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カナフレックス ベーブルース杯大会の収穫は守備力と反発力

岡本育子フリーアナウンサー、フリーライター
サインを出すカナフレックス・藤井宏政助監督。後ろには福間納監督が控えています。

 東京五輪に伴う日程変更で一昨年、昨年と7月開催だった社会人野球日本選手権大会(2020年は新型コロナの影響で中止)ですが、ことしは通常の10~11月に京セラドーム大阪で行われます。

 優勝すれば、その出場資格が得られる11の“対象大会”が3月から順次開催されていて、きのう11日にJABA九州大会でENEOSが、JABA東北大会で大阪ガスが優勝して日本選手権出場を決めました。残るは6月19日開幕のJABA北海道大会のみです。

 対象大会の1つである『第74回JABAベーブルース杯大会』は、ことしもゴールデンウィークに岐阜で開催。昨年に続いて初日が雨で順延となったものの2日からは好天に恵まれ、鷺宮製作所の初優勝で幕を閉じました。鷺宮製作所は準決勝、決勝とも7対0の7回コールド勝ちです。

 今大会には、出場7回目のカナフレックス(元阪神・福間納監督、同・藤井宏政助監督)と、初出場のロキテクノ富山(同・藤田太陽監督)がエントリーされていて、別ブロックながら同じ会場で試合が組まれている日もあり、うまい具合に両方を見ることができました。

 きょうはまず、予選リーグ最終日まで決勝トーナメント初進出の可能性を残したカナフレックス編をお送りします。なお、これまでのカナフレックスとベーブルース杯大会については昨年の記事で詳しく書いていますので、こちらからご覧ください。→<危機感を持って臨む日本選手権最終予選 カナフレックス・藤井宏政コーチ>

 ベーブルース杯大会には6回出場して計18試合を行い、5勝13敗(うち1試合は不戦勝)。コールド負けが8試合でした。1つの大会で予選3試合を行いますが、他の対象大会を含めても1勝2敗か0勝3敗しかありません。しかし!今回は初めての2勝を挙げたのです!

大会初日こそ雨で中止になったものの、5月2日以降は快晴!風も心地よく、最高の野球日和でした。写真は5月5日の長良川球場です。
大会初日こそ雨で中止になったものの、5月2日以降は快晴!風も心地よく、最高の野球日和でした。写真は5月5日の長良川球場です。

【初戦は守り切った完封勝利!】

 では大健闘の3試合を振り返りましょう。初戦は長良川球場で北海道ガスと対戦して勝利。3安打完封リレーでした。

《第74回JABAベーブルース杯大会》

◇予選リーグ (5/3 長良川球場)

 カナフレックス-北海道ガス

   北ガ 000 000 000 = 0

   カナ 000 000 20X = 2

▼バッテリー

 【北ガ】日暮(4回)-鈴木(1回)-村上(1回1/3)-海老原(1回2/3) / 東海林

 【カナ】大西‐迫 / 福田

▼本塁打 カナ:山崎1号2ラン(鈴木)

▼盗塁 北ガ:米満

▼カナ 打撃  (打-安-点/振-球/盗/失)

  1]右:新宅  (3-1-0 / 0-0 / 0 / 0)

  2]二:米倉  (3-0-0 / 0-0 / 0 / 0)

  3]左:山崎  (3-1-2 / 0-0 / 0 / 0)

  4]三:古和田 (3-2-0 / 0-0 / 0 / 0)

  5]中:森田  (3-0-0 / 1-0 / 0 / 0)

  6]指:守屋  (3-0-0 / 1-0 / 0 / 0)

  7]捕:福田  (3-0-0 / 0-0 / 0 / 0)

  8]一:澤田  (3-0-0 / 1-0 / 0 / 0)

  9]遊:田中慧 (3-0-0 / 0-0 / 0 / 0)

▼カナ 投手      (安-振-球/失-自)

  大西 6回 24人 81球 (3-1-6 / 0-0)

  迫  3回 9人 36球 (0-1-1 / 0-0)

《試合経過》※敬称略

 まず投手です。ヒットこそ散発の3本だった先発の大西ですが、6四死球(四球5、死球1)で毎回ランナーを出す展開でした。それでも野手陣が素晴らしい守備を見せ、6回まで無失点。そのあと迫が登板して、まず7回を初の三者凡退に切って取ります。

 すると打線がすぐ応えました!2回に古和田が左前打しただけで四死球もなく、6回まで3人ずつで抑えられていたのですが、7回裏に先頭の新宅が中前打、米倉は二ゴロで1死二塁として山崎がレフトへ2ラン!

