2試合連続出場の武藤嘉紀。アーセナルのクオリティに「驚いた」

アーセナルのDFナチョ・モンレアルと競り合うニューカッスルのFW武藤嘉紀(写真:REX/アフロ)

ウォームアップ中の武藤嘉紀に出番の声がかかったのは後半31分のことだった。すぐにユニホームに着替えて、ラファエル・ベニテス監督から短く指示を受ける。そして、1分後の後半32分、MFアジョセ・ペレスとの交代でピッチに入った。

試合を優位に進めていたのは、1点リードのアーセナル。武藤は3−4−2−1の「2」の位置、右サイドMFに入り、同点ゴールを奪おうと積極的に仕掛けた。

投入から1分後には、右サイドでボールを受けて突破を試みた。試合終盤には位置取りをやや中寄りに移し、味方に「DFラインの背後にパスを入れて」とジャスチャーで要求するシーンもあった。実際、CFのポストプレーからDFラインの背後に抜けようとしたが、マーカーにブロックされた。

最大の山場は、アディショナルタイムの後半45+1分に訪れた。韓国代表MFキ・ソンヨンがヘッドで落とすと、武藤はゴール前のニアサイドに飛び込んだ。しかし、惜しくも武藤にオフサイドの判定で、チャンスをモノにできなかった(※GKがボールをキャッチしたため、主審はオフサイドを流した)。

結局、もう1点を加点されたニューカッスルは0−2で敗戦。試合後、武藤は「強い相手から点を取らないと、いつまでたっても序列は変わらない。結果を出したかった」と肩を落とした。

■アーセナルは「質が高い」

日本代表FWは、タッチライン際でアップ中、そして、ピッチに入ってからも、アーセナルの質の高いプレーに驚いたという。選手がパスを受けると1〜2の少ないタッチで叩き、フリースペースに走る。前半20分の時点で、アーセナルは74%のボールポゼッションを記録した。彼らが得意とする「パス&ムーブ」のサッカーに、武藤は目を奪われた。

「(アーセナルの)パス回しのクオリティや落ち着きが、ここまですごいとは思っていなかった。選手は叩いて(ボールを)入れる、叩いて入れるというのを繰り返していた。前の選手も、特に背は高くないけど(ボールをしっかりと)収める。そして、叩いて(スペースに)出る、叩いて出る。とにかく、こうした動きの質が高いなと驚いた」

最前線にはフランス人CFのアレクサンドル・ラカゼットが入り、攻撃的MFは元ドイツ代表MFメスト・エジルとナイジェリア代表MFアレックス・イウォビの二人。ここに、ウェールズ代表のセントラルMFアーロン・ラムジーが前線まで駆け上がることで、分厚い攻撃を奏でた。

とくに、今シーズンから指揮を執るウナイ・エメリ監督の指導で、ひとりひとりのポジショニングが改善し、チーム全体の動きと連係プレーが向上した。選手のファーストタッチも柔らかく、そして正確。ニューカッスル戦の勝利で3位に浮上し、アーセナルは来季チャンピオンズリーグ出場も見えてきた。武藤は「自分もやっていかないといけないと思います」と、アーセナルのプレーに大きな影響を受けたと明かした。

もっとも、敵に感化されていたばかりではない。「無理をしても怪我をしない体にする」(武藤)ため、肉体改造に着手しているという。まだ、改造過程にあるが、ピッチ内で成果も感じている。

「もう一回、体を作り直している。とにかく基礎の基礎から、本当に土台から突き詰めている。ここで戦うために、もう一個上のレベルにフィジカルレベルを持っていきたい。今日もスピードに乗っていても、全然ブレを感じなくなってきた。試合に長く出て、もっとサッカー用の筋肉がついてくれば、もうひとつ上へ成長できるイメージはある」

アジア杯への参加で約1ヶ月にわたり離脱した影響は大きく、復帰した2月以降は出番が遠のいた。しかし、3月中旬に行われた前節ボーンマス戦に続き、今回のアーセナル戦で2試合連続の途中出場を果たした。徐々にではあるが、風向きはよくなってきた。

「間違いなく、いいと思います。練習から、かなりアピールしていました。そういうのを見せてきたからこそ、チャンスをもらえたと思う。それに結果で応えないといけない」

今季のニューカッスルは、残り6試合となった。残された時間は多くないが、「少しでも長い時間出て、チャンスをモノにしたい。まずはこの時間で点を決めないと、何も変わらない。とにかく、ひたむきにゴールを狙い続ける」と、26歳の日本代表FWは力を込めた。