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先発全員安打の次は… 2安打完封負け《4/4 阪神ファーム》

岡本育子フリーアナウンサー、フリーライター
投げ終わった瞬間の横山投手。手前に写っているのはファウルになったボールです。

きょう5日に鳴尾浜球場で予定されていたウエスタン・阪神-ソフトバンク戦は早々に中止が発表されました。本来は3月31日(火)から4月5日(日)まで6連戦だったのに、31日と2日のオリックス戦と4日のソフトバンク戦の計3試合しかできていません。次の中日戦(ナゴヤ)もお天気は怪しいようで。ピッチャー陣の調整も気ががりです。

中止と聞いてから色々と追加して、長く遅くなってしまいましたが、4日のソフトバンク戦の結果とコメントをご紹介します。ドラフト1位の横山投手が先発して4回と5回に1点ずつを奪われたものの6回2失点とゲームは作り、あとはリリーフ陣が完璧なピッチング!

しかし悲しいかな、打線が小豆畑選手と北條選手のヒットのみ。あちらの山田投手、五十嵐投手、寺原投手という平均年俸7250万円(推定)リレーに完封負けを喫しました。2日のオリックス戦では今季初の先発全員安打で賑やかだったスコアブックが、雨を挟んで今度は真っ白。でもまあ1軍クラスの投手をバンバン打てたら1軍にいますわね。だから鳴尾浜で勉強と努力に励んでいるわけです。でも1軍はきょう、年俸1200万円のルーキーに2安打完封負けしたんでしたっけ。う~ん…。

右ふくらはぎ痛が治った黒瀬選手は、2月28日以来の守備にもつきました。
右ふくらはぎ痛が治った黒瀬選手は、2月28日以来の守備にもつきました。

なお4日は黒瀬選手が実戦に復帰。公式戦はこれが初出場で、試合開始直後から攻守にハツラツプレーを見せて引っ張っています。きのう4日にも安藤投手(右肩の張り)と今成選手(右わき腹痛)で抹消され、代わって福原投手と狩野選手が昇格するなど、4日連続で入れ替えがありました。鳴尾浜の選手たちにとって1試合が、1打席が、1球がアピールになる日々です。

《ウエスタン公式戦》4月4日

阪神-ソフトバンク 2回戦 (鳴尾浜)

ソフ 000 110 000 = 2

阪神 000 000 000 = 0 

◆バッテリー

【阪神】●横山(1敗)-渡辺-小嶋-玉置 / 小豆畑-岡崎(9回表)

【ソフ】○山田(1勝)-五十嵐-S寺原(1勝1S) / 拓也

◆二塁打 拓也、カニザレス、金子圭 

◆打撃 (打-安-点/振-球/盗塁/失策) 打率

1]右:緒方   (3-0-0 / 0-0 / 0 / 0) .231

〃三:荒木   (1-0-0 / 0-0 / 0 / 0) .067

2]三:黒瀬   (2-0-0 / 0-0 / 0 / 0) .000

〃打右:伊藤隼 (2-0-0 / 0-0 / 0 / 0) .135

3]中:横田   (4-0-0 / 2-0 / 0 / 0) .098

4]二遊:北條  (3-1-0 / 0-0 / 0 / 0) .292

5]指:原口   (2-0-0 / 1-1 / 0 / 0) .000

6]一:中谷   (3-0-0 / 1-0 / 0 / 0) .259

7]左:一二三  (3-0-0 / 1-0 / 0 / 0) .059

8]捕:小豆畑  (2-1-0 / 0-0 / 0 / 0) .091

〃打二:西田  (1-0-0 / 0-0 / 0 / 0) .357

9]遊:植田   (2-0-0 / 1-1 / 0 / 0) .130

〃捕:岡崎   (0-0-0 / 0-0 / 0 / 0) .250

◆投手 (安-振-球/失-自/防御率) 最速キロ

横山 6回 79球 (7-3-0 / 2-2 / 2.40) 148

渡辺 1回 16球 (0-2-0 / 0-0 / 1.80) 145

小嶋 1回 15球 (0-1-0 / 0-0 / 0.00) 145

玉置 1回 17球 (0-1-0 / 0-0 / 1.80) 139

今季2度目の2安打完封負け

まず投手陣。先発の横山は1回、2回と三者凡退に切って取ります。3回は1死から河野に左前打、金子圭の投ゴロで二塁へ進め、さらにボークを取られて2死三塁とするも無失点。しかし2巡目に入った4回、先頭の拓也に左中間二塁打を浴び、続くカニザレスの右中間二塁打で1点を失いました。なおも無死二塁で猪本の打球をセンター横田がランニングキャッチ!江川に左前打を許しながらも追加点は与えていません。