 迫は8回も三者凡退、9回は1死から四球を与えたものの、次を二ゴロ併殺打に仕留めて試合終了。打線は4安打で2得点、そして大西と迫の2投手が3安打完封リレーで、大事な初戦をものにしました。

先発の大西健太投手。調子がよくなかったみたいですが、6回まで0点に抑えました。
先発の大西健太投手。調子がよくなかったみたいですが、6回まで0点に抑えました。

◆「よく守ってくれました」

 試合後、藤井宏政助監督(31)に勝利の要因を聞いたら「守り切ったこと!」という返事。「よく守ってくれました。きょうは大西があまり調子よくなくて、毎回1死から四死球やヒットでランナーを出したので、それがしんどかったですね。よく守ってくれたと思います」

 また「1試合目はしんどいですね。思ったようにいかないというか。あしたから楽しみです」という言葉。山崎壱征選手の2ランについては「大会で打つんですよね」と藤井助監督。確かに、京都府春季大会に続いて今季公式戦2本目。「山崎ありがとう!です」と笑っていました。

 福田優人選手(30)は「しんどかった!めちゃくちゃしんどかった…」とグッタリした様子。4回2死二塁で右前打され、ライト新宅選手からの返球でタッチアウト!審判のコールまでに時間がかかりましたよね?「そうなんですか?わからなかったです。アウトやと思っていたんで」。好プレーでした!「練習通りです。いつも通り」と言ってニヤリ。

 新宅優悟選手(24)にも聞いてみましょう。「きょうは0対0が続いていて、その中で打球が来て刺せたのは大きいですね。1点取ったら勝ちという流れで、しっかり刺せてよかったです。キャッチャーのナイスキャッチで助けられました。打球が緩かったので(ランナーは)三塁を回っていたし」

 そして7回の攻撃は先頭で中前打。「とりあえずバットが届くとこは全部振ろうと意識していた。結果的にボールが高く来たから、しっかりとらえられました。そのあとの(山崎選手の)ホームランが、だいぶデカいですね」

◆めったに打たない“レア”なHR

 その山崎壱征選手(27)は、決勝2ランに「まぐれです」とだけ。いやいや、私はもう今季2本も見ていますよ。「あんまり打たへんからレアです(笑)。それを2本も見ているってすごいですね」。そうなんですか!

 「打ったのは真っすぐ、感触もよかったです。ノーアウトのランナーが出て絶対チャンスで回って来ると思ったので、後ろにつなごうと。それが一番いい結果になりました。ここしか見せ場がないっていうところ。よかったです、点が入って」

 また「みんな守備もよかったですね。特に内野が。それと9-2のバックホームのおかげ。アイツ(新宅選手)がチャンスを作ってくれたし」と続けた山崎選手です。

 では、“特に内野”の2人。ショート・田中慧樹選手(24)とセカンド・米倉凌平選手(23)に聞いてみると、2人ともまず「ことしはエラーが少ないですね」と顔を見合わせます。そういえば、京都府春季大会は3試合ともノーエラーだったと藤井助監督から聞きました。

 0対0で、しかも毎回得点圏に走者を置く試合。「しんどかった~」と米倉選手。田中慧選手も「しんどかった…。ほんとに」と、ため息交じりです。「でも」と続けた米倉選手。

 「ことしに入ってから、みんなで声を回すようにしているんです。小さな声でも。バッターの特徴を言ったり、ピッチャーに声をかけたり、あとは『風があるよ』とか。そういうので集中できているかもしれません」

7回に出た山崎壱征選手の2ラン!これが決勝点となりました。
7回に出た山崎壱征選手の2ラン!これが決勝点となりました。

山崎選手はホームインしたあと、ベンチに向かってガッツポーズ!
山崎選手はホームインしたあと、ベンチに向かってガッツポーズ!

