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JAL国内線、9月10日より330日前から予約開始。ANAもJALも55日前までキャンセル料ほぼ不要

鳥海高太朗航空・旅行アナリスト 帝京大学非常勤講師
JALが9月1日から国内線に導入したエアバスA350型機(羽田空港にて筆者撮影)

 国内線も本格的に約1年前から航空券の予約が可能となる。JAL(日本航空)は、9月10日(火)予約分より、従来の搭乗2ヶ月前の午前9時30分から搭乗日330日前の午前9時30分からに変更する。ANA(全日本空輸)は、既に昨年10月から搭乗日355日前から予約できるようになっており、大手航空会社2社の航空券はJALが330日前、ANAが355日前から購入可能となる。

ほぼ全てのJAL国内線運賃が330日前に。国内線特典航空券も

 JALは今回、一部運賃を除いてほぼ全ての運賃及びJALマイレージバンクの国内線特典航空券の予約受付開始を搭乗日330日前の午前9時30分に変更する。予約開始日が変更される9月10日の時点で来年(2020年)の8月5日搭乗分までの予約が可能となるのだ。

 既に割引率が高い「先得割引」に限っては来年3月28日搭乗分まで発売が開始されているが、9月10日の時点で来年のゴールデンウィークや夏休み前半までの予約が可能となる。特にマイレージの特典航空券については、予約受付開始日に繁忙期を中心に争奪戦になる可能性が高いだろう。特典航空券を使っての旅行を計画している人は特に予約開始日に注意が必要だ。JALホームページでは搭乗日330日前を検索できるようになっている。先得割引における従来の一斉発売はなくなり、全て330日前に統一される。

一旦購入しても55日前までは430円の手数料で払い戻し可能

 半年以上先の予定がまだ読めないケースも多いが、10月27日以降のJAL国内線航空券は、キャンセル時の取消・払い戻し手数料が改定される。具体的には先得割引や特便割引については、一旦購入した場合でも搭乗日55日前までは、わずか430円の手数料のみで払い戻しが可能となる。先得割引は搭乗日54日前~便出発時刻にキャンセルすると一気に半額の手数料が取られることになるが、一旦購入して最終的にその航空券を使うかどうか、約2ヶ月前までに決断すればいいのだ。

 330日前から予約が可能になることで、翌年の予定が決まった段階で、一旦決済する必要があるが、まずは予約・購入をしておくといいだろう。

羽田空港第1ターミナルのJAL国内線チェックインカウンター(筆者撮影)
羽田空港第1ターミナルのJAL国内線チェックインカウンター(筆者撮影)

ANAは既に355日前から予約可能。一部運賃・特典航空券は年2回の一斉発売

 ANAの国内線については、既に昨年10月よりJALよりも更に25日早い355日前から予約が可能となっている。ただ、JALと異なるのは全ての運賃が対象ではない。普通運賃(ANA FLEX)やANAカード向け運賃(ビジネスきっぷ)、株主優待割引運賃、ANAマイレージクラブ会員限定運賃である「ANA SUPER VALUE EARLY」などが対象で、「ANA SUPER VALUE」(昨年10月までは「旅割」という名称で販売)や「ANA VALUE」(昨年10月までは「特割」という名称で販売)は、毎年1月と8月に運航ダイヤ期間ごと(1月発売分は3月後半から10月後半搭乗分、8月発売分は10月後半から3月後半搭乗分)の一斉販売となっている。

 なお、ANAマイレージクラブの国内線特典航空券も毎年1月と8月に運航ダイヤ期間ごとの一斉予約開始となる。JALマイレージバンクの国内線特典航空券と予約開始日が異なるのだ。

「ANA SUPER VALUE EARLY」は55日前まで無料でキャンセル可能

 ANAも「ANA SUPER VALUE」は、搭乗日55日前までは430円の手数料のみで払い戻し可能となる。確実に割安な航空券を確保したい場合は355日前から予約可能な「ANA SUPER VALUE EARLY」(ANAマイレージクラブ会員のみ)がいいだろう。この運賃に限っては55日前まではキャンセルしても無料で全額払い戻せるので、一旦席を確保した後、半年ごとに発売される「ANA SUPER VALUE」で更に安い運賃を狙う方法もある。

羽田空港第2ターミナルに駐機するANA機(筆者撮影)
羽田空港第2ターミナルに駐機するANA機(筆者撮影)

外国人観光客からは早めに予約したいという声が多かった

 予約受付開始日が早まった背景には、航空会社のシステム刷新もあるが、増加する訪日外国人観光客(インバウンド)を中心に早めに予約をしたいという声があったことも関係しているようだ。国際線と同一旅程の航空券であれば現在でも約1年前から国内線区間の予約が可能であるが、LCC(格安航空会社)や国内航空会社と提携のない航空会社で日本を訪れる場合、国内線単独で購入する場合は2ヶ月前しか買えず、スケジュールが組みにくい状況にあったのだ。新幹線を含むJR各社は現在でも1ヶ月前からしか予約できず、外国人を中心に不満が多い。

 早期に予約が開始されることで、これまで以上に早めに旅の計画を開始することでお得に航空券が買える可能性が高まる。特に帰省などで毎年同じ時期に国内線を利用する人は来年の夏の帰省時期も考えてみてはいかがだろうか。

航空・旅行アナリスト 帝京大学非常勤講師

航空会社のマーケティング戦略を主研究に、LCC(格安航空会社)のビジネスモデルの研究や各航空会社の最新動向の取材を続け、経済誌やトレンド雑誌などでの執筆に加え、テレビ・ラジオなどでニュース解説を行う。2016年12月に飛行機ニュースサイト「ひこ旅」を立ち上げた。近著「コロナ後のエアライン」を2021年4月12日に発売。その他に「天草エアラインの奇跡」(集英社)、「エアラインの攻防」(宝島社)などの著書がある。

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