今季初の甲子園開催ゲームでウルウル、ワクワク、ドキドキ《阪神ファーム》
鳴尾浜球場ができる前まで、阪神ファームは甲子園球場か浜田球場でウエスタン・リーグの公式戦を行っていました。1995年から鳴尾浜をホームグラウンドとして、甲子園での開催は年10試合前後となっています。今季はちょっと少なめの8試合が甲子園球場で予定されていて、5月31日のソフトバンク戦が今季初の甲子園開催でした。6月1日も甲子園で行われ、2日は丹波へ場所を移して3戦目があります。
31日の初戦は金曜日のデーゲームながら2901人のお客様が来られたものの、開門時の“選手による出迎え”は無事に行われました。1日は3910人で、朝から長蛇の列ができたため15分早めて11時15分に開門されたので、お出迎えはなし。休日はどうしても開門が早まってしまいますね。昨年も初開催の日と、雨の日以外は出迎えができなかったと記憶しています。
さて、令和初のウエスタン甲子園開催となった31日。先着来場者に平田監督の名刺カードをプレゼントすることになっていて、お出迎えはルーキー4選手(小幡、斎藤、湯浅、片山)の予定でした。そこで平田監督から「俺のカードを配るのに、俺は出なくていいの?」という提案があり、急きょ参加の運びとなったとか。またルーキーのうち片山選手はこの日、試合前にバッテリーミーティングがあるため、2年目の熊谷選手に代わったようです。
11時30分の開門前に監督&4選手とタイガースガールズの皆さんで記念撮影。そして進行方向右手の手前に平田監督、その向こうに熊谷選手と小幡選手、左側に斎藤投手と湯浅投手が並んで、握手やハイタッチでお客様を迎えました。野手が先に引き揚げ、監督と投手陣が残って、全部で10分強でしょうか。「きゃあ、熊谷選手がいる!」という黄色い声や、「おお~平田監督やん!」というベテランファンの声。平田監督は、カメラを構えるのにもたついたら「遅い!」とお客様に突っ込んだりするので、笑い声もいっぱい!
「原口選手を頼みます」と監督にお願い
こんなに盛り上がった出迎えイベントは初めてですねえ。まあ監督自ら参加というのも珍しいので。そんな中、平田監督に「原口選手をよろしくお願いします」と言われるファンの方が何人もいらっしゃいました。本当に何人も。中には監督の手を握って「頼みます」と訴える方もあったくらいです。そのたびに「頑張ってるからね。きょうは代打で出るよ」と返す監督。
その通り、8回裏にバットを持ってベンチを出てきた原口選手の名前がコールされた瞬間の声援はすごかったですね!そして二塁打を放った際の、鳴り止まない拍手も。思わず胸が熱くなりました。鳴尾浜で初めて試合に出た日も大歓声が原口選手を包んだけれど、やはり甲子園のそれは違います。内野席しか埋まっていないのに、スタンドで生まれた音が屋根へ伝わってグラウンドで共鳴するような…。
試合後のヒーロースピーチも原口選手だったのですが、これは逆に響きすぎて聞き取りにくかった、ということも付け加えておきます。わかった範囲では「(最後まで競った試合で、というような意味かと)皆さん楽しんでもらえたと思います。あしたも頑張りますので、あしたもたくさん足を運んでください。ありがとうございました!」という感じですね。
では31日の試合結果からご覧ください。
《ウエスタン公式戦》5月31日
阪神-ソフトバンク 13回戦 (甲子園)
ソフ 010 000 100 = 2
阪神 100 020 00X = 3
◆バッテリー
【阪神】○小野(1勝)-飯田-S斎藤(1敗7S) / 坂本
【ソフ】●板東(2敗)(5回1/3)-渡辺健(1回2/3)-田浦(1回) / 栗原
◆本塁打 ソ:コラス6号ソロ(小野)
◆二塁打 神:坂本、ナバーロ、原口 ソ:コラス
◆盗塁 神:島田、熊谷、陽川
◆打撃 (打-安-点/振-球/盗/失) 打率
1]右:島田 (4-1-0 / 1-0 / 1 / 0) .263
2]二:熊谷 (4-1-0 / 0-0 / 1 / 0) .239
3]中:荒木 (4-0-0 / 0-0 / 0 / 0) .218
4]三:陽川 (4-1-1 / 0-0 / 1 / 0) .253
5]一:ナバーロ (4-1-0 / 3-0 / 0 / 0) .167
6]指:伊藤隼 (3-1-0 / 0-0 / 0 / 0) .189
〃打指:原口 (1-1-0 / 0-0 / 0 / 0) .211
