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【大阪北部地震】「生活再建」の支援情報を大阪弁護士会が発信 在宅被災者支援も必要に

岡本正銀座パートナーズ法律事務所・弁護士・気象予報士・博士(法学)

大阪北部地震で被災された方々に衷心よりお見舞いを申し上げます。また最前線で復旧にご尽力されている関係者の皆様に心よりの敬意を表します。

6月18日午前7時58分。平日の通勤通学の時間帯に大阪府北部を震源とするマグニチュード6.1の地震(大阪北部地震)が発生した。大阪市北区、高槻市、枚方市、茨木市、箕面市では震度6弱を観測。経験した知人によれば、ごうごうという大きな音、突き上げる衝撃に長時間の横揺れがあったという。6月22日現在、亡くなった方が5名、住家半壊29棟、一部損壊2323棟と被害は甚大だ(内閣府「大阪府北部を震源とする地震に係る被害状況等について」より)。

地震で倒壊したブロック塀で通学中の小学生が犠牲になる痛ましい事件がおきた。学校のみならず、施設・組織の「安全配慮義務」等、命を守るために実施すべきことを見直してほしい。また、通勤中に大きな災害があった場合に、企業が出勤の是非等についてどのように判断・指示すべきか、危機管理マニュアルや事業継続計画(BCP)の見直しの契機とする必要があるだろう。これは企業が果たすべき安全配慮義務の一つとも考えられる。

この記事は、被災した個人・家族の「生活再建」に役立つ情報をお伝えすることを目的としている。これまで私自身SNSで行政・金融機関・保険会社・通信事業者等による支援情報の一部を紹介してきたが、今般、大阪弁護士会が被災者の生活再建情報をまとめてリリースしたので紹介したい。東日本大震災、広島土砂災害、熊本地震、その他各地の豪雨、竜巻、雪害、大規模火災等の現場で、弁護士らが被災者に情報提供活動・法律相談活動を実施してきた経験がベースとなっている。なお情報は6月21日までに収集されたものから構成している。更新も予定されているとのことなので、ぜひ定期的に情報をチェックしていただきたい。

大阪弁護士会の濱田雄久副会長からは「大阪府下で震度6弱の地震は初めてで、自治体も住民も当会も手探りではあるが、これまでの東日本大震災や熊本地震での支援の経験を生かしてがんばりたい。今回は人命も失われ多数の建物被害も出ているが、避難所へ避難されている方々はもちろん、避難せずに在宅で困難を抱えている『在宅被災者』への支援も必要であり、自治体等の関連機関とも積極的に連携して進めたい」とのメッセージをいただいた。本記事の時点では被災者生活再建支援法の適用要件を満たしておらず、また一部損壊住家には現金給付による法的支援がほぼ存在しない。災害救助法の応急修理制度の対象も、「半壊」以上が原則であり、一部損壊では直ちに利用できるものではない。今後、大阪府や各自治体で独自の支援政策が行われるかどうかについて、情報を受け取るアンテナを張っていただけたらと思う。

大阪弁護士会Facebookは

@OsakaBarAssociation

大阪弁護士会ウェブサイトは

http://www.osakaben.or.jp/

(追記)6月25日(月)より無料電話相談開始

ご案内は以下のウェブサイトを参照・「大阪弁護士会ニュース」も掲載

http://www.osakaben.or.jp/temporary/20180622.php

大阪弁護士会「地震の被害に遭われた方々へ」(2018年6月21日:大阪弁護士会ウェブサイトより)

1 災害救助法による応急修理

大阪市,豊中市、吹田市、高槻市、守口市、枚方市、茨木市,寝屋川市、箕面市、摂津市、四條畷市、交野市、島本町には災害救助法の適用が決まっています。被災者に生活必需品の提供がされるほか,建物の応急修理がされる場合があります。