◆打線に勢いをつけた三者凡退

 右アキレス腱を痛め、復帰したのが4月中旬だった迫勇飛投手(22)。昨年もルーキーながら、急きょ先発マウンドに上がったのが、このベーブルース杯大会でした。ことしは0対0の7回からリリーフして、まず三者凡退!

 「僕が出る前は毎回ランナーが出ていたので、(こちらの)バッターに流れが来るよう3人で切るつもりでした。2アウトは楽に取って最後はベストが三振と。思い通りです。(先制点が)1点じゃなく、2点というのは大きかったですね!僕にとって心の余裕になりました」

 8回もわずか6球で三者凡退。9回は1死から四球、と思ったら最後は併殺!

「フォアボールはNGと思っていたのに出してしまって、その後またフルカウントになって…。ここはフォアボールでなく、打たれてもいいから勝負しようと思いました。変化球はなしでいこうと、9割が真っすぐ。4-6-3(の併殺)、ラッキーです。とらえられてもおかしくない球だったので」

7回に登板して3イニングを3人ずつで片付けた迫勇飛投手。
7回に登板して3イニングを3人ずつで片付けた迫勇飛投手。

◆守備も光る4番打者

 古和田仁選手(22)はルーキーながら4番を任されています。セールスポイントは打撃?「最初のオープン戦が4番だったんですけど、プレッシャーで4の0でした。そこで一度、変えられています」と苦笑いしたあと「(創価)大学時代は、守備キャラで使われていました」と言います。

 へえ~そうなんですね!守備“キャラ”って(笑)。確かにサードでの動きも送球も、すごく落ち着いていました。「関東の大学のリーグ戦で強いとことやっていたので、それが社会人にも生かされている部分はあると思います」

 4番はどうですか?「長打が出ていないんですよね。当てにいっちゃうんで」。なるほど、4番には長打が必要?「これから長打を目指して、初球からどんどん振っていきたい。前に山崎さんという頼れる先輩がいるので、自分は気楽に打たせてもらえます!」

2回、先頭で左前打を放った古和田仁選手(左)。7回にも左前打があり、初戦は3打数2安打でした。
2回、先頭で左前打を放った古和田仁選手(左)。7回にも左前打があり、初戦は3打数2安打でした。

【意地のコールド負け阻止】

 2戦目の相手は日本製鉄かずさマジック。元ロッテで“世界一低いところから投げる”と言われた渡辺俊介さん(45)が監督です。都市対抗に13回、日本選手権9回(優勝1回)というチームなので、苦戦は想定していたでしょう。

◇予選リーグ (5/4 大垣北公園野球場)

日本製鉄かずさマジック-カナフレックス

   かず 131 101 010 = 8

   カナ 000 000 200 = 2

▼バッテリー

 【かず】渡辺力(5回)-赤羽(1回)-渡辺法(2/3回)-山本(2回1/3) / 伊藤

 【カナ】大石‐青山-高瀬-東郷-秋川 / 福田

▼二塁打 かず:鯨井、土門

     カナ:田中慧、福田

▼盗塁 かず:内山、岡、奈良原

▼カナ 打撃  (打-安-点/振-球/盗/失)

  1]右:新宅  (4-0-0 / 1-0 / 0 / 0)

  2]二:米倉  (4-0-0 / 0-0 / 0 / 1)

  3]左:山崎  (4-3-0 / 0-0 / 0 / 0)

  4]三:古和田 (4-1-0 / 0-0 / 0 / 0)

  5]中:森田  (4-1-0 / 0-0 / 0 / 0)

  6]指:守屋  (3-0-0 / 1-0 / 0 / 0)

