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みやざきフェニックスリーグ 最終戦を待たずに10年ぶりの優勝が決定!《阪神ファーム》

岡本育子フリーアナウンサー、フリーライター
フェニックスリーグ最後の先発登板で、5回を投げ6安打3失点だった青柳投手。

 きのう28日から最終クールに入った『第14回みやざきフェニックスリーグ』。残り3試合を行って30日に打ち上げという段取りなのですが台風22号の影響で、きのうは朝7時半に全試合中止になりました。その後も降り続く雨で市街地の道路もかなり水が溜まっている上に、夕方からはもう土砂降り状態。そして未明からは風も強まって…きょう29日も全試合の中止が発表されています。

 きょう阪神が試合予定だったKIRISHIMAひむかスタジアムがある『KIRISHIMAヤマザクラ宮崎県総合運動公園』付近は、きのうの雨で浸水してしまったようですね。宮崎空港も記録的な降水量だったと報道されています。日南市なども避難情報が出ていましたし、各地の被害が心配です。これから台風の進路にあたる地域の皆さん、どうぞご注意ください。

 第2、第3クールとも4試合中3試合が中止になったため、23日の休養日に巨人との練習試合を組んだ阪神。そこから最後まで8連戦の予定でした。24日からの第4クールは3試合すべて消化し、27日の練習試合も無事に行われたのですが、またやってきた台風には勝てません。毎週末に降る雨で、フェニックスリーグのイベントもことごとく中止。ファンの皆さんだけでなく、主催者の皆さんも残念でしょうね。あすの最終日は全試合が行われて締めくくれるよう祈ります。

 

2日連続の中止で阪神の優勝が決定!

 そうそう!見出しにも書いていますが、2日連続中止になったため最終戦を待たずに阪神の優勝が決まりました。最後で負けても7勝1敗、2位の巨人が既に2敗しているので、もう決定です。2007年に12勝2敗で優勝して以来、ちょうど10年ぶりのこと。また帰阪してから、当時のメンバーを見てみますかね。今も宮崎牛20キロでしょうか?確認してみましょう。

 さて、きょうは27日にアイビースタジアムで行われたロッテとの練習試合の詳細を書かせていただきます。新聞やニュースでご存じの方も多かったと思いますが、27日から矢野ファーム監督がフェニックスリーグの指揮を執るということで、私も三塁側から阪神ベンチの様子に注目しました。

ロッテ先発の酒居投手。5回まで1四球のみのノーヒットに抑えられました。
ロッテ先発の酒居投手。5回まで1四球のみのノーヒットに抑えられました。
元阪神のロッテ・鶴岡コーチ(上)と高濱選手(中)、元広島の三家選手(下)。
元阪神のロッテ・鶴岡コーチ(上)と高濱選手(中)、元広島の三家選手(下)。

 ちなみに阪神は今リーグ、26日まで9試合を消化して7勝2分け。練習試合を入れても8勝2分けで、一度も負けていません。ところが27日はロッテの先発・酒居投手にビシッと抑えられ、5回まで1四球のみのノーヒット!こちらは青柳投手が3失点、田面投手が7失点などで11対2の大敗でした。まあ練習試合ですから、リーグ戦では依然無敗の単独1位ではあるものの、ちょっと失点が増えてきた感じです。

 

 ロッテとは第1クールに対戦して3対0で(小野、マテオ、高橋、桑原、メンデス、島本、榎田という継投)勝っています。以降に組まれていた2試合は中止となり、その間にメンバーが増えたロッテ。27日は1番・大木、2番・平沢、3番・清田、4番・井上、5番・柿沼、6番・高濱、7番・肘井、8番・田村、9番・香月というスタメンでした。だいぶ顔ぶれが変わっていますが、だから…という言い訳はできませんよね。では試合結果をご覧ください。

《フェニックス練習試合》10月27日

阪神- ロッテ (アイビー)

