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高山選手が4打点、北條選手も3安打!2ヶ月ぶりで広島に勝った阪神ファーム

岡本育子フリーアナウンサー、フリーライター
8月1日以来、今季4度目の3安打を記録した北條選手。「ヒットを狙っていきたい」

ウエスタン・リーグの公式戦も残りわずかとなってきました。阪神は、きょう6日の広島戦がちょうど今季100試合目。ウエスタン104試合と、イースタンとのファーム交流戦が5試合の合計109試合でしたが、8月の楽天戦(青森)が雨天中止となったため総試合数は108です。ということで、きょうを含めて残りは9試合。1ケタって聞くと何だか焦りますね。選手もそうでしょう。

さて今季99試合目、きのう5日に鳴尾浜で行われた広島戦は先発の秋山投手と小野投手投手が好投。ゲームは中盤以降に動きました。経過は試合結果と個人成績のあとに書いていますのでご覧ください。しかし広島の打線、1番から安部、東出、キラ、エルドレッド、栗原って…。阪神の高山選手も代打出場で4打点ですけど、エルドレッド選手は5打点ですもんねえ。

後半に逆転、逆転、同点、勝ち越しという展開で、蒸し暑かった鳴尾浜のスタンドを盛り上げた試合。13安打7点と阪神が打ち勝ちました。広島戦は7月9日以来、約2か月ぶりの白星で何とか6勝目。きょう勝てば、今季このカード初の連勝となります。なんていう情報も情けないですけど。

なお背中の張りでリハビリを続けていた西岡選手が実戦復帰。3打席に立ち、ヒットはありませんでしたが順調にきているようです。まだDHでの出場で、週明けのオリックス戦(神戸第二)で守備につく予定とのこと。また腰痛で抹消された新井良選手は室内でのキャッチボールを始め、一二三選手も2日から屋外でのバッティングを再開しています。

《ウエスタン公式戦》9月5日

阪神-広島 23回戦 (鳴尾浜)

広島 000 002 030 = 5

阪神 000 010 42X = 7

◆バッテリー

【阪神】秋山-山本-松田-○玉置(3勝3敗9S)-S小嶋(2勝5敗12S) / 藤井-小宮山(8回表)-清水(9回表)

【広島】小野(5回)-江草(1回)-横山(1回)-●池ノ内(2勝2敗3S)(1回) / 磯村-中村亘(6回~)

◆本塁打 高山1号3ラン(横山)、エルドレッド2号3ラン(松田)

◆二塁打 横田、安部 

◆打撃 (打-安-点/振-球/盗塁/失策) 打率

1]指:西岡  (3-0-0 / 1-0 / 0 / 0) .269

〃打指:高山 (2-2-4 / 0-0 / 0 / 0) .229

2]左:田上  (5-2-0 / 1-0 / 0 / 0) .235

3]右:緒方  (4-2-0 / 0-0 / 0 / 0) .302

4]一:森田  (4-0-0 / 0-0 / 0 / 0) .262

〃一:黒瀬  (0-0-0 / 0-0 / 0 / 0) .231

5]三:陽川  (4-1-0 / 1-0 / 0 / 0) .250

〃走三:阪口 (0-0-0 / 0-0 / 0 / 0) .257

6]遊:北條  (3-3-0 / 0-0 / 0 / 0) .246

7]捕:藤井  (1-0-0 / 0-0 / 0 / 0) .333

〃捕:小宮山 (0-0-0 / 0-0 / 0 / 0) .198

〃打:西田  (1-0-0 / 0-0 / 0 / 0) .227

〃捕:清水  (0-0-0 / 0-0 / 0 / 0) .182

8]二:荒木  (4-2-0 / 1-0 / 0 / 0) .245

9]中:横田  (3-1-2 / 0-1 / 0 / 0) .189

◆投手 (安-振-球/失-自/防御率) 最速キロ

秋山  6回 104球 (5-2-1 / 2-2 / 2.83) 147

山本  1回   7球 (0-0-0 / 0-0 / 2.22) 143

松田 0.2回 24球 (2-0-1 / 3-3 / 7.59) 150

玉置 0.1回   3球 (0-0-0 / 0-0 / 2.61) ―

小嶋  1回 25球 (0-1-2 / 0-0 / 4.14) 146

13安打のうち後半に9安打集中!

