指標である球の走りを確認した岩貞投手 次回は1軍のマウンドで!《阪神ファーム》

ファームでは3試合目の登板だった岩貞投手。「真っすぐは徐々に上がってきています」

 きのう10日からの広島3連戦で、阪神タイガースの1軍は本拠地・甲子園の今季開幕となりました。きょう11日にはドラフト2位ルーキーの高橋遥人投手が先発でプロ初登板。小虎ファンの皆様も大注目ですね。ファームも今節は鳴尾浜の試合なので、昼夜とも出場の1軍選手がいます。きのうは伊藤隼太選手と植田海選手が鳴尾浜で先発、夜は途中出場でした。

 しかも伊藤隼選手は代打で、執念のピッチャー強襲タイムリー内野安打!これが決勝点となり、鳴尾浜から始まった伊藤隼選手の長い一日は甲子園のお立ち台で締めくくられたわけですね。きょう11日は原口文仁選手がスタメンマスクをかぶって、移籍後初先発の岡本洋介投手をリード。攻撃ではタイムリーを放ちました。夜も出番がありますように!

近況報告・横田選手&牧投手

 ところで、きのう10日のウエスタン・ソフトバンク戦では横田慎太郎選手の姿がベンチにありました。イニング間にベンチから出てくる選手の中に『124』のユニホームが見えて、あれ?と思ったのですが、私も久しぶりの鳴尾浜だったので初めてかどうかわからず試合後に確認。やはり試合のベンチに入るのは、病気療養から戻って初めてだったようです。

攻守交代時は他の選手とともにベンチの外へ出る横田選手。ゲームの一員です!
攻守交代時は他の選手とともにベンチの外へ出る横田選手。ゲームの一員です!
試合が終わったあとの全員整列。島田選手の隣に並びました。
試合が終わったあとの全員整列。島田選手の隣に並びました。

 昨年2月に脳腫瘍と診断されて入院。寛解となり同9月に鳴尾浜へ戻ってきて、少しずつトレーニングを重ねてきた横田選手。2月の安芸キャンプでは屋外でのフリー打撃もできるようになりました。この日はベンチで試合を見ることが解禁され、守備位置についた外野手とのキャッチボールをしたり、声を出したり。

 練習を終えて戻ってきた横田選手は「できることが増えてきて、自分の今後の勉強のために試合をしっかり見ました。自分が出た時のために。次は試合に出られるよう、やっていきたいです」と話しています。ちょっと照れながら参加した試合後の整列、ご覧になった方も多いでしょう。試合のベンチは昨年2月の宜野座キャンプで行われた紅白戦以来でしょうか。公式戦となると1年半以上前ですね。

 そんな横田選手に「ナイスボイス!」と声をかけた矢野燿大監督は「1つずつやれることをやっていこうという、その一環としてのベンチ入り」と言います。さあすぐにゲーム!というものではないとしても「久しぶりにゲームの雰囲気を本人も味わったかな。こうやって少しずつね。声も出してたよ。裏返ってたけど(笑)」と矢野監督も楽しそうです。

 報告がもうひとつ。チームの末っ子・ルーキーの牧丈一郎投手が、本格的にピッチングを開始しました。1月新人合同自主トレでもブルペンには入っていたのですが、キャッチャーを座らせての投球は8日がプロ初。「座ってもらっては30球だけだったんですけど、(プロに)入ってからやってきたことが出ていたと思います」

8日、初めて捕手を座らせて30球を投げた牧投手。写真は2月の安芸キャンプのものです。
8日、初めて捕手を座らせて30球を投げた牧投手。写真は2月の安芸キャンプのものです。

 半年ぶりくらいという本格投球に「やっと一歩踏み出せたかなと思いますけど、まだまだかな~」と牧投手。それについて「焦りはないです。同い年がチームにいないのもあるし、同期でも高橋(遥人)さんは4つ上やし。ただ逆の立場になった時、あとから入ってきた選手より先に入った分、成長していたい」と、これは常に言っていることです。まずは一歩、やがて訪れる試合登板を楽しみに待ちましょう。

チャンスを生かせず1得点のみ

 では10日のウエスタン・ソフトバンク戦の詳細です。先発の岩貞祐太投手は3回を2安打無失点。5回にタイムリー三塁打で1点先制され、打線は8回に3四球と相手のエラー2つ(ノーヒット)で1点返したものの、9回にタイムリー三塁打とスクイズで2点取られて敗れました。

