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完封負け2つで終えた中日3連戦 ただしチーム防御率はリーグトップ《5/21 阪神ファーム》

岡本育子フリーアナウンサー、フリーライター
先発の横山投手。腰痛もあって、約4週間ぶりのマウンドでした。

21日も、晴天に恵まれた兵庫県立淡路佐野運動公園(ボールパークあわじ)第1野球場でウエスタン・阪神‐中日戦が行われました。前日より500人以上多い2578人のお客様が観戦に訪れ、他のグラウンドでサッカーの試合もあったりして公園内は大賑わい。売店のお弁当類も、早くに売り切れ続出です。淡路ビーフどっさりのハンバーガー、食べたかった…。

それはさておき、なかなか打線が爆発しない阪神ファーム。きのう21日は二塁打3本を含む7安打したものの、連打がありません。そういえば17日以降の5試合は、連打が一度もないんですね。この中日3連戦を見ると、19日が3安打で無得点、20日は2本塁打で3点取り勝ったとはいえ安打数が3、そして21日は二塁打3本など7安打で0点。2つも完封負けを喫し、これで2カード連続の負け越しとなりました。

でも接戦が続いているのは、投手陣の頑張りが大きいでしょう。この3試合での失点は5、自責は3。阪神のチーム防御率は2.99でウエスタン・リーグのトップ!他の5チームは3点台なので、唯一の2点台です。ギリギリですけど。

では、21日の試合結果と経過をご紹介します。腰痛により、予定されていた5月6日の1軍・広島戦の先発を回避した横山投手が復帰登板。先発で4イニングを投げました。また両チーム3本ずつ二塁打を放ったこともあり『淡路島いちじくカレーとオニオンドレッシングのセット』が大量に出たことを付け加えておきます。

《ウエスタン公式戦》5月21日

阪神-中日 9回戦 (淡路)

中日 000 100 100 = 2

阪神 000 000 000 = 0

◆バッテリー

【阪神】●横山(1勝2敗)‐石崎-竹安‐守屋‐山本 / 坂本

【中日】○阿知羅(3勝)(6回)-福谷(1回)‐ロンドン(1回)‐S浅尾(6S)(1回) / 赤田

◆二塁打 陽川、大山、坂本(神) 岩崎、友永、遠藤(中)

◆打撃 (打-安-点/振-球/盗/失) 打率

1]遊:植田 (3-0-0 / 0-0 / 0 / 0) .234

〃打:狩野 (1-0-0 / 0-0 / 0 / 0) .297

2]中:緒方 (5-0-0 / 2-0 / 0 / 0) .244

3]左:陽川 (4-1-0 / 3-0 / 0 / 0) .264

4]指:今成 (3-0-0 / 0-1 / 0 / 0) .243

5]一:新井 (2-1-0 / 0-2 / 0 / 0) .365

6]三:大山 (4-1-0 / 0-0 / 0 / 0) .225

7]二:板山 (3-1-0 / 1-1 / 0 / 0) .189

8]捕:坂本 (3-1-0 / 0-0 / 0 / 0) .200

〃打:西田 (1-0-0 / 0-0 / 0 / 0) .286

9]右:俊介 (4-2-0 / 0-0 / 0 / 0) .298

◆投手 (安-振-球/失-自/防御率) 最速キロ

横山 4回 72球 (3-3-2 / 1-1 / 3.86) 144

石崎 1回 18球 (0-0-2 / 0-0 / 5.27) 150

竹安 2回 41球 (3-2-0 / 1-1 / 3.50) 146

守屋 1回 11球 (0-1-0 / 0-0 / 5.73) 150

山本 1回 8球 (0-1-0 / 0-0 / 1.45) ※

※すべて左打者のため重なって、うまく計測できず。

<試合経過>

4回を終え、悔しそうにベンチへ戻る横山投手。
4回を終え、悔しそうにベンチへ戻る横山投手。
5回は石崎投手。2四球ながら無安打無失点です。
5回は石崎投手。2四球ながら無安打無失点です。

先発の横山は約4週間ぶりの登板。1回1死から岩崎の左中間二塁打を浴びますが難なく抑え、2回は三者凡退。3回は先頭に死球を与えたものの後続をしっかり断って、ここまで1安打無失点でした。しかし4回、3番・石川の中前打、1死後に松井佑の四球で一、二塁。近藤の中飛で2死一、三塁となって7番・三ツ俣に右前タイムリーを浴びます。

5回は石崎が、2死を取ってから連続四球を与えましたが無失点。ついで竹安が登板して6回は5番からを三者凡退に切って取ります。ところが7回、1死から9番の友永に左翼線二塁打、続く遠藤の右翼線二塁打で1点を追加され2対0。そのあとは8回の守屋が三者凡退、9回も山本が三者凡退と完璧な救援でした。

打線は1回が2死から陽川の左翼線二塁打、2回は大山の右中間二塁打と板山の四球で1死一、二塁とするも坂本は遊ゴロ併殺打で得点なし。3回は先頭の俊介が左前打し、植田の犠打で二塁へ進みますが、緒方の鋭い打球は三直。陽川は三振で終了です。

1回に二塁打を放った陽川選手。
1回に二塁打を放った陽川選手。
大山選手も2回に二塁打を打っています。
大山選手も2回に二塁打を打っています。

4回は新井の死球のみ。5回は先頭の坂本が初球を左中間へ運び、ワンバウンドでレフト芝生席に飛び込むエンタイトル二塁打!俊介の一ゴロで、この試合初めて三塁に走者を置いたものの、フライと三振で無得点。6回は1死から今成がショートのエラーで出て、新井は四球、2死後に板山が右前打して満塁と攻めた打線ですが…坂本は二ゴロ。中日・先発の阿知羅から二塁打3本を含む5安打と3四死球をもらいながら、ホームの遠い攻撃でした。

