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阪神vs巨人 ファーム日本一を賭けた戦いが始まる!

岡本育子フリーアナウンサー、フリーライター
ファーム日本選手権の先発を任された浜地投手。自然体で臨みます。

 きのう5日、1軍に戻った原口選手が8回に代打出場して、早速ヒット!これが2008年に桧山さんが作った、代打のシーズン球団記録である23安打に並びました。死球で左手の小指を骨折して登録を抹消されてから、ちょうど2週間ですね。3日に初めて屋外でのフリー打撃を行い「もう準備はできた」と話していた原口選手。それは痛みが消えたということではないと思います。

 矢野監督は、3日の打撃練習を見て「もう問題ないんじゃない?だって記録もあるしね。上と相談して、こっちの実戦なしで上がってもいいだろうし。その方が試合数も多くなる。もちろん100%ではないけど、そんなチャンスはなかなかないので。そこまで積み上げてきたからこそ自分自身で可能性を作ったわけだし、チャレンジしていったらいい」と話していました。

 そのチャンスを、原口選手は決して諦めていなかったんですよ。とても、とても大きな試練だったのに。どれだけ気持ちが強いんだろうと、いつも驚かされます。そしてキッチリと結果を出す。これはもう信念ですね。自分で自分を信じ、それを裏付けるだけの準備をして、今回も復帰した日に、しかも初球を打ったヒットでした。新記録はやっぱり甲子園で、と願います。何ならレフトスタンドへ放り込んじゃってください!

室内で行われた前日練習

 さて、阪神のファームは今、宮崎にいます。秋季教育リーグの『みやざきフェニックスリーグ』は週明けの8日からですが、その前にKIRISHIMAサンマリンスタジアムで『ファーム日本選手権』が、きょう6日に開催されるためです。ことしはウエスタン・リーグを8年ぶりに制した阪神と、イースタンの覇者・巨人の顔合わせ。日本選手権が始まって31年で初めて実現した阪神-巨人戦で、1軍の日本シリーズとは違って1試合のみ。気合いが入りますね。

 ここで、スタメンを書いておきましょう。

先攻【巨人】

1]中:松原

2]遊:若林

3]右:橋本到

4]一:和田恋

5]左:石川

6]指:宇佐見

7]三:北村

8]捕:田中貴

9]二:山本

投]高田

後攻【阪神】

1]中:江越

2]二:荒木

3]左:高山

4]右:板山

5]三:今成

6]指:緒方

7]一:山崎

8]捕:長坂

9]遊:熊谷

投]浜地

 きのう5日は、前夜の大雨と当日も雨予報だったため、運動公園内の木の花ドームで前日練習を行いました。阪神は13時から、巨人は15時から、それぞれ約2時間ずつです。ただし朝から青空も見え、サンマリンスタジアムでも練習できそう?と思ったのですが、風がものすごく強くて無理だったかもしれませんね。そして練習を終えて帰る阪神のチームバスを見送った瞬間に、ボタボタと大粒の雨が!その後は明け方まで強弱をつけて降り続いたものの、朝6時にはもう上がっています。

 では、きのうの練習が終わってから、矢野監督や浜地投手など何人かに聞いた話をご紹介しましょう。

矢野監督「俺たちらしい野球で」

2日と3日の練習試合でホームランを放った江越選手。今回も先頭打者です!
2日と3日の練習試合でホームランを放った江越選手。今回も先頭打者です!

 まず矢野監督は「雨だけやなあ、心配は。できそうな気もするし、グラウンドが心配なところもあるし」と気がかりな様子でしたが、無事にやれそうです。選手たちの表情が違うとか、そういうのはないですか?「そんなん全然ない。そんなんで変わってたら、どうすんの。1軍の開幕戦は一番緊張するよ。初めて開幕(スタメン)の時はメッチャ緊張したわ。前の晩、寝られへんかった。星野伸さんの部屋へ行ったの覚えてるわ。寝られへんから。伸さんが開幕投手やったんで“ちょっといいですか”って」

