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安芸キャンプは実戦モードの第3クール 練習試合・その1《阪神ファーム》

岡本育子フリーアナウンサー、フリーライター
練習試合前に「サインカードプレゼント」でファンの方々とふれあう矢野ファーム監督。

 阪神タイガースの春季キャンプは、きょう13日までが第3クールです。宜野座では11日にDeNAを迎えて初の対外試合が行われ、安芸でも初の実戦となる練習試合が11日(四国銀行)、12日(ハンファ・イーグルス)の両日にありました。第3クールスタートの10日は本降りの雨が続き、上がったのは夜になってから。それでも強い風と朝から届いた日差しと、もちろん阪神園芸さんや安芸市の方々のおかげで、11日の試合は問題なし!なんと練習も、しっかりメイングラウンドでできたのです。

 では11日の社会人・四国銀行との試合結果をご紹介しましょう。先発は竹安大知投手で、昨年も11日の初戦で先発しました。ことしはキャンプのメンバー振り分けが決まって少し経った頃に、高橋建投手コーチから通達されたとか。「2週間前くらいからわかっていたので、ある程度は自分の中で逆算してやってきた」と言います。でも昨年はもっと早かったかも?掛布監督の先発予告。「そうですね。前年の10月か11月くらいに」と本人も思い出し笑いでした。

《安芸キャンプ練習試合》

 阪神 - 四国銀行  2月11日

 四銀 000 020 000 = 2

 阪神 000 024 000 = 6

  ※9回裏までの特別ルール

◆バッテリー

【阪神】竹安-山本-守屋-伊藤和 / 小宮山

【四銀】大田(5回)-菊池大(4回) / 大河

◆二塁打 四銀:柴田、阪神:板山

◆打撃 (打-安-点/振-球/盗塁/失策)

1]左:板山  (4-2-1 / 1-1 / 1 / 0)

2]一:荒木  (4-1-2 / 0-1 / 0 / 0)

3]三:西田  (5-1-1 / 1-0 / 0 / 1)

4]中:伊藤隼 (5-1-0 / 0-0 / 0 / 0)

5]指:今成  (4-1-0 / 0-0 / 1 / 0)

6]二:森越  (3-0-0 / 0-1 / 0 / 0)

7]遊:山崎  (3-1-1 / 1-1 / 0 / 0)

8]右:緒方  (2-0-0 / 0-2 / 0 / 0)

9]捕:小宮山 (3-1-0 / 1-1 / 1 / 0)

◆投手(打-振-球/失点-自責) 最速キロ

竹安  3回 34球 (3-1-0 / 0-0) 141

山本  2回 36球 (4-1-0 / 2-2) 135

守屋  3回 34球 (0-2-0 / 0-0) 143

伊藤和 1回 11球 (0-1-0 / 0-0) 137

<試合経過>※敬称略

11日の四国銀行との練習試合は、なんと2800人ものお客様が観戦に来てくださいました。
11日の四国銀行との練習試合は、なんと2800人ものお客様が観戦に来てくださいました。

 竹安は1回、3球で2死を取ってから3番・柴田に三塁線を破る二塁打を許すも、4番・小林は変化球で空振り三振!2回は三者凡退で、3回は9番の行定に左翼線へ大きな当たりを打たれますが、レフト・板山が好反応を見せて単打に。2死後に2番・國澤の中前打で一、二塁としたものの柴田は遊ゴロで2者残塁。3回を投げて3安打無失点です。

5回、小宮山選手のヒットで三塁へ進んだ緒方選手。コケかけて苦笑いです。
5回、小宮山選手のヒットで三塁へ進んだ緒方選手。コケかけて苦笑いです。

 打線は1回、板山が右越えの二塁打を放ち、荒木の四球で無死一、二塁。1死後に伊藤隼の右飛で2死一、三塁としますが荒木が二盗失敗。2回は2死から山崎と緒方が連続四球、しかし得点なし。3回、4回は三者凡退。

板山選手のタイムリーで小宮山選手も三塁へ。
板山選手のタイムリーで小宮山選手も三塁へ。

 阪神は2人目の山本が登板し、4回は2死からサード・西田の捕球エラーがあったものの0点に抑えました。ところが2イニング目の5回、1死から3連打を浴び満塁となって柴田の左犠飛、なおも2死一、三塁で小林に左前タイムリーを許し、2点を先取されます。

荒木選手は相手の好守に阻まれたものの、この一ゴロで同点!
荒木選手は相手の好守に阻まれたものの、この一ゴロで同点!

