リバプールが歴史的大敗を喫した3つの理由。南野拓実を交代で起用した狙いは?【現地発】

アストンビラ戦で後半開始時から出場した南野拓実(写真:代表撮影/ロイター/アフロ)

「運がなかったのは確かだが、たまたま偶然起きたことでもない」

リバプールが2-7の歴史的大敗を喫したアストンビラ戦後、ユルゲン・クロップ監督の記者会見でもっとも印象に残ったのがこの言葉だった。試合の開始早々にGKアドリアンのパスミスから失点。正GKのアリソンが試合前日に肩を痛め、急遽出番がまわってきた控えGKによる事故のような形で失点すると、立て続けにゴールを許し、前半だけで4失点を喫した。

終わってみれば、リバプールは1963年以来となる7失点で大敗。アストンビラのシュート数「18本」は、クロップ就任後のリーグ戦における被シュート数で最多となった。昨シーズンはリーグ最少の「1試合平均0.86失点」を記録した守備陣が、嘘のように崩壊した。

昨季王者の大敗は、偶然起きたのか。過密日程によるコンディション不良があったのかもしれないが、指揮官の言葉どおり偶発的に起きたことでもないだろう。考えられる原因は主に3つあったように思う。

1つ目は、好調時に比べると前方からのプレスが緩かったこと。リバプールはDFラインを高い位置に設定するハイライン・ディフェンスを敷いているが、機能させるには前線と中盤のプレッシングが不可欠である。ところが、この一戦では守備強度が低く、中盤からいとも簡単にDFラインの背後にスルーパスを出された。「ハイライン」を敷くには「前方のプレス」が絶対条件になるが、リバプールは前線と中盤からの守備が十分でなかった。

その理由として、英紙デーリー・テレグラフは新型コロナウイルスの陽性反応で療養中のFWサディオ・マネと、負傷中のMFジョーダン・ヘンダーソンの欠場が響いたと指摘した。

「DFより前の位置での守備に問題を抱えていた。前線から守備で貢献するマネと、中盤にインテンシティを注入するヘンダーソンの欠場が影響した」

元フランス代表DFパトリス・エブラも「マネの欠場が痛かった。(3トップに入る)モハメド・サラーとロベルト・フィルミーノは、前線から激しく守備を行なうようなアグレッシブな選手ではない。一方のマネは、しっかりと敵を追いかける。リバプールはマネの影響力を痛感したはずだ」と問題点を指摘した。

ハーフタイムにMFナビ・ケイタに替え、より強度の高い守備ができる南野拓実をインサイドMFとして投入したのは、前方からのプレス強度を上げようとするクロップの狙いがあったのだろう。南野が前線に飛び出して得意のターンなどで得点差をつめることができれば理想だったが、この狙いも機能しなかった。その理由は、リバプールのDFライン、特に右サイドが後半に入ってもまるで機能していなかったから。これが2つ目の敗因だ。

先述したように、リバプールはDFラインを高い位置に設定しているが、敵のスルーパスから背後のスペースを突かれて何度もピンチを招いた。

その際、ターゲットにされたのが、右CBのジョー・ゴメスと、右SBのトレント・アレクサンダー・アーノルド。ゴメスは昨シーズン終盤から不調で、不安定なプレーを続けている。また、頻繁に攻撃参加するアレクサンダー・アーノルドも背後のカバーが疎かになる。アストンビラは、2人のいる右サイドを徹底的に突いた。

アストンビラの狙いは、プレーマップからも見て取れた。中央、左サイド、右サイドの3エリアのうち、攻撃の40.1%を彼らのいる右サイドから仕掛けていた。そして、7ゴールのうちの4ゴールをこのエリアから奪取。リバプールの右サイドを狙っていたのは明らかだった。ちなみに、4-3の打ち合いの末にリバプールが辛勝したリーズ戦も、リーズの攻撃の48.8%がこの右サイドからだった。

最後の理由は、アストンビラが用意周到に準備し、ピッチ上で任務を完璧に遂行したこと。(1)攻撃はリバプールの右サイドを狙う、(2)中盤の選手はチャンスと見れば、素早くDFラインの背後にスルーパスを入れる、(3)前線の選手はそのスペースに走り込む。この3つが約束事だったのだろう。

結果として、2-7の歴史的大敗につながった。南野は後半開始時からインサイドMFで投入されたが、チーム全体としての問題だったのは明らかで、日本代表の投入では試合の流れを変えられなかった。

この試合でハッキリしたのは、各チームがリバプールへの対抗策を用意していること。昨シーズンの終盤から苦戦する試合が増えているが、今回の大敗でより明白になった。

リバプールの次戦は、開幕4連勝と好調のエバートン戦。はたして、王者リバプールとクロップ監督はどのように立て直してくるだろうか。