岩崎投手と、ドラ1・馬場投手が教育リーグで完封リレー《阪神ファーム》

9日の教育リーグ・広島戦で“鳴尾浜デビュー”。ドラフト1位の馬場皐輔投手です。

 きのう9日は鳴尾浜でファーム教育リーグ・広島戦が行われました。広島側の取材陣が多く、試合中にはベンチ横にテレビカメラもあって賑やかです。試合後に囲まれてインタビューを受けていたのは、広陵高校出身の中村奨成捕手。この日はフル出場し、1回に右前打と盗塁を決めています。ドラフト1位ルーキーに密着!って感じですかね。

 また胃ガンからの復帰を目指す広島・赤松真人選手も帯同していて、8回裏の守備につきました。帰り際に会えたので、ほんのひと言だけですが、ご紹介します。

 さて試合は、打線が2回に3本の二塁打で2点を先取し、8回に犠飛で1点を追加。岩崎優投手が先発して、ほぼ毎回のように走者を出しながら6回まで8三振を奪って無失点。そのあとを受けた、こちらもドラフト1位のルーキー・馬場皐輔投手が3イニングともヒットを許したものの無失点と、完封リレーで勝ちました。ドラフト4位・島田海吏外野手も、きのうから教育リーグに出場しています。

鳴尾浜に元気な姿を見せてくれた広島・赤松選手。イニングごとに、こうやって選手を迎えていました。
鳴尾浜に元気な姿を見せてくれた広島・赤松選手。イニングごとに、こうやって選手を迎えていました。

 それにしても寒い寒い一日で、おまけに馬場投手が登板した7回には冷たい雨まで降る始末。手も足も凍りついた観戦です。きょう10日、鳴尾浜では四国アイランドリーグplus・香川オリーブガイナーズとの交流試合です。日差しはあるものの北風が強めという予報。甲子園へ行かれる方も、鳴尾浜の方もご注意ください。油断されませんように。

《ファーム教育リーグ》

 阪神- 広島 (鳴尾浜) 

 広島 000 000 000 = 0

 阪神 020 000 01X = 3

  

◆バッテリー

【阪神】岩崎-馬場 / 坂本-岡崎(7回~)

【広島】加藤(5回)-ケムナ(1回)-佐藤(1回)-戸田(1回) / 中村奨

◆二塁打 阪神:伊藤隼、板山、今成 広島:永井、木村

2回、伊藤隼選手が二塁打で出てチャンスを作ります。
2回、伊藤隼選手が二塁打で出てチャンスを作ります。
板山選手がタイムリー二塁打!※写真は別の打席です。
板山選手がタイムリー二塁打!※写真は別の打席です。
今成選手もタイムリー二塁打!この回2点を先取。
今成選手もタイムリー二塁打!この回2点を先取。

◆打撃 (打-安-点/振-球/盗塁/失策)

1]中:島田  (3-0-0 / 0-1 / 1 / 0)

2]遊:植田  (4-0-0 / 0-0 / 0 / 0)

3]一:荒木  (3-1-1 / 0-0 / 1 / 0)

4]左:伊藤隼 (4-1-0 / 1-0 / 0 / 0)

5]右:板山  (3-2-1 / 0-0 / 0 / 0)

6]捕:坂本  (3-1-0 / 0-0 / 0 / 0)

〃捕:岡崎  (0-0-0 / 0-0 / 0 / 0)

7]指:今成  (3-1-1 / 0-0 / 0 / 0)

8]三:森越  (3-1-0 / 1-0 / 0 / 0)

9]二:熊谷  (3-0-0 / 1-0 / 0 / 0)

◆投手(打-振-球/失点-自責) 最速キロ

岩崎 6回 90球 (6-8-1 / 0-0) 142

馬場 3回 48球 (3-3-1 / 0-0) 145

<試合経過>※敬称略

 まず打線は2回、先頭の伊藤隼がライトへ二塁打を放ち、続く板山のタイムリー二塁打(ファーストがグラブに当てるも、転がった方向が微妙)で先制!さらに坂本の左飛で三塁へ進んだ板山を今成が右翼線二塁打で還し、1点追加します。4回には1死から板山のセカンド内野安打、坂本の左前打があったものの得点なし。広島の先発・加藤に対して1回、3回、5回は三者凡退でした。

 6回はルーキー・ケムナから先頭の荒木が左前打して、盗塁とゴロなどで2死三塁とするも0点で終了。7回は佐藤の前に森越の右前打のみ。そして8回は戸田から島田が四球を選び、二盗成功!植田の一ゴロで1死三塁として荒木が左犠飛。3点目が入っています。

広島のドラ1・中村奨成選手は1回に右前打。
広島のドラ1・中村奨成選手は1回に右前打。
先発の岩崎投手。6回無失点でした。
先発の岩崎投手。6回無失点でした。
馬場投手は残り3イニングを無失点。
馬場投手は残り3イニングを無失点。

