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新卒採用「広報解禁」も間近ですが…「合説」ってぶっちゃけ参加する意味ある?

酒井一樹就活SWOT代表
(写真:ロイター/アフロ)

新卒採用の広報解禁である3月まであと少し。

3月には主要就活ナビ主催の合同企業説明会も多数開催される予定です。

しかし、中には「合同企業説明会なんて行くだけ無駄」「行く意味はない」という意見も存在します。

今回はそういった疑問に答えるとともに、合説に参加しようと検討している方に向けて「合説の回り方」や、注意点をご説明したいと思います。

【大手の合説は大混雑?】

ある大手企業の合同企業説明会は、参加企業も数百社から1000社規模、参加学生は数万人に及びます。

過去には入場制限がかかるほど混雑して話題になった合説もありました。

特に就活解禁直後だと列に並んでから入場するまでに数十分かかるような事もあるほどで、入場してもさらに企業ブースに行列ができるのが当たり前。まともに話を聞ける状態ではありません。

仮に企業が1000社参加していても、会場の学生は当然一部の人気企業に群がります。プレゼンを聞くにも全員が座れるわけでもなく、自分の興味を持った企業に近い距離で話を聞くことはまず無理でしょう。

「何を得たいか」をよく考えて参加しなければ、ただ疲れて帰ってくるだけになってしまうかもしれません。

【合説の正しい回り方・注意点とは?】

そういった前提を踏まえて、合説に参加する上での注意点を書いていきたいと思います。

●業界研究できていない企業のブースも回ること

合説でプレゼンされる情報自体は、ほとんど企業の採用HPに載っている情報と大差ありません。

とはいえ、企業の採用HPを片っ端からチェックして読み込んでいくのは一苦労。

そこで「きっかけが無ければなかなかチェックしない情報」を入手するというのが合説の1つの活用法になります。

逆に、興味がある企業であればネットで情報収集した上でOB訪問などを行う方が良いでしょう。

書店に行った時、本の帯だけザッと見て、どんな本が売っているかと見た経験はないでしょうか?

興味を持った本については立ち読みしたり、Amazonでレビューを見たり購入したりして、詳しく読み込んでいくというステップを取るはずです。

合説の有効な使い方の1つは、読書における書店のような立ち位置なのです。

もちろんネットだけで完結することも可能ですが、1日でザッと色んな業界について触りだけ知ることができるのが1つの魅力でしょう。

逆に言うと、せっかく合説に行くならなるべく多くの企業について情報を仕入れなければ意味がありません。

話だけ聞いた結果「この業界には興味が持てない」と感じたなら、それはそれで1つの収穫です。なぜ興味が持てなかったを自分なりに分析し、志望業界の志望動機に役立てましょう。

●人事/社員と直接話せるブースを回ること

一方的に話を聞くよりも、少人数で双方向で話を訊けたほうが、その企業についての理解も深まります。

また説明会によってはその場でエントリーカードなどを手渡しし、選考に進めてもらえる事もあります。

人事としても優秀そうな学生は捕まえておきたいので、少人数で話して印象に残ればその後の選考でも有利になるケースがあります。

BtoBサービス(企業向け)を主力事業としている企業は一般的な認知度が低い事も多く、優良企業なのにブースに学生が少ないという事が起こりがちです。

少人数であれば、社員訪問や企業訪問をさせてもらえないか相談することも可能です。

「OB訪問をしたいのですが、社員の方を紹介してもらえないでしょうか?」と頼み、実際にOB訪問できたという方も多くいらっしゃいます。

そういった行動を取った結果、通常とは別ルートで採用の話が進むケースもあります。

何度かコンタクトを取った上で、志望度が高いのであればインターンをさせてもらうというのも良いでしょう。

なお、イベント終了間際の方が全体的に空いている場合もあります。イベントによって傾向は異なりますが、なるべく空いている時間帯を狙いましょう。

●印象に残ったワード、その企業が独自に話したワードをメモしながら聞く

選考で、「説明会などで印象に残ったこと」などを質問されることがあります。

その時に備えて、印象に残った言葉などはメモしておきましょう。

特に企業側が強調して話している言葉があれば、その企業にとっても重要なポイントである可能性が高いです。

ここで気づいた事は面接で話す内容を考える時にも役立つはずです。

【3月の合説は参加必須ではない。取捨選択を】

「合説など行く必要ない」と断言する就活経験者もいます。

今回の記事に書いた通り、参加する意味もありますが、それをどこまで優先すべきかは就活の進行状況に依ります。

上手く活用できれば有用なことも多いのですが、他の手段で企業研究ができるのであればわざわざ混んでいる時に行く必要性は低いのも事実。

自分にとって今するべき事は何なのか、特に遠方から参加される方は優先順位をよく考えて予定を組み立ててもらえればと思います。

就活SWOT代表

慶應義塾大学在学中、世界初の就活SNSの代表に就任。国内最大の就活SNSへと成長させた後に大学を卒業し、エグゼクティブサーチを行う人材ベンチャーに入社。役員・事業責任者などの幹部人材の採用支援に携わる。2009年にエイリストを設立し「自分の頭で考え、行動する人材を増やす事」を命題として就職情報サイト「就活SWOT」を開設。

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