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「学生時代に頑張ったこと」は何?就活で、自分の成長性・ポテンシャルをどうアピールするか

酒井一樹就活SWOT代表
面接(写真:アフロ)

前回の記事では「面接で企業が確認したい3つのポイント」について紹介しました。

選考の段階によって、どの部分を重視するかは異なります。

その中でも今回は、今の時期に不安に思う方が多い「自己PR」についてお話したいと思います。

【学生時代に頑張った事をどう伝えるか?】

「学生時代に頑張ったこと」…最近では「学生時代力を入れたこと→ガクチカ」と略す方もいらっしゃるようですが、何を頑張ったにせよ企業に入ってから同じ活動をする事は稀です。

学生時代からウェブサイト開発に励んでいて、そのままウェブ系企業にエンジニアとして入社する…というような例外も一部あるかもしれませんが、多くの方にとって「学生時代に頑張ったこと」とはサークルやゼミでの活動・勉強や、アルバイトの経験などであると思われます。

実務に直結する経験をしている学生は少ないので、企業は実務経験ではなく「成長性」を重視します。「即戦力ではないがポテンシャルはある」という人材を求めて新卒採用を実施しているのです。

そして入社してから成長できるかどうかを見極めるために企業が重視する要素の1つが、自己PRで語られる内容の「再現性」です。

以下では具体的な事例とともに、この事についてご説明します。

【サークル活動を例に考える】

例えば、「サークルの新歓で多くの新入生を獲得した」というエピソードを例にして考えてみましょう。

この同じテーマで2人の学生が自己PRをしました。

ある学生は、自分の所属するサークルがいかに魅力的かを語り、新歓では100名もの新入生を迎え入れたとPRしたとします。

もう1人の学生は、残念ながらわずかな新入生しか勧誘する事ができませんでした。しかしなぜ新入生が集まらないかを考え、その原因を解消するための方法を考え、自分なりに工夫して新歓を行い、なんとか数名の新入生を迎え入れました。

さて、どちらの学生が企業にとって魅力的か…?

言わずともわかると思いますが、おそらく後者を選ぶ方が多いのではないでしょうか。

【"自己" PRになっていない自己PR】

敢えて2つを並べてみるとわかりやすいのですが、現実としては前者のパターンに近い自己PRを作ってくる学生さんは非常に多いのです。何度か社会人の添削を受けると直っている事も多いのですが、自己PRならぬ、「サークルPR」になってしまうんですね。

サークルの活動内容が素晴らしく100名もの多くの新入生を迎え入れたとしても、就活でPRするべき事は「あなた自身」の事。あなたが所属してきた組織の素晴らしさはあまり関係がありません。

サークルの看板で当然のように新入生が集まったわけではなく「あなたが努力し、工夫したからこそ新入生が集まった」という納得感がまず必要なのです。そこまで語ることができないのであれば、PRのネタか切り口を変えるべきなのです。

逆に言うと、あなた自身の課題解決に対する熱意や工夫が伝われば題材となるエピソードは極端な話、なんでも良いのです。

「新入生を獲得する」という成果に至るプロセスの中に社会に出てからも応用・再現できる要素があるかどうかがポイントです。

【なぜそうなったかの掘り下げが大事】

困難な事があった時に逃げずに取り組む忍耐力や、何が原因なのかを突き止め解決しようと創意工夫する力というのは汎用性が高い「ポータブルスキル」の1つであり、多くの仕事に応用される事が期待できます。

ジャンルは違えど、「仕事で壁にぶち当たった時も乗り越えてくれそうだ」と感じ取ってもらえればOKなのです。

学生時代に得た結果や実績の自慢ではなく、「なぜ自分はその結果に至ることができたのか」を深く掘り下げてみて下さい。そこまで掘り下げてこその「"自己" PR」なのです。

就活SWOT代表

慶應義塾大学在学中、世界初の就活SNSの代表に就任。国内最大の就活SNSへと成長させた後に大学を卒業し、エグゼクティブサーチを行う人材ベンチャーに入社。役員・事業責任者などの幹部人材の採用支援に携わる。2009年にエイリストを設立し「自分の頭で考え、行動する人材を増やす事」を命題として就職情報サイト「就活SWOT」を開設。

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