 

《ウエスタン公式戦》4月10日

阪神-ソフトバンク 4回戦 (鳴尾浜)

 ソフ 000 010 002 = 3

 阪神 000 000 010 = 1

◆バッテリー

【阪神】岩貞‐守屋‐島本‐●モレノ(1敗2S) / 長坂

【ソフ】渡辺健(4回)-小沢(3回)-伊藤(2/3回)-野沢(2勝)(1回1/3) / 高谷‐谷川原(4回~)

◆三塁打 板山、谷川原、西田

◆盗塁 三森(5)、熊谷(6)

◆打撃   (打-安-点/振-球/盗/失) 打率

1]遊:植田  (3-0-0 / 1-0 / 0 / 0) .214

〃二:森越  (0-0-0 / 0-0 / 0 / 0) .154

〃打三:今成 (0-0-0 / 0-1 / 0 / 0) .250

2]三遊:北條 (2-0-0 / 1-2 / 0 / 0) .188

3]左:伊藤隼 (3-0-0 / 1-0 / 0 / 0) .000

〃左:島田  (1-0-0 / 1-0 / 0 / 0) .222

4]右:板山  (4-1-0 / 1-0 / 0 / 0) .288

5]指:中谷  (4-0-0 / 0-0 / 0 / 0) .189

6]一:陽川  (4-1-0 / 1-0 / 0 / 0) .176

7]中:江越  (3-1-0 / 0-1 / 0 / 0) .167

8]捕:長坂  (3-2-0 / 0-1 / 0 / 0) .304

9]二遊:熊谷 (2-0-0 / 0-0 / 1 / 0) .164

〃打二:荒木 (2-0-0 / 1-0 / 0 / 0) .206

◆投手 (安-振-球/失-自/防御率) 最速キロ

岩貞  3回 39球 (2-3-1 / 0-0 / 0.56) 146

守屋  3回 50球 (5-3-1 / 1-1 / 3.12) 144

島本  2回 16球 (0-1-1 / 0-0 / 9.00) 143

モレノ 1回 9球 (2-0-0 / 2-2 / 3.60) 149

2回に三塁打の板山選手。二塁を回ったところです。
2回に三塁打の板山選手。二塁を回ったところです。

 

島本投手は2イニングを投げ1死球のみで無失点。
島本投手は2イニングを投げ1死球のみで無失点。
9回はモレノ投手。三塁打とスクイズで2失点。
9回はモレノ投手。三塁打とスクイズで2失点。

《試合経過》※敬称略

 岩貞は1回、2死から塚田に四球を与え、続くグラシアルの左前打で一、二塁としますが吉村を右飛に打ち取って無失点。2回は三者凡退。3回は先頭の高谷に中前打され、三森の一ゴロで走者が入れ替わったあと、自身の牽制で三森を挟殺(盗塁死)。3人で片づけました。

 ついで登板した守屋は4回、いきなり連打を浴びながら併殺などで0点に抑えたものの、5回に先頭・西田の中前打と犠打で1死二塁として谷川原の中越え三塁打(思いのほか伸びた打球で、外野が前進守備だったことに加え、江越も一瞬前へ行きかける)で1点先取されます。そのあと三森への死球、盗塁がありましたが連続三振で最少失点に。6回は1安打のみで無失点です。

 3人目は島本が登板し、7回は1死から谷川原に死球を与えますが併殺で終了、8回は三者凡退でした。

 一方、阪神打線は1回が三者凡退で、2回は先頭の板山が右中間越えの三塁打を放つも、後続がビシッと抑え込まれて得点なし。3回は先頭の長坂が中前打、しかし熊谷の二ゴロ併殺打など3人で終わり、4回は三者凡退。小澤に代わった5回も三者凡退です。

9回2死から左前打を放った陽川選手。
9回2死から左前打を放った陽川選手。
江越選手も左前打で続きましたが…得点できず。
江越選手も左前打で続きましたが…得点できず。

