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阪神タイガース契約更改 森越選手の会見は、自身も周囲も笑顔がいっぱい!《11/21》

岡本育子フリーアナウンサー、フリーライター
堪えても笑みがこぼれる?推定1000万円で来季の契約を更改した森越祐人選手。

 21日も契約更改が行われた阪神タイガース、この日は松田遼馬投手(23)、青柳晃洋投手(23)、糸原健斗選手(25)、坂本誠志郎選手(24)、そして森越祐人選手(29)の5人が順に球団事務所を訪れ、交渉の場につきました。全員が年俸アップの提示を受け、揃ってサインをしています。では、それぞれの今季成績とコメントをご紹介しましょう。1400→1600の数字は今季→来季の年俸で、単位は万円。金額はあくまでも推定です。

代名詞になる?練習中のカーブ

【松田遼馬投手】6年目 1400→1600

 ★1軍 26試合 1勝2敗 35回2/3 防御率5.05

     安打37(本塁打5) 三振33 四球17、死球1

 ★ファーム 10試合 1勝3敗 41回2/3 防御率2.81

     安打31(本塁打6) 三振38 四球13、死球3

 サインは?「はい、しました」。金額的には?「それはもう想像にお任せします」。どんな話を?「毎年、同じような成績ってわけじゃないんですけど、そんなにドーンと投げることもなくという感じなので、来年は50試合以上投げてほしいとは言われました」。ことしは先発もあったけれど、来年以降は中継ぎで?「ま、そのへんは首脳陣の決めることなので、どちらでもいけるように。ことしファームで先発を経験しているし、どっちでもいける準備はしていきたいです」

松田投手はケガなく過ごせた今季を自信に、来年はシーズン通して1軍で仕事ができますように。
松田投手はケガなく過ごせた今季を自信に、来年はシーズン通して1軍で仕事ができますように。

 50試合という目安は自分自身でも?「そうですね。やっぱり中継ぎで1年やられている方っていうのは50試合投げられている方も多い。僕自身まだ一度も50試合投げたことがないし、年間通して1軍にいたこともないので。来年は…って毎年言っているんですけど、来年こそは結果を出したいと思います」

 今、技術面で取り組んでいることは?「香田コーチから『代名詞を作るように』と言われていて、秋季キャンプでカーブが少しよくなってきたから、そういう面では継続してやろうと。まあカーブだけじゃないですけど、今はカーブの練習をしています」。

 カーブは先発でも中継ぎでも使える?「中継ぎの時はあまり使っていなかったので、勝負球で使ってみるのも面白いかなと思って」。ドロンとしたイメージのカーブ?「場面であったり、カウントによって投げられるように練習しています」。スピードボールがより生きてくる?「そうですね。やっぱり緩急があったらいいかなと思うので」

 オフの自主トレ期間中も続けていく?「キャンプで結構多めに投げてるので。真っすぐが基本だから、しっかり真っすぐを磨きながら体も鍛えて。もうひとつ変化球という点でカーブを、ちょっと練習していきたいなと思っています」。どんなイメージで?「それはまあバッターが嫌がるようなボールを投げたいなと」

 ケガなく過ごせたことは大きい?「毎年ケガをしていて、すごいレベルの低い話ですけど、ことし1年ケガなくやれたので。ファームに落ちたりはしましたが、ケガなくやれたっていうのは自信までいかないですが、来年につながるかなとは思います」

「若い選手?僕も若いんで!」

【青柳晃陽投手】2年目 1200→1300

 ★1軍 12試合 4勝4敗 64回1/3 防御率3.22

     安打53(本塁打2) 三振50 四球28、死球10

 ★ファーム 11試合 3勝6敗 61回1/3 防御率2.93

     安打57(本塁打1) 三振40 四球23、死球5

 サインはしましたか?「はい」。どういう提示?「少しだけ上げていただきました」。球団からの話は?「去年と比べても、さほど成績の変化がなかったので来年こそはしっかり、もっと成績を残すように頑張ってくれと言われました」。ことしを振り返って。「開幕ローテーションの枠にも入れてもらったんですけど、それを守りきることができずに上がって落ちての繰り返しだったので…すごい大変でしたけど、この経験を生かして来年またしっかりだしきれるようにやっていきたいと思います」

来年も開幕ローテ―ションに入り、今度はそれを守り切りたい青柳投手。
来年も開幕ローテ―ションに入り、今度はそれを守り切りたい青柳投手。

 2年目の今季、研究されているなとマウンドで感じたことはありましたか?「どうですかね。もちろん慣れもありますし、やっぱり去年と違って初対戦ではないので情報もあって打たれたなというのも。僕の場合、四死球からの失点が多かったので、それはどんどん改善できる点だと思いました」

 去年は台湾のウインターリーグに参加していた時期、ことしはどんなふうにすごしますか?「(12月)中旬までは、強化指定じゃないですけど鳴尾浜でできる範囲はやって、横浜に帰ってからは大学でお世話になろうと思っています」

 若いピッチャーがどんどん出てきて、来年もチーム内での争いは激しいかと。「若い選手がいっぱい出てきましたけど、僕も若いんで!(笑)。頑張っていきます」。その通りです!

