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阪神の安芸キャンプ練習試合 ドラ2・高橋遥が上々デビュー!荒木と緒方は4安打2盗塁ずつ

岡本育子フリーアナウンサー、フリーライター
18日の練習試合で初登板した高橋遥投手。1イニングを三者凡退でした。

 阪神タイガースの春季キャンプは、きょう20日から第5クールに入っています。このクールは3日間、そして24日からの最終クールは5日間でキャンプ終了。考えたら、もう残りは1週間ほどですね。この第5クールを前に選手の入れ替えがあり、安芸から谷川昌希投手が宜野座へ、宜野座から青柳晃洋投手と熊谷敬宥選手が安芸へと移りました。このあとの入れ替えはおそらくないと思いますが、オープン戦での招集を目指して安芸組も奮闘中です。

 さて、きょうは18日に行われた四国アイランドリーグplus・高知ファイティングドッグスとの練習試合についてご紹介します。ことしも高知・駒田徳広監督の元気な声がベンチから聞こえました。

 前日の西武戦が7イニング制になったことも影響し、この日は1イニングずつ9投手が登板。しかも、そのうち歳内投手、横山投手、新加入の呂投手、新人の高橋遥投手と石井投手の5人が初実戦とあり、スコアに球速チェックに写真撮影にと目まぐるしく…。そのうえスピードガンまでご機嫌斜めで、すべての投手の最速を把握できていません。また9投手全員の写真は撮ったのですが、今回の掲載は初登板の人のみにさせていただきました。ご了承ください。

試合後の高知ベンチ。駒田監督(左から2人目)が話をしているところです。
試合後の高知ベンチ。駒田監督(左から2人目)が話をしているところです。

 なお阪神は17安打で、そのち2番の荒木選手が6打数4安打4打点、3番の緒方選手は4打数4安打1打点。盗塁も仲良く2つずつ決めています。高知の方も11安打を放ち、約3時間20分という長い試合となりました。ちなみに高知はスタメン全員が右打者で、左は9回に代打で出てきた3人だけです。

《安芸キャンプ練習試合》

 阪神 - 高知  2月18日

 高知 112 000 000 = 4

 阪神 100 540 200 =12

  ※特別ルールにより9回裏まで

◆バッテリー

【阪神】歳内-榎田-横山-伊藤和-呂-高橋遥-石井-山本-守屋 / 小宮山-小豆畑(5回~)

【高知】加藤(3回)-岡部(2回)-嘉数(2回)-三谷(1回)-渋谷(1回) / ハン-安藤(2回~)

◆本塁打 高知:高井(歳内)

◆二塁打 高知:ハン、新多 

     阪神:荒木、小豆畑、緒方、伊藤隼

◆打撃 (打-安-点/振-球/盗塁/失策)

1]二:上本  (2-0-0 / 1-2 / 0 / 0)

〃指:山崎  (1-0-0 / 0-0 / 0 / 0)

2]一二:荒木 (6-4-4 / 1-0 / 2 / 0)

3]中:緒方  (4-4-1 / 0-2 / 2 / 0)

4]右:伊藤隼 (4-2-2 / 0-2 / 1 / 0)

5]左:板山  (5-0-2 / 1-0 / 0 / 0)

6]三一:西田 (6-2-2 / 2-0 / 0 / 0)

7]指三:今成 (4-1-0 / 2-2 / 1 / 0)

8]捕:小宮山 (2-1-0 / 0-0 / 0 / 0)

〃捕:小豆畑 (3-1-0 / 1-0 / 0 / 0)

9]遊:森越  (5-2-0 / 0-0 / 0 / 0)

◆投手(打-振-球/失点-自責) 最速キロ

歳内  1回 9球 (1-2-0 / 1-1) 142

榎田  1回 16球 (3-2-0 / 1-1) 139

横山  1回 23球 (3-0-1 / 2-2)

伊藤和 1回 8球 (0-1-0 / 0-0)

呂   1回 21球 (2-2-0 / 0-0) 137

高橋遥 1回 18球 (0-0-0 / 0-2) 148

石井  1回 13球 (1-1-0 / 0-0) 142

山本  1回 12球 (0-0-0 / 0-0)

守屋  1回 11球 (1-1-0 / 0-0)