 6回に長坂が右前打、一ゴロで入れ替わった熊谷が二盗を決め、北條は四球を選ぶも伊藤隼が三振。7回はまた三者凡退と、なかなかチャンスが広がりません。

 ようやく8回、ソフトバンク3人目の伊藤から四球を選んだ江越が、その伊藤の牽制悪送球で三塁へ進みます。簡単に2死となるも、代打・今成と北條が連続四球で満塁!続く島田への4球目でキャッチャーが三塁へ送球、しかし逸れて江越が生還。なおも走者2人を残していたものの、島田が見逃し三振で同点止まりです。

 すると9回、モレノが先頭の吉村に左前打され、犠打で1死二塁となって西田が右越えのタイムリー三塁打。さらに茶谷が初球でスクイズ!モレノが捕球した時にもう西田はホームインしていました。

 2点勝ち越された9回裏は2死から陽川と江越が連打、長坂の四球で満塁と攻めた打線ですが、最後は荒木のゴロで三塁封殺。試合終了です。

球の走りが岩貞のバロメーター

 矢野監督は岩貞投手について「前回(3日のウエスタン・広島戦)もまあまあのピッチングだったし、きょうも前回のような感じでは投げられた。腕は振れていたと思う。球の走りが岩貞のバロメーター、勝ち負けのバロメーターになってくる。きょうはそういう球もあったので、よかったんじゃないかな」と評しています。

岩貞投手は当日、3イニングに変更されたようです。
岩貞投手は当日、3イニングに変更されたようです。

 また「俺も3試合しか登板を見ていないけど、ランナーが出てから安定感とまではいっていないかな。でも牽制で盗塁を阻止した、ああいうのはしっかりできている」と話し、岩貞投手が最初にファームで投げた3月24日のウエスタン・中日戦を振り返り「あの時(1軍では)無理と言ったけど、それよりは上がってきている」とのことでした。

 次に岩貞投手本人のコメントです。「自分の投球を目指して、どれだけ上で通用するか、そのためのピッチングをしました。いいところも悪いところもあったし、悪いところの課題を克服したいですね。課題はランナーを出してからボールが2つ続いたところ。1球ファウルを取ったり、投手有利に持っていきたかったです。ランナーがいない時は理想とする形でいけました」

キャッチボールをしながら味方の攻撃を見る岩貞投手。
キャッチボールをしながら味方の攻撃を見る岩貞投手。

 自身の牽制で盗塁を刺した点は「そういうのが武器になるので」と岩貞投手。最後に「真っすぐは前々回、前回より上がってきています。徐々にではありますけど。きょうは打者の反応をしっかり見られました」と言い、金本知憲監督の前で3回無失点という結果に「ゼロで抑えるというのはピッチャーとして一番目指しているところ。(イニングは)短かったけど抑えられてよかったです」と話しています。

 岩貞投手の球を受けた長坂拳弥選手は「あまり調子よくなかったと思いますが、しっかり先頭を抑えているとか、牽制でアウトにしたりとか、ピンチにしないところはよかったです」というコメントでした。

結果を出すために。守屋&島本

 変わって、リリーフで登板した2投手です。まず守屋功輝投手は「投げたイニングの3分の2、4回と5回に先頭バッターを出したところが反省です。代わりっぱなも、いきなりスリーボールにしてしまったし。準備はしっかりしていったつもりなんですが、もっと意識していかないと」と気を引き締めました。

守屋投手が3イニング。三塁打で1点を失いました。
守屋投手が3イニング。三塁打で1点を失いました。

 岩貞投手が3イニングで、自身は4回から登板と当日の朝に聞いたそうです。「でも心の準備はできていたので問題ありません。3イニング投げられて、三振もけっこう取れた。粘れたのでよかった」。先発の機会がなかなか巡ってこないけれど「先発でも、いつでも呼ばれるように準備している。まずは中継ぎで、与えられたところでしっかり抑えていかないと先発もないので」と前向きなコメントです。

 守屋投手に矢野監督は「ファームの難しさというか、調子がいいから投げさせてやりたいと思ってもピッチャーが多くて…。俺も今回、改めてそれを感じた。守屋もよくて先発で使っていきたいというところで、なかなか投げられない。きょうも1点取られたけど、なんとかもう一度、そういうレベルまで上げていけたら。でも1イニングじゃなく3イニング投げられたってのはよかったと思う」とのこと。