秋山は5回まで2安打無失点。3回からは3イニング連続で三者凡退でした。広島の小野も全く同じ、1回と2回に1安打ずつで4回まで無失点。5回にまず阪神が先制します。先頭の北條が左前打して藤井の犠打、荒木の投ゴロで2死三塁となり、横田が一塁線を破るタイムリー二塁打!ところが秋山は6回、1死から安部の二塁打と東出の左前打と代走・上本の盗塁、キラにはストレートの四球で満塁として、そこまで一ゴロに見逃し三振(145キロの直球)と抑えていた4番・エルドレッドに右前タイムリー。2人を還し、逆転されます。

しかし7回、山本が三者凡退に切って取った直後に反撃開始です。北條が左前打、藤井のバントを広島の横山が二塁へ。送球する前に一瞬の間があったため犠打野選となり、荒木の右前打で無死満塁。横田の二ゴロ二塁封殺の間に同点。続く代打・高山がレフトへ文句なしの1発!この3ランで勝ち越し、試合は決まったかと思っていたら…

8回は松田と小宮山のバッテリーに代わり、1死から安部に右前打されたあと2死を取りながらキラにストレートの四球。そしてエルドレッドに2球目、114キロのカーブをレフトへ同点の3ランを浴びます。ここで松田は降板し、代わった玉置が廣瀬を左飛に打ち取って終了。

ちょっと元気のなくなりかけたスタンドでしたが、すぐまた盛り上がります。8回の裏、池ノ内から陽川が中前打で出て、代走は阪口。北條の犠打などで2死二塁となり、荒木がセカンド内野安打。上本の送球エラーで三塁から阪口が鮮やかな走塁で生還して勝ち越し!横田は四球で2死一、二塁、続く高山が右前タイムリー!2点のリードをもらった小嶋と清水のバッテリーですが2四球と暴投などで2死一、三塁。でも最後は安部を空振り三振に仕留めて逃げ切りました。

カープ打線相手に善戦した投手陣

秋山投手は「最初から球が高めに浮いて初回はしんどかった。2回途中から落ち着き始めて、バッターの様子をみながら(左足の)着地の時間を変えて投げたりしました。最後まで球は浮いていて、甘いとこも多かったですが…。ここ2試合は三振が減ったけど内野ゴロが増えているから、うまくタイミングは外せてるかなと思います」と振り返りました。

我々の取材に、言葉を選びながら答える秋山投手。1つ1つ手応えを積み重ねます。
我々の取材に、言葉を選びながら答える秋山投手。1つ1つ手応えを積み重ねます。

タイミングを変えるために先月20日頃から取り組んでいるフォームを「きょうは全体的に良くなかった中で、それなりに5回までいけた。6回につかまってしまったけど引き続きやっていきたい」と秋山投手。つかまった6回は「キラとエルドレッドは勝負しにいった。フォークで勝負したかったというか、そうすべきところ。今まで浮いて打たれていたんで浮かせてはいけないという気持ちから、空振りしてくれる軌道じゃなかった。浮かせちゃダメと思いながら投げていたので…。そのへん、練習したいです」とのこと。

次に8回を7球で三者凡退に切って取った山本投手。「調子は悪くないので、普通に投げれば大丈夫という気持ちで入れている」そうです。ブルペンで練習中のフォークボールは「機会があれば試合でも使いたい。チェンジアップだと真っすぐのタイミングで当てられていたので、フォークのような形で空振りを取りたいと思って」と話しています。

松田投手は8回、エルドレッド選手に打たれた3ランを「甘かった。カーブです」と回顧。その前のキラ選手はストレートの四球で「勝負しに思いきりいくべきだった。狙いすぎてフォアボールになったりして…。あそこは勝負すべき」と肩を落とします。課題を聞かれ「変化球ですねえ、やっぱり。打たれちゃいけないところで打たれて同点になっているので、しっかり練習していきたい」と反省しきりでした。

