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緊急事態宣言で国内線・新幹線利用前に確認しておくべきことは。減便、車内販売中止、終電繰り上げに注意

鳥海高太朗航空・旅行アナリスト 帝京大学非常勤講師

 1月8日(金)に1都3県(東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県)に緊急事態宣言が発令した後、1月14日(木)からは7府県(栃木県、岐阜県、愛知県、京都府、大阪府、兵庫県、福岡県)も追加された。

 Go Toトラベルは昨年12月28日より全国一時停止したことで、飛行機や新幹線を使った旅行などレジャー需要を中心にキャンセルが相次いだが、1月8日の緊急事態宣言発令以降はビジネス出張のほとんどが取りやめになったことで、特に平日における飛行機、新幹線ともにガラガラの便・列車が目立っている状況だ。

 このような状況の中、航空会社では減便、新幹線では臨時列車の運転中止や車内販売の取りやめなどの発表が相次いでいる。

国内線では追加減便を相次いで発表。予約済みの場合は確認を

 まずは国内線については、緊急事態宣言発令後に2月末までの運休便を随時発表している。もし2月末までの航空券を予約済みの場合には、予約便が運航されるかどうかをホームページなどで確認するのが望ましい。予約時にメールアドレスを登録してある場合などは航空会社からメールで連絡が来ることが多い。

 現在、運航予定便でも直前になって運休になる可能性もあるので、適度な頻度で予約記録を確認することをおすすめする。1月15日14時現在の主な航空会社別の運航便の状況は以下の通りとなっている。

ANA、JALの大手2社の減便率は高く、予約済みの便が運航されるかどうかなど最新の情報は各社ホームページで確認できる(2020年11月、羽田空港にて筆者撮影)
ANA、JALの大手2社の減便率は高く、予約済みの便が運航されるかどうかなど最新の情報は各社ホームページで確認できる(2020年11月、羽田空港にて筆者撮影)

ANAは1月19日~2月7日まで大幅減便で71%→32%の運航率に。各航空会社の状況は?

■ANA(全日本空輸)

 1月19日~2月7日までの期間中の追加減便として5661便(うち1月19日~31日までは2194便)の運休を1月14日に発表。特に注意が必要なのが1月19日~2月7日に搭乗する場合、1月8日時点では71%の運航率だったものが1月14日の発表では32%の運航率となる。大幅減便になることで予約便が運航されないケースが他の航空会社以上に多い。約3分の2の便が運休となる計算だ。

 2月1日~28日については、1月14日時点では55%の運航率になる計画となっているが、緊急事態宣言や利用状況に応じて更に減便が増える可能性がある。

■JAL(日本航空)

 1月19日~31日までの期間中の追加減便として372便の運休を1月14日に発表。1月19日~1月31日における運航率は53%になる(1月全体では59%の運航率)。

 2月1日~28日については、1月14日時点では52%の運航率となる計画となっているが、緊急事態宣言や利用状況に応じて更に減便が増える可能性がある。

■スカイマーク

 1月13日~31日までの期間中の追加減便として644便の運休を1月8日に発表。1月13日~31日における運航率は44.1%となる(1月全体では59.4%)。

 2月の減便は1月15日時点では発表されていない。

■AIRDO

 1月9日~31日までの期間中の追加減便として140便の運休を1月6日に発表。1月全体での運航率は71%になる。

 2月1日~28日については、1月14日時点で53%の運航率となる計画となっているが、緊急事態宣言や利用状況に応じて更に減便が増える可能性がある。

■ソラシドエア

 1月20日~31日までの期間中の追加減便として154便の運休を1月14日に発表。1月全体での運航率は77%になる。

 2月1日~28日については、1月14日時点で64%の運航率となる計画となっているが、緊急事態宣言や利用状況に応じて更に減便が増える可能性がある。

■スターフライヤー

 1月16日~31日までの期間中の追加減便として207便の運休を1月13日に発表。1月全体の運航率は72.3%になる。

 2月の減便は1月15日時点では発表されていない。

■ジェットスター・ジャパン

 1月21日~31日までの期間中の追加減便として232便の運休を1月12日に発表。1月全体の運航率は39.3%になる。

 2月1日~28日については、1月14日時点で34.8%の運航率となる計画となっているが、緊急事態宣言や利用状況に応じて更に減便が増える可能性がある。

■ピーチ

 1月19日~31日までの期間中の追加減便として401便の運休を1月14日に発表。1月全体の運航率は54%になる。

 2月1日~28日については、1月14日時点で48%の運航率となる計画となっているが、緊急事態宣言や利用状況に応じて更に減便が増える可能性がある。

なお、国内線を運航する各航空会社では、緊急事態宣言中(現在は2月7日まで)はキャンセル料なしでの払い戻しや変更などに対応する特別対応を1月8日(金)から開始している。