<試合経過>※敬称略

歳内投手は今季初実戦登板。
歳内投手は今季初実戦登板。
横山投手も同じく初登板でした。
横山投手も同じく初登板でした。

 1回の歳内は連続三振で2死としながら、3番・高井に初球(142キロ)をレフトへホームラン。1点先制されます。その裏に1死から荒木がセーフティ!サードへの内野安打となってすぐ二盗、緒方の左前打で一、三塁とし、緒方も盗塁成功。伊藤隼が四球を選んで1死満塁となって板山の左犠飛!すぐに追いつきました。

 ところが2回の榎田も2死を取ってから左中間二塁打を浴び、続く藤原銀の中前打で勝ち越しを許します。送球の間に打者走者を二塁へ進め、内野安打があったものの1点で終了。と思ったら3回に横山が四球と3連打で2点を失いました。4対1と差が広がります。その裏にまた荒木と緒方が連打、伊藤隼の死球で1死満塁と攻めるも板山と西田は連続三振。

4回1死満塁で走者一掃の二塁打を放った荒木選手!
4回1死満塁で走者一掃の二塁打を放った荒木選手!
小宮山選手、森越選手、上本選手が生還して同点。
小宮山選手、森越選手、上本選手が生還して同点。

 しかし4回、伊藤和がビシッと三者凡退!その裏に逆転成功です。小宮山と森越の連打と上本の四球で1死満塁、荒木がライトへ走者一掃のタイムリー二塁打!送球の間に三塁へ行った荒木を、緒方が中前打で還して勝ち越し!緒方は二盗、2死後に暴投で三塁へ進み、板山の打球が相手エラーを誘って生還。この回5点を奪い、6対4としました。

 5回からは小豆畑がマスクをかぶり、初実戦登板の呂(2安打2三振)、高橋遥(三者凡退)、石井(1安打1三振)、そして山本(三者凡退)、守屋(1安打1三振)が無失点。つまり4回以降はしっかりと抑えたわけです。初登板トリオの詳細はのちほど、コメントと合わせてご紹介します。

荒木選手を迎えるベンチ、赤い手袋が矢野監督です。
荒木選手を迎えるベンチ、赤い手袋が矢野監督です。

 さて、逆転してからも打って走っての打線。5回は小豆畑が右越え二塁打を放ち、1死後に上本の四球で一、二塁となって、またしても荒木が中前タイムリー!緒方も四球を選んで1死満塁として伊藤隼が右前タイムリー!これで2人が還り、なおも一、三塁で続く板山の二ゴロで緒方も生還。計10得点です。

 さらに7回は1死から緒方が右翼フェンス直撃の二塁打を放ち、伊藤隼も右越え二塁打で二、三塁。伊藤隼の一ゴロで緒方は本塁タッチアウト。2死一、三塁に変わり、ここで西田が左前へ2点タイムリー!8回は森越が2本目のヒット、途中出場の山崎が初球でキッチリ送りますが追加点はなし。特別ルールで行われた9回は三者凡退。12対4で試合が終わりました。

「高橋の強い真っすぐは投げられていた」

 試合後の練習が終わり、引き揚げてきた矢野燿大監督。「きょうは高橋のことしかしゃべらへんで~(笑)」という宣言があったので、まず初実戦登板だったドラフト2位ルーキー・高橋遥人投手の話からです。6回に登板して7番からを遊ゴロ、右邪飛、二ゴロの三者凡退でした。

高橋遥投手は実戦初登板で1回を三者凡退も、反省の言葉が…。
高橋遥投手は実戦初登板で1回を三者凡退も、反省の言葉が…。

 矢野監督は「(試合中のスコアボードに)球速が出ないので、でも球はいっている感じがしましたね。148キロが出た?高橋の力はまあまあ出たのかな。三振が取れなかったってのは、もしかしたら本人は不満かもしれないけど、第一段階として高橋の強い真っすぐは投げられていたと思う。段階を踏んでね」とコメントしています。

 宜野座へ?という質問に、この時点で「それはないと思うよ。上がみんな順調に来ている。順調なだけに高橋はこっちでゲームに使えると思うし。でも調子よくないヤツが出てきたら、いつでも代われる。ファンも早く見たいだろうし、特に上の監督が見たいだろうけど。今はこっちのほうがいいかな」と矢野監督。今後については「短いイニングからスタートして、徐々に伸ばしていくようになると思う。もっと投げられるだろうし、本人も投げたいと思うけど、順を追ってね」とのことでした。

