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もしあなたがテレビに出ることになったら 覚えておいてほしい10のルール

鎮目博道テレビプロデューサー・演出・ライター。
(写真:GYRO PHOTOGRAPHY/アフロイメージマート)

 もしあなたがテレビ番組にゲストとして呼ばれ、スタジオ出演することになったらどうしたらよいのだろうか?そんなバカな!私がテレビ出演することなんて考えられない、と大部分の方はお考えになるだろう。しかし、実は結構あるかもしれないのだ。

あなたも来年テレビに出るかもしれない!

 私は少し前までインターネット放送局で2時間のニュース番組のプロデューサーをしていた。そして現在も女性だけが出演するトーク番組を担当している。どちらの番組でも、テーマによっては様々な職業の方や、様々な立場の方に突然出演をお願いすることがしばしばある。そして今、地上波だけではなくケーブルテレビやインターネットテレビなど、番組の数はどんどん増えている。

 来年はあなたも、突然テレビ番組に出演しなければならなくなるかもしれない。「これからスタジオに来てください。」と言われたときに、どんなことを心がければよいのだろうか?覚えておくとよい10の基本ルールを説明したいと思う。

1. 細かいストライプやボーダー、チェックの服は絶対に避ける。

 着る洋服について、いくつか約束事はあるのだが、その中でも絶対に覚えておいてほしいのが「細かいシマシマの服は絶対に着ないでほしい」ということである。カメラで撮影した時に「モワレ」と呼ばれる現象が起き、画面がチラチラしてしまうのだ。

 もちろんスタイリストがつく番組で、衣装を用意してくれるのであればどんな服を着てスタジオに行こうと自由であるが、通常は一般の方やいわゆる「有識者」の人にまで衣装を用意してくれる番組はまずない。

2. 青や緑色のものを身につけるのも、できるだけ避ける。

 青や緑の洋服やアクセサリーを身につけるのも、できれば避けてほしい。これは、その番組でもし「クロマキー合成」を使っていた場合に困るからだ。「クロマキー合成」とは、グリーンやブルーの背景に映像を合成する技術で、よく天気予報などで使われるが、最近はスタジオのセットはCGで、合成されている場合もよくある。

 こういう番組に出演するときに青や緑の洋服を着ていると、その服にも画像が合成されてしまって、あなたは一部透明人間のようになってしまうかもしれない。

3. あまりに大きなアクセサリーは、できれば避ける。

 先日、とある番組の整音作業で不思議な現象が起きた。ある女性の出演者が話し始めると、ずっと「チン、チン」と不思議な金属音がするのだ。女性が話をやめると音も止まる。なんだろう?と思ったら、大きなピアスが、女性が首を振るたびに揺れてぶつかり、鳴っていたのだ。あまり大きな音ではないのだが、これは編集作業で地味に困る。

 あと、たまにものすごく長いネックレスをしてきた女性ゲストが、身体を動かすたびにテーブルにネックレスがこすれてジャラジャラと音がしてしまうことがある。長すぎるネックレスは、ひょっとするとマイクのケーブルなどいろいろなものが絡まることもあるので、あまり大きなアクセサリーは危険かもしれない。

4. ネックレスはとても短いものか、ある程度長いものを。

 これは「ピンマイク」との関係である。ピンマイクは皆さんお分かりかと思うが胸の部分につけるので、よくネックレスとこすれてしまうのだ。そうすると雑音がしてしまい撮影が進められない。ピンマイクと当たらないような短いネックレスあるいはある程度長いネックレスをしてくださるととてもありがたい。

 同じくマイクの関係で言うと、ワンピースの服は、避けてほしいというほどではないが、ワイヤレスの発信器を固定しにくいので、技術スタッフは若干めんどくさい思いをすることになる。

5. ベースメイクはしてきてほしい。

 スタジオ収録でご出演いただく場合には、全ての出演者にメイクさんを準備することが通常だ。しかしたまに「プロのメイクさんがいますので」とお伝えすると、完全にすっぴんでいらっしゃる女性の方がいる。これは実は結構困ってしまうのだ。

 番組のメイクさんは、通常多くの出演者を一人で担当している。番組側も出演者の入り時間を少しずつずらして、うまくメイクが回るように計算をしているのだ。ところがお一人でも、すっぴんに近い状態でいらっしゃる方がいると、その人にものすごく時間がかかってしまい、全ての出演者にそのしわ寄せがいくことになる。プロのメイクには「最終的な手直し」をお願いする、というつもりで、ベースメイクはぜひしてきてほしい。

6. スタジオでは携帯電話の電源は必ずオフに!

 本番中に携帯電話が鳴る…という恐ろしい経験は、実は過去に僕もスタジオで記者解説をしていて経験したことがある(ごめんなさい)。そこまでいかなくとも、メッセージの受信などでバイブ機能にしていたとしても、機器に干渉したり音声に支障が出てしまう可能性はあるので、必ず携帯電話は電源を切ってほしい。

7. 大きな音で咳やクシャミをするのはできるだけ避ける。

 番組収録にも支障が出ますが、たとえCM中でも音声さんの耳が「キーン」となって可哀想。…結構耳がやられます。

8. 胸をたたいて話さない

 これはとてもよくあるケース。特に女性が多い気もするのだが、「私が…」「私は…」などという言葉を話すときに、胸のところを押さえたりたたいたりするのがクセになっている人がいる。

 これをやられると、ピンマイクを手が直撃して、「ガサッ」という大きな音がしてしまうので、ぜひ気をつけてほしい。

9. カメラを見ないで、質問された人の方を向いて話す。

 スタジオで、何台もあるカメラの方を見て話すのは、プロの出演者以外にはまず無理。しかも、トークしているのにカメラ目線になっていたりすると、かえって不自然な印象を視聴者に与えてしまう。「カメラを見よう」とは思わないでほしい。

10. トイレに行くときは、スタッフに一声かけて!

 ワイヤレスマイクをつけたままトイレに行き、恥ずかしい音声を聞かれてしまう…これはプロの出演者でも実はよくしてしまう失敗だ。くれぐれも気をつけてほしい。

 あと、マイクがついていなくても、まもなく本番!というときに「あの人どこ行った?」と大捜索になることもよくあるので、出演時間が近づいてきたら、トイレに行くときにはぜひスタッフに一声かけてから。

 以上、思いつくままに、テレビ出演するときに気をつけてほしい10のルールをご紹介してみた。いろいろうるさいことを書いてしまったが、我々テレビマンにとって一番ありがたいことは、快く出演をオッケーしてくれて、緊張せず「あなたらしく」話してくれること。

 もし来年、どこかの番組から出演オファーが来たら、どうぞよろしくお願いします。

テレビプロデューサー・演出・ライター。

92年テレビ朝日入社。社会部記者として阪神大震災やオウム真理教を取材した後、スーパーJチャンネル、スーパーモーニング、報道ステーションなどのディレクターを経てプロデューサーに。中国・朝鮮半島やアメリカ同時多発テロなどを取材。またABEMAのサービス立ち上げに参画。「AbemaPrime」「Wの悲喜劇」などの番組を企画・プロデュース。2019年8月に独立し、テレビ・動画制作のみならず、多メディアで活動。公共コミュニケーション学会会員として地域メディアについて学び、顔ハメパネルをライフワークとして研究。近著に『腐ったテレビに誰がした? 「中の人」による検証と考察』(光文社)

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