参考記事:緊急事態宣言発令で羽田空港は閑散、国内線は無料キャンセルなどの特別対応。今後は5~6割程度の運航率に(2020年1月8日掲載)

ジェットスター・ジャパンやピーチなどのLCC(格安航空会社)の便も運休が目立つ(2020年5月31日、成田空港にて筆者撮影)
ジェットスター・ジャパンやピーチなどのLCC(格安航空会社)の便も運休が目立つ(2020年5月31日、成田空港にて筆者撮影)

新幹線への影響は?

■東海道新幹線(JR東海)

 1月18日~2月28日までの期間、東海道新幹線の全ての臨時列車の運転を取りやめる。1日あたりの平均列車本数を当初の1日あたり345本から309本に変更する。1日あたりの運転本数は約1割減ることになり、1時間あたり「のぞみ」が4~6本、「ひかり」が2本、「こだま」が2~3本となる。JR東海のホームページ内に運転する新幹線の情報が掲載されており、もし予約済みの新幹線で運休する場合には当日の他の列車に変更可能となる。インターネットで予約する「エクスプレス予約」「スマートEX」の場合は利用者自身での変更操作を呼びかけている。

■東北・北海道、秋田、山形、上越、北陸新幹線(JR東日本)

 新幹線の運休は発表されていないが、東北・北海道新幹線「はやぶさ」「やまびこ」、北陸新幹線「かがやき」「はくたか」などに設定されているグリーン車より更に1ランク上のサービス「グランクラス」の発売を1月16日以降全て見合わせ、1月16日以降のアテンダントによる飲食・軽食サービスを提供するグランクラスの営業を中止することを1月13日に発表した。予約済みの場合は、グリーン車などへの変更をするように呼びかけている。

■JR東日本管内は車内販売も営業中止

 また車内販売についても、1月16日より「はやぶさ」「こまち」「つばさ」「とき」「かがやき」「はくたか」での営業を中止する。その他のJR東日本管内の新幹線は既に車内販売の営業はしておらず、全ての列車で車内販売が中止されることから、乗車前に購入する必要がある。

 更にJR東日本では、車内販売がある全ての在来線特急(「サフィール踊り子」「あずさ」「かいじ」「ひたち」「いなほ」)、首都圏の普通列車グリーン車での車内販売も営業を中止する。

東海道新幹線の新型車両「N700S」(2019年10月、豊橋駅にて筆者撮影)
東海道新幹線の新型車両「N700S」(2019年10月、豊橋駅にて筆者撮影)

首都圏の終電繰り上げで注意しなければならないこと

 首都圏のJR・私鉄各線では、緊急事態宣言に伴い、政府及び1都3県からの要請に伴い、JR東日本では終電付近の11線区で平日42本、土休日40本の運転を1月20日(水)から取りやめることを発表したほか、首都圏の私鉄のほとんどでも同様に終電繰り上げが発表された。新幹線自体の終電繰り上げは実施されない。

 最大30分近く前倒しになるが、飛行機や新幹線で遅い時間帯に東京に戻る際に、今までなら自宅まで戻れたのが、終電繰り上げで自宅まで戻れないケースも発生する可能性があることから終電間際に首都圏の鉄道を利用する際には、飛行機や新幹線からの乗り継ぎができるのかについても確認しておく必要がある。

 状況に応じて、飛行機や新幹線の運休状況が変わる可能性もあるので、利用の際には最新情報をホームページなどで確認していただきたい。

航空・旅行アナリスト 帝京大学非常勤講師

航空会社のマーケティング戦略を主研究に、LCC(格安航空会社)のビジネスモデルの研究や各航空会社の最新動向の取材を続け、経済誌やトレンド雑誌などでの執筆に加え、テレビ・ラジオなどでニュース解説を行う。2016年12月に飛行機ニュースサイト「ひこ旅」を立ち上げた。近著「コロナ後のエアライン」を2021年4月12日に発売。その他に「天草エアラインの奇跡」(集英社)、「エアラインの攻防」(宝島社)などの著書がある。

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