  〃打指:杉本 (1-1-0 / 0-0 / 0 / 0)

  7]捕:福田  (3-1-2 / 0-0 / 0 / 0)

  〃打:喜来  (1-0-0 / 0-0 / 0 / 0)

  8]一:澤田  (2-0-0 / 1-0 / 0 / 0)

  〃打:田中怜 (0-0-0 / 0-1 / 0 / 0)

  〃走一:江頭 (1-0-0 / 0-0 / 0 / 0)

  9]遊:田中慧 (3-1-0 / 0-0 / 0 / 0)

▼カナ 投手       (安-振-球/失-自)

  大石 1.2回 12人 44球 (3-1-3 / 4-3)

  青山 1.1回 9人 40球 (4-0-1 / 1-1)

  高瀬  3回 16人 56球 (5-2-1 / 2-1)

  東郷 1.1回 6人 23球 (0-1-2 / 1-1)

  秋川 1.2回 6人 18球 (0-1-1 / 0-0)

左は先発したルーキーの大石亮人投手(22)、右は2回途中から登板の青山将太投手(26)。
左は先発したルーキーの大石亮人投手(22)、右は2回途中から登板の青山将太投手(26)。

《試合経過》※敬称略

 先発はルーキーの大石。1回、2回と先頭への四死球などで3点(自責2)を失い、2回途中で代わった青山も、4回から登板した高瀬も打たれて6回までに7対0と大差がつきました。7回は東郷が初めての三者凡退に切って取るも、その裏に得点できなければコールド負けです。

 しかし!土壇場で奮起した打線。前日と同じ7回に先頭の山崎が内野安打、1死後に森田が左前打して一、二塁。守屋は遊直、二塁の山崎がよく戻って2死一、二塁。ここで福田がセンターの左へタイムリー二塁打!2人を還し7対2としました。

 8回に東郷が連続四球でピンチを招き、代わった秋川が1点を追加されたものの、9回は0点に。打線も8回、9回とヒットで走者を出しますが得点なく、8対2で試合終了です。

4回から3イニングを投げたのが高瀬翔悟投手(23)です。
4回から3イニングを投げたのが高瀬翔悟投手(23)です。

左は7回から投げた新加入の東郷太亮投手(24)、右はことし副主将を務める秋川優史投手(24)です。
左は7回から投げた新加入の東郷太亮投手(24)、右はことし副主将を務める秋川優史投手(24)です。

◆終盤に得点できたことを評価

 福間納監督(70)は、先発の大石亮人投手(22)について「きょうは自滅したかな。立ち上がりにいきなりデッドボールを出すと、リズムが狂う。あのデッドボールが始まりだったね。点を取られても、このままいこうと思うことはあるけど、野手のリズムが崩れてしまうからね。彼にとって初めての大会。経験やと思って、頑張ってほしい」と話しています。

 それから「ことしのカナフレックスのいいところは終盤でも点が取れること。コールド負けを阻止して、完封負けを免れた得点。あの場面、なかなか点が入るもんじゃない。それは大いに評価したい。相手に、カナフレックスは終盤が怖いと意識させられたら、3点や4点の差でも“もしかしたら”と思える。可能性が出てくる。すごく楽しみ」と続けました。

 貴重な2点を挙げた福田選手は、ただひとこと「根性です」とキッパリ。「コールド負けだけは阻止したかった。二塁打はたまたまですけど」。でも表情が暗いような。「ピッチャーに申し訳ないです。悪くなかったんですよ。なのに、あんな点を取られてしまって…。もっと長く投げさせてあげたかった」。猛省のキャッチャーでした。

7回、山崎選手の内野安打と森田選手の左前打で作ったチャンスに、福田選手がタイムリー二塁打!コールド負けを免れた2点でした。
7回、山崎選手の内野安打と森田選手の左前打で作ったチャンスに、福田選手がタイムリー二塁打!コールド負けを免れた2点でした。

