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ルーヴル美術館再開 あの微笑みにゆっくりと向き合える

鈴木春恵パリ在住ジャーナリスト
美術館の壁面に掲げられた巨大なモナリザの微笑み(写真はすべて筆者撮影)

フランスのロックダウンの段階的な解除が始まったのが5月11日。あれから2ヶ月がたった。

パリではカフェやレストラン、商店、映画館など、ほとんどの施設が再開された。

もちろん感染第2波の懸念がメディアで日々話題になるものの、連日晴天ということもあって、人の気持ちとしてはむしろ開放感の方が勝り、街は活気を取り戻している。

美術館も大半がすでに再開されているが、7月6日には大トリともいうべきルーヴル美術館が再開された。

3ヶ月と3週間という長きにわたってルーヴルが閉鎖になったのは、第二次世界大戦以来のことだという。

再開されたルーヴル美術館。予約システムの変更によって、混雑や待ち時間が大幅に縮小された
再開されたルーヴル美術館。予約システムの変更によって、混雑や待ち時間が大幅に縮小された

再開にあたって、美術館としてはいくつかの措置を講じていて、チケットは事前に入館時間も決めて予約するシステムが採用された。

これはミュージアムパスを利用する人も対象で、インターネットのサイトから日にちと時間を選んで予約する。

開館時間は休館日(火曜)を除き、毎日9時から18時までだが、サイトには9時から16時30分まで30分刻みの枠があるので、そのいずれかを選んで予約を確定する。

『ル・フィガロ』紙の記事によれば、再開当日の予約数は7400人。これまでの1日の入場者数の5分の1の数字だという。

私は11日土曜の予約を前日にトライしたところ、初回9時からの枠がすんなり取れた。しかも、その時点ではカレンダーで予約不可になっている日は見当たらなかった。つまり、空いているのである。

統計によると、ルーヴル入場者の75パーセントが外国人。いまだ中国、アメリカからフランスへの入国制限が続いているという状況にあっては、美術館のにぎわいが“通常”になるのはほど遠い。

ということは、地元フランス人、そしてヨーロッパ諸国、さらに日本も含めて、フランスへの入国が認められた外国人にとってみれば、混雑を避けてゆっくり名画と向き合うことができるまたとないチャンスと言えるかもしれない。

フランス絵画の展示室。『民衆を導く自由の女神』の前
フランス絵画の展示室。『民衆を導く自由の女神』の前

ちなみに、11歳以上はマスク着用が必須。荷物預り所が使えないほか、北ヨーロッパ絵画、中世からルネッサンス期のフランス彫刻、ルネッサンス期以降の美術品など多くのフロアはまだ閉鎖されたままだ。

とはいえ、再開になったゾーン45000平米に3万点以上の作品という規模は、ルーヴルの魅力を再認識するのに十分なはず。何回通っても全部観た、という境地には至らない美の殿堂。それがルーヴル美術館なのだ。

今回も百聞は一見にしかず。再開されたルーヴルの様子をお伝えし、この記事を締めくくることにする。

パリ在住ジャーナリスト

出版社できもの雑誌の編集にたずさわったのち、1998年渡仏。パリを基点に、フランスをはじめヨーロッパの風土、文化、暮らしをテーマに取材し、雑誌、インターネットメディアのほか、Youtubeチャンネル ( Paris Promenade)でも紹介している。

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