 しかし打線はその裏、緒方の四球と小宮山の左前打で1死一、三塁として(緒方が二塁を回ったところでコケかけて苦笑い)、板山が中前タイムリー!これで小宮山も三塁へ進み、荒木の打席で板山は二盗。1死二、三塁となり、荒木は一ゴロながら、小宮山が同点のホームを踏みました。

前DeNAの山崎憲晴選手は好守だけでなく、6回にはタイムリーも!
前DeNAの山崎憲晴選手は好守だけでなく、6回にはタイムリーも!
荒木選手は6回にタイムリー。この日、2打点です。
荒木選手は6回にタイムリー。この日、2打点です。

 さらに6回、四国銀行2人目・菊地大から先頭の伊藤隼が中前打を放ち、今成への初球がワンバウンドになったのを見て、すかさず二塁へ(記録は暴投)。今成の左前打で一、三塁となり、森越の打席で今成が二盗。次のボールがまた暴投となって伊藤隼が生還して勝ち越しです。今成は三塁へ、森越は四球を選んで、続く山崎が右前タイムリー!2死後に小宮山と板山が連続四球で満塁として(この間に小宮山のディレードスチールもあり)、荒木が左前タイムリー。西田も投手へのタイムリー内野安打(一塁ベースカバーがおらず)で、この回4点追加。

 7回からは別人のごとくコントロールがよくなった菊地大に、完璧に抑えられますが、こちらの投手陣もパーフェクトリリーフ。守屋が6回からの3イニングをほとんど内野ゴロで見事に抑え、9回は伊藤和がキッチリ三者凡退!6対2のまま試合が終わりました。

矢野監督 走塁の意識に合格点!

6回、先頭の伊藤隼選手が中前打。このあと暴投ですばやく二塁へ!
6回、先頭の伊藤隼選手が中前打。このあと暴投ですばやく二塁へ!
6回無死二、三塁でまた暴投。三塁から生還した伊藤隼選手。
6回無死二、三塁でまた暴投。三塁から生還した伊藤隼選手。

 矢野燿大監督は、まず「走塁が一番よかったね。みんな、スタートを切ろうという意識も、前の塁へ行こうというのも見えたし。その中で一番は隼太がね。1球のワンバンで走った。あれがすごい!」と振り返りました。6回、ヒットで出塁した伊藤隼選手が、ワンバウンドになった今成選手への初球ですかさず走った場面です。

 「隼太は去年、代打でいい働きはしてくれたけど、やっぱりみんなの中でも『プラスアルファを作っていこうな』と言っていて、隼太も代打で出るより2打席、3打席とね。守備もこのキャンプで頑張っているけど、そういうプラスアルファが増えていけば試合に出るチャンスも、もっともっと増えていくし。あのプレーってのは、すごく評価が上がる。1軍に行っても自信を持って、ああいうプレーができると思うから。打つ方も、内容も順調にきているし」

1回の荒木選手は惜しくも二盗失敗でしたが、この日は最初から果敢に走った打線。
1回の荒木選手は惜しくも二盗失敗でしたが、この日は最初から果敢に走った打線。

 この日はノーサインで、行けると自分で思ったら、どんどん行ってくれと言ってあったそうです。「板山や緒方もスタートを切ろうとして、また荒木もアウトにはなったけど、みんな走塁は本当によかった。今成も、まさに盗んで走った盗塁だと思う。小宮山のディレード(6回)はスタートが早くて中途半端になったので見栄えは悪いけど、でもやったから次はこうしようと反省できる。していなかったら何も事が起きない。発想はよかった。走塁はある程度、“意識での合格”はあげてもいいかなと思う」と総括しました。

