「プロゲーマーになるために必要なことは勉強」賞金総額32億円のeスポーツ大会に出場する選手らは語った
「将来、プロゲーマーになりたい子供たちに『これだけはかかせない』ことがあれば教えてください」。賞金総額30億円のeスポーツ大会に出場する選手たちは、口をそろえてこう回答しました。
「勉強です」。
人気ゲーム『フォートナイト』の世界大会に日本人選手4名が出場!
米国時間7月26日から28日(日本時間では7月27日から29日)にかけて、アメリカのニューヨーク州にて人気ゲーム『フォートナイト』の世界大会「Fortnite World Cup」が開催されています。
「Fortnite World Cup」の目玉はその賞金です。なんと優勝者には300万ドル(約3億2,600万円)、出場するだけでも5万ドル(約540万円)、総額3,000万ドル(約32億6,000万円)にものぼる賞金が用意されているのです。
そしてその大会に、日本からオンライン予選を勝ち抜いた4人の少年が出場します。
最年少は中学3年生。出場するのは15〜16才の少年
日本から「Fortnite World Cup」に出場するのは、Maufin選手(Riddle所属。15歳、高校1年生)、TAKAMURAMM選手(Crazy Raccoon所属。16歳、高校1年生)、bell選手(Crazy Raccoon所属。15歳、高校1年生)、Scarlet選手(Crazy Raccoon所属。15歳、中学3年生)の4名です。
彼らは10週間にわたるオンライン予選を勝ち抜き、Maufin選手とTAKAMURAMM選手がソロ(ひとりでプレイ)の決勝、bell選手とScarlet選手がデュオ(ふたりでプレイ)の決勝への出場権を獲得しました。
すでに最低でも5万ドル(約540万円)の賞金が確定している4名の選手に、プロゲーマーとしてどのような生活を送っているのかお話を伺いました。
Maufin選手(アジア予選Week9:ソロ1位)
――ゲームは何歳ごろからプレイし始めましたか?
小学生です。モンスターハンターかドラゴンクエストだったと思います。
――いつから『フォートナイト』をプレイし始めたのですか?
2018年9月です。
――いつも1日にどれくらいゲームをプレイしますか? 決勝への出場を決めてからは?
けっこうわかれるんですけど、3時間から9時間くらいです。出場が決まってからもそのくらいです。
――プロゲーマーとしての活動を始めてから、友達や家族からの接し方は変わりましたか?
友達からは(Twitterの)DMで「応援してます」ってきました。
親からはゲームばかりするなってけっこう怒られてたんですけど、世界大会が決まってからはほとんど怒られていません。
――プロゲーマーとしての収入を教えてください。
YouTubeのチャンネル登録者数が9万人で、広告収入やスーパーチャット(視聴者による寄付)をあわせて大学生の初任給の倍くらいです。
――いまの年齢を教えてください。将来はどのように考えていますか?
いまは15才で、通信制の普通科に通っています。将来は何も決めていません。
――賞金の使いみちは決めていますか?
決めていません。でも上位を取ったら住んでいる千葉に家を買いたいです。
――将来、プロゲーマーになりたい子供たちに「これだけはかかせない」ことがあれば教えてください。
勉強が大事です。
TAKAMURAMM選手(アジア予選Week3:ソロ2位)
――ゲームは何歳ごろからプレイし始めましたか?
小学3年生だったと思います。ニンテンドーDSの『ポケットモンスター ダイヤモンド・パール』です。
――いつから『フォートナイト』をプレイし始めたのですか?
2018年の3月中旬くらいです。
――いつも1日にどれくらいゲームをプレイしますか? 大会への出場を決めてからは?
少ないときで6時間、多くて12時間くらい。決まってからは最低6時間はできるだけやるようにしています。
――プロゲーマーとしての活動を始めてから、友達や家族からの接し方は変わりましたか?
気づいたら(友達に)全部バレてました。わかんないんですけど、(学校の)担任が知っていて、兄も知ってて。気づいたら広がってた。
親は昔もけっこう(ゲームを)やらせてくれてたんですが、怒られたりもしてました。出場が決まってからはゲームをしていること自体を悪いと言われなくなって、すごい応援されるようになりました。
――プロゲーマーとしての収入を教えてください。
YouTubeのチャンネル登録者数が2万人で、うーん、10から多くて20万円くらいです。でも高校生なんで。
――いまの年齢を教えてください。将来はどのように考えていますか?
16才、高校1年生です。高校のうちは(プロゲーマーを)やろうと思ってます。ずっと続けていくつもりはないです。
まだ好きなことが見つかっていないので。これから先見つかったら夢にかかわる大学に行きたいです。
――賞金の使いみちは決めていますか?