 ちなみに対戦した高知ファイティングドッグスの駒田徳広監督は、高橋投手のことを聞かれ「一番元気のある球を投げていて、打者が引っ張りきれないようなピッチャーだった」と印象を語っています。近いイメージでは?「上背があって元気な球を投げられるのは意外といない。小柄な子が多い。長身で元気な球を投げ、そこそこ制球力があれば超一流になれる。一番近いのは高橋建さんじゃないの?もっと球も速くなるかもしれないけど、高橋コーチからたくさん学べるんじゃないの?上背があって体格がよくてね」

もっとスピンを、もっと質を

 では高橋遥人投手本人の話をご紹介しましょう。プロに入って初めて試合で投げた感想は「ゼロで、3人で抑えられたことは、すごくよかったと思います」。真っすぐを多めに投げていたような。「とにかく、しっかり腕を振ってストライクを取れたらと思っていましたが、結果じゃなく…内容はボールの質もよくなかったです」。そうなんですね。

高知の駒田監督も「一番元気な球を投げていた」と評価。
高知の駒田監督も「一番元気な球を投げていた」と評価。

 最速148キロには「148キロも出ているとは思わなかったです」と言い、そのあと「この間のシート打撃の方がボールはよかったと思う。もっとしっかり回転をかけてストライクゾーンに入れば。もっと質を上げていければ。リリースのとこでしっかりスピンを効かせられなかったのは、少しフォームに違いが出ていたのかなと。シートの方がスピンをかけられました」と反省の言葉が続きます。

 その理由としては「少し力んだので…」と高橋遥投手。「それでカウントを悪くしたけど、最後フォアボールを出さずに終わったことはよかったと思います」。監督から何か言われた?「どうだった?と聞かれたので、緊張しましたと。でも悪い緊張ではなかったので」。試合で投げたのはいつ以来?「大学の最後がああいう形で終わって…。それ以来の実戦なので、よかったです」。“ああいう形”というのは、5連続四球を与えて降板してしまった大学ラストゲームのことでした。また蒸し返してすみません。

初登板の呂、石井も無失点

呂投手は2安打も2奪三振で無失点でした。
呂投手は2安打も2奪三振で無失点でした。

 高橋遥投手の前、5回に登板した呂彦青投手は、先頭の高井選手に左前打されますが、次は空振り三振を奪って小豆畑選手の盗塁阻止!そのあと二塁打を許したものの最後は3球で見逃し三振という内容。「ほんと、だいぶ試合に投げていなかったので、きょうは打者の前にコントロール、それから打者という形で投げました。きょう一番よかったのはフォアボールを出さなかったことです」と振り返っています。

 シート打撃に投げた時よりずっとよくなっていた気がします。「その間にブルペンで、コーナーのボールの角度やキレなどを確認して修正しました」。三振は狙って?「特に狙ってたわけではなくて、1つめは3ー2だったので何とかフォアボールを出さないようにストライクゾーンへ。最後の見逃し三振は、小豆畑さんが“もっと広く大きく使え”と言ったのに、ちょっと中へ入ったので…取れました」。なるほど。2つともスライダーだったそうです。

石井投手のイケメンぶりも安芸で評判ですよ。
石井投手のイケメンぶりも安芸で評判ですよ。

 7回には石井将希投手が登板。2球で追い込んだ先頭は1球ボールのあと真っすぐで空振り三振!次は初球で二直。ここで1回のソロのあとも連続ヒットの3番・高井選手に対し、追い込みながらチェンジアップを右前打されます。でも4番は遊ゴロに打ち取って無失点。「とりあえず結果よりも自分の出せるベストを出そうと思って。そこを一番意識してマウンドへ行きました」と石井投手。

 そのベストは出せた?「ゼロには抑えらたし、ボールも強くたたけて感覚よく投げられましたが、まだコントロールも変化球の精度も低くて。きょうも変化球を打たれた。徐々になくしていってゲームで投げられるようにしていきたいです」。最速が142キロですね。「自分では、もうちょい出ていないのかなと思っていました。でもきょうは感覚よく投げられたから。(ウエートトレーニング等で)体も追い込んでいる中で142キロ出たので、順調にいっているのかなと思います」