9回、代打・松中選手に2-2からチェンジアップを投げる玉置投手。
9回、代打・松中選手に2-2からチェンジアップを投げる玉置投手。
結果は空振り三振に倒れ、ベンチに戻る松中選手。
結果は空振り三振に倒れ、ベンチに戻る松中選手。

ところが5回、1死を取ったあと金子圭に左翼線二塁打され、次の真砂に中前打。一気にホームを狙った金子圭に対してセンター横田がダイレクト返球!距離はぴったりだったんですが少し一塁側に逸れセーフ。でも小豆畑から植田に送球し、、打者走者の真砂が二塁でタッチアウト。この回も何とか最少失点で済みました。6回は先頭のカニザレスに左前打されながらも猪本が遊ゴロ併殺打、江川は黒瀬が横っ飛びでナイスキャッチした三ゴロ、3人で終了です。7回は渡辺、8回は小嶋、9回は玉置がパーフェクトリリーフ!見事でした。

こちらの攻撃は…ソフトバンク先発の山田に対して3回に小豆畑が左前打、5回に先頭の原口が四球と2人出塁しただけ。他は完ぺきに抑えられます。6回は五十嵐から先頭の植田が四球を選ぶも後続を断たれ、7回に先頭の北條が代わった寺原の初球を右前打しましたが、原口は三振、中谷は投ゴロ併殺打と3人で終了。8回、9回はピシャリと三者凡退です。結局、この3投手の前に2安打2四球のみだった打線。しかも封殺や併殺などもあり、二塁すら踏めずに終わっています。

直球は◎、変化球は△

横山投手はまず「最初はよかったです。真っすぐが走っていたので一巡目はある程度いけましたが、二巡目は対応してくる。きょうは変化球があんまり入っていなかったので、真っすぐを張られた感じ」と振り返ります。変化球はよくなかった?「いつもの感じではなかったですね、きょうは。でも真っすぐは最初すごくよかったと思います」。最速が148キロだったと告げると「そんなに出たんですか?」と少し驚いた顔。

初登板した3月8日の教育リーグ・オリックス戦でも148キロは表示されたんですが「あれは打球でしょう」とのこと。そして「へえ~148キロですか。確かに走ってるなって感じはしました。5回や6回にも何球か、いい力感で投げられたと思います。コンスタントにこれくらい投げていければいいですね」と横山投手。続けて「一番の反省は変化球でストライクを取れなかったこと」と言います。

試合後、リラックスした様子でランニングをする横山投手。
試合後、リラックスした様子でランニングをする横山投手。

中6日のペースは慣れたかと聞かれ「だいたい掴めてきました。きょうはいい状態で入れてキャッチボールもよかったし、真っすぐが走るかなって感覚もあった。内容はよくなかったけど6回2失点で終われたので、最低でもこういう結果を出せればと思う。中6日で色々やって、これを続けていきたい」と答えています。何か変えたことは?「結構お風呂に入っていますね。1日3回くらい。湯船につかって水風呂に入って、これを繰り返しながら」。なるほど、それは血液の循環もよくなるでしょうね。

それと3月20日の登板に続いて、今回もボークを取られました。3回2死二塁の場面です。前は、社会人時代には取られなかった動きだと言っていた横山投手ですが「きょうは自分のミス。サインを確認しようとしてしまった」と苦笑い。もうひとつ、何回だったか忘れましたが、投球練習の際に球数を間違えていたのでは?「そうです(笑)。投げ終わったのにバッターが打席に入らないので、あれ?と思ったら…もう1球あった」。その1球を慌てて投げ、外野方向を向いて照れ笑いしていたこと。しっかりチェックさせていただきました。

1軍でも通用するストレート!

久保コーチが「先発の大きな柱に育てたい」という横山投手。
久保コーチが「先発の大きな柱に育てたい」という横山投手。

久保投手コーチは「バッターカウントになった時の投球がね。バッテリーが若いからね。変化球の精度、使いどころ、バッターとの間合いなど。それがよければ、わかっていても真っすぐで空振りするんやから。ソフトバンクや広島というバッティングのいいチームで、外国人や江川らの1軍に近い、真っすぐに近いメンバーと対戦して、いい経験している。ワインドアップ?いいと思うよ。セットにして小さくっていうのは望んでいません。大きく、正面からぶつかっていって何かを伝える。今の育て方としてはそれでいい」と話しています。

1軍での登板については「あの真っすぐを投げられれば、いけると思います。ただ先発の柱として育てたいのはあるから、まだイニング数が少ないかな。次は7回まで、ゆくゆくは完投も視野に入れています。だけど1軍に行っても通用するでしょう。あれだけの真っすぐを投げている人は1軍にもそういない。ここで練習を積んでいって1軍から必要とされた時に、この大きな柱をポンと添えられたら」と楽しみな言葉が聞けました。じっくり時間をかけ、やがて放たれる強靱な矢にご期待ください。

