新型コロナ危機、なぜ韓国政府は日本を支援すべきか?

18年5月、日韓首脳会談での文在寅大統領(左)と安倍晋三首相。(写真:代表撮影/ロイター/アフロ)

新型コロナウイルスが世界的に拡散する中、隣国でありながら協力が行われないばかりか距離感ばかりが目立つ日韓関係。韓国政府への要望をオピニオン記事にまとめた。

原文は筆者(徐台教)が韓国語で韓国社会向けに書いたものだ。しかし、日本の市民の皆さんにもこういった考えがあるということを知っていただくために、日本語に翻訳した。ご参考願いたい。

●新型コロナ危機、なぜ韓国政府は日本を支援すべきか?

韓国政府は最近、新型コロナウイルス(COVID-19)の世界的拡散にしたがう措置として、朝鮮戦争の参戦国に対し防疫物資を支援する計画を明かした。それと共に隣国・日本に対しても防疫物資を支援する考えがあることを示しながらも、「日本政府の公式的な要請がない限りは難しい」という立場を取っている。これは当然の論理だ。どの国も対象国の要請なくして支援はできない。しかし韓国政府が躊躇するもう一つの理由がある。両国の過去事(歴史)の葛藤が輸出規制とビザ免除の制限いう現実の経済措置にまで飛び火した状況がそれだ。昨年から未解決のまま続く強い葛藤が、日本に対し先に態度を変える必要がないという韓国政府内の認識と世論を喚起している。

一方、すでに日韓のメディアは日本の地方自治体が駐日韓国大使館や領事館に対し、防疫物資の支援要請を打診していると報じている。よく知られたように現在、韓国と日本の新型コロナウイルス拡散に対処する姿は対照的だ。韓国は三か月間の死闘の末、毎日の確診者(検査陽性者)を10人前後に減らすことに成功した一方、日本は依然として毎日数百人ずつ確診者が増えている。それだけでなく、日本第二の都市・大阪では防護服が足りず市長が直接、雨合羽を支援してくれるよう頼み、医療陣の不足を埋めるために既に新型コロナウイルス陽性判定を受けた看護師を現場に投入する事態となっている。病床、人手、物資、装備などが全国的に足りず「既に医療崩壊が起きている」という指摘が医療現場の内外から聞こえてくる。韓国でもよく知られたソフトバンクの孫正義会長のツイッターには、日本の県知事たちが競って支援を要請している。

日本の劣悪な現実を韓国政府の充分に把握していると見られる。今こそ韓国政府は日本政府に対し、防疫物資の支援のみならず、既に現場で新型コロナウイルスへの対応経験を積んだ医療陣の派遣と各種防疫ノウハウの伝授を積極的に打診するべきだ。

理由は大きく三つある。まずは人道主義的な側面からだ。日本の市民はもちろん、韓国の同胞たちも支援の手を待っている。次に日本国内の世論の変化だ。安倍政府の未熟な対応に対する失望感が広まる今こそ、強い嫌韓情緒をひっくり返してみる機会と判断できる。最後は韓国の国益のためだ。日本における新型コロナウイルスの拡散が早く沈静してこそ、日韓の間で経済的・人的な交流が再開できる。新型コロナウイルスは「第二次政界大戦以降、最悪の危機(ILO)」である。隣国と手をつないで乗り越えるべきだ。今が大きな度量を持って積極的な「防疫外交」を行うに最も適した時期だ。

先に言及したように、日本の安倍政府の呼応なくして韓国政府の支援は現実化しない。この部分で安倍総理もまた、方針を改める必要がある。今の日本国内の医療崩壊を招いた責任を直視し、各地方自治体が韓国に今すぐ求めるものが何かを取りまとめるべきだ。そして窓口を一元化し、韓国政府と真剣な議論に臨むべきだ。文在寅大統領も首脳間のホットラインを通じ積極的な支援の意思を明かし、国内外の世論を醸成するべきだ。文大統領は日本との関係において、過去事(歴史)問題とそれ以外の経済・外交問題を分離させ進める「ツートラック外交」をその間強調してきた。今回こそ、この原則に従い積極的な対日外交を行う時だ。

新型コロナウイルスの拡散は、国際秩序の再編をもたらす可能性があると多くの識者が指摘している。だからこそ、今の状況を日本社会で忘れたころに降って湧く「旧宗主国と被植民支配国」という枠組みを完全に終わらせる適期とすべきだ。日本社会はすでに充分に韓国の新型コロナウイルス対策が成功したと感じている。韓国と日本、両政府の勇断を通じ人々も救い、未来も救う文字通り「ウィンウィン」の日韓関係が現実となることを望んでやまない。(徐台教)