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文在寅大統領がミャンマー軍部と警察を糾弾、住民への弾圧で

徐台教ソウル在住ジャーナリスト。『コリア・フォーカス』編集長
19年9月、ネピドーでアウンサンスーチー国家顧問と会談する文大統領。青瓦台提供。

民主主義を求めクーデターに反対するデモを行う住民に対し、軍部や警察が激しい弾圧を加えているミャンマー。多数の死傷者が出ている事態を前に、韓国の文在寅大統領が弾圧側を非難するツイートを行った。

●公式アカウントで言及

6日午前、文大統領はツイッターの公式アカウントを通じ、ミャンマーについて以下のように言及した。

ミャンマーの国民たちに対する暴力は即刻中断されなければなりません。これ以上人命の犠牲があってはなりません。

ミャンマー軍と警察による暴力的な鎮圧を糾弾し、アウンサンスーチー国家顧問をはじめ拘禁された人士たちの即刻釈放を強く求めます。民主主義と平和が一日も早く回復されることを切に願います。

同様の内容は、英語でも以下のように翻訳されツイートされた。

Use of violence against the people of Myanmar must stop now. There should not be any more loss of lives. We condemn the violent suppression of protests by the military and the police forces and strongly call for the immediate release of all those detained, including State Counsellor Aung San Suu Kyi. We stand firmly with the people of Myanmar for a quick, peaceful restoration of democracy.

#JusticeForMyanmar #StandWithMyanmar

実際のツイートはこちら。

このツイートは投稿後約4時間が経った現在、4000人以上にリツイートされ、6000以上の「いいね!」が付いている。

●ミャンマーからの謝辞も続々と

また、ミャンマー市民と見られるアカウントから、数十の謝意を伝えるコメントが届いている。中には韓国語で書かれたものもある。

韓国社会には、2月1日にミャンマー軍部がクーデターを起こして以降、民主主義を求める住民を実弾射撃をもって力ずくで弾圧する事態を、「1980年5月の光州と同じだ」と受け止める反応がある。

光州市では当時、全斗煥(チョン・ドゥファン)率いる新軍部の権力掌握に反対し立ち上がった市民に対し、軍がヘリや小銃を使った射撃を行い、公式的に150人以上(非公式はその倍)の市民が犠牲となった。

当時、光州は孤立し、国際社会からの支援を切実に求めていた。その姿が今のミャンマーと重なるということだ。

軍部に「NO」を突きつけるミャンマーの市民。ミャンマー在住の金茂成さんが2月に撮影。
軍部に「NO」を突きつけるミャンマーの市民。ミャンマー在住の金茂成さんが2月に撮影。

未だ市民一般の関心の程度が大きいとは言えないが、市民団体が中心となり2月26日には国会でミャンマー非難決議案が採択され、3月5日には公営放送『KBS』で特集が放映されるなど少しずつ事態の深刻さが社会に浸透している感はある。

そうした中で、文大統領みずからミャンマーの事態に言及することで、こうした動きは一層進むものと見られる。

ミャンマーでは2月1日以降、50人以上の市民が亡くなり、多数の死傷者が出ている。国連安全保障理事会は5日にも会合を開き対応を協議したが、中国やロシアと欧米諸国の足並みが揃わず、これといった結論を出せずに終わった。

※5日22時から韓国の公営放送KBSが放映したミャンマー特集。『時事直撃』という番組で、タイトルは「奪われたミャンマーの春-軍部クーデター一ヶ月の記録」だった。今も全編がYoutubeのKBS公式アカウントで見られる。

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「光州の経験から韓国市民は特別な関心」、市民団体が韓国政府にミャンマー民主主義支援措置を要求

https://news.yahoo.co.jp/byline/seodaegyo/20210303-00225567/

ソウル在住ジャーナリスト。『コリア・フォーカス』編集長

群馬県生まれの在日コリアン3世。1999年からソウルに住み人権NGO代表や日本メディアの記者として朝鮮半島問題に関わる。2015年韓国に「永住帰国」すると同時に独立。16年10月から半年以上「ろうそくデモ」と朴槿恵大統領弾劾に伴う大統領選挙を密着取材。17年5月に韓国政治、南北関係など朝鮮半島情勢を扱う『コリアン・ポリティクス』を創刊。20年2月に朝鮮半島と日本の社会問題を解決するメディア『ニュースタンス』への転換を経て、23年9月から再び朝鮮半島情勢に焦点を当てる『コリア・フォーカス』にリニューアル。ソウル外国人特派員協会(SFCC)正会員。22年「第7回鶴峰賞言論部門優秀賞」受賞。

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