◆粘れなかったのが敗因

 次に藤井助監督。まず「きょうは…ここという時に全部ミスが出ましたね。ツーアウトを取って、あと1人のとこでピッチャーが打たれたり。粘れなかったとこ、ですかね。敗因は」という振り返り。前日が守り勝った試合だっただけに、悔やまれます。

 「1回2死二塁の場面、普通に4-3(セカンドゴロ)で終わっていれば…。グラウンドが変わって、長良川に比べるとちょっと硬かったんですよ。それもありますけど、きのうあれだけ守っていた分、あそこは捕ってあげないと」

 そして「でもコールド負けしなかった。9回までやれたのは、本当によかったです」と藤井助監督。コールド負けはチームの士気に影響するだけでなく、何より大会においては決勝トーナメント進出のポイントに大きくかかわってきますからね。

ルーキー・守屋俊介選手(22)は5回、カウント0-2からの3球目が足元に当たりそうなボールで、飛び上がって避けたら…スイングを取られて三振になっちゃいました。
ルーキー・守屋俊介選手(22)は5回、カウント0-2からの3球目が足元に当たりそうなボールで、飛び上がって避けたら…スイングを取られて三振になっちゃいました。

◆予選最終日まで残った可能性

 カナフレックスがいるDブロックは4日終了時点で、日本製鉄かずさマジックが2勝0敗、カナフレックスと北海道ガスが1勝1敗、ジェイプロジェクトが0勝2敗となっていたので、日本製鉄かずさマジックがポイントトップ。5日も勝ったら3勝0敗で決勝トーナメントに進みます。

 しかし5日の第2試合で北海道ガスが日本製鉄かずさマジックに勝てば両チームとも2勝1敗となり、さらに次の試合でカナフレックスが勝てば3チームが同じ12ポイントで並びます。ただ同ポイントの場合、失点の少ないチームが上位となるので、4日時点の失点数を見ると北海道ガスが4、日本製鉄かずさマジックが7、カナフレックスは8でした。

 よって、5日の第2試合が終わった時点で大勢が決するわけです。カナフレックスが決勝トーナメンへ行ける条件は、第2試合で北海道ガスが日本製鉄かずさマジックに勝つこと。単に勝つだけでなく、そこそこ失点してもらわなくてはなりません。

 本当にわずかではありますが、予選突破の可能性を残して3試合目を戦えるのは嬉しいことですね。もしかなわなくても、これまでの日本選手権対象大会で初めての2勝目に期待がかかっていました。

ルーキーの田中怜央那選手(22)が7回、代打で公式戦初出場。でも初球を右足に当てられて「めっちゃ痛いです!」。
ルーキーの田中怜央那選手(22)が7回、代打で公式戦初出場。でも初球を右足に当てられて「めっちゃ痛いです!」。

こちらもルーキー・杉本修太郎選手(22)は9回に代打で右前打。北川倫太郎選手がつけていた23番に「プレッシャーは多少あります」と言っていました。
こちらもルーキー・杉本修太郎選手(22)は9回に代打で右前打。北川倫太郎選手がつけていた23番に「プレッシャーは多少あります」と言っていました。

【予選の結果はブロック2位】

 予選リーグ最後の5日、長良川で行われた北海道ガスと日本製鉄かずさマジックの試合は、4対2で北海道ガスが勝ちました。これにより北海道ガスは失点6、日本製鉄かずさマジックは11となり、既に失点8のカナフレックスの試合を待つことなく、北海道ガスの決勝トーナメント進出が決定しました。

 なお、カナフレックスは3対1で勝ったため総失点は9。思えば日本製鉄かずさマジック戦での8失点が痛かったですね。北海道ガスには完封勝ち、ジェイプロジェクト戦は1失点ですから。

◇予選リーグ (5/5 長良川球場)

カナフレックス-ジェイプロジェクト

   ジェ 000 000 010 = 1

   カナ 100 002 00X = 3

▼バッテリー

 【ジェ】塩本(5回0/3)-木村(1/3回)-保坂(2回2/3) / 松坂

 【カナ】瀬古-迫 / 喜来

▼三塁打 カナ:新宅

▼二塁打 ジェ:林田

     カナ:古和田、森田

▼盗塁 カナ:山崎

▼カナ 打撃  (打-安-点/振-球/盗/失)