同点に追いつかれたところで松田投手をリリーフした玉置投手。久しぶりの途中登板ですが「そういう時もありますしね。でもやることは同じですから」とクールな言葉。直後に打線が勝ち越したため今季3勝目です。そして9回、2四球と暴投でピンチを作るも0点に抑えた小嶋投手は「きょうは悪かった。反省がいろいろ」と。でも無失点でした。「そうですね。同じ反省をするなら、打たれてより抑えての方がまだいいですね」。なるほど。12セーブ目でリーグ2位タイとなっています。

高山3ラン、横田2打点、北條3安打

平田監督から「実力者」と褒めたたえられた高山選手。代打3ランは見事でした!
平田監督から「実力者」と褒めたたえられた高山選手。代打3ランは見事でした!

高山選手は「真っすぐ、真ん中。感触はよかった」と今季1号を振り返ります。ダメ押しかと思われた3ランにベンチもスタンドも大喜び!「そうですね。嬉しかったです」と笑顔がこぼれました。「まずは代打とかで1打席勝負なので、一発で仕留められたってのはよかったですね。どこでチャンスがあるかわからないので、諦めずにやっています」。追いつかれた直後の8回も「追い込まれていたので食らいついていこうと」スライダーを打って2点差とするタイムリー。

平田監督は「掛布さんが『出したら打つ!』と言ってたもん。実力者だね」と勝ち越し3ランなど2打数2安打4打点の高山選手を絶賛でした。

先制タイムリー二塁打と、7回には二ゴロで同点となる打点を挙げた横田選手は「打点2ですか?」とニコニコ。これで通算19打点です。「二塁打はフォークです。変化球を狙っていて、うまくうてました」。このところボール球の見逃し方が良くなってきたような。「監督にもいわれました!手が出ないってのもあるんですけど。何球かは“見逃してるフリ”してますね(笑)」

シーズン序盤は「試合にあまり出ていなかったから、振らないともったいない気がして」初球から何でもフルスイングだった横田選手。今は「考えています、自分なりに。ほんとですよ!」と、真顔でアピールするもんで笑ってしまいました。左投手、右投手関係なくスタメンでの起用が続いているけど、左も大丈夫?「いえ左はイヤです」。正直です。7回は高山選手の3ランで生還したわけで「高山さん、すごいです!しかも1球で」と感嘆の言葉でした。

最後は北條選手です。3打席連続安打と8回には決勝点につながる犠打。囲み取材中、通りかかった掛布DCがニヤニヤしながら「北條!なにエラそうにしてんだよ~。バントを一発で決めんかい」と突っ込んだもので、みんな大笑い。本人は「すみませんっ」と苦笑いでした。1試合3安打は、これまでが6月24日、7月6日、8月1日と3度あり、すべてオリックス戦。今回はそれ以来の今季4度目となります。

「1打席目、逆方向に打てたのがよかったです」と、2回に放った右前打に納得の北條選手。「8月が全然ダメだったので、シーズンも終盤になってきたし、この9月は(率を)上げること考えています。1打席、1打席ヒットを狙っていきたい」。陽川選手と個人的に競い合っている打率も前日の.238から.246と一気に上昇。この日は4打数1安打だった陽川選手の.250に迫ってきました。残り9試合、引き続き注目させていただきましょう。

フリーアナウンサー、フリーライター

兵庫県加古川市出身。MBSラジオのプロ野球ナイター中継や『太田幸司のスポーツナウ』など、スポーツ番組にレギュラー出演したことが縁で阪神タイガースと関わって約40年。GAORAのウエスタンリーグ中継では実況にも挑戦。それからタイガースのファームを取材するようになり、はや30年が経ちました。2005年からスポニチのウェブサイトで連載していた『岡本育子の小虎日記』を新装開店。「ファームの母」と言われて数十年、母ではもう厚かましい年齢になってしまいましたが…1軍で活躍する選手の“小虎時代”や、これから1軍を目指す若虎、さらには退団後の元小虎たちの近況などもお伝えします。まだまだ母のつもりで!

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