ケガが悔しかったルーキーイヤー

【糸原健斗選手】1年目 800→1600

 ★1軍 66試合 162打数42安打24打点 打率.259 

     本塁打1 三振26 四球23 盗塁1 犠打5

 ★ファーム 4試合 9打数1安打0打点 打率.111

     本塁打0 三振1 四球2 盗塁0(失敗1) 犠打1

※糸原選手と坂本選手はテレビの取材が入っていたので、そのコメントもご紹介します。まずはテレビの質疑応答です。

 サインはされましたか?「はい、しました」

 言える範囲で増減を。「えー、上げてもらいました」

 球団からはどんな話が?「ケガする前までは頑張ってくれたと言ってもらいました」

 自分自身で今季を振り返って。「やっぱりケガをしたのが一番悔しかったです」

 来年に向けて強化ポイントなどがあれば教えてください。「打つ、守る、走る、全部レベルアップして、1年間戦える選手になっていきたい」

 オフの予定は?「ずっと練習して過ごしたいと思っています」

※続いて記者陣による囲み取材でのコメントです。

年俸が倍増した(あくまで推定)糸原選手ですが、ケガをした悔しさが一番だと言います。来年はずっと1軍で!
年俸が倍増した(あくまで推定)糸原選手ですが、ケガをした悔しさが一番だと言います。来年はずっと1軍で!

 ケガをする前までの手応えは?「最初はなかなか結果が出なかったんですけど、徐々に慣れていく中で結果が出るようになって、そこでケガをしたので…。悔しい1年でした」。結構やれるなっていう感じは?「まだわかんないです」と小さな声。「来年はケガなく1年間戦えるように、活躍できるように頑張っていきたい」

 複数のポジションを経験しましたが、来年はどこを?「任されたところで、そのチャンスをつかめるようにやっていきたいと思います」。レギュラーを目指すにあたり、具体的に底上げをしたいところは?「さっきも言ったんですけど、打つ、守る、走る、全部をレベルアップして、しっかりレギュラーを狙っていきたいです」

 社会人時代にあまりやってなかったショートを一番多く守った今季。手応えはあった?「いや全然もう、チームに迷惑をかけたので。来年はしっかり守れるように頑張ります」。オフはどんな練習メニューで?「体をまず鍛えて、ケガのない体を作って、しっかりバットも振って、走って」。基本は鳴尾浜で?「はい」。どこかへ行ったり誰かとやったりはしない?「はい」

 ちなみに来季の年俸ですが、帰り際に「倍増?」と聞かれた糸原選手の返事は「ご想像にお任せします」だったので…想像しました。

1年間通して1軍でマスクをかぶる

【坂本誠志郎選手】2年目 1300→1600

 ★1軍 42試合 113打数28安打17打点 打率.248

     本塁打2 三振32 四球15 盗塁0 犠打3

 ★ファーム 21試合 55打数16安打6打点 打率.291

     本塁打0 三振11 四球3 盗塁0 犠打1

※まずテレビのインタビューです。

 サインは?「はい、しました」。金額はどうですか?「まあ額は…。でも実際、シーズンで結果を残したのは短い期間だったんですけど、いい評価をしてもらって。はい。納得してサインしました」

 どんな話が?「1年目よりスタメンで出た試合も増えていると言っていただきましたし、あと試合の中で守る方でも打つ方でも、去年より落ち着いてできていたと思うとのことだったので、それが1年通してできるようにという話でした」

ことしのフェニックスリーグで、バットを振り込む坂本選手です。
ことしのフェニックスリーグで、バットを振り込む坂本選手です。

 今季を振り返って。「ケガから始まったので、自分の1年間の内容には全然納得いっていないんですけど、でもそこから1軍に呼んでいただいて、その(リハビリ等の)期間にやってきたことはしっかり出せたと思います。そのあとまたケガで離脱したので、チームに迷惑をかけたんですが…。まあもっともっとやれたんじゃないかな、やらないといけないなっていうのが正直なところです」

 来季への抱負と、強化したいポイントを。「そうですね、やっぱり1年間通して結果を出さないといけないっていうのが一番大事になると思いますし、1年間スタメンで出続けることで自分でもまた新しく見えてくるものがあるかと。そういう部分が評価されないといけないポジションだと思うので、まだまだ自分自身もっともっと、ということを忘れずにやっていきたいです」

