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中山優馬、大技への挑戦。『ドリームボーイズ』競作の醍醐味。

杉谷伸子映画ライター

帝劇ジャニーズ公演初のW主演体制を敷く2015年の『ドリームボーイズ』中山優馬菊池風磨マリウス葉によるバージョンが9月12日に幕を開けた。中山主演バージョンの初日公演前に行われた囲みインタビューと公開通し稽古を取材。

『ドリームボーイズ』初出演の意欲

ボクシングを題材に少年たちの青春を描く『ドリームボーイズ』。CDデビュー前から同シリーズに出演してきた玉森裕太らに対し、中山・菊池・マリウスの3人は『ドリームボーイズ』自体に初出演。だが、そこは多くの舞台経験があり、この夏はストレートプレイ『ドリアン・グレイの肖像』で初主演を果たした中山である。菊池が囲み会見で「(優馬の顔が)自信に満ち溢れている感じ。それに負けないように僕らもやっている」と話したように、意志の強さを感じさせる容貌もさることながら、中山は芝居にも強い磁力を感じさせて、さすがの存在感。

ライバル役であるチャンプを演じる菊池は、ドラマや映画出演でも翳りのある役を魅力的に演じてきたが、映像作品向きと思われがちなナチュラルな空気感はそのままに、メリハリのある芝居でチャンプの機微を表現。「(今まで)本格的に舞台上で芝居をするってことがなくて、自分のなかで不安もあるなかで、この二人と一緒にできたのはよかったなと」いう言葉どおり、彼らしさを貫きながら、舞台の芝居の新しいスタイルを見せて印象的だ。

「舞台上で台詞をいうのは初めて」というマリウスは、囲み取材で「困リウス」というキャッチーなフレーズに続いて「頑張りマリウス」と話して、菊池に「“頑張りマリウス”はちょっとよくわかんない(笑)」と菊池にツッコまれ、意味を説明しようとして中山に制止される愛らしさそのままに、『ドリームボーイズ』に彼らしいキュートさをプラスしている。

新たな楽曲と大技フライング

そうした彼ら自身の持ち味にくわえ、新たに書き下ろされた3曲を含む中山・菊池・マリウス バージョンの楽曲が、競作の醍醐味をさらに味わわせてくれる。

中山は『Be Myself』『光と影』という新曲2曲を初披露。「握手するフリとか日本のお礼とか(するフリが)あって、すごい覚えやすいので劇場でも一緒に踊ってもらったり、ノッてくれたりしてほしい」とにこやかに話していたマリウスは、「ありがとう」という意味の新曲『ダンケシェーン』を1幕中盤で披露。菊池は、千賀健永が披露した『THRILLER』のアレンジに代わり、同じくマイケル・ジャクソン『They Don’t Care About Us』、千賀曲の『BOMB』に代わり 菊池ソロ曲の『It’s Going Down!』を披露する。ストーリーは同じでも楽曲が変わることで作品の印象が変わるのは当たり前のことだが、それが想像以上であることを目の当たりにできるのはやはり刺激的だ。

さらに中山は、『ドリームボーイズ』の主演として当然のように期待されるフライングに挑戦。「中国雑技団の方に教わった技です」という新技「ゆうまわる」ジャニー喜多川氏命名)は、6メートルの高さからバンジージャンプのように飛び降り、空中ブランコのように回転するという超大技。『ドリームボーイズ』初登場でこれだけ難易度の高い大技に挑む中山のチャレンジ精神には拍手を送りたい。

「チームワークもすごく新鮮で楽しいですし、毎日楽しんで稽古もできたので。自分たちがまず楽しんで、観てくださる方が楽しんでくれる。そういうところを大事にやっていきたいと思いますね」という中山。玉森主演バージョン同様に、この中山主演バージョンも 公演を通してどう深化していくか。興味は尽きない。

『ドリームボーイズ』は9月3日〜30日、帝国劇場で上演。中山、菊池、マリウスの公演は9月12〜14日、18〜20日。

映画ライター

映画レビューやコラム、インタビューを中心に、『anan』『25ans』はじめ、女性誌・情報誌に執筆。インタビュー対象は、ふなっしーからマーティン・スコセッシまで多岐にわたる。日本映画ペンクラブ会員。

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