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【自治体ランキング】世界で最も子どもの割合が低い日本。自治体ワースト50には23区から4区…

高橋亮平日本政治教育センター代表理事・メルカリ経営戦略室政策企画参事
(写真:アフロ)

人口4,000万人以上の国31カ国で日本は子どもの割合が最低

図表: 世界における子どもの割合ランキング(人口4,000人以上の国)

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出典: 総務省統計トピックスNo.125から筆者作成

総務省が5月5日の「こどもの日」に合わせて、15歳未満の子どもの推計人口を発表した。

前年から20万人減の1,512万人で、1982年から39年連続の減少となり、過去最少をまた塗り替えた。総人口に占める子どもの割合は、12.0%となり、こちらは46年連続の低下となった。

さらに衝撃的なのは、12.0%という子どもの割合、人口4,000万人以上の国31カ国で比較すると日本は最も子どもの割合が低い国になるのだ。

総務省統計トピックスNo.125

今回の調査が子どもの年齢を0~14歳にしているのは、15歳~64歳が「生産年齢人口」と想定されており、65歳以上を「老年人口」、14歳未満を「年少人口」として、この年齢区分が「年齢3区分」として国際的な調査においても使われている分け方になっているためだ。

国立社会保障・人口問題研究所の人口推計を見ると、年少人口の減少は今後も続き、2056年には1,000万人を割り、2065年には898万人規模になると推計されている。

新型コロナウィルスの影響で全国の学校が休校になるなど、子どもたちへの影響も計り知れず、最近では9月入学への移行なども議論され始めているが、非常事態の現状だけでなく、同時に世界で最も子どもの割合が低い国として、この限られた子どもたちにさらに活躍してもらう人材に育てていくための環境をどうしていくかということが大きな課題のように感じている。

子どもの割合が最も高いのは沖縄県、東京都はワースト6位

図表: 都道府県別子どもの数と割合

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出典: 総務省統計トピックスNo.125から筆者作成

今回、総務省が公表した資料には、都道府県比較もある。

一方で、地域に目を向け、子どもの数を都道府県別に見てみると、47都道府県で前年に比べて子どもの数が増えたのは東京都だけで、子どもの数が100万人を超えるのも東京都、神奈川県、大阪府の3都府県しかなかった。

人口で見ると大規模都市に子どもが集まっているように見えるが、人口に占める子どもの割合で見ると、最も高かったのは沖縄県の16.9%で、次いで滋賀県が13.8%、佐賀県が13.5%と続く。一方、最も低いのは秋田県の9.8%で、初めて10%を下回った。次いで青森県が10.7%、北海道が10.8%と続き、東京都も11.2となりワースト6位となる。

子どもの割合最高は豊見城市、最低は歌志内市

最後に、今回筆者はあらためて全国815の市区の子どもの割合のランキングを作ったので紹介したい。

国内の市区で最も子どもの割合が高かったのは沖縄県の豊見城市で20.0%だった。2位こそ18.4%の愛知県の長久手市だったが、ベスト10の中に沖縄県が8自治体とその殆どを占める。

一方で、子どもの割合が最も低かったのは、北海道の歌志内市の5.1%、次いで夕張市の5.7%はじめ、ワースト5の中に北海道が4自治体入った。

こうして見ると地域の偏りも見える。

東京都でベスト50位までに入ったのは14.8%で48位になった稲城市だけ。

東京神奈川千葉埼玉の4都県でも、他に28位の印西市(千葉県)、35位の流山市(千葉県)、45位の戸田市(埼玉県)、49位の吉川市(埼玉県)、50位の白井市(千葉県)だけだった。

一方でワースト50の中には、8.8%で29位に中野区、8.9%で34位に豊島区、37位に新宿区、9.2%で49位に台東区と23区から4区がランクイン。

東京以外にも神奈川千葉から、9位に勝浦市(千葉県)、17位に銚子市(千葉県)、21位に南房総市(千葉県)、28位に三浦市(神奈川県)、41位に富津市(千葉県)、43位にいすみ市(千葉県)と千葉県の自治体が多く入っている。埼玉県から入った自治体はなかった。

人数で言えば子どもや若者が集まっている首都圏4都県だが、割合で言えばむしろ少ない自治体も多いことが見えてくる。

ちなみに筆者の地元の市川市は12.1%で815自治体中392位だった。

こうした自分たちの住む街ごとの状況を知っていくことも大事なことである。

非常事態だからこそ、子どもたちの未来を見据えた環境の創造を

子どもの教育は、基礎自治体に委ねられている部分も多く、また子育て環境の整備は自治体間格差が指摘されることも多い。

今回、新型コロナウィルスの対策を見ていても、ケーブルテレビなどを使って既に毎日の授業を自宅で実施できる環境を提供している自治体がある一方、教育現場が対応できずに家庭教育に依存している自治体も多くあるように感じる。

とくに都市部においては、タブレット学習の実施など公私間の格差も出てきているように感じる部分も多く、家庭教育に依存する部分が多くなるほど、子どもたちの受ける教育格差はさらに切実な問題になる。

少子化は先進国共通の課題ではあるが、ヨーロッパなどではこうした子どもたちの環境をより良くしていくために、子どもたちもまた主体者として捉え、子どもたちに関わる問題は、当事者である子どもたちにも参画させる取り組みも多い。

子どもや若者の参画の現場は、国政というよりは、地方自治体現場の方が可能性は大きい。

非常事態である今だからこそ、さらに長期的な視座に立ち、世界で最も子どもの割合の低い国として、この国の子どもたちをどう育てていくのか、また地域地域で未来を担う子どもたちにどういった環境を創っていけるのか、こうした自治体間競争についても期待していきたいと思う。

図表: 市区別子どもの数と割合 トップ50

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出典: 平成31年住民基本台帳人口・世帯数、平成30年人口動態(市区町村別)より筆者作成

図表: 市区別子どもの数と割合 ワースト50

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出典: 平成31年住民基本台帳人口・世帯数、平成30年人口動態(市区町村別)より筆者作成

日本政治教育センター代表理事・メルカリ経営戦略室政策企画参事

元 中央大学特任准教授。一般社団法人生徒会活動支援協会理事長、神奈川県DX推進アドバイザー、事業創造大学院大学国際公共政策研究所研究員。26歳で市川市議、全国若手市議会議員の会会長、34歳で松戸市部長職、東京財団研究員、千葉市アドバイザー、内閣府事業の有識者委員、NPO法人万年野党事務局長、株式会社政策工房研究員、明治大学世代間政策研究所客員研究員等を歴任。AERA「日本を立て直す100人」に選ばれた他、テレビ朝日「朝まで生テレビ!」等多数メディアに出演。著書に『世代間格差ってなんだ』(PHP新書)、『20歳からの社会科』(日経プレミアシリーズ)、『18歳が政治を変える!』(現代人文社)ほか。

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