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羽田空港大混雑、保安検査場・手荷物預けに長蛇の列。オミクロン株の影響ほぼなし、2年ぶりの帰省客目立つ

鳥海高太朗航空・旅行アナリスト 帝京大学非常勤講師
混雑する羽田空港第2ターミナルの出発ロビー(12月29日、午前7時頃筆者撮影)

 年末年始の帰省ラッシュや旅行へ向かう人で12月29日は、早朝から羽田空港では、国内線が出発するチェックインカウンターや保安検査場には長い行列ができた。1年前は新型コロナウイルスの急激な感染拡大で移動自粛要請が出たこと、更にGo Toトラベルの全国一時停止も重なり、大量の直前キャンセルが出たことで、年末年始のピーク日においても大きな混雑が見られなかったが、今回の年末年始は、見た目ではコロナ前と変わらない混み具合になっている。

参考記事(1年前の年末の羽田空港):年末の羽田空港、異例の満席便なし。お盆よりは多く、9月・11月の連休からは大幅減、移動も少人数の傾向(2020年12月27日掲載)

早朝から多くの利用客が羽田空港に。保安検査場通過にも15分以上を要している

 午前7時にANA便が出発する羽田空港第2ターミナルのチェックインカウンター前で取材をしていたが、まず手荷物を預けるカウンターに長い行列ができていた。荷物を預けるだけでも10~20分近く要する状況になっており、さらに保安検査場にも長い行列となっており、通過するのに15分程度の時間を要している状況であった。チェックインカウンターの1つの上のフロアから撮影していたが、昨年のピーク日と全く異なった光景が見られた。

手荷物を預けるカウンターには大きな荷物を持った帰省客や旅行客の姿が見られた(ANA便が出発する第2ターミナルにて12月29日午前7時過ぎ、筆者撮影※以下全て筆者撮影)
手荷物を預けるカウンターには大きな荷物を持った帰省客や旅行客の姿が見られた(ANA便が出発する第2ターミナルにて12月29日午前7時過ぎ、筆者撮影※以下全て筆者撮影)

保安検査場前も長い行列になっていた。手荷物を預ける場合には、手荷物預けカウンターと保安検査場の両方で並ぶ必要がある
保安検査場前も長い行列になっていた。手荷物を預ける場合には、手荷物預けカウンターと保安検査場の両方で並ぶ必要がある

時間帯によっても保安検査場の待ち時間は大きく異なる。待ち時間の少ない保安検査場の利用を呼びかけている。特に午前7時前後は混み合っていた。
時間帯によっても保安検査場の待ち時間は大きく異なる。待ち時間の少ない保安検査場の利用を呼びかけている。特に午前7時前後は混み合っていた。

 その後にJAL便やスカイマーク便が出発する第1ターミナルでも取材をしたが、同様に手荷物預けカウンターや保安検査場に長い列ができており、手続きに時間を要していた。

第1ターミナルのJAL便の保安検査場にも長い行列ができていた(12月29日午前7時半頃撮影)
第1ターミナルのJAL便の保安検査場にも長い行列ができていた(12月29日午前7時半頃撮影)

第1ターミナルのスカイマーク便の手荷物預けカウンターや保安検査場も長い行列となっていた(12月29日午前8時頃撮影)
第1ターミナルのスカイマーク便の手荷物預けカウンターや保安検査場も長い行列となっていた(12月29日午前8時頃撮影)

コロナ前の7割強の回復見込み

 羽田空港を出発する便の多くが満席もしくは満席に近い予約が入っている。ANAによると、12月24日時点において、12月25日~1月4日までの予約数は前年比54.2%増の113万7633人となっており、直前予約も増えていることから最終的に更に上増しされる可能性が高く、コロナ前の年末年始に比べても7割強の回復になる見通しを明らかにしている。JALでも同様に昨年と比べて予約数が大きく増加している。

参考記事:年末年始、ANA・JAL国内線は回復傾向。第6波前の旅行や2年ぶりの帰省が加速、ピークは29日と3日(2021年12月22日掲載)

オミクロン株の市中感染のペースが抑えられていることで、直前キャンセルも限定的で、それ以上に直前予約も増えている

 昨年は新型コロナウイルスの感染拡大による影響で年末前に予約が急激に減少し、年末のピーク日となった12月26日でもほぼ全便に空席があったが、今年はオミクロン株の影響が心配されたが、オミクロン株の市中感染のペースも諸外国に比べて抑えられていること、また東京都内の新規感染者数は増加傾向に転じているが、それでも1日50人以下を維持していることもあり、既に予約済みの人のほとんどが、予定通りに年末年始に帰省することを決断したようだ。