試合終了時、四国銀行の選手たちの挨拶を受けた阪神ベンチ。矢野監督も帽子を取って応えます。
試合終了時、四国銀行の選手たちの挨拶を受けた阪神ベンチ。矢野監督も帽子を取って応えます。

 続いて投手陣。「竹安は圧倒するような投球をしてほしかった。第1クールの最後がすごくよくて期待していただけに、ちょっと寂しいかな。変化球を投げてカウント取れれば、そんなに打たれることはないと思うけど。真っすぐを狙っていても前に飛ばされたらダメでしょ。球の質とか力とか素材はいいものがある。上のローテに食い込んでいけるんちゃうかなという素材やと思ってるんで。だからこそ、もっともっと高いところを目指してやっていってもらいたいな」。期待が大きい分、余計にということでしょう。

 一方、6回から3イニングを完璧に抑えた守屋投手には「ずっと一生懸命やってるし、投げんでもええと言うても投げるし、何とかしてやりたいと思うピッチャーやね。初めての登板で、守屋の場合はしっかり球の力で押せるところがあったんで。そんな細かいコントロールで勝負するピッチャーじゃないと思う。ちょっとボール、ボールになったところもあったけど、そのあともバタバタしないで抑えられたのはよかったかな」と、まずまずの感想です。

3イニングずつ投げた竹安&守屋

昨年も先発だったけれど1イニングのみ。ことしは目標も大きくなった竹安投手です。
昨年も先発だったけれど1イニングのみ。ことしは目標も大きくなった竹安投手です。

 では選手のコメントをご紹介しましょう。先発の竹安大知投手は、3回無失点にも「納得は全然していないです」という第一声。打たれた3安打はすべて真っすぐで「きょう投げて感じたのは、まだまだ真っすぐが自分の中でよくないということ。それが上がってくると変化球も上がってくるので。だから真っすぐを上げるために」あえて投げたようです。

 「けっこう打たれたけど、そこに課題を持って取り組めたので、次につながるかなと思います。真っ直すぐをしっかり追っていって、圧倒して抑えられたら」。期待は感じる?「自分の中では、やらなくちゃと。1軍で仕事をしたいと思っているので、推薦してもらうために内容でもアピールできないといけない」

3イニングをパーフェクトリリーフ!守屋投手。
3イニングをパーフェクトリリーフ!守屋投手。

  次に守屋功輝投手です。登板前日に「あすは、上半身の力を抜いて投げること」をテーマに掲げていて、それはクリアしたようで「よかったです!」と笑顔が返ってきました。これまで気にしていた?「ずっと意識していることで、ブルペンの映像をビデオで見ても“力が入っているなあ”と思いましたね。自分の納得いくボールが投げられなくて、力が入って、それが逆効果に…」

 でも、それを第一の課題に臨んだ11日の今季初実戦。「きょうは藤井コーチに『上半身の力が抜けてるな』と言われました。きょうくらいできたら、と。これからも意識していきます」とのこと。また「抜ける球とか無駄なボールがあったので、それを減らしていきたいですね」と細かな課題も。そして「きょうは本当によかった。自分の感覚では、このキャンプで一番よかったと思います」と、明るい表情でした。

伊藤和 心と体のバランスが〇

初実戦で力んだと山本投手。それだけ今季に賭ける思いが強いのでしょう。
初実戦で力んだと山本投手。それだけ今季に賭ける思いが強いのでしょう。

 山本翔也投手は、3連打を含む4安打で2点を失った5回を「クイックですね。クイック入ってから球の質が落ちました。球が弱くなって、まとまって、どんどん中へ中へというピッチングになったので…簡単に打たれた。そこは反省です」と振り返りました。「今季初実戦で、すごい力んだというのが体でもわかるくらいでした。いつもと違うところが張っていたみたいで。サイドスローにして、もっと余裕を持ってバッターを見られたらいいのに」

 伊藤和雄投手は登板後に話を聞けなかったので、前日のコメントを書いておきます。10日はブルペンで103球、前クール最終日の8日にも103球を投げていたそうで。「球数はそんなに投げようと思っていなかったんですが、クイックの感覚があまりよくなかったので、ちょっと多めに投げて感覚をつかもうかなと。最後の方はバランスも合ってきたのでよかったです」

伊藤和投手は9回1イニングを三者凡退で締めました!
伊藤和投手は9回1イニングを三者凡退で締めました!

