「女子学生はスカートとパンツスーツ、どちらを履くべき?」スカートを勧める大学の就職指導に非難集まる

(写真:アフロ)

就活解禁後の3月4日深夜、NHKで『就活応援TV』という番組が放送された。

その番組中で話題になり、ネットでも議論を呼び起こしたのが「女子就活生は面接でスカートとパンツスーツのどちらを履くべきか」という問題だ。

【大学の指導がおかしい?との意見】

番組に登場した女子就活生は、「大学からの指導でスカートを勧められた」と証言。

それに対して「そんな事を指導する大学側はおかしい」「スカートでなければ採用しないなんてセクハラでは」などの意見が噴出した。

(番組では女子学生の発言でしか紹介されていないため、実際に就職指導を行った人間がどのような表現をしたかは定かではない事を申し添えておく。拡大解釈されて非難されている感も否めない。)

一方で人事担当者は満場一致で「気にしない」と回答。

「スカートでもパンツスーツでも、その人の中身を見たい」などの意見が述べられ、概ね「スカートで就活に臨む必要性は薄い」という論調で番組は進行した。

その後、番組での議論はTwitterなどのソーシャルメディアやネットニュースにも飛び火。主に「スカートを履くべき」という就職課の指導内容に対して批判や懐疑的な声が集まっている。

「スカートかパンツスーツかでは判断しない」という点において人事担当者達の見解は正しい。

しかし一方で、大学の就職指導でそう言われている事が100%間違いとも言えないと筆者は考えている。(言葉足らずだとも思うが…)

番組に出演した企業人事と大学の就職指導の両者が、なぜこのように食い違ってしまったのだろうか?

【男女関係なく、就活での服装をどう考えるべきか】

まず、このテーマにおいて私自身の意見を述べるとすれば下記の2点に集約できる。

[1]スカートであれパンツスーツであれ、「本人に似合い、着こなせる」服装が良い

[2]服装の選択で合否が決まる事はまずないが、自信の持てる服装で面接に臨めば精神的には有利である

一部の「古臭い女性らしさ」を重視するような古い業界でもない限り、基本的にこの考え方で問題ない。

大体の場合において、最も大事なのは自分自身がどういった精神状態で面接に臨めるかである。

「この服装、もしかして不自然かな…?」なんて思いながら面接に臨んでいては、合格できる面接も不合格になりかねない。

これは、女性に限らず男性の服装においても同じだ。

着こなしが不自然でなければどちらでも構わない。

その上で、女子就活生に対して「パンツスーツを勧めない理由」があるとすれば、

・そこで迷うくらいなら「本人が無難だと思う方」を選ぶべき

・パンツスーツは普段から着慣れていないと特に着こなしが難しい

…という事が挙げられる。

無難な方を選べというと「思考停止では」と思われるかもしれないが、そもそも就活は他に考えるべき事がたくさんある。考えるべき事に頭を使うため、本質的ではないところで「無難」を選ぶのは別に悪い事ではない。

パンツスーツはストッキングの伝線を気にせずに済むなどのメリットもあるが、スカートに比べて体の線が出やすいので体格・体型を選ぶ。体型に合った着こなしをしなければ見苦しくなってしまう事もあり、人によってはスカート以上に気を遣う。

もちろんスカートを普段から履いていない方にとってはパンツスーツの方が慣れていてラクかもしれない。それはそれで構わない。

逆に言うと、「自分はパンツスーツが好きだし、着こなしもできる」と自信を持っている学生に対してわざわざスカートを履けと指導する必要性は薄いのではないだろうか?

なお同番組で「パンプスを履かなければいけないのかどうか」とも話題に挙がっていたが、これも同じ考え方で良い。

【人事と就職指導担当で意見が食い違うのは当たり前】

以上を踏まえた上で、冒頭のテーマに戻ろう。

『就活応援TV』での人事担当者と、就職指導する担当者との間で意見が食い違うのは当然だ。

なぜなら就職指導する担当者は「自分が気にするかどうか」ではなく、「学生が様々な企業を受ける中で、服装が理由で落ちないためにどうアドバイスするか」…という視点で考えて指導しなければいけない。

一方で人事担当者が、「スカートかパンツスーツかなんて気にしない」と表明する事は簡単だ。

人事担当者は「自分は気にしない」「弊社の選考では関係ない」というスタンスで意見を言えるからだ。

ただ服装の選択で合否を左右させないというのは大変素晴らしい事だが、世の中のすべての面接担当者が自分と同じであると保証できるわけではない。

「あなた以外の世の中すべての面接担当者も同じ意見なのですか?」と聞かれたら、それでもYESと言えるだろうか?

特に、日曜深夜の生放送に出演するような「意識の高い人事担当者」が古臭い考え方を否定するのは当然のこと。

老若男女、世の面接担当者がすべて同じ思考回路で動いていると思ったらそれは間違いだ。

服装を気にしないと語る人事と、スカートを履けと指導するアドバイザー…どちらが正しいというわけではなく、そもそも視点が違うのだ。

【人事側からのメッセージ発信は重要】

もちろん、大学の就職指導担当が思考停止して「スカートが無難」と指導しているだけかもしれない。

しかし古臭い企業の中に「女性ならスカート」という発想の選考担当者も少なからず残っている可能性はあるだろう。

この手の議論において「面接官」というと男性社員を想像する方が多いようだが、むしろ女性社員が面接官になった場合の方が「女性らしい服装」を気にする傾向にある。

段々とそういう発想の面接官は減っているかもしれないし、「そういう発想の人間が面接官である時点で願い下げだ」と考えるならばそれはそれで間違っていない。

だからこそ、有名企業の人事側から「弊社はそんなところで判断しません!」というメッセージを発する事自体は大変意義がある。

そのメッセージが当たり前になった時、就職指導担当者も「スカートが無難だ」と言わざるを得ない現状から解放されるだろう。