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フェニックス・リーグ、阪神と巨人を含む5チームが同率首位《阪神ファーム》

岡本育子フリーアナウンサー、フリーライター
15日に1号ソロを放った中谷選手(右)は試合後、勝利のタッチ。左は石井投手です。

 きのう15日で『第16回みやざきフェニックス・リーグ』は第2クールを終了。ここまで1試合の中止もなく順調です。屋外では日差しが強くて暑く感じるものの、日陰に入れば涼しくて過ごしやすくなってきましたね。これから宮崎へ行かれる方は、朝晩用に上着持参をお勧めします。

 さて1軍のCSファイナルステージが終わって、きょうの夕方に陽川選手、江越選手、木浪選手、植田選手の4人が合流しました。俊介選手、荒木選手、森越選手がきのう15日の試合後に宮崎を離れています。そして私も帰ってきました。よってことしは、これが最後のフェニックス生観戦リポートです。もしかしたら試合結果だけとか、“こぼれ話”などを書くかもしれません。その時はまたよろしくお願いします。

両チーム合わせて26三振!

7月に右ひじの手術を受けた日本ハム・松本選手。このフェニックスで実戦に復帰しています。
7月に右ひじの手術を受けた日本ハム・松本選手。このフェニックスで実戦に復帰しています。

 では、きのう15日に清武総合運動公園の第二球場で行われた日本ハム戦の詳細をお伝えしましょう。打線が2回に4連打で2点先取するも追いつかれ、5回に中谷選手が勝ちこしソロを放ったら、また追いつかれて…3対3の引き分けです。阪神の6投手全員が計11個の三振を奪ったのですが、一方の野手陣もなんと全員で計15三振を喫してしまいました。

 なお首位に並んでいた巨人も引き分けたので阪神の順位は変わりませんが、中日、ロッテ、広島も同じ5勝2敗1分けとなったため、首位タイが5チームとなっています。そのあと6位がオリックスで4勝2敗2分け、7位は日本ハムで3勝2敗3分け。ことしはなかなかの競り合いで、おもしろいですね。

《フェニックス・リーグ》

日本ハム-阪神 (清武第二) 10月15日

 阪 神 020 010 000 = 3

 日ハム 002 001 000 = 3

  ※特別ルール ※9回引き分け

◆バッテリー

【阪神】望月-石井-谷川-牧-藤浪-浜地 / 長坂

【日本ハム】田中瑛(7回)-鈴木(1回)-生田目(1回) / 石川亮-郡(8回~)

◆本塁打 神:中谷1号ソロ(田中瑛)

◆三塁打 日:今井

◆二塁打 日:高浜、万波

◆盗塁 神:小幡

◆打撃 (打-安-点/振-球/盗塁/失策)

1]遊:小幡 (4-1-0 / 2-0 / 1 / 0)

2]中:熊谷 (4-0-0 / 3-0 / 0 / 0)

3]指:中谷 (4-1-1 / 1-0 / 0 / 0)

4]三:藤谷 (3-0-0 / 2-1 / 0 / 0)

5]右:板山 (4-2-0 / 2-0 / 0 / 1)

6]一:片山 (4-1-0 / 1-0 / 0 / 0)

7]捕:長坂 (3-1-1 / 2-1 / 0 / 0)

8]左:森越 (4-2-1 / 1-0 / 0 / 0)

9]二:荒木 (4-0-0 / 1-0 / 0 / 0)

 

◆投手(打-振-球/失点-自責) 最速キロ

望月 2回 38球 (3-2-1 / 0-0) 154

石井 2回 36球 (1-3-1 / 2-0) 145

谷川 1回 16球 (1-1-0 / 0-0) 146

牧  2回 34球 (3-2-0 / 1-1) 146

藤浪 1回 18球 (1-2-0 / 0-0) 151

浜地 1回 10球 (0-1-0 / 0-0) 145

《試合経過》  ※敬称略

2回、無死一塁で板山選手が中前打(写真は5回の中前打)。
2回、無死一塁で板山選手が中前打(写真は5回の中前打)。
片山選手も右前打で無死満塁。
片山選手も右前打で無死満塁。
続く長坂選手が先制の中前タイムリー!
続く長坂選手が先制の中前タイムリー!