  1]右:新宅  (4-1-0 / 0-0 / 0 / 0)

  2]二:米倉  (4-1-1 / 0-0 / 1 / 0)

  3]左:山崎  (3-1-0 / 1-0 / 0 / 0)

  4]三:古和田 (3-1-0 / 1-0 / 0 / 0)

  5]中:森田  (3-1-1 / 0-0 / 0 / 0)

  6]指:杉本  (3-0-0 / 0-0 / 0 / 0)

  7]捕:喜来  (3-0-0 / 0-0 / 0 / 0)

  8]一:江頭  (3-0-0 / 1-0 / 0 / 0)

  〃走:守屋  (0-0-0 / 0-0 / 0 / 0)

  〃一:澤田  (0-0-0 / 0-0 / 0 / 0)

  9]遊:田中慧 (3-0-0 / 1-0 / 0 / 1)

▼カナ 投手       (安-振-球/失-自)

  瀬古 7.1回 20人100球(9-8-1 / 1-0)

  迫  1.2回 6人 29球 (1-3-0 / 0-0)

《試合経過》※敬称略

 この試合は今大会で初めて先制しました。1回2死から山崎が右前打し、二盗成功。続く古和田は遊ゴロ、と思ったらショートが後逸して山崎が生還!2回、3回は三者凡退、4回に古和田が二塁打しただけで、5回も三者凡退とチャンスがありません。

 1対0のまま迎えた6回、先頭の新宅が左中間への三塁打を放ち、続く米倉が右前タイムリー!ようやく2点目が入りました。山崎の犠打などで2死二塁となり、森田が左越えのタイムリー二塁打!3対0とリードを広げます。

 一方の投手陣。先発のルーキー・瀬古は4回を除いた毎回、ヒットを打たれるピッチング。ただ連打が一度もなく、四球も1つだけで7回まで無失点。2回は2死満塁のピンチを切り抜け、5回から3イニングは1安打ずつ許しながら自身の牽制や併殺打などもあり、すべて3人で片付けました。

 しかし8回、先頭に二塁打され、1死後に外野へ抜けそうな打球をショート・田中慧がよく止めたのですが…一塁への送球が逸れ走者を還してしまいます。ついで内野安打も許し、ここで交代。1死一、三塁で登板した迫はまず三ゴロに打ち取り、ホームでアウトに。次は遊ゴロ、追加点を与えません。

 なおカナフレックスの打線も得点なく、9回は迫が続投。先頭に中前打されてヒヤリとしましたが、以降を空振り三振、見逃し三振、そして最後は3球で空振り三振を奪い試合終了です。

6回1無死一塁で二ゴロ併殺打!セカンド・米倉選手(右)とショート・田中慧選手(左)。センターの森田選手も「ツーアウト」と手を上げて笑顔です。
6回1無死一塁で二ゴロ併殺打!セカンド・米倉選手(右)とショート・田中慧選手(左)。センターの森田選手も「ツーアウト」と手を上げて笑顔です。

◆22歳のせこさこコンビに期待

 福間監督の談話からご紹介します。最初に1失点(自責0)リレーの瀬古創真投手(22)と迫投手の話。「そうそう、せこさこね。瀬古はフォアボールが1つだけやろ?要所、要所を締めていた。ことしのチームスローガンが『thinking』なんやけど、ほんま頭を使ってる。ランナーがいなくてもクイックで投げたり、打者のタイミングを外したりね」

 瀬古投手評が続きます。「頭いいなあと思うよ。それに飄々としている。持ち味やね。チェンジアップで緩急をつけていたし。右バッターはチェンジアップで打ち取りやすいからね。ちょっと疲れが見えたので交代したけど、あのまま投げさせたいくらい最高のピッチングだよ。でも簡単には勝たせてくれんということ」