 島本浩也投手は前回、3月30日のオリックス戦(舞洲BS)で先発・才木投手のあと、同点の8回に登板したものの長打2本を含む3安打と味方のエラーも絡んで5点を失い、負け投手となりました。「前はよくなかったんで…きょうはよかったと思います。しっかり投げっぷりや躍動感を出せたので、ボールにも伝わったと。きょうみたいなピッチングを続けていきたい。調子が悪い時にゼロで抑えるようになりたいです。いい時は抑えられるのがわかっているので」

7回、1死球があったものの併殺で仕留めて戻る島本投手(左)と長坂選手。
7回、1死球があったものの併殺で仕留めて戻る島本投手(左)と長坂選手。

 矢野監督は「下げた腕をまた戻して、きょうもそれなりにしっかりいけた。本人も調整していきながら、1軍のチャンスを狙っていく、そのきっかけとしてはよかったね」と今後に期待の言葉です。なお三者凡退だった8回、2死からグラシアル選手を三振に切って取ったのはフォークボールだったと島本投手。キャンプ中にもう腕を元の位置に戻していたそうですが、直球にしても変化球にしても、やはり上からの方が力感がありますね。

金本監督の前で三塁打!

 1打席目に豪快な三塁打を放った板山祐太郎選手。これは左ピッチャーから打ったもので「左ピッチャーの変化球が僕の課題で、矢野監督からも“チャレンジの場”と言ってもらっているので、思い切ってチャレンジできることはしたいです」と言います。スライダーを狙って?「きょうは狙いました。そんなに真っすぐが速いピッチャーじゃなかったので狙いやすかったですけど、左ピッチャーの変化球ってのは僕の課題でもあるから」

三塁打を放って息を整える板山選手。まだ金本監督の視察に気づいていません。
三塁打を放って息を整える板山選手。まだ金本監督の視察に気づいていません。

 悔やむのはその後、4回と7回の中飛で「2打席目と3打席目は打ち損じ。あれをヒットにしないと!甘い球でした。2つとも」と、かなり悔しがっていましたが、本人も打ち方は悪くなかったみたいです。

 公式戦開幕から全試合、4番を任されていることには「4番という意識はないけど、チャンスに回ってくるから、チャンスでのバッティングが課題。そういう場面で、このピッチャーはどう攻めてくるかとか、また自分を客観的に見ることなども大事だと矢野監督に言われています」と冷静に対応している様子。

板山選手、これは4回の右飛。
板山選手、これは4回の右飛。

 そのあと「金本監督はどこまで見ていましたか?」と尋ねる板山選手。4回くらいまでだと思うので、三塁打は間違いなく見ていますよ。もしかして視察を聞いていなかった?「知らなかったんですよ。打って戻ってきたら“ナイスアピール”と言われて、そうなんですか?って」。逆にそれでよかったかもしれませんね。

取材回答にダメ出し?

 締めはマルチヒットの長坂拳弥選手です。9日の休日練習で、真っすぐを打つことをテーマにすると話していたそうで、この日の2安打について聞かれると「きょうは真っすぐの速いピッチャーがいなかったので何とも…」という返事。「2本目は外の真っすぐを待っていて、いいところに飛んでくれました」。ここで矢野監督が通りかかって、囲み取材を“観察”。

 「たまたまです」と謙遜する長坂選手に「たまたまではアカン。打とうと思って打ったものじゃないと」とさっそくダメ出し。すると「2本目は変化球がボールになったあと、絶対に真っすぐが外へ来ると思って右方向の一、二塁間を狙って打ちました!」と言い直した長坂選手。これで指揮官も少し納得したようです。

この日はマルチヒットの長坂選手。写真は8回、走者三塁となって藤本コーチのサインを見ているところ。
この日はマルチヒットの長坂選手。写真は8回、走者三塁となって藤本コーチのサインを見ているところ。

 最後に、打線全般への矢野監督の話です。無死三塁で得点できなかったことに「打たされている。相手の術中にはまっている。真っすぐが来るわけないよな~ってとこで、変化球を振らされて」と工夫を求めています。「俺が野村(克也)さんに教わったのは、考えること。積極的にいくにも根拠がないとアカンから。言葉は悪いけど、根拠を持ったヤマを張ること。陽川や中谷、江越は基本的に真っすぐから打っていくタイプではあるんだけど、そこのランクをちょっと上げれば変わっていけると思う」とアドバイスを送りました。

    <掲載写真は筆者撮影>