2 住宅の被害認定と罹災証明書の発行

災害時の各種の支援等の基準となるものとして罹災証明書の発行がなされます。市町村によって建物を「全壊」「大規模半壊」「半壊」「半壊に至らない(一部損壊)」の4つの区分に認定します。認定のための調査は,「損壊基準判定」(延べ床面積に占める損壊割合)と「損害基準判定」(主要な構成要素の経済的被害の割合)の2つを用いて,研修を受けた調査員(市町村の職員等)が行います。ただし,認定のバラツキがあることも否定はできません。認定結果に不服があっても裁判などはできませんが,市町村役場に不服を申し立てると,再度の調査が行われます。ご自分で罹災の状況がわかる写真をとったり,建築士や弁護士などに相談をしたりしておくことが有益な場合もあります。

3 火災保険(地震特約)

火災保険には,一般的に,地震による被害について保険会社は責任を負わないという規定があります。したがって,地震による被害に対しては,地震特約があった場合にだけ保険金が支払われます。地震による建物の被害の認定は,罹災証明書による認定とは一応別に,保険会社が独自に「全損」「半損」「一部損」の査定をし、契約保険金額に対し全損で100%,半損で50%,一部損で5%が支払われるとされていましたが,2017年1月1日以降が契約始期となる契約については、「半壊」が「大半壊」と「小半壊」に分けられ、前者については60%、後者については30%となっています。なお、いずれについても時価との関係での上限もあります。地震保険の請求をスムーズにするためには,建物については主要構造部(柱や外壁など)の写真を,家財道具については電化製品や家具などの壊れた写真を個々に撮っておくとよいようです。加入している火災保険会社がわからない場合は日本損害保険協会の自然災害等損保契約照会センター(0120-501331。平日の9時15分~17時)に被災者の本人や親族が電話をすれば,照会に応じているとのことです。各損害保険会社も,対応するスタッフを増やして,迅速な対応をするということを公表しています。

4 自然災害被災者債務整理ガイドライン

 上記1のとおり,13の市町に災害救助法の適用がされましたので,この地震以前から借りている住宅ローンや事業性ローンなどの返済が,この地震被害の影響で難しくなった方については,「自然災害被災者債務整理ガイドライン」を使って,借入金の整理をすることができる場合があります。例えば「こんな地震にあってしまってもう自己破産しかない」と思っている方でも,ほかに解決の道があるかもしれません。借入をしている金融機関の窓口に申出をすることから手続は始まりますが,その前に弁護士会の法律相談にお越し下さい。

5 被災者生活再建支援法について

被災者生活再建支援法は,災害で住宅が壊れた場合,その程度に応じて,国が基礎支援金(50万円~100万円)と,再建方法に応じた加算支援金(50万円~200万円)を支給するとしています。ただし,この法律が適用されて支援金が支給されるのは,「全壊建物が10戸以上ある市町村」です。現時点(6月19日現在)では,この適用が決まった市町村はありません。

このほか、生活再建に役立つ情報としては、たとえば、生命保険会社(生命保険協会)のウェブサイトに保険料支払等に関する支援情報、携帯電話各社のウェブサイトに各種支援情報が掲載されている。公共料金等の契約先についても、何らかの支援が行われていないかチェックすることをお勧めしたい。また、お住いの自治体のウェブサイトなどで、被害情報や公的支援情報が掲載されていることが多いので、ぜひチェックしていただきたい。

銀座パートナーズ法律事務所・弁護士・気象予報士・博士(法学)

「災害復興法学」創設者。鎌倉市出身。慶應義塾大学卒業。銀座パートナーズ法律事務所。弁護士。博士(法学)。気象予報士。岩手大学地域防災研究センター客員教授。北海道大学公共政策学研究センター上席研究員。医療経営士・マンション管理士・ファイナンシャルプランナー(AFP)・防災士。内閣府上席政策調査員等の国家公務員出向経験。東日本大震災後に国や日弁連で復興政策に関与。中央大学大学院客員教授(2013-2017)、慶應義塾大学、青山学院大学、長岡技術科学大学、日本福祉大学講師。企業防災研修や教育活動に注力。主著『災害復興法学』『被災したあなたを助けるお金とくらしの話』『図書館のための災害復興法学入門』。

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