 また「迫はきょう、もうひとつキレがなかったかな。でも、抑えという自覚が芽生えてきて、それが自信となって抑えられている。短いイニングでより集中できているかも」とのことでした。

福間監督は3試合を振り返って、最後まであきらめずに得点できる成長を評価しました。
福間監督は3試合を振り返って、最後まであきらめずに得点できる成長を評価しました。

◆見え方も大事にするルーキー

 では“せこさこ”の2人に聞きましょう。ルーキーの瀬古投手は「オープン戦であまりいい結果が出ていなくて。逆に、公式戦初登板だったから怖がらず、失うものはないくらいの気持ちでいきました」。なかなかの覚悟ですね。

 とても落ち着いて見えました。ランナーを出しても満塁のピンチでも、福間監督いわく“飄々”としていると。「(ちょっと笑って)自分のペースを保つことは意識しています。おどおどしていたら弱そうに見えるじゃないですか。見え方って大事ですよね?」。大事!大事です。

 2回2死満塁で最後は3球三振!他にも要所で三振を奪った瀬古投手。「キャッチャーを信じて投げました。練習の時から悩んでいると、声をかけてもらって。『お前が思っているよりずっと、真っすぐがいいんだから』と言われてきたので、きょうは自信を持って投げました」

 受け答えも落ち着いているルーキーですが、最後に「きょうは疲れました。ホッとして疲れました」と笑う顔は初々しかったですね。「都市対抗予選、投げたいので頑張ります!」と締めくくっています。

公式戦初登板の瀬古投手でしたが、7回まで粘投。8回に1点取られますが自責点は0です。
公式戦初登板の瀬古投手でしたが、7回まで粘投。8回に1点取られますが自責点は0です。

2回、2死満塁のピンチを切り抜けてベンチへ戻るバッテリー。瀬古投手(左)と喜来友貴捕手(右)。
2回、2死満塁のピンチを切り抜けてベンチへ戻るバッテリー。瀬古投手(左)と喜来友貴捕手(右)。

◆抑えキャラ全開?

 次は、瀬古投手と同い年だけど1つ先輩の迫投手。後ろで投げること、今回のような抑えというポジションはもう慣れましたか?「いいプレッシャーのかけ方ができていますね。緊張感がいい力に変わって結果につながっているのかもしれません」

 このまま後ろで「ベーブルース杯でも、先発でという気持ちはありました。次のオープン戦とかは先発もありかなと。今ちょっと“抑えキャラ”みたいになっていますけど(笑)、エースと言われるくらい引っ張っていけるよう頑張ります!」。○○キャラ、流行っているんですね。

 9回は先頭にヒットを許したけど、そのあと3者連続三振!しかも最後は3球で!もしかして狙っていた?「3つ目の三振は確実に狙っていました」とニヤリ。「そこしかないっていうところに投げました。よかったです」

8回から瀬古投手をリリーフ下迫投手。締めの3者連続三振はしびれました!
8回から瀬古投手をリリーフ下迫投手。締めの3者連続三振はしびれました!

◆“オホーツク”で挙げた1点

 続いて、6回に先頭で三塁打の新宅選手。「1番バッターなので、僕はチャンスメイクです。僕がヒットを打った回に点が入るので」。スタンドに入るかと思いました。「感触はよかったです。ちょうど芯で下かぶせて打てたので」

 じゃあ最初から三塁は狙って?「もう打った瞬間にレフトの追いかけ方を見て、ああ越したなと。で、越えた時点で三塁へ行こうと思いましたね」。東農大北海道オホーツクの後輩・米倉選手が還してくれたわけで。「ほんま、そうです。オホーツクですよ~(笑)」

 米倉選手は、あのタイムリーが今大会初ヒットでした。「やっとです!あの1本だけ、11の1ですよ。でも(新宅)優悟さんが打ったので、これはもうオホーツクで決めるしかないと思いました。優悟さんが打ったから、ここは俺も打たないとヤバいと思って」

 ファウルを挟みながら粘っていましたね。「そうそう自打球も!バカ痛かったです。っていうか痛いです。今も普通に痛い」。痛い足でも二塁から還った?「あれはもう森田がしっかり(二塁打を)打ってくれたので。みんな意地ですね。いやーでもほんと、よかったです」

6回は“オホーツク”の1、2番が活躍。まず先頭の新宅選手が左中間への三塁打!
6回は“オホーツク”の1、2番が活躍。まず先頭の新宅選手が左中間への三塁打!

