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新外国人・ペレス選手が鳴尾浜デビュー《6/20 阪神ファーム》

岡本育子フリーアナウンサー、フリーライター
試合後のミーティングに参加する『95』のペレス選手。やっぱり大きいですねえ!

ルートインBCリーグの石川ミリオンスターズから阪神タイガースにやってきたネルソン・ペレス外野手(27)。17日に契約し、19日が入団会見、きのう20日のウエスタン・広島戦では3番レフトで出場。まず鳴尾浜で背番号95をお披露目しました。4打席でヒットはなかったものの、挨拶代わりの豪快なフルスイングが印象的ですね。北條選手に聞いてみると「バッティング練習見ました?すごいですよ~打球が。体もゴツイし、慣れたらメッチャ打ちそう」という感想です。朝からチームのみんなとも積極的にコミュニケーションを取っていたとのこと。溶け込むのも早いでしょう。

さて試合は、雨天中止となった19日の先発予定からスライド登板の岩崎投手が4回3失点、ついで本来はきのう先発するはずだった横山投手は4回1失点(自責0)、最後に石崎投手が4失点。こちらの打線は黒瀬選手の犠飛と森越選手のタイムリー二塁打により、2点を返しただけで敗戦。広島戦は4勝9敗3分けと大きく負け越してしまいました。

《ウエスタン公式戦》6月20日

阪神-広島 16回戦 (鳴尾浜)

広島 200 100 104 = 8

阪神 010 001 000 = 2 

◆バッテリー

【阪神】●岩崎-横山-石崎 / 小宮山

【広島】○薮田(4勝1敗)(5回)-武内(2回)-今村(1回)-永川(1回) / 中村亘-倉(8回~)

◆本塁打 下水流6号ソロ(岩崎)、岩本3号2ラン(石崎)

◆二塁打 横田、森越、堂林2

◆打撃 (打-安-点/振-球/盗塁/失策) 打率

1]指:緒方  (4-0-0 / 1-0 / 0 / 0) .230

2]遊:北條  (2-0-0 / 1-2 / 0 / 0) .254

3]左:ペレス (4-0-0 / 2-0 / 0 / 1) .000

〃左:田上  (0-0-0 / 0-0 / 0 / 0) .240

4]右:中谷  (2-0-0 / 1-2 / 1 / 2) .287

5]二:森越  (3-2-1 / 0-1 / 1 / 0) .288

6]中:横田  (4-1-0 / 0-0 / 0 / 0) .203

7]三:陽川  (4-1-0 / 2-0 / 0 / 0) .182

8]一:黒瀬  (2-0-1 / 0-0 / 0 / 0) .223

〃打:西田  (1-0-0 / 0-0 / 0 / 0) .184

9]捕:小宮山 (3-1-0 / 1-0 / 0 / 0) .264

〃打:一二三 (1-0-0 / 1-0 / 0 / 0) .136

◆投手 (安-振-球/失-自/防御率) 最速キロ

岩崎 4回 70球 (4-5-1 / 3-3 / 3.82) 143

横山 4回 69球 (5-2-0 / 1-0 / 2.79) 146

石崎 1回 33球 (2-2-2 / 4-4 / 4.13) 148

経過1 投手編

岩崎は1回、まず先頭の鈴木将を3球で見逃し三振!ところが安部に12球粘られて左前打、その打球をペレスがワンバウンドで抑えながら後逸するエラーで二塁へ進め、堂林は四球。4番・ロサリオを空振り三振に斬って取り、2死としてからグスマンに左前タイムリー。続く廣瀬にも右前タイムリーを浴びました。これを中谷が捕ってバックホームしたものの送球が逸れて2死二、三塁となりますが、下水流は見逃し三振で終了。

1回が34球を要したのに比べ、2回は5球、3回は11球で三者凡退!4回は2死を取ったあと下水流に2ボールからの3球目をレフトへ…第6号のソロホームランを打たれています。岩崎は4イニングを投げ4安打3失点でした。

ついで横山が登板して、5回は鈴木将と安部に連打されるも無失点。6回は2死から下水流の内野安打(横山が伸ばしたグラブに当たり、セカンド方向に)で出しましたが、中村亘は119キロのフォークで空振り三振。7回も2死後、安部の右前打に続き堂林の右中間二塁打を浴び、ライト中谷のエラー(捕り損ね、さらに足で蹴ったかも…)により、三塁へ進んでいた安部を還してしまいます。8回は三者凡退で、横山も4イニングを投げて5安打1失点(自責0)。

9回は石崎が、先頭の美間を147キロの真っすぐで空振り三振。庄司は二ゴロで、森越の好捕&好送球もあって簡単に2死となります。しかし鈴木将と安部に連続四球を与え、ここで久保投手コーチが間を取りにいきましたが、直後に暴投で2死二、三塁として、次の堂林二レフトへのタイムリー二塁打で2者生還。続いて代打の岩本には右中間への第3号2ラン。最後の倉からは空振り三振を奪ったものの、この回なんと4点を失っています。