初出場、初先発、初安打

安芸キャンプ序盤に右ふくらはぎの張りで別メニューとなり、2月21日の練習試合からは内野手が足りないこともあって復帰した黒瀬選手。やはり完全に治りきらない中での無理がたたったのでしょうか、3月初旬から再び離脱しました。ただし選手がいなくなった6日の教育リーグ・ソフトンバンク戦(雁の巣)は代打でバントを決めていて、今回はそれ以来の実戦です。打席だけでなく、2月28日以来の守備でもアグレッシブでしたねえ!「そんなことないですよ」とかわされましたけど。

「ようやく開幕」とホッとした表情だった黒瀬選手。足は問題ないそうです。
「ようやく開幕」とホッとした表情だった黒瀬選手。足は問題ないそうです。

「久々の実戦だったので少し力んだというか…感覚がちょっと。きょうが“開幕”でしたしね。でも徐々に感覚は戻ってきたし、守備でも動けたからよかったです」。ふくらはぎも問題なし?「ことし一番、足の感じはいいですね。いつもビビりながらやっていたけど。今回は完全に治ってから合流できたので大丈夫です」。それにしても張り切っていましたよね。1回の三飛も、塁審にキャッチしたボールを見せて何度もアピールしていたでしょう?「いや、あれは(審判が)誰もアウトって言ってくれないから。捕ってますよって」。なるほどね。

そして原口選手は今季初スタメンでしたが「でも打てなかったので…。鍛え直します。きょうでしっかり直します!」とバットを持って、室内練習場へ打ち込みに行きました。

もう1人、小豆畑選手は「スライダーかカットボールです。135キロ?カットですかね。曲がってきました。この2つを狙って、ファウルしてもいいと思ったら甘いとこにきたので」と、6回までチーム唯一のヒットだった左前打を振り返っています。これが公式戦初安打で「“開幕です!”よかった。これからです」と、やはり室内練習場へ。

初4番で「1本出てよかった!」と北條

北條選手の“初”も忘れてはいけません。この日は緒方選手と横田選手以外ズラリと並んだ右打者の中で、前日の西田選手に続いて北條選手が「育成試合やフェニックスではあるけど、初めてですね」という公式戦の4番を務めました。昨年のフェニックスリーグでは10月22日から最終戦まで6試合が4番で、気持ちよく21Uワールドカップへ向かったわけです。「きょう4番って言われたあと、みんなにメッチャいじられた!」と笑う北條選手。

練習を終えて引き揚げてくる北條選手。右手で控えめに「4番」と言っています。
練習を終えて引き揚げてくる北條選手。右手で控えめに「4番」と言っています。

ようやく7回に打ったチーム2本目のヒットは寺原投手の代わりっぱな、140キロの真っすぐでした。「寺原さんとの対戦は初ですね、多分。初球の真っすぐ1本に絞っていきました。ファウルにならなくてよかった。ファウルになっていたら、次は変化球が来ていたと思うので。一発で仕留められてよかったです」とホッとした様子。一発で決められる度合いが増えてきた?「そうですね。真っすぐでファウルになる確率が高いから一発で仕留めないと。そうそう甘い球は来ないでしょう。1軍とかは特に」。キャンプ、オープン戦で1軍を経験して実感できたことなのかもしれません。最後にまた「1本出てよかった~」と繰り返しました。

同じく寺原投手について、8回に代打で相対した西田選手は「真っすぐ(146キロ)をファウルして、カットボール(139キロ)をファウルして、これが自打球になった」と足を引きずっていました。「それで最後はカットボール(138キロ)でレフトへファールフライ。カットがめっちゃいいですねえ」とのこと。やはりカットボールが来る前の初球を打てれば一番よかったんですね。

横田選手もしかり。9回2死で寺原投手と対戦してボール(146キロ)、ストライク(145キロ)と真っすぐが来て、次は変化球(117キロ)を見逃し、最後は133キロの変化球で空振り三振して試合終了となりました。「甘い球が1つもなかった。追い込まれる前に打たないとダメですね。1球で仕留められるようにしないと。1軍のピッチャーはスピードが違う」と悔しがっています。

フリーアナウンサー、フリーライター

兵庫県加古川市出身。MBSラジオのプロ野球ナイター中継や『太田幸司のスポーツナウ』など、スポーツ番組にレギュラー出演したことが縁で阪神タイガースと関わって約40年。GAORAのウエスタンリーグ中継では実況にも挑戦。それからタイガースのファームを取材するようになり、はや30年が経ちました。2005年からスポニチのウェブサイトで連載していた『岡本育子の小虎日記』を新装開店。「ファームの母」と言われて数十年、母ではもう厚かましい年齢になってしまいましたが…1軍で活躍する選手の“小虎時代”や、これから1軍を目指す若虎、さらには退団後の元小虎たちの近況などもお伝えします。まだまだ母のつもりで!

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