Q1:少女たちの映像を見て、どう感じたか?

ボコ・ハラムが、少女たちを政府が拘束している自らのメンバーの釈放の交渉の駒にするのではないかと考えていたので、予想通りの動きだなとも思った。この事件でナイジェリア政府のメンツは十分に潰した。特に世界経済フォーラムのナイジェリアでの会議という大きなイベント中での事件であった。ボコ・ハラムは映像を公開するタイミングを待っていたのだろう。恐らく世界経済フォーラムの会議の閉幕を待っていたのだろう。

おびえた固い表情の映像を見て、少女たちが気の毒でならない。しかし、同時に少女たちが生きていてよかった。

Q2:ボコ・ハラムはなぜ少女たちを拉致したのか?ボコ・ハラムとはどういう組織か?

いくつかの理由が考えられます。まず拘束されている自らの組織のメンバーの釈放交渉に使うためでしょう。第二に活動資金の調達のために身代金を取るためではないでしょうか。第三に国際会議がナイジェリアで開催される時期に事件を起こして、自らの存在感をアッピールし、第四に同時にナイジェリア政府のメンツを潰す狙いがあったのでしょう。

ボコ・ハラムは、2002年に西欧的な教育に反対して設立されました。2009年に武力闘争を開始しました。軍の弾圧を受けて最初のリーダーのムハマッド・ヨセフが殺害されました。二代目の現在のリーダーのアブバカル・シャカウの下で武力闘争を再開しました。

昨年から活動が激しくなっており、学校の襲撃が増えています。今年に入ってからだけでも、学校の襲撃事件が7件発生しています。また若い女性の誘拐も行っています。当初は、当局がボコ・ハラムのメンバーの家族を拘束したため、釈放を求めるテコとして使うための誘拐でした。家族が釈放された後も女性の誘拐を続けています。拉致した女性をメンバーに妻として与えたり、資金調達のために人身売買の対象にしたりしています。またヨーロッパ人を人質にして多額の身代金を得た事件もありました。

Q3:映像を公開した理由は?

第一に、「女性を拉致した。売り飛ばす」という前回の映像での発言に対してはナイジェリアの内外で激しい反発がありました。特にイスラム教徒からの、そうした行為はイスラム的ではないとの批判が強かったのです。そうした批判に答えるという理由があったのでしょう。第二に政府側が拘束しているメンバーと交換するためには、生きているという姿を見せる必要があったのでしょう。第三に、ビン・ラーディンのように世界の注目を浴びたいという気持ちが見えるように思えます。指導者のアブバカル・シャカウのエゴが映っています。アブバカルは、この少女の集団誘拐で、アフリカのみならず世界でも最も有名なテロリストになりました。アブバカルは、メディアからの注目を楽しんでいるようです。第四に映像の中では現地の言葉ばかりでなくアラビア語を使いました。イスラムの言葉であるアラビア語をキチンと学んでいることを示したかったのでしょう。

Q4:キリスト教だった生徒をイスラム教に改宗させたのはなぜ?

拉致された少女たちの大半はキリスト教徒で残りがイスラム教徒であったと推測されています。キリスト教からイスラム教へ強制的に改宗させたのは、自分たちの住んでいる地域をボコ・ハラムの理解するイスラム国家に変えるという考え方を実行に移したものと想像されます。

Q5:拉致されたのは276人、映像は100人余り。他の生徒はどこへ消えた?

まず連れ去られる途中でトラックから飛び降りたりして拉致を逃れた女性徒が数十人いたことが知られています。またイスラム教に改宗しなかった人質がいたのかも知れません。既にボコ・ハラムのメンバーに妻として与えられたり、あるいは人身売買の対象にされたりした可能性も考えられます。

Q6:今後の救出作戦はどうなる?

恐らく人質は一カ所ではなく複数の場所に分散させられていると想像されます。武力による救出作戦を成功させるのは困難でしょう。これまでの前例から見て、交渉しか現実的な選択はない。つまり政府側が拘束しているボコ・ハラムのメンバーの釈放が条件になるだろう。そして場合によっては身代金の支払いが加えられるかも知れない。

オバマ大統領が派遣した30人ほどのアメリカ人のチームは、人質釈放交渉の専門家や、釈放された後の心のケアの専門家を含んでいます。アメリカも、武力行使の難しさは十分に理解しているようです。

最新の記事では、「ナイジェリア大統領が「人質交換」を拒否!と」あります。大臣などは交渉と発言しているわけですから、ナイジェリア政府内部での混乱を象徴していると思います。背景には来年に予定されている大統領選挙があるのでしょう。現職のジョナサン大統領は再選を目指していますが、反対の声も強い。現地ボルノ州の知事が野党なのも混乱に拍車をかけていると思います。