7回は福谷の前に三者凡退。8回はロンドンから今成が四球を選び、続く新井の左前打で一、二塁とするも、またフライと三振で0点。9回は浅尾に対して俊介が右前打しただけ。やはりフライと三振で試合終了です。

チームが勝つための“視野”を

掛布監督は横山投手について「はじめから3回か4回、球数60から70というのは決めてあったんだよ」と、予定通りの交代だったと説明。「久々にしてはよかったと思いますよ。最後、甘く入ったけど」。最後とは、4回に失点した場面です。「2アウト一、三塁で二塁が空いている。次を考えたら、あのカウント(2-2)で、あのボールいっちゃいけないでしょう。もっと厳しい球を投げなきゃ。1軍だったら命取り」

指摘した部分も含め「これから投げていって、視野を広げて、ゲームの中でやっていくべきことを考えてほしいですね。究極の勝負をすること、プライド賭けるのも大切だけど、チームが勝つために、ベース空いていることを考えるのも勝負。1軍で勝てるピッチャーになるにはね」と掛布監督。

20日の試合前に行われたサイン会で笑顔を見せる横山投手。(奥は竹安投手)
20日の試合前に行われたサイン会で笑顔を見せる横山投手。(奥は竹安投手)

久保投手コーチの横山投手評は「きょうはイニングが短いということで、力中心だった。これだけ、しっかりいければ大丈夫!次につながりますね。あとはイニングを伸ばすこと。十分ですよ」と及第点でした。

横山投手本人はこんなコメント。「感覚は悪くなかったですけど、ゲームの中で“打たれてはいけないボール”というのが…。あの場面は打たれてはいけないところ。確かに迷いはありました。真っすぐを続けていくか坂本と話をしたんですけど。バッテリーだけでなく、もっと周りを見られたらよかった」。3回まで1安打無失点だっただけに、やはり4回が悔やまれるのでしょう。

「試合の流れを作りきれなかったので反省します」と言っていましたが、真っすぐの伸びやスピンは十分ありました。「スピンはバロメーターなので、そこはよかったと思います。もう少し試合の流れを見ていけたら…。技術とは別の部分で、後悔というか、そういうのがあるんで」。次の登板でクリアしてくるはず。期待しています。

1点の重みを背負うリリーフ陣

竹安投手は2イニング目で1点を失いました。
竹安投手は2イニング目で1点を失いました。
守屋投手は5番からの3人をピシャリ!
守屋投手は5番からの3人をピシャリ!
9回は山本投手が三者凡退に切って取ります。
9回は山本投手が三者凡退に切って取ります。

横山投手以外について、久保投手コーチの談話です。「竹安は、こうやって1点の重みを感じてほしい。ここで1点もやれない、そんな中でのピッチングをどうするか」。8回、9回に登板した山本投手や守屋投手には「少し違う意味でプレッシャーのかかるところでね」とのこと。競ったゲームの終盤という、“重みのある”場所を任せられる信頼は本人たちも気合が入るでしょう。

守屋投手は「考えないようにしています。いつ、どこで投げても同じように1点もやらない気持ちで」と言い、21日でウエスタン・リーグ最多タイの21試合登板となった山本投手も「意気に感じています」とうなずきました。

そして、1イニング目の6回は三者凡退に抑えながら、7回に連続二塁打を浴びて失点してしまった竹安投手。「打たれたのは外の球でで…。インコースを意識させておけばよかったのに、そうできなかったのが反省点です」。最速146キロがあったものの「ヒットを打たれたのは高めのボールとか、キレがなかったものなので」と、やはり反省の弁。なお今回は登板間隔が空くため中継ぎで投げましたが、今後はまた先発もありそうですね。

「そんなはずはないと思ったら…」

最後は坂本選手。5回に左中間越えの二塁打を放ちましたが、掛布監督によれば「見てなかったらしいよ。で、見たらスタンドに入ってたからビックリしたって(笑)」とのことです。本人に確認したところ「必死で走っていたもんで、後ろを見てなくて。そんなはずはないと思ったけど、そんなはずなかったですね」と、思い出し笑い。

エンタイトルツーベースの坂本選手。二塁上で会釈です。
エンタイトルツーベースの坂本選手。二塁上で会釈です。

つまり、通訳すると『ホームランになるはずないと思ったのに、自分が見た時は打球がもう芝生席に入っていた!』『でも思った通り、直接ではなくワンバウンドで入ってエンタイトルルーベース。やっぱりそんなはずなかったんだ』って意味でしょう。そして「風が逆だし、いかないと思ったけど、いい感じで打てたので。ホームランならもっといいけど、まあよかったです」と振り返りました。

それから「試合の中で1打席1打席、1球1球考えてやっていますが、大事なところで粘れなかった。配球が…」と悔やむのは失点した場面です。右手親指の骨折から復帰して約3週間。1軍への思いを聞かれると「自分のやることをやって、いつでも行けるように準備をしていきたい」と答えています。

フリーアナウンサー、フリーライター

兵庫県加古川市出身。MBSラジオのプロ野球ナイター中継や『太田幸司のスポーツナウ』など、スポーツ番組にレギュラー出演したことが縁で阪神タイガースと関わって約40年。GAORAのウエスタンリーグ中継では実況にも挑戦。それからタイガースのファームを取材するようになり、はや30年が経ちました。2005年からスポニチのウェブサイトで連載していた『岡本育子の小虎日記』を新装開店。「ファームの母」と言われて数十年、母ではもう厚かましい年齢になってしまいましたが…1軍で活躍する選手の“小虎時代”や、これから1軍を目指す若虎、さらには退団後の元小虎たちの近況などもお伝えします。まだまだ母のつもりで!

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