自分の部屋の机、エアコン、モニターとかいろいろ、ゲームを遊ぶ環境をより快適にしたいです。いまは部屋にエアコンがないので。
――将来、プロゲーマーになりたい子供たちに「これだけはかかせない」ことがあれば教えてください。
ちゃんと学校に行くことです。難しいですけどね、学校に行きながらプロゲーマーって。でも学校に行ってたほうがいいです。
(自分は)通信に行ってて、午前と午後があって、どっちか好きな方に行けばいい生活です。
勉強をちゃんとしながら、ある程度(プロゲーマーとして)頑張ったほうがやっぱりいいと思います。未来があるので。ゲームだけにいっちゃうと、失敗したときに……。ボクは学校行ってたほうがよかったと思ってます。
bell選手(アジア予選Week2:デュオ1位)
――ゲームは何歳ごろからプレイし始めましたか?
幼稚園でニンテンドーDSの『どうぶつの森』です。
――いつから『フォートナイト』をプレイし始めたのですか?
2017年の12月です。
――いつも1日にどれくらいゲームをプレイしますか? 決勝への出場を決めてからは?
いつも暇だったんで、みんなが集まるチャットツールの『Discord』に10時間くらいいて、そこで一緒にプレイできるメンバーがきたら遊んでます。TAKAMURAMM選手といつもやってます。
――プロゲーマーとしての活動を始めてから、友達や家族からの接し方は変わりましたか?
リアルの友達から誘われて『フォートナイト』を始めたので、(友達は)みんな知ってます。なんも変わってないです。親は応援してくれています。
――プロゲーマーとしての収入を教えてください。
頑張った月と頑張ってない月で全然違うので。でもお小遣いくらいです。
――いまの年齢を教えてください。将来はどのように考えていますか?
15才、高校生です。大学に進学して、4年間楽しんでから就職したいです。
ゲームは続けるけれど、エンジョイで。何年かやったらやめます。飽きてしまうので。
でも(所属チームの)契約がおわるときに続けられたら続けます。ほかになにかやらなきゃいけないことがあったらやめます。
――賞金の使いみちは決めていますか?
友達とGucciに行きます。憧れなので。もし上位になれたら家のローンを払います。500万円だけだったら自分が思い出せる好きなものを全部買ってから考えます。
――将来、プロゲーマーになりたい子供たちに「これだけはかかせない」ことがあれば教えてください。
勉強しとけって感じです。勉強しろよ!
Scarlet選手(アジア予選Week2:デュオ1位)
――ゲームは何歳ごろからプレイし始めましたか?
詳しい年齢は覚えてないんですけど、幼稚園のころにニンテンドーDSで『アンパンマン』。
――いつから『フォートナイト』をプレイし始めたのですか?
2017年の11月からです。
――いつも1日にどれくらいゲームをプレイしますか? 決勝への出場を決めてからは?
8〜10時間くらいです。決まってからはあんまりやってないです。気持ちがゆるみました。
――プロゲーマーとしての活動を始めてから、友達や家族からの接し方は変わりましたか?
友達にばれて、学年でうわさになっているそうです。でもいまは休学しているので活動に支障は出てないです。
親は「勉強もしなさいよ」ぐらいです。勉強はしてます。
――プロゲーマーとしての収入を教えてください。
本当に月によって変わるんですけど、いいときでサラリーマンの月給以上はもらってます。
――いまの年齢を教えてください。将来はどのように考えていますか?
15才、中学3年生です。高校は行きます。
プロゲーマーはそのとき次第で決めます。先のこと何もわからないので。
――賞金の使いみちは決めていますか?
いやー、とくにないです。そうですね、服を買います。で、親孝行します。
――将来、プロゲーマーになりたい子供たちに「これだけはかかせない」ことがあれば教えてください。
プロゲーマーは条件の良い人しかなれないので、なろうと思ってなれる職業じゃないので勉強したほうがいいです。
海外の15歳選手も家庭教師を呼んで勉強
いずれの選手も「かかせないこと」として「勉強」を挙げていたことが印象的でした。プロゲーマーはずっと続けられる職業ではないため、その後のためとして勉強が必要だと語っていました。
ただ、1日にかなりの時間をゲームの練習に費やしているため一般的な生活スタイルで学校に通う勉強は難しく、選手たちはプロの世界が見えてからは通信制や単位制の学校を選んで時間の調整しているようです(1名は休学中)。
こうした動きは海外の選手からも聞こえてきました。
「Fortnite World Cup」の記者会見に登壇したイギリスのBenjyfishy選手(15才)は、「有名になってから、どうやって時間を管理していますか?」という記者からの質問に対してこのように回答していました。
Benjyfishy選手:普通の学校に通っていたときは寝不足になっていました。だからいまは家庭教師を呼んで勉強しています。
プロゲーマーを目指すために学校をやめようとする子供の話はネットで多く見かけます。しかし、いま世界で人気のあるゲームの第一線で活躍している選手は「勉強はかかせない」と話しています。
プロゲーマーになりたい子供たちは、ぜひゲームと勉強を両立させて頑張ってほしいと筆者は記者として、また、ひとりの親としても思います。
なお、日本時間の7月28日午前2時よりデュオの決勝戦が、同29日午前2時よりソロの決勝戦が始まります。eスポーツの世界に興味のある方は4名の選手の活躍をチェックされてみてください。