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LCCに乗りたくない理由の1つ「機内持ち込み7キロ」。ジェットスター・ジャパンが有料で14キロOKに

鳥海高太朗航空・旅行アナリスト 帝京大学非常勤講師
成田空港第3ターミナルに駐機するジェットスター・ジャパン機(筆者撮影)

 2012年に国内LCC(格安航空会社)が相次いで誕生し、同年の流行語トップ10に「LCC」が選ばれたのも7年前の出来事だ。

 安く移動できる交通手段として、成田空港や関西空港、中部国際空港(セントレア)にはLCCの専用ターミナルもオープンし、年々利用者を増やすと共に、路線網を拡充したことで、気軽に旅行に出かけられる移動手段として、今ではLCCという言葉は多くの日本人に浸透していると言っていいだろう。

現在、国内LCCの機内持ち込みは7キロで横並び

 座席指定や預け手荷物、ドリンク、軽食類などは全て有料で販売されているが、この点は低運賃を実現するために必要なサービスに対して別途お金を払い、サービスが必要なければ基本運賃のみでお得に飛行機に乗れるというLCCの基本ポリシーである。ただ、実際に利用している中で不満もあり、国内線でLCCに乗りたくない理由の1つになっているのが、機内持ち込み7キロまでというルールだ。

 ANA(全日本空輸)やJAL(日本航空)、スカイマーク、AIRDO、ソラシドエア、スターフライヤーなどの国内線では原則10キロまで機内持ち込みが可能であるのに対し、国内LCCのピーチ、ジェットスター・ジャパン、スプリング・ジャパン、エアアジア・ジャパンでは全て機内持ち込みは7キロまでとなっている。LCCでは機内持ち込みの重量は厳格であり、チェックインカウンターや搭乗ゲート前で重量をチェックすることも日常的に行われている。重量チェック自体は、荷物が多い乗客が事前に有料で預け手荷物分のお金を払っており、規定重量以上の手荷物が持ち込めれば不平等となることから必要な措置だと思う。

ジェットスター・ジャパンの成田空港チェックインカウンター。荷物の重量チェックはカウンター及び搭乗ゲートで行われている(筆者撮影、以下同じ)
ジェットスター・ジャパンの成田空港チェックインカウンター。荷物の重量チェックはカウンター及び搭乗ゲートで行われている(筆者撮影、以下同じ)

7キロまでに収めなければならないストレス

 1泊程度の旅行や出張で飛行機を利用する場合において、7キロと10キロの3キロの差は非常に大きい。機内持ち込み荷物のみでLCCに乗るときには7キロまでに収める必要があり、自宅で出発前に重量を確認しなければならないことも多い。これ自体が面倒であり、自宅の体重計で荷物を持たない状態と荷物を持った状態で2度測定して重量を確認したことのある経験をした人もきっといるだろう。

 LCC就航当時はピーチやバニラエア(現在はピーチと統合)は機内持ち込み10キロだったが7キロに改悪してしまった過去がある。当時関係者に取材している中では7キロにすることで、預け手荷物の収入を増やしたいという考えからだった。アンシラリー収入と呼ばれる運賃以外の収入を増やすことはLCCとしては当然ではあるが、使い勝手が悪くなってしまった。

 国内線のLCCも路線網・便数が充実してきたことで、便利な時間帯の便であれば、旅行だけでなくビジネス出張で利用する機会も増えている。ANAやJALに乗るときに近いスタイルで飛行機に乗りたい人も一定数いる。筆者もその一人であるが、7キロを超える荷物がある時には有料で預ければいいが、到着後すぐに移動しなければならない時、一眼レフのカメラ・レンズや各種精密機器などで預けたくない荷物がある時にはストレスになってしまい、LCCの利用自体を避けてしまうこともある。

ジェットスター・ジャパンが有料で14キロまでOKに

 そんな中で昨年、ジェットスター・ジャパンが機内持ち込みプラス3キロオプションを開始し、追加料金の支払いもしくはビジネス出張向け運賃「フレックス Biz」利用者に限り10キロまで持ち込み可能となったが、11月20日からは「プラス3キロ」から「プラス7キロ」オプションにリニューアルし、合計14キロまで機内に持ち込めるようにしたのだ。「フレックス Biz」も同様に14キロまでOKとなった。1個あたりの荷物は10キロまでに制限されるが、2個で14キロまで可能となったことで、有料ではあるが荷物を気にせずに持ち込めることは大きい。サイズは56センチ×36センチ×23センチ以内となる。

 追加料金の金額は予約と当時にオプション購入するのが最も安く、成田~関西線で1680円(通常期)、成田~新千歳線で1900円(通常期)、成田~那覇で2130円(通常期)となる。ただ当日、空港でプラス7キロを追加する場合は、チェックインカウンターでは4000円、ゲートだと4500円になるので注意が必要だ。

ヨーロッパでは重さではなく大きさでの規定に

 海外のLCCでは、ヨーロッパの2大LCCと呼ばれているライアンエアー(RYANAIR)とイージージェット(easyJet)は、機内持ち込み荷物のルールを変更し、重さではなく大きさでの規定となっている。ライアンエアーは40センチ×25センチ×20センチのサイズの荷物1個までとなり、追加料金の支払いで着席するシートの足下に入れられる荷物1個が追加できるルールになっている。

 イージージェットでは56センチ×45センチ×25センチのサイズ1個までで、前方席や足下が広いシートなどのオプションを付けている人、少し高めの運賃、有料会員になっている場合には45センチ×36センチ×20センチのシートの足下に入れられる荷物をプラスして持ち込める。収納スペースを考えるだけであれば、重さではなく大きさで規定するヨーロッパのLCCのやり方もいいだろう。

ヨーロッパの2大LCCのライアンエアー(写真右)とイージージェット(写真左)
ヨーロッパの2大LCCのライアンエアー(写真右)とイージージェット(写真左)
イージージェットのゲート前では荷物の規定について細かく案内されている。ヨーロッパでは荷物の大きさによる規定となっている
イージージェットのゲート前では荷物の規定について細かく案内されている。ヨーロッパでは荷物の大きさによる規定となっている

 既にジェットスター・ジャパンでは、オプション販売初日から7キロオプションを追加する利用者もいるそうで、是非他のLCCも追随して欲しいところだ。同社にとってはビジネス出張目的の利用者を取り込みたいという狙いもある。通常は7キロだが、追加料金を払えば追加で機内持ち込みできるスタイルが定着するのかに注目だ。

航空・旅行アナリスト 帝京大学非常勤講師

航空会社のマーケティング戦略を主研究に、LCC(格安航空会社)のビジネスモデルの研究や各航空会社の最新動向の取材を続け、経済誌やトレンド雑誌などでの執筆に加え、テレビ・ラジオなどでニュース解説を行う。2016年12月に飛行機ニュースサイト「ひこ旅」を立ち上げた。近著「コロナ後のエアライン」を2021年4月12日に発売。その他に「天草エアラインの奇跡」(集英社)、「エアラインの攻防」(宝島社)などの著書がある。

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