打って走っての2人に「いいよ!」と監督

これが1回の荒木選手の盗塁です。
これが1回の荒木選手の盗塁です。
3回に早くも2つ目の盗塁を決めました。
3回に早くも2つ目の盗塁を決めました。

 矢野監督が囲み取材の最後に「荒木のことを書いて!荒木もずっと調子いいし、植田や島田が出てきている中、自分から前へ出るタイプじゃないけど、しっかりやることをやれている。すごくいい準備ができているので『荒木、ずっといいよ!』って書いてあげて。緒方もいいよ」とアピールされた荒木郁也選手。この日は4打席連続安打で4打点、2盗塁でした。

 監督の“いいよ”に「自分ではよくわからないけど、結果しかないんで。僕の年令では。結果を出すために何をするかとか、それは考えています」とのこと。きょうも結果が出ました。「出来すぎですけど。それにこだわってやらなきゃいけないので」。盗塁も果敢に攻めていますね。「今に始まったことではないですが、チームの方針で積極的に行っています」

 また、宜野座の二遊間も層が厚い…と振られても「それは毎年そうです。この世界では、競争があって当たり前」とクールな言葉。安芸にいても1軍戦力であることは間違いありません。

3回に緒方選手は2本目のヒット。
3回に緒方選手は2本目のヒット。
4回もヒットと盗塁、暴投で三塁まで行きました。
4回もヒットと盗塁、暴投で三塁まで行きました。

 そして緒方凌介選手も、17日に続いて猛アピール。2四球を挟んで4安打1打点、全打席出塁です。盗塁も2つ。前で荒木選手が打って走ると、負けていられませんもんね。フェンスを直撃した二塁打ですが「二塁打はちょっと詰まりました。感触はよかったけど」と言います。でも「やっていることがしっかり出せているので、充実した試合ができています」とうなずきました。

 センターから左へのヒットが多い?「反対方向へ打つというより、開かないっていう、しっかり体の中で打つっていう意識でやっています。嫌なボールはファウルにして、フォアボールも取れているので」。そのあと「沖縄もみんな調子がいいから、しっかりやっておかないと。開幕までじゃなくて、どこかでチャンスはあると思う。いや、あると信じて継続していきたい」と締めくくった緒方選手。目がキラリと輝いています。

マルチの西田、初守備の上本

4回、カウント1‐2からセンター前へヒット。西田選手。
4回、カウント1‐2からセンター前へヒット。西田選手。

 西田直斗選手は今キャンプの練習試合で、どうもチャンスに打てない場面が多かったような気がします。この日も走者を置いて2連続三振…。しかし4回に崩されながらも堪えてセンター前へ運んだヒット、7回には2死二、三塁でレフトへ2点タイムリー!矢野監督が「よう練習してるのよ、西田は」と言うように、ことしも黙々と打ち込んでいます。でも、結果が出た?と聞いたら「ヒットはまあ…よくないです。追い込まれるまでに打たないと」という返事。続けていけば、いつか答えは出ます!

この日はセカンドの守備についた上本選手。
この日はセカンドの守備についた上本選手。

 最後に、18日はセカンドの守備にもついた上本博紀選手。守備機会は3度でゴロ2つとフライ1つ。流れるような捕球と送球でした。本人のコメントは、初めて試合に出た17日が「特にないです」で、守備につき、試合後にショートでの特守も敢行したこの日は「特に何もないです」。ひとこと増えた!って…すみません。語らずとも、全身で「いつでも行けるぞ~!」という気合いが見えますからね。

 矢野監督は「きょうバッティングがあまりよくなかった。上本にしては。1軍も競争が激しいので、戻れば大丈夫というのでなく、ある意味“格の違い”を見せないと。タイミングを見て上には呼ばれる選手やと思うので、長いイニングでしっかり守ったり、盗塁をしたり、そういう上本も見たい」と話しています。

     <掲載写真は筆者撮影>

フリーアナウンサー、フリーライター

兵庫県加古川市出身。MBSラジオのプロ野球ナイター中継や『太田幸司のスポーツナウ』など、スポーツ番組にレギュラー出演したことが縁で阪神タイガースと関わって約40年。GAORAのウエスタンリーグ中継では実況にも挑戦。それからタイガースのファームを取材するようになり、はや30年が経ちました。2005年からスポニチのウェブサイトで連載していた『岡本育子の小虎日記』を新装開店。「ファームの母」と言われて数十年、母ではもう厚かましい年齢になってしまいましたが…1軍で活躍する選手の“小虎時代”や、これから1軍を目指す若虎、さらには退団後の元小虎たちの近況などもお伝えします。まだまだ母のつもりで!

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