階層化の進む現代の日本社会において、結婚願望のある女性が豊かに暮らせる可能性が最も高い結婚相手はどんな男性だろうか。生理的に嫌ではない、基本的な価値観が合うなどの大前提は別とすれば、「働き者のお坊ちゃん」だと思う。

まずは「お坊ちゃん」の定義から。相続した莫大な資産を管理するだけで一生暮らしていける超お金持ち、という意味ではない。社会的に有力な親から愛されながらもきちんと躾けられ、充分な教育を受けた若手の社会人男性をここでは指している。父親か母親のどちらかが上場企業などの管理職もしくは医者などの専門職で、ローンを払い終えた持ち家を所有し、家族仲が良く、言葉遣いが丁寧で、食事のマナーなどもきちんとしている大卒もしくは大学院卒男性を想定してほしい。なお、エリート層であっても性格に難がある人は、ここでは「お坊ちゃん」とは呼ばないことにする。

いずれ親から相続する資産は数千万円と予想され、そのうち不動産(投資用に購入した都心のマンションなど)はすでに利用しているお坊ちゃんは少なくない。親族およびその友人知人、学校および就職先である一流企業での友人たちなど強力な人的資産を持ち、有形無形の利益を得ているのだ。

お坊ちゃんは、上記のような利益を得ることに躊躇はしない。学校教育の費用を親から出してもらってきたのと同じぐらいの感覚である。「水臭いので大げさに感謝はしない。すぐにお返しもしない。その代わり、自分が何かしてあげられることがあったら喜んでしてあげる」というスタンスを自然に保っている。やがて親が老いたらちゃんと面倒を見るだろう。構成メンバーすべてに経済的・精神的な余裕があるため、長期的な視点でのギブ&テイクが可能となる。

お坊ちゃんというと無能でひ弱なイメージがあるが、実際にはそうとは限らない。親族をはじめとして「強いもの」「いいもの」に囲まれて育ってきたため、「競争したら必ず勝つ。そのために創意工夫と努力をする」「働かざる者食うべからず」といった意識が刷り込まれている人も多い。弱者や敗者への想像力は欠けていたりする一方で、コンプレックスや同族嫌悪の感情も持たない。これが働き者のお坊ちゃんの特徴だ。

多くの人に愛されてすくすくと育ち、勉強やスポーツなどで勝ったり負けたりする経験を繰り返し、自分の能力を最大限に生かせる場を見つけようとする。活躍の場は大企業や中央省庁だけではない。研究者や医師、弁護士などのスペシャリスト、同族企業の経営者、政治家、芸能人などにも働き者のお坊ちゃんは少なくない。親の名前や財産が大いに役立つ局面もあるが、彼らにとってはそれも実力のうちなのだ。

筆者は楽天オーネットと共に大企業などで精力的に働いている独身男性へのインタビューを続けている(連載はこちら)。生活状況や働き方、恋愛の現状、結婚への考え方などに加えて、さりげなく聞いていることがある。家族はどんな人たちなのか、だ。例えば両親の夫婦仲は、彼の結婚観に強い影響を与える。同時に、親の職業や財産状況は彼が「お坊ちゃんか否か」の判定要素にもなる。インタビューした人たちは現在30人を超えており、そのうち半数以上は「働き者のお坊ちゃん」に該当する。トンビがタカを産むこともあるが、タカがタカを産み育てる確率のほうが高いのが現実なのだ。

では、働き者のお坊ちゃんを射止める女性にはどんな資質が求められるのか。美人であることは前提として、「DAI語」に爆笑する北川景子のように相性の良さも大事である。働き者のお坊ちゃんたちはモテまくるので、自分自身の本質に近い価値を真っ直ぐに認めてくれる女性でなければ真剣には向き合わない。家柄や職業、財産だけに表面的に反応して媚を売る女性には慣れすぎているのだ。北川景子の爆笑には嘘や媚がなかったのだろう。

しかし、恋愛から結婚に進むためにはもう一つ重要な資質があると筆者は感じている。それは「明朗な礼儀正しさ」だ。上記のように、働き者のお坊ちゃんたちは家族をはじめとする強固な人的ネットワークの中で有形無形の利益を与え合って暮らしている。それはもはや空気のようなものであり、特別に意識したりはしない。だからこそ、結婚相手はこの空気を自然に呼吸できるか否かが問われる。

何かをもらったときに変に恐縮をしたり大げさに感謝して「倍返し」をするのは野暮と見なされる。暗くなってはいけない。彼らは有形無形の贈り物を交換することで自分たちの人的ネットワークを強固にしているのであり、気持ちよく受け取ることも構成メンバーの役割なのだ。

誰かに何かしてもらっても明るくお礼を言うだけですぐには何も返さず、ネットワーク内の別の誰かにいずれ何かをしてあげるのが正解だ。もちろん、ネットワークに参加しなかったり、その評判を傷つけるような行動は許されない。

緩いようでいて排他的な相互扶助の輪の中にすっと入ることができるか。「明朗な礼儀正しさ」を身に着けていることがキーポイントになる。働き者のお坊ちゃんは親しい女性と接するときは無意識のうちにその点をチェックしている。「親きょうだいに会わせても安心。むしろ心強い」「自分の親友とも仲良くなってくれそう。紹介するのがちょっと誇らしい」といった感覚が持てる女性だけが結婚相手候補となる。そうでなければ、彼女も自分も家族も幸せになれないことを彼らは肌感覚で知っているのだ。