7]左:板山 (2-1-0 / 0-0 / 0 / 0) .203
〃打左:俊介 (2-0-0 / 1-0 / 0 / 0) .273
8]捕:坂本 (1-1-0 / 0-1 / 0 / 0) .156
9]遊:小幡 (2-0-0 / 0-0 / 0 / 0) .218
〃打遊:森越 (1-0-0 / 0-0 / 0 / 0) .263
◆投手 (安-振-球/失-自/防御率) 最速キロ
小野 7回 94球 (3-7-2 / 2-2 / 2.77) 150
飯田 1回 13球 (0-2-0 / 0-0 / 3.14) 142
斎藤 1回 20球 (1-0-0 / 0-0 / 1.02) 150
《試合経過》※敬称略
まず打線は1回、1死から熊谷が左前打、荒木の三ゴロで走者が入れ替わり2死一塁。陽川の打席で2球続けてバッテリーエラー(どちらも栗原の捕逸)があり、荒木は三塁へ。陽川が3球目を打って中前タイムリー!鮮やかに二盗も決めましたが、ナバーロの三振でここは1点止まりです。
2奪三振の三者凡退で立ち上がった小野。しかし2回は先頭の4番・コラスに初球を右中間へ運ばれて二塁打、1死後に塚田の左前タイムリーを浴び追いつかれました。その裏の攻撃で伊藤隼と板山が連打、坂はが初球で送って1死二、三塁とするも得点なし。3回と4回は両チームとも三者凡退で終えます。
5回の小野は1四球のみで無失点。その裏、先頭の坂本がライトフェンスに届く二塁打を放ち、小幡は送りバント失敗で1死一塁となったものの、続く島田の右前打で一、三塁に。熊谷への初球で島田が二盗、さらに暴投で小幡が生還。島田も三塁へ進みます。熊谷は遊ゴロで、島田がホームタッチアウト。2死一塁となり、熊谷が二盗成功。続く荒木の遊ゴロをショートが送球エラー、これで熊谷が還って、この回2点を勝ち越しました。
小野は7回、先頭のコラスにセンターへホームランを浴び、これで1点差とされます。小野はこの回で交代。打線は6回に先頭のナバーロが二塁打、8回は2死から代打・原口が左中間への二塁打を放ったものの、追加点はありません。なお8回の表は飯田が2奪三振などで三者凡退に抑えています。
3対2で迎えた9回、マウンドには斎藤が上がり1死を取ってからコラスに中前打を許し(代走は古澤)、2死後に暴投で二塁へ。塚田が死球、さらに暴投で2死二、三塁とピンチを招くも、美間は三ゴロに打ち取って2者残塁!1点差を守って逃げ切りました。
DL脱出の最終段階へ
31日の試合後、平田監督は小野投手について「甲子園のマウンド、久しぶりで気持ちよく投げていたな。ストレートの走りもよかったし。コラスの1発だけやなあ。テンポもすごくいいよ。この前、BCリーグとやった時もそうだけど、非常に精度も上がってきた。きょうは完投させようかなと、途中までそういうペースやったけど。きょうは94球?まあ肘の故障明けだから。徐々にね。順調に来てるな」とコメント。
続いて二塁打を放った原口選手には「いや~見事だねえ!やっぱり役者が違うよな。お客さんに原口の出るところをね。あしたはスタメンでいくよ。甲子園でファーストをちょっとやらせておこうと。ちょっとデッドボールの影響でね。よくなって振れるようになってきたけど」と話しています。では、その2選手のコメントをご紹介しましょう。
小野投手は前回、BCリーグ・福井戦(22日、フェニスタ)で先発して5回パーフェクト!8三振を奪いながら56球というピッチングでした。今回はイニング、球数の制限は特になかったそうです。これで4試合目の実戦登板となり「きょうは結構、真っすぐの感じがよかったので、真っすぐの質は上がってきているんじゃないかなと思います」と話しました。「前回は真っすぐで追い込んで変化球という形で、きょうは変化球でもカウントを作ることをテーマに坂本さんとも話をして投げた」とのこと。
投げ終えての手応えを聞かれ「ストライクを取りたいところで抜けてしまったり、三振を狙うためボールにする変化球が甘く入ってしまったりしたので、もっと変化球でカウントを取れれば真っすぐも生きてくると思う」と反省点を挙げた小野投手。1軍に向けて「ストライク先行でカウント負けしないようなピッチングが常にできたら。自分有利のカウントにして、ゾーンで勝負していきたい」とレベルアップを誓います。久しぶりの甲子園で「投げやすかった」と言い、どこであれ「勝てたってことが一番いいんじゃないですかね」と締めくくりました。
復帰後、一番いい当たり!