 1回は三者凡退に抑えられた打線が2回に先制します。藤谷が四球、板山と片山の連打で無死満塁となり、長坂が中前タイムリー!続く森越も中前タイムリー!1死後に荒木の三ゴロがエラーを誘って、また満塁とするも小幡と熊谷は1回に続いて連続三振でした(熊谷は5回の3打席目も三振。まだヒジの影響がありそうです)。

 先発の望月は1回、先頭・石井に中前打されますが併殺と三振で片づけ、2回は5番・高浜の右中間二塁打と四球、白村の右前打などで1死満塁のピンチを作ったものの後続を断って無失点!しかし3回、2人目の石井が四球と味方エラー(右飛を板山が捕れず)で無死二、三塁としてしまい、3番・近藤の中前タイムリーを許しました。続く松本にも中犠飛を許して2対2の同点となります。

 5回に中谷が左中間へのソロホームランを放って勝ち越すと、その裏を谷川が1安打されながら0点に抑えました。ところが次の牧が6回、1死から万波のサード内野安打などで2死二塁として、8番・石川亮に左前タイムリーを浴びます。これで3対3と再び追いつかれました。以降の打線は7回に小幡が中前打と二盗を決めた以外、すべて凡退。7回まで投げた田中瑛に11個、鈴木と生田目は1イニングずつで2個ずつ奪われ、打者全員が計15三振を喫しています。

浜地投手は9回1イニングを三者凡退。
浜地投手は9回1イニングを三者凡退。

 そして7回裏の牧は1死から今井に右越えの三塁打を許すも、途中出場の姫野をフォークで空振り三振に切って取り、松本は遊ゴロで無失点。8回の藤浪は1死から6番・万波に右中間二塁打、白村と郡を連続の空振り三振に仕留めて無失点でした。9回は浜地が登板。2回を投げ5安打3失点(自責2)だった13日のDeNA戦から一転、ビシッと三者凡退で締めています。規定により9回で終了、3対3の引き分けです。

課題克服に向け“勉強”のフェニックス

 試合後のコメントをご紹介しましょう。この日は試合後の練習がなく、あまり長く話を聞けていません。本当に少しずつです。ご了承ください。

先発で2回無失点の望月投手。
先発で2回無失点の望月投手。
試合終了。選手を出迎えるのに一番前へ押し出されて苦笑いの望月投手。
試合終了。選手を出迎えるのに一番前へ押し出されて苦笑いの望月投手。

 まず、ことしのフェニックス・リーグ初登板だった望月投手です。先発で2イニングを投げ、3安打無失点でした。振り返って「僕の中で、たくさん課題を持ってフェニックスに入ってきました。こういうのをしたいなってのがあって、1つ1つ意識しながら投げた感じ」と言っていました。

 また「イニングが短い中、ゴロを打たせたいなというところでゲッツーを取れたので、いい部分はありましたが自分の考えた通りに投げられていない球もたくさんあった。まだまだ課題です」とのこと。

 香田投手コーチは「ボール1つ1つはよくなっているが、決め球になると精度がもうひとつ。そのへんのボールの使い方も含めて勉強だろうね」と話しています。

「感覚」を課題に1イニングの連投

藤浪投手は連投で、この日も1イニング。
藤浪投手は連投で、この日も1イニング。

 次に、連投で1イニングを0点に抑えた藤浪投手。最初に「悪くなかったです」という感想があり、以降も短い応答が続きます。真っすぐで押せていた?「そうですね」。1イニングずつ投げてきてどうですか?「まあ、はい。そこそこ投げられているんじゃないかと思います」。ランナーを出してのピッチングも?「それなりに」。課題としているのは?「自分の感覚、ですかね」。今後はイニングを伸ばしていくことになるようですが。「やることは変わらないんで」。毎日ほぼ同じことを聞かれて、答える方も大変ですよね。それでも対応してくれる藤浪投手に申し訳ないやら、ありがたいやら。

藤浪投手と対戦する日本ハム・高浜選手。結果は右飛です。
藤浪投手と対戦する日本ハム・高浜選手。結果は右飛です。

 平田監督は「最後に長いイニングを投げさせるため、1イニングずつを磨いて、1イニングずつを積み重ねていくことをシーズンが終わってからやっている」と、ここまでの藤浪投手の経過を説明。そして「よくなっているよ。まっすぐの精度が上がっている」とコメント。香田コーチは「1球引っかけたのがあったけど、それ以外は枠の中に収まっているし、きのうのいい感じが残っている。感覚を大事にやっていけばね。よくなっています」とのことでした。