 あすのことについて何か選手に話をされましたか?「いや何も言ってない。あしたは言おうかなと思って。もちろんね。きょうは別に」。みんなで戦うということを?「そうやね。公式戦としては最後でしょ?いつも言うけど、特別なことはできないから。俺ららしい、ことしやってきたことをやってくれたらいい。そういうことを話そうかなと思ってる」

 勝ちにこだわる継投で?「1日しかないから、やる限りは勝ちたいし。こだわるというか、早めにスイッチすることはまあ考えてはいるけど。それは試合でどうなるかはわからへんから。浜地がメッチャ頑張ってくれるかもしれない。想定とか、こうなったら早めにしていったらいいかなとか。あとは中継ぎもみんな頑張ってウエスタンで優勝もできたので、なるべくならみんな投げさせたいなっていう思いはある。こればっかりはね、わからへん」

木の花ドームで練習を見守る矢野監督。
木の花ドームで練習を見守る矢野監督。

 打撃面では変わらず?「変えようがない。選手がおらへんもん。ジャイアンツが何人おるか知らんけど、うちはおらへんがな(笑)」。今度は勝って胴上げを。「そうやな。やらせのな。(俺が)“お願いしまーす!”って言わな、やってくれへんような?」。由宇では意外と選手が仕切ってくれなかったような気がします。「いやいや、あれはやりにくかったんじゃない?選手は」。なるほど、自分たちは負けての胴上げだったので仕方ないですね。

勝敗よりも“ハート”で戦えたら

 改めて巨人戦というのは?「まあ俺らももちろん意識はあるけど、一番はファンの人が喜んでくれるってのがあるから。2軍とはいえ、多分この試合だけの応援に来てくれる阪神ファンの人もいるやろし。テレビで応援してくれる人もいる。俺らも意識するけど、ファンの人がより意識しているのが巨人-阪神やと思うから。それはやっぱり、やる限りは勝って喜ばせたい、というところにファンは間違いなく中心にいるので。そういう気持ちで戦いたいなと思う」

 いつもとやることは変わらないと思いますが、巨人対策などは?と聞かれて「ない」と即答。

スタメンマスクの長坂選手。今季は大きく成長しました。
スタメンマスクの長坂選手。今季は大きく成長しました。

 「俺が思っているのは、浜地を先発させたりって、どっちに転がってもプラスなんよ。いつも言うけど、打たれることを怖がらんでいいし、打たれたとしても、これからの浜地に絶対勉強になるから、それはそれでいい。打席でも“打たれへんかったらどうしよう”と思うかもしれんけど、よし打ってやろうって気持ちを変えて打席に入ってくれたら結果がどう出ようと俺はいいと思う」

 また「プロだから勝たなあかんし、勝ちにこだわらなあかんけど、ことしのタイガースらしい野球ができれば。できれば勝てる可能性は出てくると思うから。まあそういう準備は必要なんだけど、いつも言うように、俺はハートで戦えたらなと思う。今までやってきた準備は、みんなやってくるだろうし」と続けました。ハートで戦う…いい言葉ですね。

 最後に、1軍のBクラスについて聞かれ「1軍が勝つことがみんなの目標で、できた部分とできなかった部分ってのはあるけど、後退はしていないと思うのよ。結果が出ていないからチーム力として下がっているというふうには思わなかった。うまく噛み合わなかったというのはあるけど。若いやつも、ピッチャーも出てきているし。ちょっと何年か後の将来を見た時に“先行きが暗いのか”と言われたら、いやいや俺は“あいつも、こいつもおる”という話せるメンバーが揃ってきていると思う。だから土台としてはできつつある」と答えた矢野監督。