 ロッテ 003 007 100 =11

 阪 神 000 002 000 = 2

  

◆バッテリー

【阪神】青柳-田面-松田-福永-島本 / 梅野-長坂(7回~)

【ロッテ】酒居(7回)-種市(1回)-高野(1回) / 田村

◆三塁打 ロ:細谷、田村

◆二塁打 ロ:香月 神:梅野、高山、緒方、

◆打撃 (打-安-点/振-球/盗塁/失策)

1]中:江越  (3-0-0 / 1-1 / 0 / 0)

2]二:北條  (4-1-1 / 2-0 / 0 / 0)

3]左:高山  (3-1-1 / 1-1 / 0 / 0)

4]三:陽川  (4-0-0 / 2-0 / 0 / 0)

5]一:原口  (3-0-0 / 0-1 / 0 / 0)

6]遊:糸原  (3-0-0 / 0-1 / 0 / 0)

7]右:板山  (2-0-0 / 0-0 / 0 / 0)

〃右:緒方  (2-1-0 / 1-0 / 0 / 0)

8]捕:梅野  (2-1-0 / 1-0 / 0 / 0)

〃捕:長坂  (1-0-0 / 1-0 / 0 / 0)

9]指:西田  (2-0-0 / 1-0 / 0 / 0)

〃打指:坂本 (1-0-0 / 0-0 / 0 / 0)

◆投手(打-振-球/失点-自責) 最速キロ

青柳 5回 83球 (6-6-2 / 3-3) 145

田面 1回 44球 (6-3-2 / 7-7) 144

松田 1回 17球 (2-0-0 / 1-1) 148

福永 1回 13球 (1-1-0 / 0-0) 148

島本 1回 16球 (0-0-1 / 0-0) 143

《試合経過》  ※敬称略

先発の青柳投手。3回に6安打を集中されました。
先発の青柳投手。3回に6安打を集中されました。
2人目の田面投手。今リーグ4試合目の登板です。
2人目の田面投手。今リーグ4試合目の登板です。
7回の松田投手は、これが5試合目の登板。
7回の松田投手は、これが5試合目の登板。
福永投手は4試合目。8回1イニングを無失点でした。
福永投手は4試合目。8回1イニングを無失点でした。

 まず投手陣です。青柳は1回2死から清田に四球、井上に死球を与えながらも0点に抑え、2回は三者凡退でした。しかし3回、先頭の香月に初球を右翼線へ二塁打され、大木の中前打で無死一、三塁。平沢の右前タイムリーで1点を失います。また無死一、三塁となって清田の一ゴロで1点、続く井上に右前タイムリー。2死後に連打されて満塁のピンチを迎えたものの、ここは田村を空振り三振!

 とはいえ打者9人に計6安打を許して3失点です。そのあと4回と5回はしっかり三者凡退で片づけ、5回で交代しています。

 試合前から降ったり止んだりしていた小雨が、6回途中から本降りになってきました。そんな中、6回は田面が登板。先頭の高濱に左前打、肘井は四球で無死一、二塁として田村と香月に連続タイムリーを浴びます。さらに四球で無死満塁となり、ようやく平沢から三振を奪って1死とするも、途中出場の三家に中前タイムリーを打たれて2人が生還。2死後に今度は代打・細谷の右中間タイムリー三塁打で2点、続く代打・大嶺翔にもタイムリーと、6安打を集中されて7点を失いました。

 7回は松田と長坂のバッテリーが、先頭の田村に右中間フェンス直撃の三塁打を浴び、香月の左犠飛で1点。大木に中前打を許しながらも、ここは追加点を与えず終了。8回の福永は1死から代打・伊志嶺に左前打され、捕逸で二塁へ進めましたが無失点。9回は島本が登板して2死から四球を出したものの0点に抑えています。

6回に酒居投手(右)からチーム初ヒット。梅野選手(中)の二塁打です。
6回に酒居投手(右)からチーム初ヒット。梅野選手(中)の二塁打です。
1死一、二塁で北條選手が左前タイムリー!
1死一、二塁で北條選手が左前タイムリー!

