1974年大阪府生まれ。京都大学大学院文学研究科博士課程研究指導認定退学。博士(文学)。東京大学大学院医学系研究科医療倫理学教室で専任講師を務めた後、2012年から現職。専門は倫理学、政治哲学。功利主義を軸にして英米の近現代倫理思想を研究する。また、臓器移植や終末期医療等の生命・医療倫理の今日的問題をめぐる哲学的探究を続ける。著書に『功利と直観--英米倫理思想史入門』(勁草書房)、『功利主義入門』(ちくま新書)、『マンガで学ぶ生命倫理』(化学同人)など。
記事一覧
- 患者の治療拒否が死を意味するとき:公立福生病院の事件と「ダックスのケース」
公立福生病院の透析中止の事件に関して、日本透析医学会がステートメントを出した。問題となっていた44歳の末期腎不全の患者の透析治療中止に関して、患者の「意思が尊重されてよい事案」と判断したという内容だ。
- 安楽死という選択
昨日のクローズアップ現代+で安楽死が取り上げられた。近年の日本では安楽死が公の議論になることが少なかったので歓迎したい。本稿では、安楽死についての若干の説明と今回の番組を筆者が歓迎する理由を述べる。
- アルジャーノンに花束を? ダウン症の「治療」と生命倫理
「ダウン症の出生前治療を可能にする新規化合物」という研究が公表された。今回の研究成果には多くの倫理的問題が含まれているように思われる。下記では現時点で考えられる論点を三つ指摘したい。
- 京都市の「事前指示書」は何が問題なのか
京都市が4月から配布を始めた「事前指示書」が問題になっている。この問題を取り上げた新聞記事で指摘されている問題には誤解も見られる。そこでそうした誤解が広まらないよう簡単な「ファクトチェック」を行う。
- ゲノム編集の倫理:米国アカデミーの報告書を読む
米国科学アカデミーが人間へのゲノム編集技術の適用についての報告書を公表した。この報告書の特徴は、ヒトの生殖細胞にゲノム編集を行って遺伝子改変された子どもを作る可能性に踏み込んで論じている点である。
- 死刑を廃止すべきか (その2)
日弁連が10月に開催される人権擁護大会において死刑制度廃止宣言を採択する予定である。死刑制度について倫理学的にはどのように考えるべきだろうか。今回は死刑廃止論について見てみたい。
- 死刑を廃止すべきか (その1)
日弁連が死刑廃止宣言を採択予定である。その背景には冤罪の懸念と世界的な死刑廃止の潮流がある。死刑制度について倫理学的にはどのように考えるべきか。二回に分けて検討する。最初は存続論について見る。
- 脳死臓器移植400例目。法改正を見据えた議論を
まもなく臓器移植法施行後400例目となる脳死移植が行われる見通しである。400例を超えたことは喜ばしいが、残念ながら臓器提供数は足りていない。日本は次の法改正を見据えた議論を始めるべきときに来ている。
- 4億円あったらどこに寄付すべきか
「4億円を寄付した男の“危機感”」という記事は、ある篤志家がポケットマネーで4億円を「子供の未来応援基金」に寄付した話だ。しかし、本当にこの基金に4億円寄付することが正しい選択だったのだろうか。
- 新型出生前診断の倫理的ジレンマと来たるべき社会
現在、新型出生前診断の臨床研究が行われている。中絶の問題はタブー視されがちだが、新型出生前診断がもつ倫理的ジレンマに目を背けていると、気付かないうちに望ましくない社会が到来することになるかもしれない。
- 毛髪の再生医療と来たるべき社会
毛髪の再生医療研究の進展は脱毛症に悩む人の福音となりうるが、「毛髪格差社会」を生み出す可能性もある。我々は、「ハゲ」は病気か、毛髪再生医療研究を優先的に進めるべきかなど、実用化に先駆けて考えるべきだ。
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