創業100年、60店舗以上を展開するスーパー「ヤマナカ」

「名古屋人は名古屋めしを食べていない」。こんな風評をくつがえすべく先月寄稿した「サガミ」の記事は大きな反響を呼びました。地元発の和食チェーンで、味噌煮込みうどんがナンバー1の売れ行きを誇り、味噌串カツや手羽先もゆるぎない人気を獲得しているのです。

そこで「名古屋人は本当に名古屋めしを食べている」シリーズ第2弾! 「外食だけじゃなく家でも名古屋めしを食べている」編として、名古屋のご当地スーパーに売れ筋の動向などを尋ねることにしました。

麺類、惣菜、スナック、調味料など名古屋めしが120品目!

名古屋のスーパーといえばヤマナカです。1922(大正11)年創業で、2022年でちょうど100周年を迎える老舗チェーン。60店舗以上を展開し、そのほとんどが名古屋市内および愛知県内にあります。

ヤマナカは名古屋市内の住宅街を中心に展開する地域密着型スーパーマーケットチェーン。写真はヤマナカ新中島店(名古屋市中川区)
ヤマナカは名古屋市内の住宅街を中心に展開する地域密着型スーパーマーケットチェーン。写真はヤマナカ新中島店(名古屋市中川区)

「名古屋めし関連の商品はざっと120種類。袋麺なら寿がきやのみそ煮込みや台湾ラーメン、そして当社のPB(プライベートブランド)商品、スパゲティのソースならあんかけスパのヨコイのソース、味噌ならカクキューの赤出し味噌と、どのコーナーでも名古屋めし系の商品が目立ち、実際に売れています」とは商品販売促進ユニット長の中野雄介さん。

「普段は“名古屋めし”というカテゴリーで商品を分けてはいないので、今回の取材のために数えてみて、あらためてたくさんあるんだと気づかされました」とヤマナカ・中野雄介さん
「普段は“名古屋めし”というカテゴリーで商品を分けてはいないので、今回の取材のために数えてみて、あらためてたくさんあるんだと気づかされました」とヤマナカ・中野雄介さん

120種類にもおよぶ名古屋めし商品。概ね次のものが揃います(それぞれ複数のメーカーの商品やフレイバーなどがあり)。ご覧の通り、主要な名古屋めしはほぼ網羅したラインナップです。

<袋入り麺・カップ麺>・・・きしめん、味噌煮込みうどん、カレーうどん、台湾ラーメン、スガキヤラーメン、あんかけスパゲティ、台湾まぜそば、カレー煮込みうどん

<惣菜・パン>・・・手羽先唐揚げ、味噌カツ、味噌串カツ、味噌おでん、どて煮、小倉トースト

<菓子・スナック類>・・・えびせんべい

<生菓子類>・・・ういろう、鬼まんじゅう

<調味料類>・・・味噌、調味味噌、あんかけスパソース、台湾まぜそば用ソース、パン用あんこ

袋入り乾麺のコーナーでは「みそ煮込うどん」「台湾ラーメン」がナショナルブランド商品と対等に渡り合っている
袋入り乾麺のコーナーでは「みそ煮込うどん」「台湾ラーメン」がナショナルブランド商品と対等に渡り合っている

味噌やせんべいコーナーは他地域とは色合いが異なる!

ご当地色が特に強く出るのが麺類。他にも、調味料やせんべいの売り場も特色が出るといいます。

「味噌やせんべいは、売り場全体の色合いが他の地域とは違います。味噌は売上の40%が八丁味噌などの豆味噌が占め、全体的に色が濃い。またせんべいは売り場の1/3近くをえびせんべいが占めるため、赤っぽい色合いになります」(中野さん)

スーパーの花形商品であるチルド麺のコーナーでも味噌煮込みうどん、きしめん、カレーうどん、ころうどんなど、名古屋めし系が売り場のおよそ半分を占めている
スーパーの花形商品であるチルド麺のコーナーでも味噌煮込みうどん、きしめん、カレーうどん、ころうどんなど、名古屋めし系が売り場のおよそ半分を占めている

味噌コーナーは全体の4割を東海地方特有の豆味噌が占める。圧倒的ブランド力を誇るカクキューの八丁味噌は値段が張るもののナンバー2の売れ行きを誇るそう
味噌コーナーは全体の4割を東海地方特有の豆味噌が占める。圧倒的ブランド力を誇るカクキューの八丁味噌は値段が張るもののナンバー2の売れ行きを誇るそう

他の地域のスーパーでは絶対にない「えびせん」コーナー。えびせんべいは明治中期に愛知県の一色町(現・西尾市)で開発され、生産のほとんどを愛知県が占める。実はご当地限定の名古屋めしの一種だ
他の地域のスーパーでは絶対にない「えびせん」コーナー。えびせんべいは明治中期に愛知県の一色町(現・西尾市)で開発され、生産のほとんどを愛知県が占める。実はご当地限定の名古屋めしの一種だ

また近年の傾向として、アレンジ系メニューが増えているそう。「台湾ラーメンに対する台湾まぜそば、味噌煮込みうどんに対するカレー煮込みうどんなど、定番から派生したアレンジ系が増えています。バリエーションが増えているのは、もともとある定番が売れているから。小倉トースト用のパン用あんこも3種類があり、最近増えてきた品目です」

売れ筋のチルド麺ベスト3はこれだ!