 一方の打線はロッテ・酒居に1番から9番まで一巡する間、パーフェクトに抑えられ、4回2死で四球を選んだ高山が初めての走者となりました。でも得点には至らず、5回はまた三者凡退。そして6回、先頭の梅野がチーム初ヒットとなる二塁打をレフトに放ち、1死後に江越の死球で一、二塁として北條が初球を打って左タイムリー!続く高山も初球打ちでセンターへのタイムリー二塁打!なおも1死二、三塁ではあったのですが後続を断たれ、2点返しただけです。

 7回は緒方が左越え二塁打を放つも、あとが続かず0点。8回は2人目・種市の前に1番から3者連続三振。9回は高野に対し、陽川がショートの捕球エラーで出塁しますが二盗失敗。四球を選んだ原口は、やはり盗塁失敗で2死。ついで糸原が四球で出たものの、最後は緒方の空振り三振で試合終了です。4安打のうち二塁打が3本あった打線。でも2点返すのがやっとでした。

新監督が求めるのは積極性

試合開始前の円陣。矢野監督は一番右です。
試合開始前の円陣。矢野監督は一番右です。
3回の攻撃中、打席の西田選手を見つめる矢野監督(ベンチ左側)。
3回の攻撃中、打席の西田選手を見つめる矢野監督(ベンチ左側)。

 最初に、矢野燿大監督の話をご紹介しましょう。“初采配”と切り出された囲み取材は「いやいや采配って、何もしてへんやん(笑)。基本的にサインを出していないので」という答えから始まりました。

 「残りの試合で、俺が求めているのは積極性。きょうもほとんどのバッターが初球を振ったと思う。無謀に思われるかもしれんけど、最後で陽川が走ったりとか。行けると感じたら行けと言っている。アウトや空振りを怖れず、自分が積極的な気持ちを持って臨むように伝えてあります」。そして「途中までノーヒット、パーフェクトやったから。どうするねんっ!て思ったわ」と言って笑う矢野監督。そのあとはこんな風に続きます。

6回のタイムリーに「初球からいけてよかった」と北條選手。
6回のタイムリーに「初球からいけてよかった」と北條選手。
続く高山選手も初球を打ってタイムリー二塁打!
続く高山選手も初球を打ってタイムリー二塁打!
緒方選手は7回に左越えの二塁打を放っています。
緒方選手は7回に左越えの二塁打を放っています。

 「ここにいる選手たちは、初球から打ちにいく準備をして打席に入ることで野球がうまくなるんじゃないかな。今はね。レベルが上がってきたら見逃す場面も出てくるけど、今はそれが大事かなと思っているんですよ」

 

 「そういう気持ち。ヒットとか、三振取るとかは技術的なことだけど、一塁まで全力で走るっていうところはできる。(きょうは)やっていたんじゃないかな。その姿勢、やろうとしているのは見えた。でもプラスアルファが求められる。そこが大事。俺が思うには、そこが一番下のライン。継続してやってもらいたいね」

 「声とか元気とかは1軍でも大事やと思うよ。馬鹿にできない。負けている時こそ声が出るようにしてほしい。自分を奮い立たせられるし、大きな武器になる。ダメなときこそ、そういう気持ちを持って頑張ろうと(朝の集合で)話をしました」

 また青柳投手については「途中、カットボールとかも投げていたし、フォアボールで崩れるパターンではなかったので、まだいいかな。ただ1イニングで(ヒットを)集中されるのは課題。コントロールより力で抑えるタイプのピッチャーなので、そこは1軍で勝つために必要かなと思う」とのことでした。

連打されたことは技術の問題

 高橋建投手コーチも、青柳投手が3回に集中打を浴びた点を挙げて「打たれたのは技術の問題。バッターを“上回れなかった”という答えですね。どういうバッターか、経験でクリアしていかないといけないところでしょう」と諭します。

