経団連は就活を変えられるか?インターンシップの現状とは

(写真:アフロ)

4月19日、経団連と大学による協議会(産学協議会)が行われ、その中で「インターンシップ」の新たな定義についても話し合いが行われたという。

ポスト・コロナを見据えた新たな大学教育と産学連携の推進

そこで今回はコロナ禍でインターンシップの現状がどうなっているか、そして経団連の動きを踏まえて今後の就活がどうなるかを考えてみたいと思う。

【 コロナ禍で新卒採用はインターン重視の傾向が強まる 】

コロナ禍で大きく変化した就活だが、特に大きな変化だったのがオフラインイベント/セミナーの開催ハードルが高くなった事だろう。

元々、コロナ前から問題視されていた点として就活の本選考は短期集中化してしまっていた。

3月の採用広報解禁から6月の選考解禁(現実には内々定の解禁)まで実質2〜3ヶ月しかなく、この短期間の間に企業を探し、説明会に参加し、エントリーシートを提出したり面接を受けたりしなければならなかったのである。

しかしオフラインの就活イベントの多くが中止になり、大々的に企業説明会を開くことも困難になり、多くの企業が採用母集団の形成に頭を抱えることになった。

フットワークの軽い企業はオンラインイベントに切り替えることで対応することができたが、そのような事ができる企業は一部に留まる。その結果として、「インターンで接点を持てていた学生からの採用」が例年以上に重視されるようになっている。

インターンシップを実施せず、本選考の時期から採用活動を行っていた企業はまともに動けなかったといっても過言ではないだろう。

22卒採用においては「インターンの時点で母集団形成をしっかりしておくべき」という考えの企業が更に増え、大学3年の夏(6〜8月)時点で参加できるインターンも増加した。(ただし、オフラインでのインターンが難しくオンラインインターンに移行する企業も多かった。)

一方で学生側にも企業と接点を持つのは早めが良いという認識が浸透し、インターン参加学生も増加している。

株式会社学情によるアンケート(2021年1月)によると、インターンへの参加経験がある学生は67.3%にも上り、ほぼ7割近くの学生がインターンから就活をスタートしている。インターンは秋や冬に開催されるものもあるが、多くは3年の6~8月の時期に集中している。

【学生1人あたりのインターン参加社数は3~5社程度】

つまりこの時期に多くの学生と接点を持つことが企業にとっての重要課題なのだが、学生の可処分時間も有限であるため、1週間以上拘束されるインターンにそういくつも参加できるわけではない。

実際、先程引用した学情のアンケートによると学生1人あたりのインターン参加社数は3~5社程度。1人で10社以上のインターンに参加する積極層も存在はするが、インターン主体で就活をした場合、出会う企業の数自体は少なくなりがちだ。

もちろん企業側も企業側で、現場社員や人事担当者の負担を考えるとそこまで大人数のインターンを何週間も受け入れる事は難しい。

そのため多くの企業ではインターンも二段構えになっており、1Dayインターンと数日間のインターンを並行で実施させたり、1Dayインターン参加者の中から「次のインターン」を選抜することで対応している事が多かった。

それらのインターンをすべて数日間~数週間にしろというのは、企業と学生のどちらの負担を考えても現実的ではない。

この点について、学生目線では不安も大きいようだが、その点については後述したい。

【採用直結のインターンも存在すると明言】

ここで産学協議会の議論について触れると、インターンの定義の仕方について注目すべき論点が出ている。

実は産学協議会は2020年の報告書の中で、「キャリア教育としての低学年向けイン ターンシップ」と「就職・採用選考を意識した高学年向けのインターンシップ」を区別すると明言している。

これについては現実に則した認識であり、協議会でこのことに言及されたのは大きな一歩だったと思われる。

今までは、両者が混在する中で「実際には採用に影響があるにも関わらず、タテマエで採用には影響がないと言わなければいけなかった」という状況だった。

「キャリア教育のためのインターン」と「採用選考を意識したインターン」、これらがどちらも存在する、存在して良いものだと認識した上で、それぞれに対して普及や改善を進めていくべきである。

経団連と大学側がこの認識を持ったという意味は非常に大きいと思われる。

【「1Dayインターン」はインターンではない?】

産学協議会で議論されているもう1つの注目すべき点が、「ワンデー・インターンシップは就業体験を伴わないことから、今後この名称を使用しない」という事だ。

1Dayインターン企画の中には「ほぼ企業説明会と同様」のプログラムも多く、集客のためにインターンの名を冠しているケースが多かった。

この歪みを是正するべきという意見は以前から多く存在した。

産学協議会での話は、そういった1Dayのプログラムを禁止するわけではないため、違う名称で1Dayの学生向け企画を開催することはできるという事になる。

しかし学生の反応はというと、「長期間のインターンなんてそう何度も参加できないのに、ワンデーインターンの価値を下げられるのは嫌だ」という反応が見られる。

「仕事体験必須と言われると、ハードルが高く感じられて不安。」「ワンデーインターンがインターンじゃなくなるなら、どこでその情報を探したらいいのか?」などという意見もあった。

(※現状、グランドオープン前の就活ナビサイトはインターン情報サイトとして運用されている)

こういった学生の不安が噴出している事は事実であり、情報の届け方を含め検討していく必要があるだろう。

代替手段・代替呼称がないまま1Dayインターンを潰してしまい、学生と採用の現場が迷走することがないよう慎重に対応いただきたいところだ。

1Dayインターンの乱立に批判が多く集まっていた事は事実であるが、「たとえ1日でも、企業や業界についてしっかり知ってもらいたい」という考えからよく練られたプログラムを提供する企業もあった。

名目はどうあれ学生と企業の出会う場として機能しているものを抑制するのであれば、その代替案も含めて慎重に考えるべきだろう。