 オフの予定は?「全然決めていないんですけど、去年は台湾に行ってずっと実戦をやっていたので、それが今季に生きたというのもあると思いますし、実戦じゃなくても自分にできることはたくさんあるから、来年のスタートの時に、ことしよりいい状態にできたら」

※続いて記者陣による囲み取材です。

 1年間やるには開幕マスクを獲るぞ!という意気込みで?「そうですね。一番評価されて、一番いい状態のキャッチャーが開幕ではマスクをかぶると思いますし、それがずっと続いていけば、そこからずっとスタメンで出られる。それは誰がキャッチャーでも多分変わらないので、そこに自分がいられるようにしたい」

 矢野ファーム監督が「自分に投資しろ」と言っていました。坂本選手は?「ケガもあったので、自分の体についてもう一度ちゃんと考えたり、見つめ直さないといけないので、そういう専門の方にお願いしたりとか。技術的な部分もいっぱい学生時代から知っている選手もいますし、そういう選手といろんな情報交換などをしながら、やっていけたらいいなと思います」

 山田1軍バッテリーコーチはキャッチングなど基本を重視していますね。オフはそこを?「そうですね、1つ1つ。打つ方も守る方も技術は、この世界でやっている限り満足することはないと思うので。人の力も借りながらですけど、自分自身と向き合ってやっていくのも大事だし、誰も何も言ってくれないところでも、どれだけできるかってのは大事ですね」

坂本選手もケガが悔しい1年だったとのこと。キャッチャーとしての責任感がますます強くなってきました。
坂本選手もケガが悔しい1年だったとのこと。キャッチャーとしての責任感がますます強くなってきました。

 9月5日からの広島3連戦(マツダ)で3連敗、今思えば大きな意味を持つカードだった?「あそこは全部、勝つチャンスがあった試合だと思うし、全部勝っていたら違う結果になっていたかもしれない。その試合に全部出ていた責任はあると思います。でもそういう場面で使っていただいたっていうのと、そこで勝ちきれなかった部分が…。どちらも来シーズンにつなげないといけないし、そういうところで勝って評価される選手になりたい」

 オフは鳴尾浜中心で?「まだ考えていないですね。お世話になった方が大勢いるので挨拶をしたり、そういうこともできるタイミングでしないといけないと思うので、しっかりやっていきたい。でも完全に休むというのは、まったく考えていないです」

守備もバントも、声出しも任せろ!

【森越祐人選手】7年目 650→1000

 ★1軍 29試合 23打数3安打1打点 打率.130

     本塁打0 三振10 四球2 盗塁0 犠打2

 ★ファーム 73試合 176打数36安打19打点 打率.205

     本塁打1 三振38 四球21 盗塁0(失敗1) 犠打9

 サインは?「しました!」。アップのイメージかな、と思いますが。「そのイメージじゃないですかね」。自分でも納得するアップ?「そうですね。自分が思っていた以上、って感じでした」。顔がほころんでいるように見えます。気のせいですか?「…気のせいではないでしょう」。最初から本人も周囲も少し笑いながらのやり取りでしたが、ここで一気に場内は大爆笑!

 プロに入って一番長く1軍にいたシーズン。振り返ってどうですか?「8月3日に上がって結局は最後まで、シーズンが終わるまでいさせてもらったので。本当に役割っていうのは守備固めだったり、代打バントだったりが多かったんですけど。CSの順位が決まったのも結構後半だったので、いいプレッシャーを感じながら、いい緊張感を持ってやれたかなと思います」

 「でも毎年毎年、新しい選手が入ってくるから。内野手で。今いる選手ももちろんそうですけど、みんな競争だと思っています。そういう競争に勝てるよう頑張ってくれと球団の方からも言われたので、負けないように。ことしの2か月を無駄にしないように来年もやっていきたい」

 ことしはいろんなポジションを守りましたが、来年も?「そうですね。グラブはまあ4つぐらいは持っていようかなと思います。ここ行けと言われた時に、どこでも行けるような準備はしとかないと、やっぱり。そういう選手は、もし自分が監督だったら必要だと思うので、その枠に入り込めたらいいかな」

ことし8月1日、交流試合で訪れた金沢。この直後に1軍から呼ばれました。
ことし8月1日、交流試合で訪れた金沢。この直後に1軍から呼ばれました。

 グラブ4つというのは?「ファースト以外、内野は全部一緒なんで。あと一応、外野のも持っていっていたので、来年も変わらず」。と話していたところで、遠くから「内野、外野、それとキャッチャー」という声が聞こえ「キャッチャーはない(笑)。キャッチャーはないです!」と否定した森越選手。ここでまだ爆笑です。

 1軍ではムードメーカー的な役割をしていたとか?「それは…コケてから」。あー!8月18日の中日戦(ナゴヤドーム)で、打った直後に思いっきりコケましたよね。ベンチに戻ってから福留選手が笑いをこらえている、というかメチャクチャ笑っていた映像を思い出します。なるほど、あれから役割が決まったと。