バラエティ豊かな名古屋めし系商品。その中で特に売れているのはどんな商品なのでしょう?まずは人気カテゴリーのチルド袋麺。名古屋めし系の人気トップ3はこの3品です。

名古屋めし系チルド麺の売れ行き1位はヤマナカPB「味噌煮込うどん」(右下)、2位ヤマナカPB「きしめん」、3位寿がきや「みそ煮込うどん」
名古屋めし系チルド麺の売れ行き1位はヤマナカPB「味噌煮込うどん」(右下)、2位ヤマナカPB「きしめん」、3位寿がきや「みそ煮込うどん」

「当社PBの『味噌煮込うどん』はチルドの袋麺の中ではダントツ人気ナンバーワン。全商品の中でも上位の売れ行きです。同じくヤマナカPBの『きしめん』、寿がきやの『みそ煮込うどん』がこれに続きます」(中野さん)

最新名古屋めし商品・注目度ベスト3はこれだ!

名古屋めし系商品は、ロングセラーの定番に加えて新商品が次々生まれていて、アイテム数は増加の一途なのだそう。そんな中から、ここ数年の間に発売されて人気上昇中、最新名古屋めし系商品の注目株がこちらです。

人気上昇&注目度1位は台湾ラーメンの元祖・味仙本店監修「青菜炒めの素」&「台湾チャーハンの素」、2位は「コメダ特製小倉あん」&「コメダ珈琲店こしあん」、3位は麺屋はなび「台湾まぜそば」
人気上昇&注目度1位は台湾ラーメンの元祖・味仙本店監修「青菜炒めの素」&「台湾チャーハンの素」、2位は「コメダ特製小倉あん」&「コメダ珈琲店こしあん」、3位は麺屋はなび「台湾まぜそば」

「味仙」の調味料は名古屋めしではないのですが、“台湾ラーメンの元祖”という味仙のブランド力があるからこその商品。カテゴリーとしては名古屋めしに入れてよい、と勝手に判断しました。続くは小倉トーストの人気の高まりを象徴する、「コメダ珈琲店」の小倉あんとこしあん。最新のあんこ商品はどれも「小倉トースト用」と記してあり、名古屋めしをつくるために欠かせない食材です。チルド麺の台湾まぜそばは、この料理の元祖である「麺屋はなび」が監修。このベスト3はいずれも各ジャンルのナンバーワンブランドの冠がつき、名古屋めしの有名店のブランド力の高さを証明しています。

名古屋人は無意識のうちに名古屋めしを食べている(!)

多くの名古屋めしを購入できるヤマナカですが、これらは“名古屋めし”を意識して取り揃えたものではないといいます。

「地域密着のスーパーとしてできるだけ地元メーカーの品揃えを強化しよう、という方針がある。そうすると自然と名古屋めしが増えるという印象です。転勤などで新しく名古屋にお住まいになる方もいらっしゃるので、売り場の楽しみ方として名古屋めし商品を推すこともなくはないですが、通常のお客様に対してあえてアピールする必要はないと考えています。お客様も名古屋めしを意識して選んでいらっしゃるわけではなく、好みの味、慣れ親しんだ商品を手に取られて、知らず知らずいわゆる名古屋めしを購入されているのではないでしょうか」(中野さん)

スパゲティ用ソースで一番売れるのはやっぱりあんかけスパの元祖、ヨコイのソース!
スパゲティ用ソースで一番売れるのはやっぱりあんかけスパの元祖、ヨコイのソース!

レトルトカレーコーナーでは「矢場とん」「赤から」「オリエンタル」と、名古屋、愛知のブランドの商品が最も目立つ場所に並んでいる。「ふるさと再発見!地元の味」のポップでご当地色をアピール
レトルトカレーコーナーでは「矢場とん」「赤から」「オリエンタル」と、名古屋、愛知のブランドの商品が最も目立つ場所に並んでいる。「ふるさと再発見!地元の味」のポップでご当地色をアピール

肉コーナーでは手羽先が人気! ポップにも力が入っている
肉コーナーでは手羽先が人気! ポップにも力が入っている

ヤマナカは日用使いのお客が大半の庶民的なスーパーマーケット。ここで名古屋人は日々の食事として無意識のうちに名古屋めしをチョイスしているのです。「名古屋めしは外食で食べるもの」ともしばしばいわれるのですが、決して外食に限らず、家庭でも日常的に食べられていることが、同店の売れ筋からうかがい知れます。「名古屋の人は名古屋めしなんて食べていない」という風評も、当たり前のものとして浸透しすぎているがゆえに生じる誤解といえるのではないでしょうか。

名古屋人の生活に欠かせないご当地スーパー、ヤマナカ。その品揃えは気づかないうちに名古屋めしを身近にしてくれています。地元の皆さんはとにかく一日一度、あれこれ楽しいお買い物で、充実の名古屋めしライフをお送りください♪ 

そして旅行などで名古屋を訪れた方も、一度売り場をのぞいてみてください。そこには見たことも食べたこともない商品が並ぶ、名古屋めしワンダーランドが広がっているはずです。

(写真撮影/すべて筆者)