義務じゃないって知ってた?―外国人の子どもの教育保障、今こそ議論すべきこと。

義務教育の対象は「国民」。外国籍の子どもはその対象外で「希望があれば受け入れる」(写真:アフロ)

知っていますか?外国人の小中学生の教育は「義務教育」じゃないこと

・・・この事実、意外と知らなかった、という方が多いかもしれません。

日本の憲法では、第26条の第一項で教育を受ける権利を保障し、第二項で教育を受けさせる義務を規定しています。ただ、この範囲は「国民」、つまり日本国籍を持つ子どもに限られていて、外国籍の子どもの就学義務はありません。

外国籍を持つ子どもについては、日本で生まれ育っても、海外で育ち義務教育年齢に来日しても、日本国内の小中学校へは「希望する場合には公立の小・中学校に受け入れ、日本人と同一の教育を受ける機会を提供」という恩恵的な扱いに留まっています。

義務教育でないことで様々な問題が起きている

外国籍の子どもの教育が義務教育の対象外となっていることで、学校現場では様々な問題が起きています。先日、共同通信社が全国の自治体を対象として行ったアンケートによれば、回答のあった自治体の46%が日本語などの学習面で課題があると答えています。また、外国人の子どもたちが「ゼロではないけれど、学校に1~2人しかいない」と言った外国人散在(さんざい)の課題も挙がり、自治体単独では人材や予算の確保を含め、困難な状況が伺えます。

十分な受け入れ態勢が整備できない状況下で、現在はそうした事例は少なくなっているもの、自治体によっては「(支援体制がないので)日本語ができるようになってから学校へ来てほしい」と言った就学の(一方的な)見合わせなどが実際に起きています。

責任の所在はどこに

このように、その子どもがどこに暮らすかによって受けられる教育の質と量に大きな格差が存在する現状ですが、あくまでも「外国人のニーズは地域によって異なるため、そのニーズに対応売るためにも自治体が主導すべき」という国のスタンスは続いています。

外国人の子どもたちの対応に自治体が直面する困難や広がる格差の源泉として、外国籍の子どもの教育保障がなされていないことを挙げる声は少なくありません。労働力不足を背景に、国が外国人労働者の受け入れを拡大していくのであれば、同様に国が責任を持ってその子どもたちの教育を保障すべきである、というのは受け入れる自治体や地域から見れば、正論であると言えます。

新しい時代を目前に―今、議論を

今、全国の自治体の内8割に永住者が暮らしています。彼らは「デカセギ」ではないため、当然ながら日本社会で家族を築き、子どもを生み育てます(今、すでに)。今後も、日本国内で長期滞在・定住・永住していく外国籍の方々が増加していく現状が大きく変わる可能性は小さく、「日本で生まれ育った外国籍の子ども」の数が極端に減ることはないでしょう。

また、日本人と外国人カップルの間に生まれ、日本国籍を持つ外国にルーツを持つ子どもたちも増えています。中には、離婚後、外国籍の保護者が日本国籍の子どもを育てていたり、日本国籍の保護者が外国籍の子どもを育てている場合など、「国民の教育を受ける権利を保障」し、「国民が、保護する子どもに教育を受けされる義務」の枠組みには当てはまらないケースも少なくありません。

子どもたちが適切な教育の機会を保障されないまま日本社会で自立していくことになれば、社会全体にその影響が及ぶ可能性は高く、外国人労働者の受け入れが実態として進んでいる現実をまずは受け止めなくてはなりません。そして、次世代を担う「日本社会に暮らす全ての子ども」の教育をどのように保障していくのかについて、国民的な議論を進めることが必要なのではないでしょうか。