 「まあ試合前の声出しとかがあるので、その準備もしていこうかなと(笑)」。具体的なプランっていうのは?「…声出しの?」。これ、本人が真顔で聞き返したのも、その返す間合いが絶妙だったのもあって、また周囲は大笑い。その“声”も加味された査定でしょうか?「それは言われていないです。言おうかどうか迷ったんですけど、やめました(笑)」

 来年はシーズン通して1軍で?「そうですね。開幕からいてくれたら、と球団の方からも言われました。もちろん開幕1軍は阪神に来てまだないので、それを目標にしていきたいと思います」

 中日を戦力外になって阪神に来てから、やっと居場所が得られたという感触は?「まだそこまで確立はできていないと思いますが、人が嫌がることを率先してやろうと。代打バントとか守備固めとか、まあ言わないですけど多分みんな嫌だと思うんですよね、ほんとは。そういうところをやっていけば1軍に残る可能性も、自分の中では広がるんじゃないかなと思うので」

記者の質問の前に写真撮影で、わざと険しい顔をしてみせる森越選手。でもすぐに崩れちゃいました(笑)
記者の質問の前に写真撮影で、わざと険しい顔をしてみせる森越選手。でもすぐに崩れちゃいました(笑)

 「まあシーズンだったら一発勝負で、スタメンで出る人とはわけが違うと思いますけど、そういうとこで一発で決められる、一球のゴロをちゃんと捕れるっていうことを練習していきたいなと思います」

 監督やコーチ、選手のみならず、マスコミ陣や広報担当の方々にも愛されている『もりこ』。愛知県から出たことがないと、阪神へ来るとき心配そうだった森越選手も来年は、中日で過ごしたのと同じ4年目のシーズンを迎えます。円陣だけでなく、ゲームでもグラウンドの中心にいて輝いてください。

それぞれの選手へ、それぞれの期待

 5選手の契約更改が終わったところで、この日も嶌村聡副本部長にお話を伺っています。最初は糸原選手について。「まあ皆さんが見ての通りだと思うんですけど、社会人から入って1年目で、まずはあの勝負強い打撃と、40試合のスタメンを勝ち取っているところ。二遊間を守ったというのと、特にバッティングが目立ったかなという気がしますね。1年目の割にはよくやってくれたんじゃないですか。当然レベルアップは必要ですけどね」

 来年、定位置を狙ってほしいという選手?「ポジションは現場の方で決めてもらう話になりますが、どこを守るのかは別にしても、やってもらいたい選手ですね。24、5歳で来て、そのままポンと入って、いいとこで打ってくれている印象があるしね。やっぱり右ひざの故障というか、まずは1軍にいるとこから全部がついてくるので、彼には故障のないシーズンを送るのが前提という話をさせてもらいました」

 次に森越選手の名前が出ると「なんか顔が緩んでいたって?(笑)」と嶌村副本部長。「彼に関しても、途中の8月から入って後半の勝ちゲームの守備固めというところがね。やっぱり彼の特徴ってのが守備からで、その意味では後半の勝ちゲームで守って勝利に貢献してくれたのは、それを生かしている部分はあります」

 そのあと「まあ、でも…27(打数)の3(安打)?もうちょっと打ってくれって」と言われたので、一同また爆笑です。

 最後は松田投手の“50試合”という数字に関しての質問があり、嶌村副本部長は「いやいや、あれは別に先発するか中継ぎをするかは現場で決めてもらうことで、一般論としてリリーフ登板する時には、シーズンでだいだい50試合というのが基本線になってくるという話です。それが44試合か55試合かは別にして」と説明。

 「去年もそれは言っていますよ。リリーフになるなら、そこを目指す。ってことは1軍にずっといるということだから。彼の場合、ことしは故障なしだったけど、これまでは前半だけとかで。2シーズン通す信頼を勝ち取って1軍にいることが大事でしょう。そういう意味での50試合です」とのことでした。

     <掲載写真は筆者撮影>

フリーアナウンサー、フリーライター

兵庫県加古川市出身。MBSラジオのプロ野球ナイター中継や『太田幸司のスポーツナウ』など、スポーツ番組にレギュラー出演したことが縁で阪神タイガースと関わって約40年。GAORAのウエスタンリーグ中継では実況にも挑戦。それからタイガースのファームを取材するようになり、はや30年が経ちました。2005年からスポニチのウェブサイトで連載していた『岡本育子の小虎日記』を新装開店。「ファームの母」と言われて数十年、母ではもう厚かましい年齢になってしまいましたが…1軍で活躍する選手の“小虎時代”や、これから1軍を目指す若虎、さらには退団後の元小虎たちの近況などもお伝えします。まだまだ母のつもりで!

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