8回に代打で出場して左中間への二塁打を放った原口選手。初球、140キロのストレートをとらえた鋭いスイングはさすがで、これぞ原口選手!という当たりでした。復帰してから二塁打は何本かありますが、一番いい当たりだったかも?と尋ねたら「そうですね。よかったです」という返事。しかも甲子園で、ものすごい拍手と声援に応えた一打は格別でしょう。
「そうですね、いい球場なので。楽しかったです!最高です。1打席目でああいうヒットが出てすごく嬉しいし、またあしたから頑張りたいなと思いました」
初球打ちには「しっかりいいスイングができた」と言い、1球目を振っていくぞと心に決めていたのかという問いには「まあ、そうですね」と少し笑いながら「1球目で準備をして、(それが)甘い球だったので。しっかり打ててよかったです。その日その日、自分ができることを。しっかり準備して結果を求めて、内容も求めて、頑張りたいと思います」と力を込めました。5月26日の中日戦(ナゴヤ)で死球を受けた右ひざ内側は、まだ痛みもあるはずですが、本人は「大丈夫」としか言いませんからね。全力で打って、守って、走るでしょう。
ウキウキ、ワクワク、ドキドキの甲子園
変わってルーキーズの“甲子園”について、最初は経験ありの小幡選手です。高校3年春以来の甲子園、ということは1年と2か月くらいなので、そう遠くないですね。「その時はウキウキでした。ウキウキの方がでかかった。いずれは超満員の中でやりたいなと思います」。登場曲も初体験。「気持ちいいですねえ!いつもとは違った緊張感で」
甲子園特有の風については高代コーチの「球が戻ってくるから気をつけろ」と言われていたそうです。ちなみに「(高3の春は)エラーをして嫌な気持があったけど、きょうは落ち着いて捕れた」と言っていました。
また、31日は出場しなかった片山選手ですが、試合後に「初甲子園…」と言いかけただけで笑顔がはじけます。「僕、きょう試合に出ていないですよ。出ていませんけどね」と前置きして「でも、バッティング練習にしても何か違いますね、鳴尾浜と。練習が純粋に楽しかった!本当に楽しかった。打って飛んでいくボールがわかるじゃないですか」
柵越えの打球ってことですか?なるほど、防球ネットに当たって終わる鳴尾浜と違って、スタンドに飛び込むのが見えますからね。「それだけじゃなく、ノックを受けていても楽しくて、練習がはかどるというか…」。すいすい進む?「そんな感じの一日でした。ワクワクドキドキですね!」と生き生きした表情。子どもみたいです。
6月1日は1対1の引き分け
そんな片山選手、1日は8番キャッチャーでフル出場して、2回の1打席目に中前打を放ちました。一塁を駆け抜ける時も、マスクをかぶって見る景色も、きっとまたワクワクドキドキだったんでしょうね。
《ウエスタン公式戦》6月1日
阪神-ソフトバンク 14回戦 (甲子園)
ソフ 000 000 100 = 1
阪神 100 000 000 = 1
◆バッテリー
【阪神】馬場-望月 / 片山
【ソフ】ミランダ(7回)-嘉弥真(1回)-加治屋(1回) / 市川-栗原
◆本塁打 ソ:塚田3号ソロ(望月)
◆盗塁 ソ:三森
◆打撃 (打-安-点/振-球/盗/失) 打率
1]中:島田 (3-0-0 / 1-1 / 0 / 0) .258
2]遊二:熊谷 (4-0-0 / 2-0 / 0 / 0) .233
3]右:俊介 (4-1-0 / 1-0 / 0 / 0) .272
4]一:原口 (4-0-0 / 0-0 / 0 / 0) .190
5]二三:山崎 (3-1-0 / 0-0 / 0 / 0) .323
6]左遊:森越 (3-0-0 / 0-0 / 0 / 0) .227
7]指:坂本 (3-0-0 / 1-0 / 0 / 0) .143
8]捕:片山 (3-1-0 / 1-0 / 0 / 0) .250
9]三:藤谷 (2-0-0 / 1-0 / 0 / 0) .157
〃左:板山 (1-0-0 / 0-0 / 0 / 0) .202
◆投手 (安-振-球/失-自/防御率) 最速キロ
馬場 5回 61球 (2-3-0 / 0-0 / 2.36) 144
望月 4回 53球 (3-1-2 / 1-1 / 2.67) 152
試合は、阪神が1回に四球と犠打と相手エラーで先制。ノーヒットで1点を取りました。先発の馬場投手は5回2安打無失点の好投で、本人もかなり手応えをつかんだ様子だったそうです。6回からリリーフした望月投手が7回に塚田選手の同点ホームランを浴びたものの4イニングで3安打のみ。
ただ打線が2回の片山選手、4回の山崎選手、6回の俊介選手による3安打だけで…それ以外はほぼ完ぺきに抑えられて勝ち越せず、9回引き分けです。そういえば31日の試合はソフトバンクが4安打(そのうちコラス選手が3安打)でしたね。
これで53試合を消化して30勝19敗4分けとなりました。甲子園では1勝1分けだったソフトバンク戦が、きょう2日は兵庫県丹波市立春日総合運動公園の春日スタジアムで開催されます。
<掲載写真は筆者撮影>