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阪神タイガースの新人選手たちが虎風荘に入寮・後編 <島田、谷川、牧、石井>

岡本育子フリーアナウンサー、フリーライター
6日に入寮したドラフト4位・島田海吏選手。持ってきたのは赤星憲広さんの著書です。

 2018年の新人選手たちが6日、兵庫県西宮市鳴尾浜にある阪神タイガースの選手寮・虎風荘に入りました。翌日は7人とも屋外で体を動かし、きょう8日から始まる新人合同自主トレに備えたようです。入寮でもマスコミの多さに緊張しまくりだった“ルーキーズ”。監督やコーチ陣も視察に訪れる合同自主トレ初日は、もう大変でしょうね。昨年に続いて雨のスタートとなりそうです。

 さて、きょうも入寮の心境や持参した“こだわりの品”について、選手のコメントをご紹介します。ドラフト1位・馬場投手、2位・高橋遥投手、3位・熊谷選手の話は、こちらでご覧ください。→<阪神タイガースの新人選手たちが虎風荘に入寮・前編>

 きょうの後編はドラフト4位・島田選手、5位・谷川投手、6位・牧投手、育成1位・石井投手の4人です。

練習するか、読書するか、寝るかの三択?

【4位・島田海吏外野手 上武大学】

憧れの背番号53がついたユニホーム姿の島田選手。昨年12月の新入団発表会です。
憧れの背番号53がついたユニホーム姿の島田選手。昨年12月の新入団発表会です。

 こだわりの持参品は、赤星憲広さんの著書『頭で走る盗塁論 駆け引きという名の心理戦』と、新しいスパイクでした。本は何冊くらい?「1冊です」。これまで読んでいたもの?「そうですね。大学の最後の方なんですけど、引退したあとに知人からプレゼントしてもらったもので、それを見て勉強しながら、プロの生活を過ごしていきたいと思っています」

 一番印象に残っているところは?「たくさん…全部が参考になるんですけど、その中でも印象に残ったのは『ピッチャーとの駆け引き』というページで、盗塁のスタートよりもタイミングというところです。相手ピッチャーに自分が合わせるんじゃなくて、自分に相手を合わせる。そういう考え方を持ってやっていくと、また違った見方で盗塁が決められると。高いレベルの技術の話ですが本当に参考になることばかりなので、1つでも勉強して結果に移していけたらなって思います」

 それをキャンプでもやってみようと?「そうですね。ことしの、1年目のキャンプでは1つでもチャレンジしていこうと思っているので。何事にもチャレンジしていきたい。失敗も多くあると思いますが、たくさん失敗して成功につなげていければ」

 本はドラフト指名後にもらった?「そうです。指名されてからです」。読書はよくする?「いえ、あまりしない方ですけど(苦笑)。赤星さんの本なので興味を持って、読んでみようと思いました」。大事なところは折り曲げたり、付箋をつけたりして?「そうですね。先ほど述べたところは、ちょっと折り曲げて忘れないようにしています」

 スパイクを新しく作ったとか。「タイガースのホームグラウンドが甲子園球場で、土のグラウンドになるから、やっぱり歯のかかり具合ってのは結構しっかりしていないと足も持っていかれると思うので。しっかり地面からの力を得られるよう少し歯を多め(前が6本、かかとが2本)に、少しでも加速につなげられるようなって思いで、そういう形にしていただきました」

 ところで1人部屋は?「初めてです。大学は2人だったので。ちょっと自分1人では広すぎるかなって思いました」。どう過ごしますか?「練習するか、読書するか、寝るかの三択かなと(笑)。プロに入って、はじめはもうガムシャラに野球だけ頑張っていきたいと思います」

「これからは野球が仕事になる」

【5位・谷川昌希投手 九州三菱自動車】

 入寮して実感は?「そうですね。徐々に実感がわいてきました」。持ってきたものは阪神OBの方の色紙だそうで。「はい、池田親興さんからいただいた色紙を」。プロ入りに際してもらったものですか?「そうです。高校の壮行会の時に、父母の方を通じていただいて」。どんなメッセージ?「『野球に学び、野球を楽しむ』と書いてありました」

7人の中では最年長、25歳の谷川投手。社会人出身の即戦力です。
7人の中では最年長、25歳の谷川投手。社会人出身の即戦力です。

 池田親興さんに直接、会ったことは?「お会いしたことはないんですけど」。受け取ってどうですか?「なんか、すごく重みを感じました」。ここに持ってこようと思ったのは?「やっぱりプロ野球を経験されている方の言葉って、すごく重みを感じるので、常に目の届くところに置いて日々生活していこうかなと思って持ってきました」

 “野球を学ぶ”という意味では、プロでどういうところを学びたい?「まだ正直、何もわからない状態なので、いろんなことをいろんな方に聞きながら、少しずつ成長していけたらと思います」。聞きたいことや気になったことを自分から聞けるタイプ?「聞きにいきたいな、って感じですね」

 これまでと生活パターンが変わることについて。「今まで3年間ずっと仕事がメインだった。野球より仕事の方が強かったけど、これからは野球が仕事になるので、そういう面ではすごく楽しみな部分でもありますし、自分がどれだけやれるのかっていう楽しみも増えたので、しっかりやっていきたいです」

ことしの末っ子はきれい好きです

【6位・牧丈一郎投手 啓新高校】

 牧投手が入寮のトップ、そして取材の最初だったので「あけましておめでとうございます」と挨拶をしたら「あ、あけましておめでとうございます。ことしもよろしくお願いします」と丁寧にお辞儀までしてくれました。新入団発表会でも感じたことですけど、本当にちゃんとしているというか、18歳とは思えない落ち着きがありますね。