 矢野監督が「伊藤和雄はずっといいよね。球数だけで判断はできないけど、それだけいけるのは気持ちも体もバランスよく投げられている証拠かな」という評価をしていました。「そうですね。バランスよく投げられているとは思います」

 試合に関しては「久しぶりのゲームなので、しっかりテーマを持ってやっていきたいです。しっかりストライクゾーンで勝負し、無駄な球をなくしていって、追い込んだら1球で決められるように。本当に納得いくボールを多く投げられるように」と話していた伊藤和投手。111日は1イニングだけですが、ナイスピッチングでしたね。最後のバッターはカウント1-2から高めの真っすぐを空振りさせての三振!お見事です。

板山が中谷や高山を追い越すには…

 最後は板山祐太郎選手。「このキャンプのテーマが“超積極的”ということなので、絶対にファーストストライクを打ちにいくことを、きょうのテーマにしました。ファーストストライクが一番甘いので。結果が出ていた2年前は、どんどん打ちにいっていたけど、去年はボールを選びすぎていたと思う。とにかくセンターとショートの頭に強い打球を打つことを意識しています」というコメントを残しました。

5回1死一、三塁で板山選手が反撃の中前タイムリー!
5回1死一、三塁で板山選手が反撃の中前タイムリー!

 矢野監督は板山選手について「最後がね」と、空振り三振に倒れた4打席目を挙げ「最後の最後。フォークでいい見逃し方をして、せっかく2本打って、いい形になって。あそこで何とかできるようになると、もっといいんだけど」と注文を与えつつ、でも「いい打球のヒットを打っていたし、走塁にしてもいいスタート切ったし」と及第点を与えています。しかし…

 「きょう(試合前の)シートノックがあまりにもひどかったから、注意したんよ。意識が足りないと。板山が(1軍で)出ようと思えば、中谷や高山を追い越していかないといけないんだから。それであのシートノックはあまりにも寂しい。ただ、注意されてシュンとなるんじゃなくて、試合ではレフト線の当たりで二塁へ行かせないような、いいプレーをしたからね。試合は合格やけどシートノックは全然ダメやった」

5回にタイムリーを放ち、二盗を決めた板山選手。
5回にタイムリーを放ち、二盗を決めた板山選手。

 1番を打つことには「(コーチと)相談して決めた。状態もずっといいし、1番は数多く打席が回ってくるので、今取り組んでいることがどんどんできるようになっていけばね。内野も外野もできるってのはプラスでもある。中谷や高山に勝っていこうと思えば、バッティングのレベルを上げていかないと。そういうのもあり数多く立たせて」と矢野監督は話します。

 2年前のキャンプ終盤、原口選手や高山選手とともに安芸から宜野座へ移動したルーキーイヤーを、自身の力で越えていきましょう!

     <掲載写真は筆者撮影>

フリーアナウンサー、フリーライター

兵庫県加古川市出身。MBSラジオのプロ野球ナイター中継や『太田幸司のスポーツナウ』など、スポーツ番組にレギュラー出演したことが縁で阪神タイガースと関わって約40年。GAORAのウエスタンリーグ中継では実況にも挑戦。それからタイガースのファームを取材するようになり、はや30年が経ちました。2005年からスポニチのウェブサイトで連載していた『岡本育子の小虎日記』を新装開店。「ファームの母」と言われて数十年、母ではもう厚かましい年齢になってしまいましたが…1軍で活躍する選手の“小虎時代”や、これから1軍を目指す若虎、さらには退団後の元小虎たちの近況などもお伝えします。まだまだ母のつもりで!

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