課題はホームランのあとの打席

 2-2の5回に勝ち越しホームランを放った中谷選手。ただし平田監督は「ホームランのあとがダメや。打ったのはいいんだけど、そのあとの三振、他の3打席の内容が課題。でないと、あのホームランがまぐれに見えてしまう」と苦言を呈しています。おそらく本人も試合後に言われたでしょうし、それ以前に自分自身でよくわかっているはず。

5回にソロホームラン!宮崎に来て4試合目での1号です。
5回にソロホームラン!宮崎に来て4試合目での1号です。
ホームインしたところです。感触はよかったみたいですね。
ホームインしたところです。感触はよかったみたいですね。

 だから中谷選手には「話すことはないですよ」と固辞されましたが…あえて聞いています。ホームランは「真っすぐをしっかり打てたので、よかったです」とのこと。いい感触だったそうです。他の打席が課題と監督は言っていましたね。「ほんと、そこです!それが一番の問題なので」。1打席目のサードゴロは悪くなかったのでしょう?「そうですね。サードゴロはまだよかったんですけど…」

 CS組から宮崎へ移動して4試合目で出た初タイムリーが、一時は勝ち越しとなるホームランだった中谷選手。他の2打点は三ゴロと押し出し四球ですからね。16打席に立って、まだ2安打というのが悔しいでしょう。これからの10試合が実りのあるものとなるよう、祈っています。来年のために。

 それから、この日は5番ライトで出場した板山選手が2回と5回に中前打を放ってマルチヒットです。しかし、これまた「ダメです。2三振にエラーが…」とガックリ。2安打したけど2三振を喫したこと、2回に自身のエラーで出した走者を還して2対2となってしまったことを猛省でした。

グッジョブでした!30sトリオ

 なお荷物をトラックに積んでバスへ乗り込む選手たちとは別に、俊介選手、荒木選手、森越選手がスーツに着替えて引き揚げました。CSに出場していた若手の野手陣が来るまで頑張ってくれた3人は第2クールでお役ご免です。でもさすがにしっかり打っていますねえ。

試合後のタッチ。俊介選手は自身の日程を終えました。
試合後のタッチ。俊介選手は自身の日程を終えました。

 俊介選手は5試合に出場して18打数6安打3打点、打率.333。荒木選手は14日終了時点で.348だったんですけど、15日が無安打だったため8試合で27打数8安打3打点で.296。森越選手は15日に2打席連続安打を放ったところで.440まで跳ね上がり、最終的には出場8試合で27打数11安打3打点(本塁打1)、打率.407でした。

荒木選手も内野と外野両方を守って全試合に出ました。
荒木選手も内野と外野両方を守って全試合に出ました。
森越選手はタイムリーを含む2安打!これは4回の右前打です。
森越選手はタイムリーを含む2安打!これは4回の右前打です。

 森越選手に「2打席目の初球打ちはお見事」と言ったら「あれはよかったですねえ!」と本人も納得のヒットだったようです。この日の試合途中で4割4分になっていたことを告げると「好きやわ~宮崎(笑)」と。でも早く家族の顔が見たいというのが本音でしょう。

 きょう16日は休養日ですが、フェニックス・リーグ参加しているNPB全チームの若手選手らとともに、毎年恒例の『プロ野球暴力団等排除対策講習会』に出席。そして夕方からは、宮崎市内2か所の児童施設をそれぞれ何人かが訪問しています。これは今回が初めてのこと。今後も続けていけたらいいですね。

 みやざきフェニックス・リーグは、あす17日から第3クールに入ります。あすはお倉ヶ浜総合公園野球場(日向市)での楽天戦、先発は横山投手の予定です。

   <掲載写真は筆者撮影>

フリーアナウンサー、フリーライター

兵庫県加古川市出身。MBSラジオのプロ野球ナイター中継や『太田幸司のスポーツナウ』など、スポーツ番組にレギュラー出演したことが縁で阪神タイガースと関わって約40年。GAORAのウエスタンリーグ中継では実況にも挑戦。それからタイガースのファームを取材するようになり、はや30年が経ちました。2005年からスポニチのウェブサイトで連載していた『岡本育子の小虎日記』を新装開店。「ファームの母」と言われて数十年、母ではもう厚かましい年齢になってしまいましたが…1軍で活躍する選手の“小虎時代”や、これから1軍を目指す若虎、さらには退団後の元小虎たちの近況などもお伝えします。まだまだ母のつもりで!

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