経過2 攻撃編

打線は1回が北條の四球のみでしたが、2回は先頭の森越が右前打を放ち、横田は右翼線二塁打で無死一、三塁のチャンス。1死後に黒瀬の右犠飛で1点を返します。3回は三者凡退。4回は中谷と森越の連続四球で無死一、二塁として1死後、陽川の時に重盗成功で二、三塁!しかし陽川は空振り三振、黒瀬は中飛で得点なしです。5回は三者凡退。前回(12日・マツダ)で6回3安打10三振で1点しか取れなかった広島の薮田に対して、今回も2安打6三振で1点のみでした。

2人目の武内には6回、1死から中谷が四球を選んで、次の森越が初球を打ってレフトフェンス直撃のタイムリー二塁打!

ただし後が続かず、また1点だけ。7回は小宮山の中前打と北條の四球で2死一、二塁とするも無得点。8回は今村の前にライトへのフライ3つで三者凡退。9回は永川から先頭の陽川が左前打(二遊間をうまく抜けていく)しましが。代打・西田の遊ゴロ併殺打で2死ランナーなし。最後は代打・一二三がカウント2-2からの5球目、スライダーに空振り三振で試合終了です。

結果は持越し、でも期待大

取材中のペレス選手。一生懸命、真剣に考えているため、怖い顔になっちゃいました…
取材中のペレス選手。一生懸命、真剣に考えているため、怖い顔になっちゃいました…

コメントは初出場のペレス選手からご紹介しましょう。打席結果は1回が2死一塁で左飛、3回は2死ランナーなしで空振り三振、6回は先頭で右飛、7回は2死一、二塁で空振り三振でした。「まだ体調的に100%の状態ではないかなという気がします。きのう移動してきて、きょうゲーム。先週も休みがなかったので。きょうしっかり休んで。あしたはいい状態で入れると思う」

慣れないレフトの守備について「ライト、センターとは違いますが、しっかり勉強していきたい」と話しています。初めて対戦するピッチャーはどうでしたか?「野球自体は同じだから、あまり意識せず自分のスタイルでやりたい。失投は少ないイメージがあるので、しっかりアジャストしていきたいです」。当たったらどんな打球が飛ぶのか、きょう以降の試合も楽しみになりますね。

全体ミーティングのあとペレス選手と話す古屋監督。内容は「企業秘密」だそうです。
全体ミーティングのあとペレス選手と話す古屋監督。内容は「企業秘密」だそうです。

チームに合流したばかりですが「すごくいい環境で、素晴らしい人たちが多い。いい人、いい選手をきょう見られたので、自分も入っていけるようにした」というペレス選手。

当初は3打席の予定と聞いていましたが、4打席目も立ったのは?「監督に『4打席目もいくか?』と聞かれて、自分もゲームにはずっといたいタイプなので、監督に任せますと言いました」。最後に、同じデーゲームで行われていた1軍のヤクルト戦(甲子園)で、マートン選手がホームランを打ったことを伝えられ「かなり刺激になるし、それでもっと一生懸命やらなきゃいけないと思う。自分を動かす要因になります」と意気込んでいました。

守備だけじゃない!森越

次は、2回に右前打、6回にはタイムリー二塁打を放ち、守備でも“らしさ”全開だった森越選手です。まず9回に庄司選手の、二遊間を抜けそうな打球に追いつき、見事な送球でアウトにした守備。「ピッチャーが一生懸命投げていたし、僕も全力でやって、ああいうプレーになりました。3人で抑えられれば一番よかったんですけど、そのあとを取られてしまって」と、そこまで力感あふれる投球だった石崎投手の失点が残念そうでした。「ちょっとイレギュラーしたけど、下からグラブを出したら入ったという感じですね。ピッチャーを助けられることが一番だと思ってやっています」

再昇格に向け、打ってもすごいんです!ってところを見せる森越選手。
再昇格に向け、打ってもすごいんです!ってところを見せる森越選手。

そういう守備が売りの森越選手ながら、このところバッティングでも貢献していて、記者に「失礼ですが…思った以上に打っていますね」と言われ「僕もそう思います」と笑いました。「5番・森越?ってみんな思ってるんじゃないですかね。僕もそう思いますから(笑)。今までの4年間ではない感覚で打席に立たせてもらっています」。何が違うのでしょう?「2月のキャンプで、八木コーチには相手ベンチから見ていた自分のイメージを話してもらって、キャンプのあと濱中コーチに言われたことが、はまったんだと思う」。それは「右手を意識して強く打つ」ことだそうです。

「きょうのライト前も、その結果かと。もともとインコースは好きなんで、真ん中から外を狙っていこうと思っています」のこと。また3打席目のタイムリー二塁打について「普段は基本的に真っすぐを狙いにいくんですが、前の中谷を見ていたらスライダーも多かった。自分が1打席目に真っすぐを打っているので、入りはスライダーかなと思いました」と言います。なるほど、それで初球のスライダーを打ったわけですね。「自分の狙った球が来て、それを打てたのがよかったです。中谷もよく走ってくれた!」。ほんと、一塁からナイスランでした。