続く米倉選手が自打球を当てながら右前タイムリー!貴重な追加点でした。
続く米倉選手が自打球を当てながら右前タイムリー!貴重な追加点でした。

◆「このメンバーで都市対抗へ!」

 キャプテン・森田皓介選手(23)も、6回にいい追加点を挙げています。「自分もこの大会、全然打てていなくて…。なおかつ新人の瀬古が頑張って投げていたので、あそこはもう何とかしたかった。ヨネ(米倉)もやっと1本出たし、自分もここは絶対打たなあかんなと思っていました」

 2戦目と3戦目に1本ずつの計2安打ですが、このタイムリー二塁打は大きかったでしょう。「今大会は打ちたい、打ちたいと力みまくっていたので、逆にあの打席は冷静にいこうと自分の中で整理していったら、いい結果になりました」

 3試合を振り返って、2勝したのがチーム初ですね。「大会ルールで(決勝に)行けなかったけど、まずは勝つこと。特に都市対抗予選とか、どんな内容であってもとにかく勝つことが大事なので。負けた2戦目はもちろん、勝った試合でも反省点はありました」

 そのあと森田選手は「ただ、段々と力はついてきているかなと実感もあるので、そこは自信を持って。このメンバーで都市対抗に行きたい。そこを目指して頑張ります!ここからまたレベルアップできるよう全員で力を合わせて、しっかりやっていきます」と締めました。

そして2死後に森田選手がタイムリー二塁打!この1点も大きかったですね。
そして2死後に森田選手がタイムリー二塁打!この1点も大きかったですね。

◆次につながる2勝1敗

 大トリは藤井助監督です。この日の試合を「いつもならズルズルいっちゃうけど、都市対抗予選の敗者復活戦とかを経験して、きょうはしっかり切り替えて野球ができたので、そこは成長ですね」と評価しています。

 2勝しましたよ。「初ですね。そう考えると、きのうの失点を少なくできていたら…と。タラレバですけど。ピッチャーがいい時は、こういう試合になる。きょうも落ち着いてカウントを作っていて、よかったですね」

 3試合を振り返ってください。「きのう負けたあと、きょうはしっかり野球ができていたので、すぐ改善できたというか、次につながると思いました。都市対抗予選に向けて。ピッチャーも迫が踏ん張ってくれたし」

 都市対抗野球の近畿2次予選は5月23日から、わかさスタジアム京都と大阪シティ信用金庫スタジアムで行われます。14チームが参加して、そのうち5チームが7月の本大会に出場。まず1つ勝って、少しでも多く、長く戦えるよう祈っています!

お疲れ様でした!左から大西投手兼任コーチ、藤井助監督、大塩浩史マネージャー、能登洋平トレーナー。
お疲れ様でした!左から大西投手兼任コーチ、藤井助監督、大塩浩史マネージャー、能登洋平トレーナー。

<掲載写真は筆者撮影>

フリーアナウンサー、フリーライター

兵庫県加古川市出身。MBSラジオのプロ野球ナイター中継や『太田幸司のスポーツナウ』など、スポーツ番組にレギュラー出演したことが縁で阪神タイガースと関わって約40年。GAORAのウエスタンリーグ中継では実況にも挑戦。それからタイガースのファームを取材するようになり、はや30年が経ちました。2005年からスポニチのウェブサイトで連載していた『岡本育子の小虎日記』を新装開店。「ファームの母」と言われて数十年、母ではもう厚かましい年齢になってしまいましたが…1軍で活躍する選手の“小虎時代”や、これから1軍を目指す若虎、さらには退団後の元小虎たちの近況などもお伝えします。まだまだ母のつもりで!

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