 

3回が終わったベンチ、矢野監督に話しかけられるバッテリー(上、中)と、藤井コーチと話すバッテリー(下)。
3回が終わったベンチ、矢野監督に話しかけられるバッテリー(上、中)と、藤井コーチと話すバッテリー(下)。

「先頭打者を出して点を取られたので、4回と5回は先頭を出さないよう意識したと思います。そこはよかったかな。でも、できれば未然に防いでほしいですね。彼には最少失点を目指してほしい」

 次に青柳晃洋投手のコメントです。

 「立ち上がりにフォアボールとデッドボールがあったけど、3回以外はよかったと思う。3回に、あれだけ連打されたのが課題です。初球をバーンと打たれてから、ファーストストライクを狙われたり、スリーボールになったりボールが先行したり。ランナーを背負ってから全部打たれたので。ストレート以外でカウントが捕れれば違ったと思います」

 カットボールを投げた?「試したのは5回です。試す以前の問題でした。自信のあるスライダーでストライクをもっと取れればよかった」。これがフェニックス最後の登板となり、今度は秋季キャンプ。そこでも課題は「制球と、変化球の精度を上げること」だと話しています。

島本投手は大問題、北條選手は大災難

これが5試合目の登板となった島本投手。計6イニングを投げ、失点は0です。
これが5試合目の登板となった島本投手。計6イニングを投げ、失点は0です。

 島本浩也投手は9回、2死を取ったあと大木選手に投げた2球目が124キロと表示されたものの、正面から見ていたら全然変化しなかったんですよね。すーっと真っすぐ来てストライクになりました。あれは何?と聞いたら、そう聞かれるのを予期していたように「真っすぐです」と島本投手。124キロの?「はい。ゆっくり投げた真っすぐです」

 その大木選手にフォアボールを与えたけど、無失点でしたね。「それが…」。それが問題?「大問題です」。なるほど。次は3人でピシャリといきましょう。

北條選手を襲ったアクシデント。糸原選手が腰をとんとん(上)、山下トレーナーと審判も覗き込み、左の江越選手は…(下)。
北條選手を襲ったアクシデント。糸原選手が腰をとんとん(上)、山下トレーナーと審判も覗き込み、左の江越選手は…(下)。

 6回にチーム初安打を放った梅野選手を、左前タイムリーで還した北條史也選手。「初球からいけてよかったです」とひとことだけでした。それより(というのも失礼ですけど…)、9回の守備で田村選手の打ったセカンドゴロを股間で受けてしまった件を聞いてもいいですか?正確には捕球しようとした北條選手の股間に打球が当たってしまった件、ですかね。

 打ったのが北條選手の幼なじみで高校の同級生でもあった田村選手だけに、その感想は「なんでアイツの打球が当たるねん!って思いました」です。田村選手の表情は見られなかったんですけど、写真の江越選手が“心配しながらも笑いをこらえきれない”顔をしているので、あんな感じだったかなと推察します。とにかく北條選手、お大事に。

     <掲載写真は筆者撮影>

フリーアナウンサー、フリーライター

兵庫県加古川市出身。MBSラジオのプロ野球ナイター中継や『太田幸司のスポーツナウ』など、スポーツ番組にレギュラー出演したことが縁で阪神タイガースと関わって約40年。GAORAのウエスタンリーグ中継では実況にも挑戦。それからタイガースのファームを取材するようになり、はや30年が経ちました。2005年からスポニチのウェブサイトで連載していた『岡本育子の小虎日記』を新装開店。「ファームの母」と言われて数十年、母ではもう厚かましい年齢になってしまいましたが…1軍で活躍する選手の“小虎時代”や、これから1軍を目指す若虎、さらには退団後の元小虎たちの近況などもお伝えします。まだまだ母のつもりで!

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