久保コーチから収穫と課題を

投手陣のコメントの前に、久保投手コーチの話を書いておきます。最初は岩崎投手のこと。「球が速くなったね!(右足の)着地と(左手の)叩くポイントが合ってきて、自分の中で感じ取れたんじゃないかな。真っすぐは前よりずっといい。変化球はまだ合っていないから浮くけど、着地の音がよくなってきた。彼らしい、それ以上のボールになったよ」

次に横山投手です。「きょうは『意図的に狙って投げられた』と言っていました。投球しやすい入り方をしなさい、と話しています。特にワインドアップはね。セットポジションにつながるワインドアップを、と。あまりかけ離れているので、つながりのあるフォームでやろうと言ってる。きょうは少しできたんじゃないかな。あとは変化球。スライダーの球速がちょっと出るようになってきた」

なお、この2人については「1軍を意識していい。意識させてる。きょうも同じ4イニングで、同じような球数だったね」と久保コーチは話しています。

石崎投手には「彼も意気込んでいった。非常にいいんだけどな~。いいボールを投げようという意識で頭がいっぱいになっていますね。まず速いボールでストライクを取るというところをやって、きょうはできていた。今後も短いイニングがいいかな。まだ先発、中継ぎ、抑えという“役職”じゃなくてね。ファームでやらせるなら、後ろで」という分析でした。

球は速くなったけど…

試合後に外野をランニングする岩崎投手。試行錯誤の日々、でしょうか。
試合後に外野をランニングする岩崎投手。試行錯誤の日々、でしょうか。

では本人の談話です。岩崎投手は、球速が速くなったねと振られて「出てますね。出ていることがいいことなのかどうかはわからないですけど」とクールな回答。「良くはなっているけど、まとまってくれば…。(失点は)もったいなかった。いいと思ったんですけどねえ。ダメでしたね」と、自分としてはまだ納得できていない感じです。「ちょっと前回から投げるのを増やして、走るのも増やして。走る負荷を上げてみたり。疲れてはいたけど、それがちょうどいいかなと。前回の感覚もそうで、いい感じには来ていると思う。また次、機会を貰えるなら状態を上げていければ」

制球はよくなってきたのでは?「今まで最悪だったけど、コントロールは思ったところにいって、よかったと思ったんですけどね。変化球の感覚、キレとか、そう悪いと思わなかったので、もうちょっとカウントを取れるようになっていけたらいいと思います」。よくなっている実感と、それが結果にすべて出ないもどかしさみたいなものが交錯している感じがしました。ひとことずつ考えながら答えてくれた岩崎投手です。

要所で決まったフォーク

横山投手も色々と考えながら取り組む毎日。1軍に向けてスライダーの確率アップです。
横山投手も色々と考えながら取り組む毎日。1軍に向けてスライダーの確率アップです。

横山投手はちょうど1週間前、1軍の交流戦(オリックス、京セラ)で投げて以来でした。今回は前日の雨天中止により岩崎投手がスライドで先発し、5回からの登板。「最初、ガッと入れなかった。探り探りで。足場もできていなくて」と先発でない難しさを感じたようです。左足の位置をプレートに平行にしていて「前よりはよかった。セットの時に多少ばらつきはあったけど、1軍に行った時よりはよかったと思います。探りながらやっていきたい」とのこと。

ランナーがいる時の投球については「きょうは腕を振ろうとしたので、ぶれないように意識して、右足で着地して体も回ると。こういうのを上でもやりたいなと思いますが、まだまだですね」と横山投手。そして「広島は真っすぐを狙ってくる。きょうはカーブと、要所でフォークが何球か決まった。スライダーはもうひとつだったけど、その確率を上げて、いいボールを投げたい」と今後に向けての手応えと課題を挙げています。

なお、久しぶりの登板だったにもかかわらず石崎投手はタイミングが合わず、話を聞けませんでした。またすぐに投げると思いますので、次回までお待ちください。

フリーアナウンサー、フリーライター

兵庫県加古川市出身。MBSラジオのプロ野球ナイター中継や『太田幸司のスポーツナウ』など、スポーツ番組にレギュラー出演したことが縁で阪神タイガースと関わって約40年。GAORAのウエスタンリーグ中継では実況にも挑戦。それからタイガースのファームを取材するようになり、はや30年が経ちました。2005年からスポニチのウェブサイトで連載していた『岡本育子の小虎日記』を新装開店。「ファームの母」と言われて数十年、母ではもう厚かましい年齢になってしまいましたが…1軍で活躍する選手の“小虎時代”や、これから1軍を目指す若虎、さらには退団後の元小虎たちの近況などもお伝えします。まだまだ母のつもりで!

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