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緊急事態宣言発令で羽田空港は閑散、国内線は無料キャンセルなどの特別対応。今後は5~6割程度の運航率に

鳥海高太朗航空・旅行アナリスト 帝京大学非常勤講師
1月8日午前7時の羽田空港第2ターミナル。雪による欠航も重なり閑散(筆者撮影)

 新型コロナウイルスの感染拡大による東京都・神奈川県・千葉県・埼玉県に1月8日(金)~2月7日(日)までの1ヶ月間で発令されることになった緊急事態宣言。

 国内線を運航する各航空会社の多くで発令に伴い、キャンセル料なしでの払い戻しや変更などに対応する特別対応を1月8日(金)から開始した。

■2回目の緊急事態宣言初日の羽田空港は閑散。出張者が激減

 2回目の緊急事態宣言の初日となった1月8日(金)の羽田空港は閑散としていた。緊急事態宣言発令に伴い、旅行者だけでなく、企業出張の多くが取りやめたことが大きい。更に日本海側の大寒波による天候不良による欠航便も相次いでいることで羽田空港を利用する人が大きく減少している。朝7時過ぎの羽田空港は僅かの乗客しか見られない。

 4月・5月の1回目の緊急事態宣言中は、航空会社や空港勤務のスタッフ以外に人がわずかであったが、今回は前回に比べると利用者の姿は見られるが、7月以降では最も利用者が少ない状況になっている。羽田空港で取材をしているなかで、前回の緊急事態宣言解除直後の6月に近い水準のように感じた。ターミナル直結の駐車場もターミナルへの連絡通路と結ばれている4階も朝7時半現在でも空車になっている。

JALグループ便やスカイマーク便が発着する羽田空港第1ターミナルも閑散としていた。特にビジネス出張の利用者が大幅減少している(1月8日午前7時半、筆者撮影)
JALグループ便やスカイマーク便が発着する羽田空港第1ターミナルも閑散としていた。特にビジネス出張の利用者が大幅減少している(1月8日午前7時半、筆者撮影)

■ANA・JAL・スカイマーク・AIRDO・ソラシドエア・スターフライヤー

 緊急事態宣言が発令されたことで、ANA(全日本空輸)、JALグループ(JAL、日本トランスオーシャン航空、日本エアコミューター、琉球エアコミューター)では、国内線全路線・全便を対象に1月8日(金)~2月7日(日)搭乗分の航空券について、1月8日(金)以降に払い戻しをする場合に無料でキャンセル・変更できる特別対応を開始したことを発表した。ANAやJALグループ便では、往復利用など複数区間の利用の場合も、1区間でも対象期間に該当していれば、特別対応の対象となる。

 ANAによると、利用者減少に伴い1月8日(金)に1月後半分の減便、更に1月14日(木)に2月分の減便を発表する予定となるが、1月後半の運航率については現在は約80%の運航を予定していたが約55%まで減便することになる。JALでも1月8日(金)に1月13日(水)~31日(日)までの減便、1月中旬に2月分の減便を発表する予定となっている

 また、スカイマーク、AIRDO、ソラシドエア、スターフライヤーでも同様に国内線全路線・全便を対象に1月8日(金)~2月7日(日)搭乗分の航空券について、1月8日(金)以降に払い戻しをする場合に無料でキャンセル・変更が可能な特別対応を実施している。

前回の緊急事態宣言時に比べると利用者の姿は見られたが、6月前半に近い利用者の数に感じた(1月8日、午前7時頃筆者撮影)
前回の緊急事態宣言時に比べると利用者の姿は見られたが、6月前半に近い利用者の数に感じた(1月8日、午前7時頃筆者撮影)

■LCC(ジェットスター・ジャパン、ピーチ)

 LCC(格安航空会社)も緊急事態宣言に伴い、航空券の特別対応を実施する。

ジェットスター・ジャパンは、1月7日(木)までの予約済みの1月8日(金)~2月7日(日)搭乗分の成田空港発着の航空券に限り、購入金額相当のバウチャーの発行(有効期間6ヶ月で次回以降のフライトで使用可能)もしくは3ヶ月先までの変更のいずれかで対応する。

※1月15日17時40分追記:1 月13 日(水)までに予約済みの1月14日(木)~2月7日(日)搭乗分の中部空港発着便も購入金額相当のバウチャーの発行(有効期間6ヶ月で次回以降のフライトで使用可能)もしくは3ヶ月先までの変更のいずれかで対応する。

 ピーチでは1月8日(金)の朝8時時点で特別対応は発表されていないが、ピーチによると8日(金)のうちに航空券の特別対応について発表する予定で、成田空港発着便が対象となる見込みになっている。

※1月8日14時43分追記:成田空港発着で1月8日(金)までに予約した1月8日~2月7日までの航空券を対象にキャンセル料なしでの払い戻しもしくは3月27日までの振替をすることを発表。手続きは1月27日(木)までに行う必要がある。

※1月15日17時40分追記:関西空港・福岡空港・中部空港発着で1月14日(木)までに予約した1月14日~2月7日までの航空券を対象にキャンセル料なしでの払い戻しもしくは3月27日までの振替をすることを発表。手続きは1月27日(水)までに行う必要がある。

 大手航空会社では国内線全路線が対象になるが、LCCでは当面は成田空港発着便のみが対象となるので注意する必要がある。

■1月7日までにキャンセルした分は通常通りのキャンセル料

 旅行者の中には、1月8日(金)~2月7日(日)の航空券を既に1月7日以前にキャンセルしてしまった場合のキャンセル料(取消手数料及び払戻手数料)を航空会社側に返金を求めることは不可となっている。あくまでも1月8日以降にキャンセルした場合のみ特別対応が適応される。

 1月7日までについては、期間限定でANAでは無料での変更キャンペーン、JALでは440円の払戻手数料のみでキャンセルできるキャンペーンを実施していた。

■Go Toトラベルも2月7日(日)までは全国一時停止継続

 Go Toトラベルについては、昨年12月28日(月)~1月11日(月)の期間で全国一時停止になっているが、1月7日の夜に国土交通省から発表があった。1月12日(火)以降も継続され、少なくても2月7日(日)までの一時停止が決定した。

 当初は1月31日(日)までの実施となっていたGo Toトラベルの2月以降の延長は発表されていたが、2月1日以降の旅行におけるGo Toトラベルの販売は国土交通省の方針によって販売はされていないことから、今回の無料キャンセル対象は実質1月31日宿泊分までとなる。旅行者が無料でキャンセルできる期間は遡った昨年12月14日(月)の18時~1月17日(日)の24時までに手続きする必要がある。

 今後、国内線では緊急事態宣言中を中心に更なる減便が発表される予定となっている。航空会社によって運航率は異なるが、当初の運航計画の5割~6割程度の運航率になる可能性が高いだろう。

航空・旅行アナリスト 帝京大学非常勤講師

航空会社のマーケティング戦略を主研究に、LCC(格安航空会社)のビジネスモデルの研究や各航空会社の最新動向の取材を続け、経済誌やトレンド雑誌などでの執筆に加え、テレビ・ラジオなどでニュース解説を行う。2016年12月に飛行機ニュースサイト「ひこ旅」を立ち上げた。近著「コロナ後のエアライン」を2021年4月12日に発売。その他に「天草エアラインの奇跡」(集英社)、「エアラインの攻防」(宝島社)などの著書がある。

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