スタッフが語る制作秘話。切手化の裏には名古屋愛が!

11月11日に日本郵便から発売される「おいしいにっぽん シリーズ第3集 名古屋」。お菓子や喫茶グルメなどをセレクトした63円切手編に続いて84円切手編。84円切手では名古屋を代表する高級食材から庶民派グルメまでがピックアップされています。

この「おいしいにっぽんシリーズ」を監修しているのは雑誌『BRUTUS』(マガジンハウス)編集部。今回の第3集の題材に名古屋を選んだのはなぜだったのでしょうか?

「弊誌の人気特集『都市の正解』シリーズでも福岡、札幌に続いて名古屋を取り上げ(2019年6月発売)、その順番をなぞった形にはなっていますが、何より名古屋の食のバリエーションの豊富さ、特徴的な地域性が『おいしいにっぽん』シリーズの中でも個性を出しやすいと考えました。さらに日本郵便の方をはじめスタッフに名古屋めしファンが多かったので、すんなり“次は名古屋だね”と決まりました」(『BRUTUS』編集部)

さらに図案のセレクトの狙いや意図については次のように答えます。

「誰もが知っている“名古屋めしといえば”という定番メニューをきっちり押さえることが大前提。中には“これ、あの店のだよね”と想像してもらえるような有名店のアイコニックなメニューも混ぜています。さらに全国的にはそれほど知名度のないメニューも名古屋ツウへの“くすぐり”として加えて…とやっていったら、とても2枚のシートには収まり切りませんでした。イラスト化にあたっては、日本郵便の切手デザイナーと名古屋へ行き、飲食店で撮影したり、地元のフードコーディネーターさんに料理をつくってもらったりしました。決してネットで画像を拾って参考にしているわけではないんですよ(笑)」(同)

このように名古屋めし切手の制作の裏側には、スタッフの名古屋愛があったのです! さて、ここでも切手の図案になっている料理の数々をガイドしていきましょう。

「おいしいにっぽん シリーズ第3集 名古屋」。84円シートはごちそうグルメから伝統的な名物、庶民派の一品までバランスよくセレクト(金額などに入っている斜線は郵便切手類模造等取締法にのっとった処理)
「おいしいにっぽん シリーズ第3集 名古屋」。84円シートはごちそうグルメから伝統的な名物、庶民派の一品までバランスよくセレクト(金額などに入っている斜線は郵便切手類模造等取締法にのっとった処理)

【台湾ラーメン】

味仙今池本店の台湾ラーメン700円。こちらはトッピング系で鶏ガラベースのスープは意外やすっきり。味仙はメニューが豊富なので台湾ラーメンはあくまで〆の一杯として楽しみたい
味仙今池本店の台湾ラーメン700円。こちらはトッピング系で鶏ガラベースのスープは意外やすっきり。味仙はメニューが豊富なので台湾ラーメンはあくまで〆の一杯として楽しみたい

台湾ラーメンは名古屋発祥のご当地ラーメン。唐辛子とミンチを炒め煮した“台湾ミンチ”がたっぷりトッピングされた激辛ラーメンです。昭和40年前後に誕生し、今では名古屋の中華料理店やラーメン店の多くで採用されています。その元祖が「味仙今池本店」(名古屋市千種区)。創業者が台湾の担仔麺(タンツーメン)を自分好みの辛口にアレンジしたのがルーツといわれます。味仙は今池本店の系列店や、親族によるのれん分け店が名古屋市内を中心に10店舗ほどあり、スープにミンチを後から加えるトッピング系、調理段階でスープとミンチを混ぜるミックス系に大別され、それぞれ微妙に味わいが異なるので、同じ味仙でも食べ歩きする楽しさがあります。

味仙今池本店 HP

【ころきしめん】

「Higashiyama Nikoten」は今年10月に千種区東山通に移転オープン。ころきしめんは天ぷら付で1500円。HPも電話もないので地下鉄東山公園駅を西へ歩いて見つけてみて(営業は当面昼のみ)
「Higashiyama Nikoten」は今年10月に千種区東山通に移転オープン。ころきしめんは天ぷら付で1500円。HPも電話もないので地下鉄東山公園駅を西へ歩いて見つけてみて(営業は当面昼のみ)

