彼を一人にさせてしまってはマズイと判断し、LINEでの連絡は続けました。「返信不要だよ」と書き添えてキレイな写真を送ってあげたり……。

 既婚であることを隠したまま自然消滅するための方便だったのであれば、LINEでも返信をくれなければ良かったんです。でも、既読は付くし返信も来ます。だから、私も気持ちを彼から離すことができませんでした。

ネット検索で「実は既婚者かも」。Aの勤務する会社を探ってみた

 再会したのはさらに1年後のことです。LINEでのやりとりは続いていたので、「久しぶりに会おうか」ということになりました。会ってみると楽しくて、「私はやっぱりこの人が好きだ」という気持ちが強まりました。パートナーは欲しいけれど、結婚という枠組みにはこだわらなくてもいいと思ったんです。その夜、Aさんは私の家に泊まりました。 

 久しぶりに彼の名前でネット検索をしてみたのは軽い気持ちでした。フェイスブックなどにどんな投稿をしているのかな~と読んでみたかった。彼の名字は珍しいので、同姓同名の男性は一人もいません。でも、なぜか同じ名字の30代女性のページが見つかり、彼が勤務している会社の人たちが「家族ぐるみで今後ともよろしく」といったコメントをしていることに気づいたのです。

 すごく嫌な予感がしました。でも、調べることをやめられません。いろんな人の投稿を読み込んでいくと、彼は元同僚の女性と20代後半で結婚していて、子どももいることがわかりました。

 もちろん、ネット情報だけでは確証は得られません。私は彼と同じ会社に勤務する知人がいます。交際していることは伝えていなかったのですが、「変なことをお願いして申し訳ないけれど、Aさんが既婚かどうかを社内で確認してもらえないだろうか」と頭を下げました。知人は快く引き受けてくれ、彼が既婚者であることを確認してくれたのです。

 人としてヒドいな、と思います。既婚者なのになぜお見合いサイトに登録したのでしょうか。百歩譲って一度きりの「女遊び」は許したとしても、私との関係を自然消滅させる機会は何度もあったのです。私は彼と結婚したいという意思表示もしていたんですよ。それなのに「メンタル」なんていうウソまでついて……。ひどすぎます。彼に対する怒りが収まりません。

***筆者より宮下さんへ***

 30代40代でバリバリと働いている独身女性にインタビューをすると、5人に1人ぐらいの割合で既婚男性と交際しているか、過去に交際していたと明かしてくれます。いわゆる不倫ですね。世間に隠すべき恋愛ではありますが、お互いが合意の元であれば他人がとやかく言うことではない気もします。女性の側に結婚願望がある場合は、「長くても1年ぐらいですっぱり断ち切るほうがいい。彼が離婚でもしない限り、再会するのはやめよう」と助言することぐらいしかできません。

 しかし、宮下さんは事情がまったく異なります。Aさんは既婚の事実を巧妙かつ故意に隠していたのであり、あまりにも悪質です。「振り返ってみるとおかしなことはいくつもあった。見抜けなかった自分がうかつだった」と宮下さんは反省もしていますが、恋をしていると観察力や判断力は低下してしまうものです。自分を責める必要はないと思います。

 怒りで全身が震えているような状態の宮下さん。これからどうするべきなのか。Aさんの非道には社会的な制裁が加えられるべきだとは思いますが、正直に言って筆者には正しい道がわかりません。

 Aさんを許す必要はまったくありませんが。でも、一方で、宮下さんには自分自身が幸せになることも考えてほしいとは思います。「ひどい男と付き合ったこともあったな。最悪の数年間だった」と少しずつ過去にしていくのです。そのためには心静かな時間を重ねることも有効ですが、本当の意味で宮下さんを愛してくれる男性とお付き合いをすることも大事でしょう。「仕事ができるスマートな男性」ばかりに目が向いていた自分を客観視できるようになった今、宮下さんの恋愛の幅は広がっているはずです。

 男女関係で受けた傷を最終的に癒すのは次の男女関係しかないと思います。もう少し時間が経ったから、目を周囲にも向けてください。すごく身近なところに、宮下さんにぴったりの男性がいるかもしれません。

フリーライター

僕は1976年生まれ。40代です。燦然と輝く「中年の星」にはなれなくても、年齢を重ねてずる賢くなっただけの「中年の屑」と化すことは避けたいな。自分も周囲も一緒にキラリと光り、人に喜んでもらえる生き方を模索するべきですよね。世間という広大な夜空を彩る「中年の星屑たち」になるためのニュースコラムを発信します。著書は『人は死ぬまで結婚できる』(講談社+α新書)など。連載「晩婚さんいらっしゃい!」により東洋経済オンラインアワード2019「ロングランヒット賞」を受賞。コラムやイベント情報が読める無料メルマガ配信ご希望の方は僕のホームページをご覧ください。(「ポスト中年の主張」から2017年3月に改題)

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