学歴フィルターでナビサイト炎上?就活生からの告発が相次ぐ
3月1日に各社の就職ナビサイトがグランドオープンし、企業へのエントリー受付が開始された。
それに伴って話題になっているのが「学歴フィルター」の存在だ。
この学歴フィルターの存在が明るみになり、炎上する事案が続いている。
学歴フィルターで炎上?
発端は、帝京大学に通うという女子大生が投稿したTwitterだ。
(本人写真を使用しているアカウントだったので、念のためリンクは割愛する)
曰く、その学生がある企業の説明会にエントリーしようとしたところ、「全部満席」だったという。
「満席になるのが早すぎる」と怪しんだその学生は、自分の登録情報を早稲田大学に変更。すると、空席ありの説明会が表示されたという。
本人は企業名を伏せているが、セミナー名から「高橋書店」の説明会であることがわかり、学生の間でも噂になっている。
筆者も知人の大学生数名に確認をしてもらったところ、大学によって満席/空席表示が切り替わっていた。
その後、Twitterではこんな投稿も話題となった。(こちらは匿名アカウントなので、Tweet自体を掲載する。)
性別や学歴によって説明会受付状況が変わるという「告発」である。
こちらのツイートで「告発」されたのは、プリントシール機などを手がけるフリュー。
企業名を載せた投稿のリツイートは本記事執筆時で5000を超えている。そしてツイートが公開された後、数時間後に性別・学歴に関係なく予約ができるようになったとのこと。
筆者が協力者に確認してもらったタイミングではすでに性別・学歴に関係なく予約できるようになっており、満席状態は確認できなかった。
追記:本記事においては、フリューが学歴フィルターと呼ばれるような設定を行ったと断定しているわけではない。極稀に予約キャンセルが出ることで満席→空席に変わり、学生がその瞬間にたまたま立ち会った可能性も考えられる。
学歴フィルターというサービスがあるわけではない
まず、誤解(?)を解いておくと「◯◯フィルター」という名前のサービスがあるわけではない。
セミナーエントリー受付機能の中に「特定学生を対象とした非公開日程の設定が可能になる」という仕組みがあり、これを学生の属性によって表示させたりさせなかったりする事ができるようになっているのだ。
この仕組みを利用し、「大学」を条件に公開/非公開できるようにしたものが俗に「学歴フィルター」と呼ばれるようになってしまったのだ。
ナビサイトの「上位プラン」ではそういった機能が使えるようになっている。
先程の帝京大学・早稲田大学の例で考えると、例えばこんな運用だ。
[1]早稲田大学など一部の大学のみを対象とした説明会日程を登録する
[2][1]で設定した大学「以外」を対象とした同じ日程の説明会を登録する
帝京大学の学生の画面には[2]の説明会が表示されることになる。[1]と[2]では残席数も別枠での管理となる。
ここで人事が「説明会参加者の50%は早稲田大学などの一部大学にしたい」と考えた場合、[1]と[2]に同じだけの席数を設定するだろう。
しかし[1]の説明会が表示されるのは一部の大学のみ。当然、予約する学生の母集団は[2]の方が多い。
そうすると、[2]が表示される場合だけ「満席」になり、[1]が表示される場合には「空席あり」になるというカラクリだ。
学歴フィルターを使う企業は減っている?
ただ、学歴フィルターは学生にバレた時のリスクが高いため最近では使用を控えている企業も多い。
そもそも、学歴フィルターなどを使用しなくともそれ以外により効果が期待できる方法があるのだ。
例えばダイレクトメールをターゲット大学の学生にだけ送付し、予約自体は学歴に関係なく受け付けるという事も可能だ。
リクルーターを通じて自社社員の後輩に声を掛けていくという方法もある。
それこそ「早稲田大学の学生限定就活イベント」のようなわかりやすい就活イベントも存在する。
説明会の予約で席が足りなくなるのであればエントリーシート提出後に説明会予約を受け付けるという方法もあるし、ウェブセミナーを導入している企業もある。
そういった代替手段もある中で、説明会予約のためにリスクを冒して学歴フィルターを使用する必然性は低い。
もちろん、それらの代替手段に対しても賛否はあるかもしれない。
だが、エントリーしようとする学生を拒否しないだけまだ評価できるやり方だと個人的には考える。
人材業界は、本当に必要な施策が何か考えるべき
学生の属性によってエントリーを拒否するようなやり方は、ソーシャルメディアの普及した現在では炎上の火種にしかならない。
今回の炎上を教訓に、企業や採用支援会社も今一度考えを改めるべきだろう。
【注記】なお、本記事の「学歴フィルター」とは、企業説明会予約に関わる部分についてのみ論じている。説明会予約以外の選考フローにおいて学歴フィルターがあるかどうかは別の話題になってしまうため、本記事では割愛している。
「学歴フィルター」を使用していない企業でも「ターゲット大学」を設定している事は多いがそれは別の話である。その点は混同せず、理解した上でお読みいただきたい。