 投手陣は、先発の岩崎が1回は3番・中村奨に右前打と盗塁を許しましたが、他はすべて三振で無失点。2回は5番・庄司からの連打と四球で無死満塁のピンチ。ここで坂本がマウンドへ行き、そのあと連続三振と一ゴロ!3者残塁です。3回は2死から4番・船越に中前打されただけ。4回と5回は三者凡退で片付け、ここまでで71球でした。

 岩崎は100球をメドにしていたそうで6回も続投。船越、庄司に連打されるなど2死二、三塁としますが、最後は木村を空振り三振に切って取り、6回6安打8三振1四球で無失点で交代です。

 次いでルーキー・馬場が登板。キャッチャーも岡崎に交代しました。まず7回、先頭の青木を空振り三振に取ったあと9番・永井に中越え二塁打、野間は四球で一、二塁となります。しかし2番・桑原は空振り三振、中村奨は遊ゴロで無失点!8回は先頭の船越に中前打されるも併殺など3人で片付け、9回も先頭の木村に左中間二塁打を許しながら後続を断って0点に抑え試合終了。3回3安打3三振1四球で無失点でした。

抑えてよかったでは寂しい

 矢野燿大監督は、4回と5回以外はすべてランナーを出しながらも6回無失点だった岩崎投手に「結果はゼロだけど、じゃあ1軍のバッターでもゼロでいけたかというと、いけない。1軍でしっかりローテに入って貯金をするピッチャーとしては、前半のカウントを不利にしていたコントロールとか、そういうところのレベルアップ、修正が必要かな」と苦言も。

 「中継ぎの経験は生きると思う。若い時にやっておけば、いろんなことを勉強できる。去年のアイツの経験は絶対プラスになっている」と言い、無死満塁をしのいだ2回に関しては「あの場面、1軍では打ち取れなかったと、そうアイツが思っていないとね。抑えてよかったでは寂しい」と話しています。

 そして「無失点は最低限のノルマですよ。そこに内容も入ってこないと。どうしても岩崎は外せないなというところに、きょうの内容ではいけないと思う」と、期待があるからこその注文でした。

岩崎投手は要所を締め、6回で8三振を奪っています。
岩崎投手は要所を締め、6回で8三振を奪っています。

 岩崎投手本人は、試合を振り返って「きょうはシンプルに組み立てを考えていった」と、これは藤井バッテリーコーチのアドバイスだったそうです。「どんどん、ファウルにしても追い込んでいって、もしそれでヒットになってもしょうがないと割り切って、シンプルにやっていった」

 中継ぎの経験は生きるという矢野監督の言葉に「ピンチの時、大事な時に中継ぎの経験を生かしていけたらいいんじゃないかなと、そういうイメージで投げました」と答えています。

3イニング目がドラ1本来の姿

 次に馬場投手について、まず矢野監督。「3イニング目はよかった。真っすぐをとらえられたり、アウトのなり方を見ても、ちょっとまだっていう部分はあるけど、3イニング目ぐらいの球の強さとバッターの反応を見ると、楽しみが増えてくるね。現状は中継ぎ、抑えというより先発でいくことになっていくだろう。今後はまたイニングを増やしていけたら」

 3イニング目が馬場投手の本来の姿かと聞かれ「あれが出てこないと1軍で投げられない。上から『どう?』と聞かれて『いけますよ』と言うには、最後のイニングが最低ラインくらいできて(送り)出せるレベル。どういう反応でアウトを取れるかとか、抑えていてもしんどいなとか、俺はキャッチャーの目線で見ているからね。3イニング目を続けて行けば楽しみ」と答えた矢野監督です。

イニングごとに“らしさ”が出てきた馬場投手。次が楽しみです。
イニングごとに“らしさ”が出てきた馬場投手。次が楽しみです。

 同じく馬場投手のことを高橋建投手コーチに聞いてみました。「3イニング目は投げっぷりがよくなりましたね。しっかり自分の投球ができていた。感覚が戻ってきたので。1軍の中で自分を見失っていたのかも。3イニング目にやっとね。もともと1軍で三振も取っていたし、要所でいい球もあった。きょうバランスよく投げられて、自信になった3イニング目でしたね」

 初めての複数イニング登板で「これまでは振り分けとかあって投げられなかったけど、きょうは彼のための3イニング。やっと。先発をさせたいので、そこ(その前段階)にたどり着けたかな」と、高橋コーチも前進したルーキーに期待感十分のようです。

「勇気を出して力を抜いた」と馬場投手

 鳴尾浜では初めての登板だった馬場投手は「イニングごとに少しずつ自分の感覚で投げられるようになったと思います。今まで、初めてのことばかりで力んで投げていたことが、いつも反省で出ていた。きょうは思いきって、リラックスして、自然と腕が振れるようにというのをやりました。思いきってといっても、力を入れるわけではなくて」と振り返っています。

イニングごとによくなったと本人も話しています。
イニングごとによくなったと本人も話しています。

 さらに「今まで緊張感や怖さがある中での腕の振りだった。でも、きょうは思いきって力を抜いて、それでストレートで何個も空振りを取れたのは自信になるし、次に繋がると思います。忘れないようにして、次もゼロに抑えられるよう取り組みたい。まだまだ練習したいことがたくさんあるので気を引き締めて」と説明。

