「イスラム」とヌスラ戦線についてのコメント
「イスラム国」は、最近のシリアの戦闘で古代遺跡でも知られる戦略拠点のパルミラを失った。またイラクでは支配下の最大の都市モスルに対するイラク政府軍の攻撃の準備が始まっている。さらに幹部のアメリカ軍による殺害が続いている。軍事的には守勢一方の状況である。また経済的にも石油関連施設が破壊されるなど打撃を受けている。戦闘員の給与が半減されたとの報道もあった。こうした厳しい状況下で、自らの勢力の健在ぶりを誇示するためにヨーロッパでの大規模なテロを計画実行したのだろう。これまでの一匹オオカミ・テロを呼びかける戦術から、自らが立案しテロを実行するように方針を転換したのではないか。パリやブリュッセルでのテロは例外ではなく、その前触れであろう。懸念されるのは原子力関連施設などへのテロである。テロリストが、こうした施設を調査していたとの報道もある。また化学兵器によるテロも想定外ではない。というのは、イラクやシリアの戦場でイスラム国が化学兵器を使用しているとの報道が頻繁に流れているからである。
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