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アフリカ盆踊りが繋ぐアフリカと日本~TICAD7前夜祭

下村靖樹フリージャーナリスト
盛り上がる「アフリカ盆踊り」参加者(撮影/筆者)

今日から「TICAD7(アフリカ開発会議)」が開幕します。

TICADは日本政府が主催し3年に一度開催される会議で、アフリカ54ヶ国(※)の首脳級が参加します。また、アフリカに関わる日本の人々にとって、日本国内でアフリカという単語が最も飛び交う、アフリカの認知度を上げる最大の機会でもあります。

(※今回の会議には西サハラも参加していますが、日本は国家承認をしていないためカウントしていません)

「アフリカの魅力を一人でも多くの人に知ってもらいたい」。

これはアフリカに関わる人々にとって長年の悲願です。

アフリカのどこに魅了されているかは人それぞれですが、「ステレオタイプなアフリカのイメージを払拭したい」という思いは、全員に共通している気がします。

そんな思いは、今回のTICADでもサイドイベントの充実につながっています。

(撮影/筆者)
(撮影/筆者)

その一つ、「アフリカ盆踊り」が昨夜横浜「象の鼻パーク」で開催されました。日本舞踊家の孝藤右近氏が中心となり、TRFのリーダーDJ KOO氏の音に合わせて400名近い人々が盛り上がりました。

「アフリカ盆踊り」は正式な名称を「BON for AFRICA」といい、「美空ひばり×盆踊り×アフリカ」がコラボレーションする日本とアフリカの合作による「新しい盆踊り」です。

日本舞踊家の孝藤右近氏を中心に様々な業界からアフリカへの想いを持ったメンバーが集まり実行委員会が立ち上げられ、JICA(国際協力機構)が主催者となり開催にいたりました。

実行委員会がクラウドファンディングで集めた資金で、孝藤右近氏とTRFのリーダーDJ KOO氏は7月にアフリカに足を運び、美空ひばりさんの名曲「川の流れのように」に合わせて現地の人々と踊る映像は、YouTubeで公開されています。

孝藤右近氏(左)DJ KOO氏(右)(撮影/筆者)
孝藤右近氏(左)DJ KOO氏(右)(撮影/筆者)

昨夜のオープニングはTRFの楽曲からでした。

横浜港の美しい景色を背景に、DJ KOO氏は「EZ DO DANCE」・「survival dAnce 〜no no cry more〜」と誰もが思わず体を動かしてしまう曲を続け、会場の雰囲気は一気に盛り上がりました。そしてメインとなる「川の流れのように」が流れた瞬間、会場のボルテージは最高潮に!

(撮影/筆者)
(撮影/筆者)

Aさん(日本人/32歳/女性)

「たまたま通りかかった時にDJ KOOさんがいることに気づき、写真を撮るために櫓に近寄っていったら、浴衣を着たアフリカの女性が腕をひいて踊りの輪に加えてくれました。普段そんなにアクティブな方ではないので、自然に踊りの輪に加われた自分にちょっと驚きました。このアットホームで一体感のある雰囲気、とても心地良いですね。アフリカのことは何も知らなかったので、後で色々調べてみたいと思います」

Bさん(コンゴ民主共和国出身/日本在住/29歳/男性)

「これだけのアフリカ出身者と会う機会はないので、とてもありがたいですね。あと日本の音楽のリズムで踊れるのは楽しい。このリズムは母国にはないので、ぜひ国に帰った時には友達や家族に聞かせたいですね!」

印象的だったのは、国籍や肌の色など全く関係なく、老若男女全員が笑顔で、肩肘張らず、カッコをつけず、自然体で楽しそうにリズムに乗って体を動かしていたことでした。

(撮影/筆者)
(撮影/筆者)

「アフリカ盆踊り」開催前にはカメルーン出身の人気漫画家の星野ルネ氏と、TVなどで活躍されるセネガル出身のマンスール・ジャーニュ氏のトークショーが行われました。

アフリカに縁を持ちつつも日本に生活基盤をおいているお二人の、ウィットに富んだ掛け合いは、会場を笑いの渦に巻き込んでいました。

星野ルネ氏(左)マンスール・ジャーニュ氏(右)(撮影/筆者)
星野ルネ氏(左)マンスール・ジャーニュ氏(右)(撮影/筆者)

中でも星野氏の「日本在住アフリカ人、あるある」は、私も思わず笑ってしまいました。ご興味がある方は、星野ルネさんのTwitterを是非ご覧ください。

アフリカに縁を持つ人というだけで、無意識にステレオタイプな思い込みをしてしまっていることに気づかされ、同時に星野氏の見事な突っ込みやボケに深い共感を覚えると思います。

今日からしばらくの間、メディアで「TICAD」という単語を目にすることが多くなると思いますので、是非とも注目してください!

フリージャーナリスト

1992年に初めてアフリカを訪問し、「目を覆いたくなる残酷さ」と「無尽蔵な包容力」が同居する不思議な世界の虜となる。現在は、長期テーマとして「ルワンダ(1995~)」・「子ども兵士問題(2000年~)」・「ソマリア(2002年~)」を継続取材中。主に記事執筆や講演などを通し、内戦や飢饉などのネガティブな話題だけではなくアフリカが持つ数多くの魅力や可能性を伝え、一人でも多くの人にアフリカへの親しみと関心を持ってもらう事を目標に活動している。 

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