 ただ、オミクロン株の感染拡大で帰省を取りやめた人もいるのも事実である。しかし、それ以上に新規感染者数が少ない今、第6波が来る前に故郷に帰省したい人、また2年連続で年末年始に海外旅行へ出かけることができないことから、リゾート地や温泉地など密にならない場所でゆっくりしたい人の国内旅行需要も堅調で、オミクロン株の影響は限定的となっている。航空各社によると、逆にキャンセルよりも直前予約の方が上回っているそうだ。

地方空港の到着ロビーには2年ぶりの帰省の出迎えの姿が目立つ

 筆者は12月25日(土)・26日(日)に函館へ向かったが、25日(日)の夕方便で羽田空港から函館空港に到着した際に到着ロビーに出迎えの人の多さに驚いた。2年ぶりに帰省する人も多く、空港におじいちゃん・おばあちゃんが出迎える姿が目立った。飛行機も満席であった。

12月25日の19時過ぎの函館空港の到着ロビー。帰省客を出迎えるおじいちゃん・おばあちゃんの姿も多かった
12月25日の19時過ぎの函館空港の到着ロビー。帰省客を出迎えるおじいちゃん・おばあちゃんの姿も多かった

 また旅行者も多く、函館市内のホテルの稼働率も高く、筆者が宿泊したホテル(センチュリーマリーナ函館)では、朝食バイキングでピーク時間帯では30分以上の待ち時間となっていた。

海鮮丼など朝食バイキングで人気の函館市内のホテル(センチュリーマリーナ函館)では、朝食レストランに入るのに30分以上の待ち時間となっていた(12月26日撮影)
海鮮丼など朝食バイキングで人気の函館市内のホテル(センチュリーマリーナ函館)では、朝食レストランに入るのに30分以上の待ち時間となっていた(12月26日撮影)

函館はこの時期にしては大量の積雪となっている(12月26日撮影)
函館はこの時期にしては大量の積雪となっている(12月26日撮影)

羽田空港からの出発ピークは29日~31日。終日混雑しており、早めの到着を呼びかけている

 羽田空港発の国内線のピークは、31日の大晦日まで続く。時間帯によって保安検査場の混雑具合は大きく異なり、スムーズに保安検査場を通過できる時間帯もあるが、荷物を預けない場合で便出発の1時間前、荷物を預ける場合には便出発の1時間半前程度を目安に空港に到着するのが望ましいだろう。

 31日までは終日、羽田空港から多くの人が出発することから、時間に余裕を持って空港に来て欲しいと各航空会社では呼びかけている。

ANAでは出発時刻の40分前を目安に保安検査場を通過して欲しいと案内ボードなどで呼びかけている
ANAでは出発時刻の40分前を目安に保安検査場を通過して欲しいと案内ボードなどで呼びかけている

駐車場も午前7時台で満車。今年は利用者が少ない国際線の第3ターミナル駐車場などに駐める方法も

 羽田空港の第1ターミナル・第2ターミナル直結の駐車場は、一部駐車場で午前7時前に満車になっており、午前8時前には第1ターミナル・第2ターミナル直結の全ての駐車場が満車となった。

ピーク日の12圧29日朝7時前の羽田空港駐車場「P3」の入口。既に全フロアで満車表示になっていた
ピーク日の12圧29日朝7時前の羽田空港駐車場「P3」の入口。既に全フロアで満車表示になっていた

 ただコロナ前と異なるのは、国際線の利用者がほとんどいないことから、国際線が発着する第3ターミナルの駐車場や周辺の羽田イノベーションシティの駐車場には余裕がある。国内線の第1ターミナルや第2ターミナルの駐車場が満車になってしまった時にはまずは第3ターミナルを目指し、無料で利用できるターミナル間連絡バスや有料にはなるが東京モノレールや京浜急行電鉄を使って第1ターミナル・第2ターミナルへ移動する方法もある。

 新型コロナウイルスの新規感染者数の推移で状況が変化するが、少なくても今回の年末年始は、一定の帰省及び国内旅行需要が回復することになることは間違いなさそうだ。

航空・旅行アナリスト 帝京大学非常勤講師

航空会社のマーケティング戦略を主研究に、LCC(格安航空会社)のビジネスモデルの研究や各航空会社の最新動向の取材を続け、経済誌やトレンド雑誌などでの執筆に加え、テレビ・ラジオなどでニュース解説を行う。2016年12月に飛行機ニュースサイト「ひこ旅」を立ち上げた。近著「コロナ後のエアライン」を2021年4月12日に発売。その他に「天草エアラインの奇跡」(集英社)、「エアラインの攻防」(宝島社)などの著書がある。

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