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成田空港からLCCを使用する人に朗報。来年3月を目処に空港リムジンバスは第3ターミナル先着に変更へ

鳥海高太朗航空・旅行アナリスト 帝京大学非常勤講師
成田空港第3ターミナルのバス乗降場。来年3月に新たな降車場を設置する(筆者撮影)

 成田空港において、アクセスが不便だと思っている利用者が多いLCC(格安航空会社)専用の第3ターミナル。来年3月を目処に利便性が向上することになった。

第3ターミナル→第2ターミナル→第1ターミナルの順に

 従来、東京駅をはじめとした都心や神奈川方面、千葉方面など高速道路経由の空港リムジンバスは、第2ターミナル→第1ターミナル→第3ターミナルの順に停車していたが、停車順を変更し、第3ターミナル→第2ターミナル→第1ターミナルの順に変更される。正式な運用開始日は改めて発表される予定となっている。

 都心方面からバスを利用して成田空港へ向かう場合、東関東自動車道、成田インターからは新空港自動車道を経由して成田空港の第2ゲートから空港エリアに入るが、第2ゲート正面に見えるのが第3ターミナルであり、現在はターミナルの建物が見えているのにダイレクトに停車できるスペースがないことから、第2ターミナル、第1ターミナルを経由して第3ターミナルのバス停留所に到着する流れになっている。第3ターミナル前の第2ゲートを通過してから第3ターミナルまで約15分の無駄な時間を要しているのが実情だ。

アクセスが不便と言われている第3ターミナルだったが、バスの停車順変更で利便性は大きく向上する(筆者撮影、以下同じ)
アクセスが不便と言われている第3ターミナルだったが、バスの停車順変更で利便性は大きく向上する(筆者撮影、以下同じ)

鉄道が直接乗り入れていない第3ターミナル

 第1ターミナル(成田空港駅)と第2ターミナル(空港第2ビル駅)は鉄道駅と直結であるのに対し、第3ターミナルは鉄道が直接乗り入れておらず、第3ターミナル利用時は第2ターミナルからターミナル間連絡バス(無料)もしくは約600メートルの間を屋根付きの連絡通路を歩くしかない。

 そのような状況もあり、第3ターミナルへ向かう人のバス依存度は高く、片道1000円以下で利用できる東京駅・銀座・大崎駅などから利用できるLCCバス(東京シャトル、有楽町シャトル、THEアクセス成田、成田シャトルなど)を利用する人も多い。特に東京駅からは東京シャトルとTHEアクセス成田の2つのバスを合わせると10分間隔で発車するので効率的であり、今回の第3ターミナルへ直行することにより、成田空港会社では10分の短縮になると発表しているが、筆者の感覚では15分以上、第3ターミナルまでの所要時間が短縮されることになるだろう。

東京駅八重洲南口前のJRバスターミナルから乗車できる「THEアクセス成田」(JRバス関東、ビィー・トランセ)
東京駅八重洲南口前のJRバスターミナルから乗車できる「THEアクセス成田」(JRバス関東、ビィー・トランセ)
東京駅八重洲北口近くから乗車できる「東京シャトル」(京成バス)。事前予約で最安900円で乗車できる
東京駅八重洲北口近くから乗車できる「東京シャトル」(京成バス)。事前予約で最安900円で乗車できる

第3ターミナルアレルギーからの脱却

 従来から筆者は、東京駅からのLCCバスについては本数も多いので、1時間に1本程度は第3ターミナル直行のバスを作るべきであると提言してきた。鉄道でのアクセスが不便な上で、更にバスの利便性まで不便であることから、第3ターミナルから飛行機に乗りたくない「第3ターミナルアレルギー」も多く存在する。今回、最初に停車することになれば第3ターミナルへ向かう際のバス利用はより増加することになり、成田空港からのLCC利用者が更に増える可能性が高い。

 なお、成田空港から都心方面へ向かうバスについては、今後も第3ターミナル→第2ターミナル→第1ターミナルの順で変更されない。この点は高速道路に入ることを考えると、現状がベストだと思う。

 ただ課題も残る。引き続き、第3ターミナルに直結する駐車場がないので、駐車する場合には第2ターミナルの駐車場利用が続くほか、送迎の車の乗降場もなく、お見送りや出迎えも一部を除いて(身障者用のレーンなど)第2ターミナルでの乗り降りであるなどの不便さは解消されないが、1つずつ解決して欲しいと思うところだ。

航空・旅行アナリスト 帝京大学非常勤講師

航空会社のマーケティング戦略を主研究に、LCC(格安航空会社)のビジネスモデルの研究や各航空会社の最新動向の取材を続け、経済誌やトレンド雑誌などでの執筆に加え、テレビ・ラジオなどでニュース解説を行う。2016年12月に飛行機ニュースサイト「ひこ旅」を立ち上げた。近著「コロナ後のエアライン」を2021年4月12日に発売。その他に「天草エアラインの奇跡」(集英社)、「エアラインの攻防」(宝島社)などの著書がある。

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