名古屋の郷土料理の中でも最も歴史があり、最も全国的な知名度も高いきしめん。花かつお、かまぼこ、ほうれん草、油揚げが乗った温かいきしめんがまずイメージされますが、ここでは冷たいつゆをかけた“ころきしめん”、しかもより幅がある幅広きしめんをフィーチャー。近年の名古屋のきしめんトレンドが反映された目端の利いたセレクトです。そんな最も旬なきしめんの醍醐味を味わえるのが「Higashiyama Nikoten」(名古屋市千種区/旧・千年ニコ天)。ミシュランにも掲載された名店で、透き通るほど薄いのにもちもち感やしなやかさを感じられる食感はオンリーワン。ダシにもこだわった至高の一杯を堪能できます。

「きしめん1杯1500円!業界の常識を覆すミシュラン掲載の名店の挑戦」(関連記事)

【どてやき】

「どての品川」のどてやき、味噌おでん(こんにゃく)は各1本100円。テイクアウトもできる。名鉄名古屋駅から名鉄堀田駅まで電車で10分、堀田駅からさらに歩いて10分の下町にある
「どての品川」のどてやき、味噌おでん(こんにゃく)は各1本100円。テイクアウトもできる。名鉄名古屋駅から名鉄堀田駅まで電車で10分、堀田駅からさらに歩いて10分の下町にある

どてやきは牛や豚のモツ(内臓)を串焼きにしたもので、名古屋では豆味噌をぐつぐつ煮込んだ鍋にどぼんと通した味噌仕立てが基本です。居酒屋の定番の一品で、特に古くからの立ち飲み店や屋台を発祥とする老舗でよく見られます。「どての品川」(名古屋市瑞穂区)は1959(昭和34)年創業で、まさに名古屋を代表する立ち飲みの老舗。どてやきは味噌の他に醤油ベースの“てり”も選べ、他に味噌串カツ、味噌おでんなども絶好の酒のつまみです。

【味噌かつ】

矢場とんは名古屋市内を中心に20店舗以上を展開。写真のわらじとんかつは1400円
矢場とんは名古屋市内を中心に20店舗以上を展開。写真のわらじとんかつは1400円

とんかつに味噌ダレをたっぷりかけた味噌かつは、地域固有の豆味噌の風味を存分に味わえるまさに名古屋めしの代表格。名古屋市内では洋食店から食堂までとんかつを扱う店ならほぼ100%食べられます。中でも圧倒的なナンバーワンブランドが「矢場とん」(同店の商品名表記は平仮名で「みそかつ」)。味噌ダレは意外やさらっとしていて、ふくよかな甘みやコクが柔らかな豚肉とさっくりした衣をひとつにまとめ、ごはんがわしわしと進みます。

矢場とん HP

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送って、受け取って、買って、食べて、名古屋グルメを楽しんで

84円切手ではこの他に「菜飯田楽」「味噌煮込みうどん」「名古屋コーチンひきずり鍋」「手羽先」「味噌おでん」が採用されていますが、これらは筆者調べでは特定の店の料理・商品がモデルではないと考えられ、店のガイドにはならないため写真による再現は控えることにしました。

とはいえ魅力あふれるグルメがラインナップされ、名古屋めしに関心が高まり、食べてみたくなる切手であることは、名古屋めしを長く取材し続けている筆者が太鼓判を押します(あんかけスパゲティが選ばれていなかったことだけが残念!)。

送る人は「あの人にはこの名古屋グルメを食べてもらいたい」と頭に浮かべながら切手を選び、受け取った人は「これ食べに行きたい!」と差出人に案内をリクエストする。さらにお店に行って、筆者と同じように切手そっくりの写真をスマホで撮って、それをまた友人に送る。手紙やはがき、そしておいしそうな写真のやりとりから、名古屋グルメの買い回り、食べ歩きにつながる。そんな楽しみ方も広がるのではないでしょうか。

(メニュー写真の撮影はすべて筆者)