 「1軍が残念だった分、頑張れたらなって思う」と締めくくっています。

浜地投手&馬場投手はいい緊張感で

思いっきり、楽しんでと矢野監督に送り出される浜地投手。前日練習の投内連係にて。
思いっきり、楽しんでと矢野監督に送り出される浜地投手。前日練習の投内連係にて。

 先発を任された浜地投手も普段通りに、投内連係などの練習をこなしました。いよいよ明日ですねと言ったら「いい緊張感というか、そういう中で準備はできたから、あしたに備えたいと思います」とのこと。福岡の出身で、地元に近いところで投げることは気持ちが上がる?「特にないです。(宮崎には)高校時代も遠征で何度か来ていたので」。サンマリンも?「投げたような気はしますけど、あまり覚えていないです」

 矢野監督が、ジャイアンツに勝つことでファンは喜ぶと言っていました。そのへんは?「うーん、ジャイアンツ…。僕は僕で相手を意識せず、チームの名前とやるわけじゃないので、1人1人しっかりやっていければと思います」。9月21日(甲子園のソフトバンク戦)も、勝てば優勝という大一番で先発。今回も大役です。「前回もいい緊張感の中でやれて、でも前回はマメで悔しい思いをした。今回はしっかり準備をしてきたので、あしたやるだけですね」

馬場投手も登板予定。フレッシュ球宴の時みたいな、いい笑顔でした。写真は鳴尾浜。
馬場投手も登板予定。フレッシュ球宴の時みたいな、いい笑顔でした。写真は鳴尾浜。

 次に馬場投手。ワクワクしてきた?「すごく楽しみです!」。どのあたりが特に?「(日本選手権は)決勝戦みたいなものなので、ファームで日本一を取れるよう最善の準備をして、勝利に導けるようにしたいです」と笑顔も見えました。

 そして「独立リーグとの試合(2日のBCリーグ選抜戦)で151キロが出て、スピードの出る投げ方がだいたいわかってきましたし、ストレートのスピードと強さを大事にして投げていきたい。負けられない相手だと思うので、ぶつかっていく気持ちを、1年目だから挑戦者の気持ちを大切にして臨んでいけたらと思います」とのこと。思い切り真っすぐを投げ込んでください。

野手陣は「目指せ50万円!」で

4番・板山選手。監督を胴上げできるように頑張ってください。
4番・板山選手。監督を胴上げできるように頑張ってください。

 矢野監督が4番と明言していた板山選手は「やることは同じなので。今まで通りやってきたことをやって、勝負事だから、みんなで勝って喜びたい」と抱負を語っています。今度は勝って胴上げをしたいですよね。「はい。ウエスタン優勝の時は(勝って)できなかったので、今度はやりたい。そして賞金を狙います!」

 出ましたね。一昨日に続いての“MVP宣言”。その時は賞金が100万円と思っていて、50万円だと知ってガックリしていましたけど(笑)。表彰台にその姿があるように祈っています。

熊谷選手には“超積極的野球”の集大成を見せてもらいましょう!
熊谷選手には“超積極的野球”の集大成を見せてもらいましょう!

 熊谷選手は、自身の盗塁が得点につながることもあるのでは?と話を振られて「盗塁は持ち味なので、塁に出たら次の塁、次の塁という意識でやっていきたい」と意気込んでいました。2つ、3つ走ることも?「今までやってきたことを、しっかり出したい」。まず出塁、そして足で掻き回す、ことしの“超積極的野球”で締めくくってほしいですね!

 最後にスタメンマスクの長坂選手は「勝つだけでしょう!」のひとことでした。

    <掲載写真は筆者撮影>

フリーアナウンサー、フリーライター

兵庫県加古川市出身。MBSラジオのプロ野球ナイター中継や『太田幸司のスポーツナウ』など、スポーツ番組にレギュラー出演したことが縁で阪神タイガースと関わって約40年。GAORAのウエスタンリーグ中継では実況にも挑戦。それからタイガースのファームを取材するようになり、はや30年が経ちました。2005年からスポニチのウェブサイトで連載していた『岡本育子の小虎日記』を新装開店。「ファームの母」と言われて数十年、母ではもう厚かましい年齢になってしまいましたが…1軍で活躍する選手の“小虎時代”や、これから1軍を目指す若虎、さらには退団後の元小虎たちの近況などもお伝えします。まだまだ母のつもりで!

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