 ただし「内容はそんなによくなかったです。高めに行っていたので。いいフォームで低めに集められるよう、自分の中でレベルアップしていきたい。プロのレベルに近づけるよう進化させたい」という言葉もありました。

 思い切って力を抜こうと、自分で考えて?「1軍キャンプはやっぱり力んで…。この前の筑後(教育リーグ・ソフトバンク戦)でも、148キロ出ているけど打たれてる。それはバッターにしたら打ちやすい、遅く見えるストレート。それではダメだなと。今までのフォームで投げてもダメなので勇気を出して」。なるほど。

 実際に投げてみて「それで1イニング目はあまりスピードが出なかったけど、いけそうだなと思って、2イニング目にまたよくなって。勇気を出して投げられてよかった。自分の意思で変えました。これで安心することなく、しっかり続けていきたい」とのこと。確かに最速の145キロが出たのも3イニング目(9回)、どんどん球もよくなっていく感じでしたね。

 ところで無失点は初めて?「初ですね。ゼロに越したことはないけど、自分のいい感覚をもっと引き出していくことも大事。ルーキーは常に挑戦者、と思って弱気にならずやっていきたいです」。また1イニング以上も初で「長いイニングのチャンスをいただけているので自分のものにしないと、と思って精神的にも身体的にも試しました」と馬場投手。

 そのあと「なるべく早く自分の中での、いい悪いを理解して体にしみつけることが大事だと思います。整理整頓できるように」と締めくくりました。

島田選手 基礎から見直す機会に

8回、四球を選んだ島田選手。このあと二盗を決め、追加点に貢献しました。
8回、四球を選んだ島田選手。このあと二盗を決め、追加点に貢献しました。

 次に、きのうからファームで試合に出て開幕1軍を目指すドラフト4位・島田選手。何を課題にしていますか?「バッティングですね。バットスイングの軌道を1球1球変えたり、工夫をしたりしました。ヒットが出なくてもいいと思って。コーチから結果は気にするなと言われたので、1打席ごとに逆方向を意識したりスイングの工夫を意識してやりました」

 軌道を変えるというのはなぜ?「体の開きが早かったんです。開いた分、バットが出ていないとキャンプやオープン戦を通じて感じたので。練習からじっくり焦らずにやっていきたい。へんに結果を出そうとして、いい当たりを打とうとしすぎていたと思います。気持ちが先走ったことで、へんに打ちにいきすぎたのか、バットが出ていなかった。基礎から見直して、しっかり芯でとらえられるようにしたいです」

 4打目で四球を選んで、盗塁を決めましたね。「盗塁に関しては自信を持っているので、そこをより一層磨きたい。スタートもスライディングも技術はまだまだのところがあるので。一番は足の速さが売りですから、まず塁に出ること」。相手捕手のドラ1ルーキー・中村奨選手について聞かれると「意識はまったくしていないです。自分のスタートを切るだけ。相手が誰であれ自分のプレーをしたい」と答えました。

いつか、“そこで輝く”赤松真人を

レフトとの守備位置につき、キャッチボールをする赤松選手。
レフトとの守備位置につき、キャッチボールをする赤松選手。

 最後に、広島の赤松選手です。昨年1月に胃ガンの手術を受けたことは、皆さんご存じでしょう。壮絶な闘病生活とリハビリを経て、同7月から3軍に合流し、ことし2月の春季キャンプはファーム本隊で実戦復帰を目指してきました。ついに今月4日、ファーム教育リーグ・中日戦(由宇)で9回に代打で初出場。結果は空振り三振だったものの、大きく前進ですね。

 そして迎えた、きのう9日の教育リーグ・阪神戦。古巣の鳴尾浜で復帰2試合目となりました。試合中はベンチの一番前に座って声を出し、チェンジで戻ってくる選手たちを迎え、8回の攻撃中に上着を脱いでキャッチボールを開始すると、阪神ファンからも「赤松や!」「赤松が出る!」という声が聞こえます。レフトの守備に向かう背中に、スタンドから拍手と激励の声援が飛びました。

 8回1死三塁の場面で、荒木選手が打ったレフトへの打球をファウルゾーンでキャッチ!犠牲フライになったものの、フットワークはさすがです。

バスに向かう赤松選手。穏やかな表情ですね。
バスに向かう赤松選手。穏やかな表情ですね。

 帰りのバスへ向かうところで遭遇。「久しぶりですねえ!髪の毛が伸びましたね」と笑顔で声をかけてくれた赤松選手。この前の復帰初戦は代打だけですよね?「はい。守備はきょうが初めてです。次は代走で。頑張りますよ!」と元気な声でした。一歩ずつ、一歩ずつ近づく“元の場所”。そこで輝く赤松真人選手を、あの足と守備をみんなで待ちましょう。

    <掲載写真は筆者撮影>