 自分の部屋はどんな風にしたいですか?「常にきれいな状態に」。きれい好き?「結構、潔癖なくらいです。でもそんなにムチャクチャではなくて」。これからは1人部屋になりますが、それは初めて?「いや、高校の最後でもやりました。まだ高校生ですけど(笑)。10月から12月の間、1人で住んでいました」

 2か月間は寮を出て1人暮らしをしたんですよね、高校の監督から言われて。「はい。“自立するために”ということです」。なるほど。それで高校の寮は何人部屋だった?「4人部屋、8人部屋、10人部屋でした。キツキツ…」。じゃあ1人部屋はどう?「メチャクチャ快適!広いし、きれいですし」

牧投手は唯一の高校生。入寮はお母さんが付き添い、テキパキと片づけをされてました。
牧投手は唯一の高校生。入寮はお母さんが付き添い、テキパキと片づけをされてました。

 牧投手が持ってきた、こだわりの品は俳優・佐藤隆太さんのサインボール。「小学6年の時、家の前の大学でスペシャルドラマの撮影をしてはって、その休憩中に友だちと2人でボールを持っていったらサインをしてくれて、あの『夢にときめけ、明日にきらめけ』も書いてくれました!」

 ドラマ『ROOKIES』で佐藤隆太さんが演じる、川藤先生の名セリフですよね。このドラマの放送中?「いえ、ちょっとあとぐらいですね。タイガースファンと聞いていたので」。そのボールには牧丈一郎くんへ、とも書いてあるとか。自分自身が野球をやっていることも伝えた?「はい!」。いつか対面する機会があるといいですね。

 佐藤隆太さんの印象は?「ちょっと…怖かったのを覚えています。大人だったので、小学生には。芸能人のオーラもありますし」。ROOKIESは見ていた?「毎週見ていました!」。サインは家に飾っていたそうで、これからは「(寮の)机に飾っておこうと思います」と牧投手。ちなみにドラマの中では誰のファン?「佐藤隆太さんはROOKIES以外のドラマでも好きでした。ROOKIESでは安仁屋。市原隼人さんがカッコよかった」

“ぐんまちゃん”を超える群馬の星に!

【育成・石井将希投手 上武大学】

 石井選手が持ってきたものは「寄せ書きと、ぐんまちゃん」でした。ぐんまちゃん?「ゆるキャラでいいんですかね?けっこう有名なんですよ」。群馬県のマスコットで、旧名は“ゆうまちゃん”。モチーフはポニーだそうです。「そのぬいぐるみみたいな、クッション?クッションですね。いつも使っているものではなくて買ったもの」。寮内でも、しっかり群馬をアピールしてくれるでしょうね。

 寄せ書きは?「上武大学の後輩たちからもらったもので、30人くらいです」。印象的なメッセージはありましたか?「みんな印象に残っているので。でも“プロに行ってからケガなく頑張って”という言葉が一番、自分の中では印象に残っています」。つらい時の励みになる?「寄せ書きや、ぐんまちゃんを見て(笑)思い出してがんばろうかと」

 入寮して、実感がわいてきた?「そうですね。やっぱりドラフト直後から仮契約、キャンプ見学、本契約、そういった行事などを重ねていく中で、どんどん実感もわいてきました」

 初めて群馬を出るにあたり、ご両親から渡されたものはありますか?「いろいろ、あれ持っていけ、これ持っていけというようなことがあったんですけど、加湿器だけ親に薦められたものを持ってきました。使っていたものです」。他に家電で買うものは?「テレビくらいは買っとこうかなと思います」

囲み取材と重なって石井選手の入寮写真が撮れず…。これは新入団発表会のファンミーティングです。
囲み取材と重なって石井選手の入寮写真が撮れず…。これは新入団発表会のファンミーティングです。

 食べ物は?「食べ物は多分これから。いろいろ送るって言っていたので」。群馬のソウルフード?「ソウルフード…。まあ焼きまんじゅうだったり、ネギだったりとかありますけど、調理しないと食べられない(笑)」。ぜひ食堂で調理してもらいましょう!

 こっちへ来るとき、ご両親から何か言葉はかけられた?「本当にケガだけは気をつけて、頑張るように言われました」。遠く離れるのはご家族にとっても初めてなんですよね。でも同じ上武大の同期もいますし、先輩の石川打撃投手も待ち構えていたので、どうぞご安心ください。阪神にとって育成ドラフトでの指名は6年ぶりのこと。大きく羽ばたいてくれるのを楽しみにしています。

   <掲載写真は筆者撮影>

フリーアナウンサー、フリーライター

兵庫県加古川市出身。MBSラジオのプロ野球ナイター中継や『太田幸司のスポーツナウ』など、スポーツ番組にレギュラー出演したことが縁で阪神タイガースと関わって約40年。GAORAのウエスタンリーグ中継では実況にも挑戦。それからタイガースのファームを取材するようになり、はや30年が経ちました。2005年からスポニチのウェブサイトで連載していた『岡本育子の小虎日記』を新装開店。「ファームの母」と言われて数十年、母ではもう厚かましい年齢になってしまいましたが…1軍で活躍する選手の“小虎時代”や、これから1軍を目指す若虎、さらには退団後の元小虎たちの近況などもお伝えします。まだまだ母のつもりで!

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