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「ゲームの流れを変えるのが僕の役割」 渡邊雄太(ジョージ・ワシントン大)VMI戦後インタヴュー

杉浦大介スポーツライター

Photo By GW Athletics (写真は昨年11月29日のシートン・ホール大戦のもの)

2014年12月30日

ジョージ・ワシントン大(10勝3敗) 80-60 VMI(5勝8敗) 

渡邊雄太 29分出場し、10得点(FG4/8、FT2/3、3PT0/2)、1リバウンド、1アシスト、2スティール、2ブロック、0ターンオーバー

昨年12月第4週は3試合で平均9.0得点、4.7リバウンドを挙げ、アトランティック10カンファレンスの週間新人賞を受賞

納得できないゲーム

ーーハワイでのダイアモンドヘッド・クラシックで強豪ウィチタ州立大に勝って優勝した直後、しかも格下と目されたVMIが相手ということで、もともと集中するのが難しいかなと思われたゲームだった。やはり前半(35-29でリード)はあまり良くはなかった?

YW:ちょっとみんな疲れていたかなというのもあるし、ウィチタ州立に勝った後ということで、気の緩みもあったかなと。今日はチームとしては試合を通じて良くなかったです。前半、自分がプレーしていても、ベンチで見ていても、そう思いました。スカウティングの時点で言われていたのが、相手の3ポイントを抑えることと、ロングリバウンドでした。しかし、前半は相手にロングリバウンドを何本も取られてしまってましたからね。

ーー相手の方がハッスルしていた印象だった。

YW:そうですね。

ーーただ、それでも後半(45-31)に引き締められたのは底力なのかなとも思ったけど。

YW:後半は実力の差が出たかなという風に思います。

ーー個人的には、プレー時間は今季自己最長だった。

YW:何分ですか?(とスタッツ表を覗き込む)

ーー29分だった。

YW:ああ、そんな出ました?

ーー後半はけっこう出ずっぱりだったね。これまでの最高は28分だった。

YW:確かに後半はベンチから最初に出た後、(勝負が決まった終盤に交代するまで)ずっと出ていましたね。

ーー10得点だけでなく、2スティール、2ブロックも自己最多タイと、オールアラウンドで貢献できたかなという感じ?

YW:はい・・・・・・でも、個人的にも今日はいまいち納得できていないです。

ーーどのあたりが気になる?

YW:一番ダメなのが、1本しかリバウンドを取っていないこと。それはもう最悪。29分も出ていながら1リバウンドというのは酷い数字です。得点に関しては10得点で自己最多タイ。今日はスリーポイントは1本も決めていないですけど、ドライブとかで力強くフィニッシュできたのは進歩したかなとは思っています。

収穫は力強くフィニッシュできたこと

ーージャンパーはなかったけど、これで3試合連続で10得点。前に「そろそろスリーは警戒されている」という話をしていたけど、こうやって中でも点が取れるという姿を見せられれば、外で打つチャンスもまた広がる。そういった意味で、大きかったかな。

YW:はい、そう思います。この間も言ったと思うんですけど、スリーポイントにこだわり過ぎたらダメなんで。今日みたいなプレーができれば、自分の強みであるスリーポイントがまた打てるようになるんじゃないかと。

ーー豪快なダンクでファンを湧かせるシーンがあった。11-12とリードされたあまり良くない流れの中での一発で、あれで地元アリーナの雰囲気が変わった。その後に6−0のランで、以降は一度もリードを許さなかった。ダンクには2点以上の価値がある場合もあると思うけど、あれはまさにそうだった。

YW:普段、練習とかでも、コーチやチームメートにもっとフィニッシュを強くしろと言われていて、その1つの答えがダンクかなと思います。オフェンス、シュートの中で、最も力強くいけるシュートがダンク。あの場面は当然ダンクに行くべきだったと思いますし、それをしっかりと決められたんで良かったです。

ーー直後、観客に向かって胸を張るポーズも取っていたけど(笑)。もう少し派手なポーズは考えなかった?

YW:いえ、まだ(笑)。(終盤の時間帯で)競っているときだったら、もう少し何かやったかもしれないですけど。コーチもシュート後のパフォーマンスとかは余り好きじゃない人なんですよ。決めたらすぐにディフェンスに戻らないと、たぶんそんなこと(=パフォーマンス)をしていたら交代させられてしまいます(笑)

ゲームの流れを変えるのが役割

ーー現時点で自分の役割をどう定義する?渡邊選手にはこのチーム内でいったい何が求められているのかな?

YW:今はシックスマンなので、まずはベンチから出て流れを変えること。自分が出ることによってゲームの流れを変えることが、自分にとっての役目ですね。そう言った意味で、ずっと言ってますけど、リバウンドが課題です。最近は点を取ることも求められて来ているのかなと思うので、3試合連続10得点というのは悪くないです。あとはやはりリバウンド。ハワイのときは良い感じで取れていたんですけど(注/3試合で合計14リバウンド)、今日はまた1本だけに戻ってしまった。

ーー”流れを変える”という意味では今日は良い仕事だったと思うけど。

YW:うーん、でも自分的にはとにかくリバウンドですね。

ーーさて、ハワイでのこと、週間新人賞のこと、1-3-1ディフェンスのことなども聴きたかったんだけど、ちょっと時間がなさそうなのでまた次回に。最後に1つだけ。ハワイでの3試合では素晴らしいプレーをしたけど、自分ではどこが良かったと思えている?

YW:コーチにはよく「(おまえは)ソフトだ、ソフトだ」と怒られることが多いんですけど、ハワイではそう言われることがなかった。そういうプレーができたことが良かったかなと思う部分です。ただでさえ身体が弱いのに、ソフトにプレーしていたら相手にどんどんやられてしまう。身体が弱くても強くプレーすることは可能で、それもコーチに言われている点です。今日も含めて、より力強くプレーできたのが良かったかなと思っています。

スポーツライター

東京都出身。高校球児からアマボクサーを経て、フリーランスのスポーツライターに転身。現在はニューヨーク在住で、MLB、NBA、ボクシングを中心に精力的に取材活動を行う。『日本経済新聞』『スポーツニッポン』『スポーツナビ』『スポルティーバ』『Number』『スポーツ・コミュニケーションズ』『スラッガー』『ダンクシュート』『ボクシングマガジン』等の多数の媒体に記事、コラムを寄稿している

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